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第三の男 “ザ・サード・マン”は、天才―― 広い体育館を走る彼の姿。 見とれてるわけじゃないけど。 目が離せなくなる。 秋也は、制服のまま体育館のゴールにシュートを決めた信史を見た。 放課後の体育館。 何でこんな所にいるかと言うと、帰りに、ちょっと通りかかって。 そうしたら、バスケットボールが転がっていて。 しまおうと思ったら、信史が。 「少しだけ、良いか?」 そう言って、走り出した。 学ランを、秋也に投げて。 前にもこんな事があったな、と思いながら、秋也はそれを見ていた。 (前は、三村が部活後だったっけ?) どっちにしろ、自分はこれを見ている立場にあるらしい。 どうせなら一緒にやろうと言ってくれれば良いのに。 そんな事をしたら、二人してムキになって。 いつまでたっても帰れなくなるかもしれないけど。 信史が、ジャンプシュートを決めて。 ボールが転がった。 「――ホント、厭味な奴だよな」 それを拾い上げたのは新井田和志で。 そう言いながら、信史と秋也を見た。 「部活がない時にまでバスケか?」 「サッカーバカに言われたくないね」 信史は手を伸ばして、和志からボールを奪い取る。 和志はむっとして、信史を睨んだ。 その視線に気付いて、信史はニヤリと笑う。 「勝負するか?」 手の中でボールを転がしながら、挑発するように和志を見て。 「何賭ける?」 和志は自分にメリットのあることしかしない。 “ザ・サード・マン”にバスケで勝負を挑み、勝ったなら、それだけで自慢できる事は確かだったけれど。 信史は、ダムっとボールをついた。 「――七原」 『は?』 秋也と和志の声がハモる。 信史は何を言ったのだろうと、自分達の耳を疑って。 「七原を賭けて、勝負しようぜ」 そのまま、信史は走り出した。 「三村っ!?何言ってんだ、お前っ!?」 秋也が文句を言おうとすると、顔に何かがかぶさった。 「うわっ!?」 見ると、それは学ランで。 「ノった!」 そう叫んだ和志が、信史を追って行くのが見えた。 「新井田ぁーっ!?」 秋也は何がなんだか分からず、二人の学ランを掴む。 目の前で、繰り広げられる攻防。 ドリブルをしながら回転し、和志の手から逃げていく信史。 すかさず前に回り込み、ボールをはたく和志。 なにやら真剣な、二人の表情。 「何真剣になってんのかな、新井田クン?」 一度フェイクを入れて、和志の横をすり抜けながら、信史が言った。 「それはお前だろっ!」 シュート体勢に入った信史の手から、ボールを奪い取り、和志は走る。 「当たり前でしょ。七原が賭かってるんだし?」 信史はそれを追いかけて、和志の前に立ち塞がった。 和志の目が、一瞬右を見て。 ダムっ 左に抜けていく。 そのまま、シュート体勢に入って。 (フェイク?やるじゃん?――けどな) 「甘いっ」 信史はジャンプした和志の後ろから、ボールを叩き落とした。 そのまま速攻で走る。 (追いつかせはしないぜ) 一度着地する和志は、信史には追いつけないはずだった。 だから。 前方に立ち塞がるこの影は―― 信史は足を止め、その場でドリブルを続けながら言った。 「景品の乱入は無しなんだけどな?」 「誰が景品だっ!いい加減にしろよ、三村っ!」 秋也は腰を落とし、信史の前に立っていた。 「ハイハイ。おとなしくしてなさいって」 一度強く、ボールをついて。 (来るっ!) 秋也がそう思って、更に腰を落とした瞬間。 信史の手から離れたボールは、綺麗な弧を描いた―― 「っし!」 信史は軽く拳を握り、パサッという音ともに落ちていくボールを見ていた。 「きったねぇ!!」 思わず、秋也は叫ぶ。 「スリーポイントなんて、ありかよっ!?」 「ありに決まってんでしょ。バスケのルール知ってます?七原クン?」 ニヤニヤと信史は笑い、秋也の肩に手を置いた。 「そういうわけで、新井田?これ、俺のだから」 後ろの方にいる和志に向かってそう言うと、信史は秋也の唇にキスをする。 しっかりと、和志に見せ付ける形で。 “ザ・サード・マン”は、天才―― きっと、これからも敵わない。 まぁ、いつか抜いてみせるけどな。 END. 2222HITの吐血王子さまからのリク。 『賭けバスケ37』 何を賭けてもいいという事でしたので、七原自身を賭けてみました。 そして、三村の相手が新井田なのは、個人的趣味です(笑) なんか、必死にバスケ描写入れようとしているみたいですが… 失敗に終わってますね…(汗) あさこは、体育の授業以外でのバスケ経験ありません(苦笑) なので、経験者の方…突っ込まないで下さい… えと、こんなんで宜しければ、吐血王子さまに捧げます。 ありがとうございました〜! |