=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「盃のなかのトカゲ」 ピータ−・ディキンスン (イギリス)
<早川書房 ポケミス> 【Amazon】
ギリシア、イオニア海に浮かぶ島ヒオス。大富豪タナトスは、自分の暗殺計画があると知らされた。タナトスは自分の配下のものたちに加え、元警視ピブルを島に呼び寄せた。不気味な毒トカゲ、謎の美女、朽ちかけた古代の僧院、傲慢な若手画家、暗殺者を探るピブルの前に、様々な影が落ちる。 | |
『ガラス箱の蟻』より翻訳者がぐっと若返って、今度は明治生まれのオジイチャンです(笑) | |
でもさ、ぐっと読みやすくなったよね。 | |
まあ、上手い翻訳とはお世辞にも言えないけど、引っかからずにすんなり読めた。 | |
これはピブル警視シリーズ第5作めで、すでにピブルは警察を辞めてるのよね。 | |
私はね、シリーズ2冊めにして悟ったよ。このシリーズはね、入り組んだ人間関係とか、変わった設定とか、そういう結論が出るまでを楽しむシリーズだね。 | |
ああ、最後で2冊とも「えっ」ってなったよね。 | |
そうなの、そうなの、犯人とか、動機づけにたいして、え? なのよ。 | |
現実にありえないとか、人間の感情としてありえないとか、そういうことじゃないのよね。それなら、まあ、こういうこともありかなって感じ。 | |
うん。ただ、さんざん複雑な経緯とか、人間関係とか見せといて、え、犯人はコイツなの、動機はその程度なのって、拍子抜けどころかビックリしちゃう。 | |
そういうのは期待しちゃいけないんだろうね。 | |
それさえクリアすれば、じゅうぶん楽しめる。今回も、登場人物が複雑な人ばかりで、ちょっと変わってて楽しかった。 | |
『ガラス箱の蟻』に比べたら、超普通の人だけどね(笑) | |
傲慢なようで魅力的な富豪、子供とクリケットをするのが趣味のやり手捜査官、素性を隠し、大人っぽさと子供っぽさを持ちあわせた美女、酒飲みの神父、クー族ほどではないにしろ、おもしろい登場人物をあげたら枚挙のいとまもありませんよ。 | |
それにさあ、ギリシャの島の雰囲気とか、毒トカゲとか、僧院に残る伝説とか、そういう舞台背景も魅力的だったよね。 | |
ピブルはあいかわらず、捜査と研究の両立で楽しませてくれるしね。 | |
それにしてもさ、ピブルの奥さんのメアリーって登場すること、あるのかな。 | |
私たちが読んだ2作について言えば、メアリーのもとに帰りたいとか、メアリーはこういうタイプだ、みたいなピブルの話で出てくるだけで、登場してないのよね。 | |
コロンボと同じパターンなのかな。やたらとピブルはメアリーの話をするよね。 | |
謎だわ〜。 | |
やっぱり、このシリーズ、ピブルが一番の謎だよね。 | |
ちょこちょこっと語る過去も驚かせるようなすごい話ばっかりだしね。 | |
そういうところもお楽しみね。 | |
それにしても、ピブル警視シリーズは古くて、全部絶版。若い人に翻訳してもらって、白い紙で読みたいよ〜(笑) | |