すみ=「すみ」です。 にえ=「にえ」です。
 「ロスト・レイセン」 マーガレット・ミッチェル (アメリカ)  <講談社 単行本> 【Amazon】
1995年になって発見された、ミッチェルがわずか15歳で書いた中編「ロスト・レイセン」と、彼女の幼なじみであり、求婚者でもあったヘンリー・ラヴ・エンジェルとの書簡、写真などを解説つきでおさめた本。「ロスト・レイセン」は、無骨で大柄、喧嘩ばかりしている純情な船乗りビリーと、小柄で美貌の女性コートニー、ハンサムな彼女の求婚者ダグラスの三角関係を描いた物語。
にえ これはもう恥かしながらと言うしかありません。
すみ 『厳選100人の作家』でマーガレット・ミッチェルを紹介しておきながら、この本の存在を知らなかったのよね。
にえ 知ってる人はあれ見て、あれっと思っただろうなあ、恥ずかしい。なんでそんなことも知らないの、の世界だよ。
すみ この本が出版れさたの、1996年だからね。
にえ さてさて、この本ですが、ちょうど半分に分れてて、前半は「ロスト・レイセン」、後半は大量の写真といくつかの書簡で、ミッチェルの青春時代を紹介している本です。
すみ 「ロスト・レイセン」は、ミッチェルがヘンリー・ラヴ・エンジェルっていう人の16歳の誕生日に、ノートに書いてプレゼントした小説なのよね。
にえ ヘンリー・ラヴ・エンジェルって冗談みたいな名前だよね(笑)
すみ でも、ミッチェルの遺志を継いで、死ぬまでこの小説のことを秘密にしてたんだから、偉いよね。
にえ 後半のほうを先に言うと、これは見るところさほどなし。他人の手紙は見ていて落ち着かないし、解説のほうはそれほど驚くべき新事実は書かれてないし。
すみ でもさ、あらためてミッチェルの写真を見て思ったんだけど、どの伝記にもモテモテだったって書いてあるけど、それほど綺麗な人ではないよね。
にえ 話してて楽しい人ではあったらしいけどね。写真もみんな、オフザケがきいてて、いかにもミッチェルらしい。
すみ まあ、だからってどうでもいいと言えば、どうでもいいんだけどね。
にえ そう、読んでほしいのは前半分の「ロスト・レイセン」。
すみ これは驚いたよね。15歳でこんな小説、書けるものなの?
にえ 自分が15歳だったときと比べたくはないよね(笑)
すみ ビリーの人柄といい、常識にとらわれないコートニーの生き生きとした描写といい、大人のプロの作家でもここまで書けるかって感じよね。
にえ ストーリーに15歳なりの甘さもあるけど、展開もオミゴト!
すみ 余韻の残る読みごたえ、凄すぎるよね。
にえ ミッチェルの死後、遺言で焼かれた他の創作が、今さらながら残念。読ませてくれ〜(笑)
すみ 15歳でこれほどのものが書けるんだから、きっと他にも素敵な小説がたくさんあったに違いないのにね。
にえ 『風と共に去りぬ』を読んだ人だったら、コートニーにスカーレットの原型を見ることもできるし、これはちょっと読んでみてほしいところ。
すみ 15歳だからって、あなどるなかれ! だよね。
にえ 読む価値ありです。あ、厳選のほうにも加えておきました。