=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「ソーネチカ」 リュドミラ・ウリツカヤ (ロシア)
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胸が大きいことぐらいしか誉めるところのない、さえない容姿のソーネチカは、7才から27才になるまでの 20年間、ひたすら本を読み、本の世界に生きていた。運のいいことに大好きな本がたくさんある図書館の書庫で 働けることになったソーネチカは、そこで将来の夫となるロベルトと出会った。ロベルトは1930年代の初めに ふらりとフランスからロシアに帰国し、伝説となった47才の芸術家だった。 | |
これはあんまり語りたくない小説だな。 | |
言いたいことはわかるような気がするけど、まあ、そうおっしゃらずに(笑) | |
こういうのもありかな、とは思ったのよ。別にこれはこれでありなんだから、 批判する必要もないし、そのまま受けとめればいいんだろうな、と。 | |
そこから先を言う前に宗教の違いとか、そこからくる民族性の違いとか、 そういうのも考えたほうがいいと思うよ。 | |
そこまで考えなくてもわかるよ。ようするに、ソーネチカと私はまったく違う人間で、 共感もしないし、見習いたいというタイプでもなし、別に悪いとは思わないけど、なんかもう遠い存在だったなとそれにつきるのよね。 | |
大丈夫、大丈夫、私も同類です(笑) ロシア版「女の一生」って聞いてたけど、ロシア聖女伝説って 感じだったよね。どうもこういう嫉妬も欲もなく、清らかな心と感謝の気持ちで生きる人っていうのは、どう扱えばいいのか困ってしまう。 | |
最初のうちは、けっこう好きになれそうだったんだけどね。ソーネチカは小説を愛し、 読みだすともう小説世界と現実世界の区別もつかなくなるような女の子。 | |
ぱっとしない容姿で、恋愛とは縁がなさそうな感じなんだよね。 | |
それが歳の離れたロベルトに一目惚れされて、自分なんかを好きになってくれる人がいたなんて、 って感じであっさり結婚。 | |
あら、そんなにイヤミっぽい言い方をしなくても(笑) ロベルトはソビエトにありながら反体制的な 思想を持ち、多くの有名人とも交流のあった才能のある芸術家。ソーネチカのパートナーとしては悪くないよ。 | |
話が逸れるけど、ここから書いてあることを理解して追うのがちょっと辛くなったよね。 | |
うん。短い文章でロベルトの過去が語られてるんだけど、断片的で登場人物は多く、 なにがどうなってどうなったって順序だててゆっくり説明してくれてないから、何度かわからなくなって焦った。 | |
画家であり、舞台装飾家でもあるのよね。なんかヨーロッパではすでに伝説の人となっているみたい。 | |
ソーネチカはロベルトの良き理解者であり、ロベルトもまたソーネチカを尊敬し、 とってもいい夫婦よね。 | |
部屋を借りたらそこが芸術家たちの集まるサロンのようになって、 どんどん老けていく自分の姿も省みずに家を住み心地よくしようとするソーネチカの努力が実って、幸せな日々。 | |
二人のあいだにはターニャって娘が産まれるのよね。これが男漁りが趣味で、 学校を放校されるようなちょっとした問題児。 | |
そこからまあ、裏切りとか別れとか、いろいろあるんだけど、ソーネチカは すべてに腹を立てようともせず、すべてを愛して、自分が幸せだと信じつづけ…。 | |
私はね、べつにそういう聖女っぷりはいいのよ、ただ、ソーネチカの私みたいな 醜い女がどうのこうのっていう、その卑屈ともとれるような発言が、ちょっと待ってよ、それは違うんじゃないのと言いたくなった。 | |
ひねくれた読み方ではあるけど、私みたいな醜くてとりえのない女は、この程度の幸せでも与えられただけラッキーです、 これは感謝しないといけませんと言ってるようにもとれるね。 | |
それのために、どうも積極的な聖女じゃなくて、消極的な聖女だったような気がしてしまって、 どうも「幸せ」って言葉さえ嘘くさく感じちゃったのよね。 | |
でもねえ、私はそういうふうに言われると、ソーネチカはソーネチカなりに生きたんだから、 それはそれでいいじゃないと言いたくなる。じゃあ、あなたは?と訊かれると、つい批判的なことが言いたくなるんだけど。 それで困っちゃってるのよね。 | |
まあ、私たちには合わなかったんでしょう。こういう小説を読むには純粋さも素直さも足りませんでしたってことで(笑) | |