=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「月の石」 トルーモー・ハウゲン (ノルウェー) <WAVE出版 単行本> 【Amazon】
父親はダイヤモンドの密輸入、母親もあやしい活動をしている。大きな家に住んでいても、 ニコライ少年はいつも孤独だった。遠く離れた半月宮の神殿で異変が起き、誘拐されたダイ・チが 見知らぬ男に7つの伝説を語るとき、ニコライのまわりでも次々と不可思議なことが起こりはじめた。 | |
もっと童話チックなファンタジーを想像してたら、違ってたね。 | |
うん、童話的な設定ではあったけど、ニコライの父親が大人になっても、自分を捨てた母のことを悩みつづけていたり、母親が夫婦間のことを悩んでいたり、裏の画策が絡んでいたり、じゅうぶん大人の話だったよね。 | |
ストーリー的にも、ジョナサン・キャロルの「月の骨」やキャサリン・ネヴィル「8(エイト)」をもっと簡潔にまとめたってかんじで、ファンタジーは不慣れな私にも馴染みやすかった。 | |
最初はいろんな場面が次々切り替わるから、ついていけるかな〜、って不安だったけど、その辺も大丈夫だったよね。 | |
月の異変の話とか、鏡抜けの話とか出てきて、ややこしい説明が始まったらどうしようかと思ったけど、その辺もゴチャゴチャ説明されなくて、すんなり読めた。 | |
私はね、ダイ・チが一晩に一話ずつ、7つの話をするんだけど、その話が好きだった。 | |
ああ、昔の中国の娘の話とか、バビロンの王の話とか、これまた短いながらも余韻の残るような、いいお話が7つも聞けて、得したってかんじよね。 | |
うん、素敵だった。それにしてもさ、本全体、もっと長々と書いてもいいところを、すっきり短い話にしてくれてて、ほんと、読みやすかったよね。 | |
それに、描写も文章も綺麗だった。 | |
ニコライのおばあちゃまがロシア出身で、今はノルウェーに住んでるって設定なんだけど、それがまたいい雰囲気を醸しだしてたよね。 | |
ロシア、ノルウェー、ああいう雪の国って、伝説とか、魔法とか、そういうのが合うよね。 | |
暑い国だと、まじないとかのろいとか、そういう呪術なんかを期待しちゃうけどね。 | |
なんか偏見くさい気がするけど、まあいいか(笑) | |
この物語の間も、舞台のノルウェーはずっと雪。読んでる私の息まで白くなっていくよう♪ | |
そうやって可愛い子ぶるのはいいとして(笑)、登場人物がみんなどこかしら孤独じゃない、そういう人たちと雪の白い世界がすごくマッチしてた。 | |
ふだんファンタジーを読みつけていない私たちみたいな人にはお勧めじゃない? | |
うん。ハウゲンって翻訳本がけっこう出てるし、人気もあるから、どんな本を書く人だろうと思ったけど、納得。とっつきやすいし、サクサク読めるし、読んで満足できる美しさがあったね。 | |
私たちも、たまにはこういう本、いいんじゃない。 | |
そうだね、他の著作も読みたくなった。 | |
最後は安直な大団円かと思ったら、そんなこともなかったし、大人が読めるファンタジーだったよね。 | |
たまにはこういう本も、と思ったら、いかがでしょう。 | |