=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「鍵のかかった部屋」 ポール・オースター (アメリカ)
<白水社 Uブックス> 【Amazon】
ニューヨークで本や映画などの評論を雑誌に書いて暮らしている僕は、ソフィーという女性から手紙を 受けとった。ソフィーの夫ファンショーは僕の物心つく前からの幼なじみだったが、いまは交流もなく、なに をしているのかすら知らなかった。そのファンショーが妻と産まれたばかりの子供を残して行方不明となり、 あとには大量の原稿が残っていた。ファンショーはいなくなる前ソフィーに、自分がもし、死ぬか、いなくな るかしたら、その原稿を僕に渡し、出版するか、捨てるか、判断をまかせてくれと言っていたという。 | |
ニューヨーク三部作の3作め、完結編ともいえる作品です。 | |
納得の完結だよね。おもしろいのを超えて、ゾクゾクしまくりでした〜(笑) | |
話がはじまってすぐ、ファンショーと僕の子供の頃の思い出が語られてだすんだけど、 そこからもう夢中になっちゃったよね。 | |
ファンショーが不思議な子供なのよね。子供なのにすでに完成されてるって感じで、 友だちのなかではカリスマ的な存在で。 | |
なんかファンショーに関わりあうと、ぜんぶ判断をファンショーにまかせきりに なっちゃうっていうか、頼りきって骨抜きになっちゃうみたいなのよね。 | |
主人公である僕が成長して、いつのまにか離れていったのもわかる気がする。 そのまま離れておけばよかったのに。 | |
でも、ファンショーの奥さんソフィーから手紙が来て、会ってみると自分好みの 美人で、こうなってくると、男はもう抜けられないのだなあ(笑) | |
ファンショーが残したのは推理小説に戯曲に詩。もちろん、どれも傑作で、出版されることになるのだけど。 | |
読んでみたいよね〜、ファンショーの推理小説。 | |
読んでみた〜い。どんな小説ともぜんぜん違ってて、読むと頭から離れなくなっちゃうんだよね。おもしろそ〜。 | |
ファンショーはとにかく、本人がその気もないのに、人の脳を支配しちゃうみたいなところが あるみたいだよね。なんかやってることは当たり前なのに、なんか不気味。 | |
で、もちろんファンショーの本は売れて、世間でファンショーを知りたい熱が上がり、僕はファンショーの 伝記を書くことになって。 | |
来た来た来た〜って感じだよね。ここからオースターの悪夢ゾーンに入るなと、もうワクワク。 | |
ファンショーって結局なにものだったの? 死んだの? 生きてるの? なにやってるの? なにが目的?と 疑問は僕をひきこみ、からみつき、気づいたときにはもう逃れられないっ。 | |
で、なんでこれを完結編だと言ったかということですが、この本には「シティ・オヴ・グラス」「幽霊たち」の 存在意義が語られ、ある答えが用意されているのです。 | |
おまけに、2つの作品に出てきた登場人物も、名前だけ、ご本人登場などの形で何名か登場するのよね。 | |
これでゾクゾクしないでどうするのって感じだよね。 | |
わわわ、そういうことだったの! あ、あの人がこんなところで! と驚きまくりだった。 | |
というわけで、ニューヨーク三部作は3冊すべて読んではじめて、完結するのでした。 内容や登場人物を忘れないうちに3冊読むべし! | |
ラストもよかったよね。「アレ」が最後の最後に出てきて、しかもあの結果に。う〜、ゾワッときたっ。 | |
ところで、翻訳家の柴田さんは、解説だけでなく本文中でも、先に他の人に訳されてしまった「シティ・オヴ・グラス」 を「ガラスの街」と言いはってたよね。男の意地を見たよ(笑) | |
なんか理由があるのかもよ。それより翻訳家さんはともかくとしても、やっぱり同じ出版社から3冊とも出してほしかったね。 3冊で1セットなのに、並べるとバラバラだ〜(笑) | |