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「闇の公子」 タニス・リー (イギリス) <早川書房 文庫本> 【Amazon】
まだ地球が平らだった頃の話。地上には人間たちが住んでいた。地下には、闇の公子の一人であるアズュラーンが支配する妖魔の都ドルーヒム・ヴァナーシュタがあった。妖魔たちはアズュラーンを慕い、人々は、夜の闇にまぎれて時おり地上に来るアズゥラーンの残忍さをおそれていた。 | |
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これは私が先に読んだんだけど、読みはじめはビビりました(笑) |
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え、最初にいかにもファンタジーな表紙を見たときから、腰が引けてたじゃない(笑) |
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そう、それで最初がね、美しい妖魔の男と、人間の美少年が出てきて、文章がまた匂い立つような独特な言い回しで、うわっ、まさにファンタジー、ついていけるかな〜と怯えてしまった。 |
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でも意外や意外、内容は私たちの想像した、いかにもなファンタジーワールドとは違ってたよね。 |
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そうなの、最後にうしろの解説読んで納得したけど、作者は千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)を意識して書いたそうだけど、まさにそんな感じ。 |
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神話的というか、昔話的というか、寓話的というか、そういう系統よね。 |
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そうそう、地上は中世のヨーロッパを思わせる世界で、いろんな国に分れてて、城や町や村があって、王様とか町人とか乞食とか、そういう人たちが住んでて、戦争とかしたりしてね。 |
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で、地下に住む妖魔たちは、アラビアン・ナイトとか、ギリシア神話とかに出てきそうなたぐいのものなのよね。 |
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で、短い一話完結の話がたくさん入ってて、それが連なってるのよね。 |
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うん。たとえば、自分の力を過信して、傲り高ぶった王が、アズュラーンに破滅させられる、これで一話。すると次の話では、その王の娘が治癒の魔法を使える僧に育てられる話、というふうにつながってるの。 |
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あと、花の精の涙でネックレスを作る話があると、次はそのネックレスが地上にもたらされ、様々な災いを引き起こすって話。そんなふうにして全部つながってるの。 |
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このくらい話しておけば、多少の雰囲気は伝わったかしら。 |
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で、文章もいかにも神話かなにかのように、ちょっと古めかしい言い回しになってるのよね。 |
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古めかしいっていっても、読みづらいってほどじゃないけどね。 |
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でもね、不思議なのは、岩波文庫の神話ものなんかだと、急に読むペースが落ちてしまう私が、この本はいっきに読めた。 |
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なんかソソルものがあるよね、話の内容といい、登場人物といい。 |
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なんと言いましょうか、ボーイ・ミーツ・ガール的な少女漫画に飽きて、もう一段大人な雰囲気とストーリー性のある漫画を読みだしたときの、あの酔うような感じって言い方で、わかる人いるかな(笑) |
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中学生ぐらいの時のね。 |
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そう、あの独特の世界にのめりこんでいくような、エッチなことが描いているわけでもないのに、エロティシズムを感じるような。 |
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じゃあ、ソソル神話って感じで、おもしろかったということで。 |
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あら〜、簡単にしめるなあ(笑) |
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こういう本は読んで好きか嫌いか決めるしかないって。 |
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そういえば、この作家さんはイギリスではそうとう人気のあるファンタジー作家さんだそうで、著作も多数あります。 |
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他のはこういう擬古文じゃなくて、普通の文章だったりするらしいから、他のも読んでみたいね。 |
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シリーズもいろいろあるみたいだしね。一作で決めつけられるような作家じゃないって気がする。二作、三作読んで、はまっていって、初めて好きって言えるんじゃないかな〜。ただ、これ一作でいうと、けっこう好きかも。興味のある方は読んでみてください。 |
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