=「すみ」です。 =「にえ」です。 | |
「柔かい月」 イタロ・カルヴィーノ (イタリア)
<河出書房新社 文庫本> 【Amazon】
第1部 <柔かい月> <鳥の起源> <結晶> <血・海> 第2部 <ミトシス(間接核分裂)> <メイオシス(減数分裂)> <死> 第3部 <ティ・ゼロ> <追跡> <夜の運転手> <モンテ・クリスト伯爵> | |
これは小説といえるのかな? | |
ストーリーはあるような、ないような、とにかく不思議な本だったよね。 | |
それぞれ独立した話の短編集だけど、クフウフク氏が主人公 になってる話がいくつかあったりして、つながっているような、つながっていないような。そんでもって、 第1部はまだ小説っぽかったけど、第2部、第3部と進んでいくと、小説なのか、なんなのか(笑) | |
第1部だって普通の小説とは言いがたいんだけどね(笑) | |
まずね、話は月のことから。月は地球と同じ惑星なんだけど、 地球が近いから引力に吸い寄せられて、地球の衛星になっちゃうの。その時、クフウフクはシビルとそれに ついて話してるんだけど……。 | |
お〜い、ちょっと待て〜!ってツッコミ入れたくなっちゃう ね。でも、小説のなかではそういう定理、当たり前のこととなってるのよね。 | |
で、月の引力に吸い上げられて、海の水がキュキュッと絞り あがっていくのを見ながら、月がぶつかってきたらどうしよう、いやいや、地球はかたいけど、月は柔ら かいから大丈夫よ、なんて会話をしています。 | |
うわわ〜、なんだこりゃ、おもしろーい、と思いつつ読みお わると、次は、クフウフクが鳥の女王と出会う話。 | |
この鳥の女王ってのがまた、クフウフクにのしかかるほど大 きいけど、クフウフクが隠せちゃうほど小さくて、と、これまた摩訶不思議な話。 | |
第1部はおもしろかったな。で、このままホラ話的なのが 続いていくのかと思ったけど。 | |
第2部からは、ストーリー性もなくなってきて、ついていくの が精一杯って感じになっていくのよね。 | |
とりあえず、まだクフウフク氏が主人公、今度は愛する女性プリシッラとのお話。 | |
といっても、二人が会話をしたり、デーとしたりするわけで はなくて、なんというか、解説のようなものが延々と。 | |
彼女のどこに惹かれるのか、そもそも彼女は細胞のかたまり で、そういう僕もまた、46の染色体からできていて、そのうち23は父親から、残りの23は母親から 受け継いだもので……って感じの話。 | |
恋愛を細胞から説明するって、おもしろいと言えばおもしろい んだけどね。でも、できればもうちょっとストーリー性があったほうが、単純に小説を楽しみたいだけの 私にはありがたかったような〜(笑) | |
で、第3部になると、今度はなんだか襲われたり、追いかけら れたりするんだけど、これがまた解説的というか、なんというか。 | |
ライオンに襲われると、ライオンをLと置き換えて、矢はFと 置き換え、着地点をXとし……なんて話がはじまるのよね。 | |
それから喧嘩した恋人と擦れ違うという話が。もし相手がすで に出発しているとしたら、自分が相手の家に向かってしまうと、会えないことになる、というようなことがクドクドと。 | |
そんでもって、最後はモンテ・クリスト伯爵がイフ城の牢獄で、 脱獄を企てるファリア師のことを考える。 | |
なんだそりゃ〜!って言われそうだけど、そういう本なんだか ら、しょうがないのよね(笑) | |
だから結局、好き嫌いの分かれる本なんじゃないかな。 | |
おもしろいことは、おもしろいよ。とってもおもしろいと思う。 でも、ストーリーのある小説を期待されたら困るな。 | |
あと、完全に理解し、把握していかないと気がすまないタイプ だと、200ページ程度の本だけど、なかなか読み終わらないかも。 | |
じゃあ、オススメはしないけど、読みたい方は止めませんってことで(笑) | |