=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「巨人たちの星」 ジェイムズ・P・ホーガン (イギリス)
<東京創元社 文庫本> 【Amazon】
ガニメアンたちを乗せた<シャピアロン>号がジャイアンツ・スターをめざして飛び立ったあと、 月の裏側の宇宙線観測所にジャイアンツ・スターからメッセージが届いた。やはりジャイアンツ・スターは ミネルバを脱出したガニメアンたちの移住先だったのだ。だが、それを航行中の<シャピアロン>号に伝え るすべはなかった。 | |
『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』と続いて、この『巨人たちの星』が三部作の完結編です。 | |
このシリーズは順番どおりに読まないとさっぱりわからないと 思うので、読むのなら『星を継ぐもの』からどうぞ。 | |
で、この本は20年以上前に書かれたSFなんですよ。だから 何だって? 時代背景が2080年なのに、アメリカとソビエトが冷戦やってるんだよ(笑) | |
未来を予想して書かなくてはいけないSFの辛いところだよね。 でも、そんなことは気にせず読みましょう。 | |
でもね、冷戦時代のアメリカの映画や小説の、アメリカは正義、 ソビエトは悪、みたいな短絡発想な設定にはウンザリさせられてたから、ちょっと初っぱなからへこみまし た。 | |
ジャイアンツ・スターとの交信で、これからどう付き合ってい くかを国連が模索するんだけど、その中で「ソビエトvsアメリカと世界の仲間達」みたいな構図が最初の うちはあるのよね。 | |
そう、なんか地球のほうで揉めちゃってるから、なかなかジャ イアンツ・スターの異星人たちと仲良くなるってところまでいかないの。 | |
これまでの『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』では、 地球側の人間関係とか、政治問題とかはわりと簡素にして、その分、地球人、異星人を含めた人類の謎を解 くってほうに重きを置いてたけど、この本はかなり政治とか、地球の人間同士の小競り合いとかが描写され てたよね。 | |
ちょっとテンション下がっちゃいました(笑) | |
でも、それからジャイアンツ・スターの人たちと実際に話して、 いろんな事がわかってくると、ちょっと盛り上がっていったでしょ。 | |
そうそう、じつは地球には以前から■■■■がいて、歴史 は■■■■によって、■■■■されてるのかも?!って話になってきて、ちょっと面白くなってきた。 (一部伏せ字になってます) | |
だってさあ、■■■■も、■■■■も、■■■■なのかもしれな いっていうんだからスゴイ。そのせいで、地球の科学の進歩は意図的に遅れさせられたんだよ。(一部伏せ字 になってます) | |
それはありうる!と思っちゃったよね(笑) | |
科学絶対主義に偏った発想とも言えるけど、でも納得だよね。 | |
で、やった〜、おもしろくなってきた〜と思ったら、宇宙大 戦争みたいなことになったでしょ、私はふたたびテンションが下がってしまった。 | |
まあ、宇宙大戦争というのは大袈裟な言い方で、異星人どうし の一触即発のかけひきって感じなんだけどね。 | |
国家間の小競り合い、人間どうしのかけひき、謎解きになって きたかと思ったら、宇宙大戦争勃発。なんだかな〜、私がこのシリーズに求めてるものとは違ってたな。 | |
まあ、宇宙大戦争ではないんだけど(笑)、そうだねえ。 | |
私たちご贔屓のダンチェッカーも、前2作で、わからずや のようでドカンと賢い発言で驚かすっていうパターンがうけたのを作者が意識したのか、それを連発しす ぎてて、ちょっと悲しかったな。 | |
あ、でも、アメリカの国連代表カレン・ヘラーとの会話はよ かったよね。 | |
うん、あそこは良かった。笑ってしまった。 | |
というわけで、三部作の完結編ということで、前2作で伏せ られてた秘密が明かされ、やはり三部作なんだから、これも読んではおきたいところ。でも、ちょっとこの 1冊だけは私たちの好みではなかったってところでしょうか。 | |
私は普通のSFになっちゃったって気がして淋しかったけ ど、スリルたっぷり、手に汗握るかけひきに、立ち向かっていく人間たちの姿、この本に魅力を感じる人は 多いと思うよ。とりあえず、この三部作がオススメってことは変更なし! | |