すみ=「すみ」です。 にえ=「にえ」です。
 「巨人たちの星」 ジェイムズ・P・ホーガン (イギリス)  <東京創元社 文庫本> 【Amazon】
ガニメアンたちを乗せた<シャピアロン>号がジャイアンツ・スターをめざして飛び立ったあと、 月の裏側の宇宙線観測所にジャイアンツ・スターからメッセージが届いた。やはりジャイアンツ・スターは ミネルバを脱出したガニメアンたちの移住先だったのだ。だが、それを航行中の<シャピアロン>号に伝え るすべはなかった。
にえ 『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』と続いて、この『巨人たちの星』が三部作の完結編です。
すみ このシリーズは順番どおりに読まないとさっぱりわからないと 思うので、読むのなら『星を継ぐもの』からどうぞ。
にえ で、この本は20年以上前に書かれたSFなんですよ。だから 何だって? 時代背景が2080年なのに、アメリカとソビエトが冷戦やってるんだよ(笑)
すみ 未来を予想して書かなくてはいけないSFの辛いところだよね。 でも、そんなことは気にせず読みましょう。
にえ でもね、冷戦時代のアメリカの映画や小説の、アメリカは正義、 ソビエトは悪、みたいな短絡発想な設定にはウンザリさせられてたから、ちょっと初っぱなからへこみまし た。
すみ ジャイアンツ・スターとの交信で、これからどう付き合ってい くかを国連が模索するんだけど、その中で「ソビエトvsアメリカと世界の仲間達」みたいな構図が最初の うちはあるのよね。
にえ そう、なんか地球のほうで揉めちゃってるから、なかなかジャ イアンツ・スターの異星人たちと仲良くなるってところまでいかないの。
すみ これまでの『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』では、 地球側の人間関係とか、政治問題とかはわりと簡素にして、その分、地球人、異星人を含めた人類の謎を解 くってほうに重きを置いてたけど、この本はかなり政治とか、地球の人間同士の小競り合いとかが描写され てたよね。
にえ ちょっとテンション下がっちゃいました(笑)
すみ でも、それからジャイアンツ・スターの人たちと実際に話して、 いろんな事がわかってくると、ちょっと盛り上がっていったでしょ。
にえ そうそう、じつは地球には以前から■■■■がいて、歴史 は■■■■によって、■■■■されてるのかも?!って話になってきて、ちょっと面白くなってきた。 (一部伏せ字になってます)
すみ だってさあ、■■■■も、■■■■も、■■■■なのかもしれな いっていうんだからスゴイ。そのせいで、地球の科学の進歩は意図的に遅れさせられたんだよ。(一部伏せ字 になってます)
にえ それはありうる!と思っちゃったよね(笑)
すみ 科学絶対主義に偏った発想とも言えるけど、でも納得だよね。
にえ で、やった〜、おもしろくなってきた〜と思ったら、宇宙大 戦争みたいなことになったでしょ、私はふたたびテンションが下がってしまった。
すみ まあ、宇宙大戦争というのは大袈裟な言い方で、異星人どうし の一触即発のかけひきって感じなんだけどね。
にえ 国家間の小競り合い、人間どうしのかけひき、謎解きになって きたかと思ったら、宇宙大戦争勃発。なんだかな〜、私がこのシリーズに求めてるものとは違ってたな。
すみ まあ、宇宙大戦争ではないんだけど(笑)、そうだねえ。
にえ 私たちご贔屓のダンチェッカーも、前2作で、わからずや のようでドカンと賢い発言で驚かすっていうパターンがうけたのを作者が意識したのか、それを連発しす ぎてて、ちょっと悲しかったな。
すみ あ、でも、アメリカの国連代表カレン・ヘラーとの会話はよ かったよね。
にえ うん、あそこは良かった。笑ってしまった。
すみ というわけで、三部作の完結編ということで、前2作で伏せ られてた秘密が明かされ、やはり三部作なんだから、これも読んではおきたいところ。でも、ちょっとこの 1冊だけは私たちの好みではなかったってところでしょうか。
にえ 私は普通のSFになっちゃったって気がして淋しかったけ ど、スリルたっぷり、手に汗握るかけひきに、立ち向かっていく人間たちの姿、この本に魅力を感じる人は 多いと思うよ。とりあえず、この三部作がオススメってことは変更なし!