勉強会

 

勉強会

 

 

 来週は、テスト期間。

 今週一週間は、部活も休みで、いわゆるテスト勉強というやつを、各自でしなければならない。

 各自で勉強したところで、苦手な教科は苦手だし、かと言って、先生に聞く気にもなれない。

 普段、授業を聞いていないのは、その先生の教え方にも問題があるからで。

 だから、テスト前には、頼るしかないのだ。

 お互いを。

 

「三村、ここは?」

 秋也は、苦手な数学の問題集を広げ、目の前に座る信史に尋ねた。

 最初は数学から、と、二人で問題集を広げたは良いものの。

 進んでいるのは、信史のペンのみだった。

「だから、ここはこの公式を使って、あてはめりゃ一発だろ?」

 信史はそう言って、再び自分の問題に目を落とす。

 わざわざ秋也を家に誘って、快適な空間でお勉強。

 別に勉強なんてどうでも良かったが、やり始めるとハマってしまうのは、信史の悪い(?)癖だった。

「だから、何でこの公式を使うのかが分かんないんだってば」

 秋也はちょっと苛々しながら、もう一度信史に言う。

「これは、この例題と形式が一緒だろ?だから」

 数学が出来る人間にとっては、出来ない人間の気持ちは分からない。

 何が分からないのか、どこで引っかかっているのかが、理解できないのだ。

「あー、もう、ヤダ」

 秋也はそう言って、後ろに倒れ込んだ。

 頭がパンクしそうで。

 いや、実際、もうしていたのかもしれない。

「三村、何でこんなの出来るんだよ?」

「いや、何で出来ないのかが不思議なんですけど?」

 その言い方に、秋也は頬を膨らませた。

「こんな事なら、慶時連れて来れば良かったなー」

 慶時とは、数学の学力が変わらない。

 信史に一人、馬鹿にされる事もなかったかと思うと、何で連れて来なかったのかが悔やまれた。

 すると、問題集からは目を逸らさぬままに、信史は一言。

「七原、本気で言ってる?」

「……嘘です。ごめんなさい」

 何だかんだ言いつつ、二人きりでいたいという気持ちはお互い一緒で。

 秋也の答えに満足したのか、信史はペンを止め、寝転がっている彼の元に近付いた。

「休憩するか?」

 その言葉に少し嬉しそうな顔をした秋也を、信史は笑う。

「やっぱ、もう限界なのか。そうだと思ったけど」

 そういう言われ方は、好きじゃなかった。

 なんだか、見下されているようで。

「じゃあ、今度は国語。休憩になるから」

 秋也はそう言って、身を起こした。

 今度は、自分が教える番。

 

「七原、ここは?」

 さっきとは逆に、信史が国語の問題集を秋也に向かって広げて見せる。

 この文章を読んで、作者の言いたい事を汲み取れだとか、そういう問題は苦手だった。

「これだよ、これ」

 秋也は選択肢の中から、あっさり正しい答えを探し出し、示して見せた。

「だから、何でこれなんだよ?」

 納得できないような顔をして、信史が尋ねる。

 そんな事を言われても、答えはそれなのだから仕方がない。

「何でこれじゃないんだよ?」

 国語の出来る人間は、出来ない人間の気持ちが分からない。

 何で分からないのかが分からないのだ。

「あー、イラつく」

 信史はガシガシと頭を掻いて、ペンを投げた。

「何で七原、こんなの出来るんだよ?」

「いや、何で出来ないんだよ?」

 さっきとは全く逆。

 同じ言葉を言ってやろうだなんて思っていなかったが、似たような言葉がつい出てしまう。

「作者の気持ちとかって、問題作った奴には分かるわけ?その辺、納得出来ないんだよな」

 信史はそう言って、ベッドの上に倒れ込んだ。

 数学では使わなくてもいい脳を、使った気がする。

「まぁなー……それにしても、俺達ってホント、相性悪いとしか言いようがないな」

 秋也は、信史の寝転がっているベッドに頭だけを乗せ、そうつぶやいた。

 得意なものも、性格も、ものの考え方すら、正反対なんじゃないかと思う。

「三村はいつもクールだし」

「七原はいつも熱血だし?」

 同時に言って、二人は思わず吹き出した。

 

 信史が秋也を手招きして、秋也はベッドの上にあがる。

 二人並んで、壁にもたれかかって。

「でもさ、相性良いコトだってあるだろ?」

 信史はそう言って、秋也を見た。

「何?」

 間髪いれずに、信史は答える。

「身体の相性」

「……」

 馬鹿な事を言う信史を、秋也は無言で睨みつけた。

 すぐに抱き寄せられ、頬に軽く口付けされる。

「テスト勉強は?」

 信史の腕の中で、秋也が小さくつぶやくと、平然とした顔で、信史は答えた。

「保健体育の勉強」

「保健に、実技はねぇよ」

「あれ?そうだっけ?」

 言いながらも、信史は秋也を押し倒す。

「あのな……」

 抵抗しない自分も自分だな、と思いながら、秋也は辛くならないように身体の位置をずらした。

 それでも一応、もう一度だけ訊いておく。

「三村、テスト勉強どうするんだよ」

「まだ一週間あるし、余裕だろ」

 そう、多分。

 この一週間は、連続で信史に抱かれるのだと思うと、秋也は少し気が重くなった。

「結構、辛いんだけどな……」

 ぶつくさ言っている秋也の耳元に、信史は口を寄せ、甘い声でささやく。

 秋也は何も言えなくなって、大人しく身体の力を抜いた。

 

 

「嬉しいくせに」

 

 

 

END.

 

 


1000HITのウツノミヤコさまのリク。
『37で勉強会』お互いに教え合って…という事でしたので、こんな感じに。
ちゃんと保健体育も入れましたよ(笑)
あんまり37っぽくない気がするのは何故でしょう?
しかも、題名、またそのまんまだし…
もっとあまあまの方が良かったかしら…(悩)
なんだったら書き直しますよ〜!
と、いうわけで、この駄文はミヤコさまへv
ありがとうございました〜vv