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「神の名のもとに」 メアリー・W・ウォーカー (アメリカ)
<講談社 文庫本> 【Amazon】
スクールバスが襲撃された。襲ったのは狂信的な教祖サミュエル・モーディカイ率いる 邪教集団「ジェズリールの家」。運転手ウォルターと十二人の子供たちは、ジェズリールの家の広い敷地の 中に連れて行かれ、バスの中に監禁されてしまった。一方、モーディカイにインタビューしたことのある ただ一人の記者モリー・ケイツは、モーディカイの過去を調べ、奔走することに。 | |
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これはねえ、あら筋や紹介文だけ見てるだけだったら、ぜったい読まなかったと思う。 |
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そうね〜。新興の邪教集団が誘拐、それに立ち向かうタフな 女性記者、う〜んってかんじよね。 |
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それが読んだらメチャおもしろかった。 |
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一気に読んだよね、二人とも。むかつく奴は一人も 出てこないし、謎がとけそうなのにもたついてイライラさせられるなんてこともなく、もう、おもしろい、 おもしろいで引っかかるところなくラストまで読めた。 |
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モーディカイの変な宗教についてはあまり細かく記載されて なくて、これもマルだよね。クドクド説明されてたらうんざりだし、流れも悪くなっちゃう。 |
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教団がいるのは砦を作った広い敷地で、そこで共同生活してる んだけど、この辺は日本人も色々あって詳しくなっちゃってるから、この程度の説明でじゅうぶん理解でき るよね。説明不要。 |
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でさ、ハードな内容のようで、読み感は柔らかなのよね。 |
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だって、ウォルターとモリーがいい雰囲気を保ってくれたもん。 |
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そうそう、モリーは良いね、シリーズになってるらしいん だけど、私たちは初モリー(笑)。中年で、離婚歴3回、別れて暮らす娘あり、で、記者の仕事に熱心。 |
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でもさ、記者なのに卑怯なこととか、嘘ついたりとかも嫌い で、相手にたいしても思いやりがあるし、好感持てたよね。 |
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人に痛みがわかる人ってかんじよね。タフじゃないし。 自分の弱さともちゃんと折り合いをつけてる。 |
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で、もう一人の主人公ウォルター、この人がいいのよ〜。 |
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ベトナム戦争で受けた心の傷を持ちながら、地下に埋められた バスのなかで、不慣れな子供たちを励まそう、理解しようとする姿が感動もの。 |
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ウォルターが子供たちに話してあげるオリジナルの童話が、細切れに 出てくるんだけど、これまたあとからなんでそういう話になったかわかるようになってて、ほんと、味わい深い。 |
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うん、この作家さんさあ、ストーリー展開も上手だけど、 伏線のはりかたもさりげなくてうまいよね。 |
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そうそう、うぉ〜、そうだったのか〜!!って感じじゃ なくて、あとでわかってジンとくるってやり方だね。 |
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人もそうよね。モーディカイも含めてみんな可哀想になるって いうか、哀しくなるところをちゃんと見せてくれるから、登場人物の言うことやること、みんなジンとくる。 |
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読み終わったあと、ちょっぴり泣いてしまった。本を読んで 泣くのは久しぶり、最後まで本当にきめ細やかに作られてて、けなすところなし。 |
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アメリカ小説ならではの派手なドンパチアクションシーンあり、FBIのタフな捜査官の 見せ場もあり、スリリングな展開に緊迫感あり、読み物としての深みあり。これは大当たりだったね。 |
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まだ読んでない人はぜひどうぞ。超オススメです! |
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夢中になって読めるよね。私たちもこの作家さんの本はまた読みましょう。 |
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個人的には、久しぶりに正統派っていうか、きちっとした現代 ものを読めて、なんか新鮮でした。 |
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そういえば今月は、癖の強い本が多かったね(笑) |
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