=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「ふたりの証拠」 アゴタ・クリストフ
<早川書房 文庫本> 【Amazon】
国境を越えずに戻ってきた双子の片割れリュカは、不具の子供マティアスを抱えた女ヤスミーヌ に出会い、家に住まわせる。家族のように暮らす三人だが、やがてリュカは夫を亡くして老け込んだ 図書館員クララの部屋に通いだし、親切な文房具屋ヴィクトールに紹介してもらった有力者、党書記の ペテールとも交流を深める。そんなリュカの心には、いつも帰ってくるはずのクラウスの存在があった。 | |
はい、アゴタ三部作の第二弾は『ふたりの証拠』です。 | |
ちなみに、この三部作、一作ずつ、文体から内容からまったく違う味わいの小説になってるのよね。 | |
ちなみにちなみに、この本でやっと双子の名前が出てきます。 リュカ(LUCAS)とクラウス(CLAUS)。 | |
おおっ、なんか匂うぞってかんじだよね。さて、この本だけ で考えると、どうだったでしょう。 | |
前から思ってたんだけどさあ、あなた、自分がおもしろ かったときは積極的に話すくせに、そうじゃないときは私にしゃべらせようとするよね。 | |
あら、そうでしたか(笑) ということは? | |
う〜っ、私の嫌いな世界だわ〜。フランス映画の感傷的な世界。 | |
なんか人物像からその行動まで、なんか単一的というか、 みんな妙に感傷的だったよね。ただもう用意された悲劇に向かっていくってかんじで。 | |
中でもマティアスなんて、もろフランス映画の子役が演じてる って感じのセリフまわし。ゾワゾワッ。 | |
ちょっとホモの党書記ペテールなんてのも、いかにも、 おフランスチックな登場人物よね。 | |
こういう悲劇的なストーリーの連続も、喜んで読めるのは 高校生までだったわ。今の私には満足できな〜い。 | |
うん、にえちゃんの魂は、今ではまっ黒に汚れきっているもんね。 | |
刀梶秩凵I ∀Ω▽∽бЖ◇¢!! | |
あ、こわれた、こわれた(笑)。で、本の話に戻りますと、 この本の出だしでは、双子だったはずなのにリュカ一人、町の人はそれを気にしない、リュカ一人が 当たり前のように接しているという、こっちの頭を混乱させるような出だしだったよね。 | |
うん。わざと読者を混乱させようとしているのかな、と 思いつつも、ゲゲッ、話についていけるかな〜と不安になってしまった。 | |
それから、グロイ性描写がはじまって、う〜、このまま続いた らしんどいなあと思ったら、途中で終って、あとはすっかり感傷的な悲劇世界へ突入! | |
リュカも悪魔ッコぶりは息を潜めて、なんか会う人、会う人を 片っ端から愛しちゃってるような行動。これがまた、理解できなかった。 | |
う〜ん、愛しているようで冷たいようで、わかんないね。 | |
パトリシア・ハイスミスのリプリーが、シリーズ続いていくと、 こういういい人か悪い人かわからない存在になっちゃうじゃない? 私にとってはああいう存在になって しまった。 | |
まあ要するに、だれにも感情移入できずに終ってしまったって かんじですか。 | |
何考えてるかわからない人には感情移入できませんよ。なんか こういう、いかにも悲劇が用意されてますよ的話の持っていきかたは、ワタクシ、好きになれませ〜ん。 | |
でもさ、最後は、オッって思わなかった? なにやら思わせぶり。 | |
うん、これはどういうことだ、もしかして・・・、なんて この本を読みだしてからすぐに疑りはじめたことを裏付けるような、裏付けないような、そういう情報が 提供されてるのよね。 | |
『悪童日記』のあとは、間があいても平気だけど、 『ふたりの証拠』は読み終わったらすぐ『第三の嘘』が読みたくなるよね。 | |
そうそう、『第三の嘘』で、ついに謎は解き明かされるのだ〜。 ってことで、次回お楽しみに〜。 | |