=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「幸せのねむる川」 アン・ドヒョン (韓国)
<青春出版社 単行本> 【Amazon】
大海から草緑江(チョロッカン)に戻る鮭の群の中に、一匹だけ、とても目立つ鮭がいた。他の鮭の背中は 黒いのに、その鮭だけは銀色に輝いている。海面では黒い背中が保護色になるというのに、銀色では目立ちすぎて ミサゴのような天敵に狙われてしまう。群はその鮭をかばうように取り囲んで進んでいた。銀色の背の鮭の名は、 カムルという。カムルはなぜ生まれてきたのか、なにを生きる目標にすればいいのか悩んでいた。もっと自由な生き方が してみたかった。 | |
韓国で100万部突破の大ベストセラーの翻訳本ということで、さっそく読んでみました。 | |
韓国って人口4700万人弱でしょ。それで100万部ってスゴイよね。 単純に人数で考えれば、日本だと200万部を軽く超える大ヒットってことになる。 | |
しかも、その大ベストセラー本が一匹の鮭のお話っていうんだから、どんなんだろ〜と興味津々だったよね。 | |
とはいえ、日本のでもそうだけど、大ベストセラー本って読んでみると、 私たちにはちょっと、って場合が多いから、半信半疑で読んだんだけど。 | |
まあ、結論からいうと、もうちょっとはマシかと思ったって感じかな。 | |
う〜ん、訴えてるテーマは良いし、言いたいこともわかるんだけど、 正直なところ、なんというか、稚拙というか、あまりにも素人っぽい感じがしてしまったんだけど。 | |
お説教臭いのはしょうがないにしても、言いたいことをむりくりセリフに はめていっちゃってるのがまるわかりで、不自然だったよね。韓国で100万部も売れてるって、本当なんだろうか・・・。 | |
ストーリーは、銀色の背の鮭カムルが、愛する姉と別れ、卵を産むためだけに川に戻るということに、 疑問を抱きながらも群とともに行動する。その途中で、愛する鮭と出会い、川と会話をして、成長し、目覚めていくというお話。 | |
まあ、月並みというか、いかにもな成長ものだったよね。なんかもう作者の都合にあわせて目覚め、成長して いくって感じで。 | |
情報だけは、タップリ詰め込んであったけどね。これまた鮭のセリフになってたんだけど、 具体的な数字まであげてあったし。 | |
作者がどういう狙いで書いたかは、最初に序文で書いてあるのよね。韓国で河川への 鮭の回帰率が低いことを嘆き、鮭の保護運動に乗り出そうとした作者が、論文みたいなものだけじゃ人の心に訴えられないと 考え、この物語を作ったそうなの。 | |
それと関係あるのかどうかわからないけど、なぜか本文が横書きなんだよね。 開いたとき、ちょっと驚いた。 | |
鮭が自然に生きることの大切さ、それを破壊する人間の愚かさ、乱獲が いかに罪深いことかを切々と訴えてるのよね。それじたいには賛同っ。 | |
ただまあ、物語的にはちょっとアレだけどね。 | |
鮭の気持ちになって読める本なのかと思ったのよ。でも、届いてくるのは 人間から人間へのメッセージで、鮭ではなかった。そっちに期待したのが間違ってたのかな。 | |
まあ、小説とは思わないで、鮭の保護を訴えるメッセージをわかりやすく 伝えるために、とりあえず物語にしてあるってぐらいに思えばいいのかな。 | |
そうだね、素敵な物語かなと思って読むとガッカリしちゃうけど、たとえば 道徳の授業の教材にするとか、そういう扱いだったら最適な本かも。 | |
そうそう、人間が自然に手を加えるのは間違ってるということがわかりやすく書いてあった。 とりあえず、私はとうぶんイクラは食べないことにしようと決めたのでした。鮭を守ろう! | |