七原くんへ愛を込めて



白い大きな袋を引きずりながら、教室から出ようとしている秋也が見える。

三村「あれ?七原、どうしたんだよ、それ」
七原「あ、三村!今帰り?ちょうど良かった。ちょっと手伝ってくれよ〜」
三村「何、そのでかい荷物。いつからお前、サンタクロースになったわけ?」
七原「そうじゃなくってさ〜…これ、貰ったんだよ」
三村「はぁ?誰に?」
七原「えっと〜、慶時だろ、杉村だろ、瀬戸と新井田に、沼井、桐山、川田」
三村「か、川田もっ!?」
七原「それから…」
三村「まだいんのかよっ?」
七原「飯島に赤松に笹川、元渕、女子にも、結構……」

指折り数える秋也。
それと同じ数だけ、信史に敵が増えていく。

七原「何でだろうな〜?今日、何かあったっけ?」
三村「いいや?ただ単に明日から冬休みが始まるってだけだぜ?」

ついでに、クリスマスイブも明日だなんて事は、絶対に言わない。

三村「それより七原、そいつらに何かされなかったか?」
七原「えっ……!?あぁ〜……」
三村「お、おいっ!何かされたのかっ!!?」
七原「されたっていうか……えっと……」
三村「七原!何されたんだっ!?」

信史が肩を揺するので、秋也は今日あった事を一つずつ思い出していった。


七原「朝、学校に来る途中で、慶時がさ……」


国信「秋也、ハイ、これ」
七原「何?綺麗にリボンまでかけて……」
国信「きっと秋也はたくさん貰うだろうから、ちょっと早いけど、一番に渡したかったんだ」
七原「くれんの?サンキュ〜♪――あ、でも、俺何も無いけど……」
国信「あ、じゃあさ、手つないで学校に行かない?久しぶりに」
七原「え?そんなんで良いの?」
国信「良い、良い。全然良い!」


七原「って事はあったけど」
三村「へ、へぇ……」
七原「えっと、他には〜……」


七原「学校についたら、杉村がいてさ〜」


杉村「おはよう。今日は早いな」
七原「おぉ、杉村っ!おはよ〜!いや、慶時に急かされて……」
杉村「そうか。でなければこんなに早くくるはずないな」
七原「それって、何気にひどくないか?」
杉村「でも、そうだろう?」
七原「そうだけど……」
杉村「まぁ、そう睨むな。これでもやるから」
七原「えっ?何?何くれんのっ?」
杉村「現金な奴だな」
七原「放っとけよ!」
杉村「まぁ、そこが可愛いんだけどな」


七原「男に向かって可愛いはないよな〜!杉村の奴、すぐ俺の事馬鹿にしてさっ!」
三村「そ、そうだな……」
七原「それから、えっと……」


七原「三村が来るちょっと前に、瀬戸が来てさ……」


瀬戸「シューヤ、オハヨ〜!!今日は早いんだね!」
七原「お前までそういう事言うかぁ?」
瀬戸「良かった〜、シンジが来る前に来てくれて」
七原「え?」
瀬戸「いや、こっちの話、こっちの話。ハイ、これシューヤにあげる」
七原「なんだよ、今日は皆どうしたんだ?」
瀬戸「良いじゃん。あ、シューヤ、ほっぺに御飯粒ついてるよ」
七原「うわっ。マジで?何で慶時教えてくれなかったんだよ〜」
瀬戸「ほら、そこじゃなくて、ここだよ」


三村「く、口でとってもらったのかっ?」
七原「う〜ん、ちょっと恥ずかしかったけどな〜。瀬戸、腹でも減ってたのかな?」
三村「ゆ、豊の奴……!!!」


七原「それから、終業式に行くとき、俺、遅れちゃってさ、そしたら新井田が」


新井田「トロトロしてんなよ。それともサボる気か?」
七原「馬鹿言うなよ、沼井じゃあるまいし」
新井田「もう教室、俺らしか残ってないぜ?」
七原「あっ!なんだよ、新井田だって置いてきぼり食らってんじゃんか」
新井田「ば〜か。俺は良いんだよ」
七原「何がだよ……」
新井田「ほら、これやるから、黙っとけって」
七原「口止め料かぁ〜っ!?」
新井田「じゃぁな」
七原「アッ、ちょっと待てよ、新井田っ!!」


三村「まぁ、奴には所詮その程度だな」
七原「なんだよ、それ?」
三村「いや、こっちの話」


七原「それから、新井田を追っかけてたらさ、沼井に会って」


沼井「何、お前。こんなとこで何してんの」
七原「沼井こそ、終業式はっ?」
沼井「馬鹿か?俺がそんなの出るわけねぇだろうが」
七原「桐山は出てるんじゃないのか?」
沼井「ボスはな……。良いんだよ、俺は」
七原「新井田と同じ事言ってるし……」
沼井「これでもやるから、さっさと消えな」
七原「俺はガキかよ……」
沼井「さっさと消えねぇと、その口塞ぐぞ?」


七原「で、まぁ、式も始まるし、体育館に行って」
三村「何もされなかったんだなっ!?」
七原「されてないってば。いくらなんでも、そんな事で殴られたりしないだろ」
三村「いや、そぉじゃなくて……」


七原「それで、体育館の入り口で、桐山にぶつかって」


桐山「……」
七原「あっ!ごめん。式、始まってるよな?」
桐山「……あぁ」
七原「桐山、入らないのか?」
桐山「……充を探している」
七原「沼井なら、屋上の方に行ったと思うけど」
桐山「そうか」
七原「そうそう…………うあっ!?」
桐山「何だ?」
七原「き、桐山、今俺の頬にキ……」
桐山「礼だ。物の方が良ければこれでもやるが」
七原「あ、ありがとう……」


七原「お礼にキスするなんて、変な育ち方してるよなぁ……誰の教育だろ?」
三村「……全くだな……!」
七原「それから……」
三村「ま、まだあるのか……」





秋也が一日あった出来事を話し終わるまでに、数時間はかかったという。
信史は、彼らへの制裁を心に誓った。


三村「あ。その前に、消毒しなきゃな♪」


七原「うわーーっ!ちょ、ちょっと待てっ、三村ぁッ!!!」
三村「なんだよ、奴らにはさせたんだろ?」
七原「何の話だ、コラっ……!ちょ、まっ……んっ!」




三村「ご馳走様でしたvv」
七原「死ねっ!!」


END.