創作童話劇場

【シンデレラ】

キャスト

シンデレラ…七原秋也
義理姉(長女)…内海幸枝
義理姉(次女)…中川典子
継母…国信慶時

王子…三村信史
家来@…杉村弘樹
家来A…瀬戸 豊


以上






「何をやっているの!?七原く…じゃなくて、シンデレラ!!」
 大きな屋敷の広間に響くのは、義理の姉の声。
 呼ばれた美少ね…間違えました、美少女は、拭いている床から目を上げ、やってきた姉達を見上げる。
「何…って、床を拭いているんだけど…?」
 自分を見下ろす姉達。何か自分が悪いことでもしたのかと、びくびくするシンデレラ(七原)。
「ダメじゃないの!こんなことをしたら折角の白い七原君の手が荒れてしまうわっ!」
 上の姉が、シンデレラの傍へと傅き、彼女の白い手を取る。
「そうよ!これは私たちがやるから!秋也君はあっちで休んでて!!」
「え…でも、これは俺の仕事だし…?(つーか、今俺は”シンデレラ”なんだけどな…)」
「いいから!!私たちに任せなさい!」
 ずいっと迫ってくる姉二人。シンデレラは困ったように、その後ろの壁からこっそり様子を伺っている継母に視線を送る。
 目が合った継母(ノブ)。
 すると、継母はすぐに目を逸らし、何も見てなかったかのように口笛を吹きながら奥へと行ってしまった。要は、姉のコンビに関わりたくないのである。
「(ノブの奴、裏切りやがった!!!)で…でも…」
 こんな寒いときに女の子二人に冷たい水での床拭きをさせるわけにはいかない。そんなことをさせては灰被り姫(ワイルドセブン)の名に傷が付く!が
「「貸しなさい!!」」
 二人の姉に強引に雑巾を奪われてしまった。
 こうなっては、もはや自分の力ではどうしようも出来ない。
 台詞が間違っているとか、それはストーリーと違うとか突っ込みを入れたいのは山々だったが、ここで事をこじらせては今後の展開に支障を来たしてしまう。シンデレラは仕方なく、自室へと戻っていった。
「絶対にこの設定間違っているよな…どうしてシンデレラが千草や相馬じゃなくて俺なんだ!?」
 部屋に戻った途端、悪態をつきはじめるシンデレラ。
 と、その時呼び鈴が鳴った。
 部屋の外から『は〜い』という継母の声と足音と、べたんっ!という、妙な音が聞こえた。
「ノブの奴、ドレスの裾を踏んでこけたな」
 少々豪華すぎるドレスは、着慣れていない者にとっては非常に不具合がある。
 あきれたように言うシンデレラも、今までに何度か継母と同じ事をしていたのだから。
「…客って誰だろう?」
 まぁ、客が来たのならお茶くらい出さないといけないだろう…シンデレラは自室を出て様子を伺いに行った。


「…というわけで、毎日女をとっかえひっかえしている王子の将来を考えて、結婚相手を決めるべく城でパーティーを開くので、この家の娘達も連れてくるように」
「はぁ…」
 玄関では、どうやら城の人間が継母にパーティーか何かの案内をしているようだった。
「ほら!お前も頭を下げてお願いをしろ!」
 ちょっと大きな従者が、彼らよりも身なりのよい男の頭をしばきながら言う。
「いてっ!あにすんだよ、杉村!?」
「お前のためにわざわざご足労してもらうんだ!それくらい当たり前のことだろう」
「そうだよシンジ…じゃなくて、王子!」
 確かにしばかれた彼は”王子”と呼ばれていた。逸れ相応の格好をしているものの、あまり扱いはよくないようだ。
「え〜、別に俺結婚なんかしたくないしぃ〜?つーか、七原どこだよ?俺、か〜なり楽しみにしてたんだけどな。七原のドレスす・が・たv」
 両手を染まった頬に当て、”いやんv”という王子を見、継母は絶対にこのパーティーにはシンデレラを連れて行くまいと心に誓った。
 と、そのときだった。様子を伺いに来たシンデレラの姿が継母の肩越しに見えたのは。すっかり、夜のパーティーに着飾ってくるであろうシンデレラの姿を想像して陶酔していた王子が覚醒する。
「な…七原――――――っっ!!!」
 粗末なドレスながらにも、基がよいのだろう。美しいその姿に王子は心を奪われてしまった。
 己の身分など忘れて、シンデレラの下へと走り寄ろうとするが。そんな王子をとらえる二つの影。
「げふぅっ!!!」
 影の一つは王子にクロスアッパーを仕掛け、もう一つはクロスアッパーで王子の体が宙に浮いたところを見事な上段回し蹴りで仕留めた。
 あまりにも突然のことで、継母とシンデレラは空いた口が閉まらない。
「全く!油断も隙もないんだから!!」
「あんたに触られたら、シンデレラが穢れるわっ!!」
 二つの影の正体は、シンデレラの義理の姉'sであった。
「ぐふっ…おめぇら、いい拳を持ってるじゃねーか。次は負けない…ZE」
 こうして王子は息絶えた。
「・・・・・こんなわけですので、どうぞご協力をお願いします」
 倒れる王子を看取った家来その@は、深々と継母達に頭を下げて、くたばった王子の体を引きずりながら城へと戻っていった。
「二度と来ないでね〜っ」
 長女は、片手に塩の入った壺を持ち、中身を王子たちが帰っていった方向へと蒔いていた。
「いい?シンデレラ??今夜のパーティーは屋敷でお留守番をするのよ!?」
「え…?でも…」
 さっき、家来さんが頭を下げてたし、行かないのも悪いんじゃないか…と反論しようとしたが
「あんなだだっ広い王子の住処に行ったら、いくら私たちでもあなたを守りきれないわ!!今夜、私と委員長でカタを付けてくるから安心して先に休んでなさい。いいわね!?」
 ずいっと次女に迫られて。
「わ…分かりました」
 シンデレラは首を縦に振った。
「そうと決まったら!早速ドレス(と武器)の準備をしないと!!」
 姉二人は、どこか楽しそうに屋敷の奥へと去ってしまった。
 後に残された継母とシンデレラ。
「なぁ、ノブ」
「なんだよ、秋也」
「女って怖いな」
「・・・うん(中川さんってあんな子だったんだ/涙)」







 日も落ち、パーティーの時刻が迫ってきた。
「いい?シンデレラ。知らない人が来てもドアを絶対に開けちゃダメよ!?」
「食事は私の愛の篭ったビーフシチューを用意してあるからね」
「…行ってきます(涙)」
 気合満タンの姉二人に比べ、何故か胃が痛そうな継母。
「うん、分かった。行ってらっしゃい」
 馬車に乗り込む三人を見送るシンデレラ。その表情には微かながらにも羨望の色が見えた。


「いいなぁ…三人とも。俺もご馳走…っと、アブネェ。王子にお会いしたかった…」
 口の端に涎が垂れてますよ、シンデレラ。
 シンデレラがパーティーで振舞われる選り取り緑のご馳走を想像しながら、屋敷へと入ろうとしたとき。
「ちょっと待ってvそこの可愛いお嬢さん♪」
 野太い声がして、恐る恐る振り返るシンデレラ。
「・・・・・・・・っっ!!!」
 何かとてつもなく怖いものを見たらしいシンデレラは、急いで屋敷のドアを閉めようとする。が、ドアの間に足を挟まれて扉が閉まらない。
「やだ☆秋也君ったらv私があんまりにも美しいからって照れちゃってvv」
 シンデレラの目の前には、可愛らしいちょこんとしたおばあさんの魔女ではなく、なかなか男らしい顔と図体をした、まっちょなオカマだった。
「照れてない!照れてないっ!!!」
「そんなに照れなくてもいいわよv」
 魔女はその怪力で、扉を無理やり開けた。
「怯えなくても大丈夫vあなたを城のパーティーに連れて行ってあげるんだからv」
「いや、結構です」
「んも〜v遠慮しちゃって可愛いんだからvv」
 魔女は、杖の先をシンデレラの鼻先へとくっつけてウインクする。と、突然シンデレラは胃の中身が逆流しそうになった。そこをなんとか根性で耐える。
「でも…」
「何を強情張ってるの?お城に行ったら美味しいご馳走がずら〜り並んでるのよ…?」
 魔女の耳打ちに、シンデレラの喉がごくりと鳴る。余程、ご馳走が食べたいのだろう…というか、長女の作った料理は、何かが盛られてそうで食べたくないだけかもしれないが。
「でも、俺こんなボロっちい格好をしてるし」
 確かに、シンデレラの姿はその名の通り、灰被りであった。
「安心してvテクマク○ヤコン、テ○マクマヤコン!可愛いお姫様になぁれvv」
 魔女はなにやらコンパクトを取り出すと、それを開けて呪文を唱え始める。
「(あれ?ここの呪文って”ビビデ・バビデ・ブー”じゃなかったっけ??)」
 呪文が何故か違う番組のもののような気もしたが、シンデレラは突っ込まずにその様子を黙って見ていた。すると、コンパクトの中から眩い光りが溢れ…
 変身した。
 確かに、変身した。
 魔女が豪華なドレス姿に。
「・・・・・・ヅキ、約束が違うじゃん」
 ちなみに、シンデレラはもとのまんま。何の変化もなし。
 目の前には、女性サイズのドレスに身を纏ったオカマ。後ろのファスナーは、背中の半分よりも下で詰まって上がらないらしい。
 更にきわどい姿になった魔女を、シンデレラは出来る限り視界に入れないようにした。
「きゃ☆こんな姿でお城に行ったら三村君にプロポーズされちゃうわvvv」
 頬を染めてそんなことを言う魔女。
 安心しろ。そんなことをするくらいなら、王子は喜んで首を吊る。そう、シンデレラは心の中で呟き、大きくため息を付いた。
 もはや、王子との幸せな新婚生活の計画を脳内で描き始めた魔女には、何を言っても通じないであろう。
「待ってて!三村君!!今、私が行くわ〜〜vvvv」
 オカマは走った。全速力で。その後を馬車(笹川や黒長)・御者(沼井)が必死で追いかけていった。
 その様子をぽかんと見ていたシンデレラ。
 彼らの姿が見えなくなると、星の輝く夜空を見上げた。
「…三村、死ぬなよ――」





 一方、パーティー会場はというと。
「七原はまだかよ――」
 いい加減、女の子の相手も飽きてきた王子。
 本命のスイートハニーの登場を今か今かと待っている。
「まぁ、待て。そろそろ時間だ」
「やっぱ、12時になっても返せねぇよな…だって、あそこで返したら、次の日なんか中川たちのガードが堅くて近寄れねぇよ。ここは、酔わせて部屋に連れて行って、それから…」


『…ん…熱い…』
 アルコールが入った所為か、熱っぽいシンデレラ。王子に促されるままに天蓋つきの豪華なベッドに横になる。
『そんな格好をしてたら熱いさ。ほら?脱ぐのを手伝ってやるぜ、ベイビ』
 王子はシンデレラの体を美しく飾るドレスに手を掛ける。背中のファスナーをゆっくりと下ろしていけば、段々とシンデレラの白い肌が露にされていく。
『や…恥ずか…し、い――あぁっ!』
 恥ずかしさに身を捩るシンデレラ。王子はそんなシンデレラの鎖骨へとキスを落とす。上がる甘い声。
『俺に任せて…体の力を抜いて?』
 王子はシンデレラの耳元で甘く囁き、赤く熟した唇へと深いキスを落とした。


「な〜んちゃって!!!七原ってば大胆なんだ・か・らっっ!!!」
 既に王子の頭の中は成人指定になっている。
 叔父さん、俺はやるぜ!
 王子は誰にともなく親指を立て、白い歯を光らせ笑って見せた。
 そんな王子の姿を見て、従者そのAは生徒手帳に何かを綴っていた。
【○月×日
 今日のシンジはやっぱりおかしい。
 まぁ、シンデレラをシューヤがやるって決まったときに、王子役を自分がすると主張をしていたときから…いや、それ以前からおかしかったけど。
 最近、付き合っているにも関わらず、シューヤがシンジに冷たく接しているのが分かったような気がする。
 シンジと親友でいるのもそろそろ潮時かもしれない】


 内容はかなり冷たいものであった。
 それはおいておいて。


 華やかな音楽が鳴る広間に、急にざわめきが起こる。
 18禁妄想に浸っていた王子の意識も戻る。
 もしかして、これは…っっ!!!
 広間にいるもの全員の視線が、開かれたドアへと集中する。
 王子は唾を飲み込んだ。
 シンデレラだ。
 誰もがそう思った。しかし――


「三村く〜んvvあなたの彰が来たわよ〜っっ!!」
 パーティー会場のドアを警備しているもの達をなぎ倒して登場したのは、ある意味、18禁の格好をした魔女だった。その、あまりの恐ろしい姿に、親の連れでパーティーに来ていた小さい子供達(協力・慈恵館)が泣き始める。
 そして、その姿をとらえた瞬間、王子の顔は蒼くなる。
「す…杉村っ!後は任せた!!!」
「頑張れよ」
 友人の声援を背に受けながら、王子は逃げた。
「きゃv三村君ってばっ、恥ずかしがり屋さんなんだから☆待って〜〜っ!逃がさないわよ――――っっvvv」
 こうして、城では一晩中かけて究極の鬼ごっこが始まった。
「あ〜あ、私たちの出る幕はなかったわね」
「そうね、典子。でも、これで三村も少しはおとなしくなるんじゃない?」
 その片隅では、冷たい笑みを浮かべたシンデレラの義理姉達がいた。継母は先ほどの殺人的な魔女の姿を見るなり、気を失ってしまっていたとか。



 ドンドンッッ!
 裏戸を激しく叩かれる音で、シンデレラは目覚めた。時計を見れば、夜中の1時だ。
「誰だよ、こんな夜中に…」
 継母たちだったら、表から鍵を開けて入ってくるはずだし、第一今夜は城に泊まるとか言っていたような気がするが。
 一向に止まらない扉を叩く音に、シンデレラは仕方なしに、裏口へと向かった。
「誰だよ?」
「俺だ!三村だ!!」
「何の用?」
 シンデレラ、かなり冷たいです。
「開けてくれ!俺を匿ってくれ!!」
 その切羽詰った王子の声に、シンデレラは何かと思いつつ、扉を開ける。
「わっ!」
 すると、勢いよく飛び込んできたのは紛れもない王子。
 大声を上げそうになったシンデレラの口を手で塞ぎ、もう片一方を己の口元へと持っていって人差し指を立てる。おとなしくしろということらしい。
 王子は扉から少しだけ顔を出し、外の様子を伺うと、シンデレラの裏口に備え付けある押入れの中へとその身を隠す。
「三村、何をして…」
 いるんだ?と尋ねようとしたときだった。
「三村君いる!?」
 急に目前に現れたオカマに、シンデレラは腰を抜かしてしまった。
「さ…さぁ…??」
 あまり直視したくないその姿に、シンデレラは目を逸らして答えた。
「城に戻ったんじゃない?ほら、灯台下暗しっていうし」
 兎に角、ここから帰ってほしかった。
 シンデレラは最もな意見を魔女に言う。
「あら、それもそうねv秋也ちゃん、ありがと☆」
 投げキッスをして魔女はもと来た道を戻っていった。
 哀れ、魔女の投げキッスを受け取ってしまったシンデレラは、トイレに急行した。そして、暫くした後、何かを吐き戻す音がしたとか。


「悪ぃな、七原…と、ここじゃシンデレラか」
「三村こそ、大丈夫?結構息切れてるけどさ?」
 流石に走りには強い王子も、魔女との恐ろしい鬼ごっこには疲れたらしい。まだ荒い息をしている。
「何?もしかして心配してくれているとか?」
「まさかっ!!用がすんだんなら帰れよ。俺、寝るんだから」
 シンデレラは安眠を妨害されたことにより、機嫌が悪いらしい。
 王子を裏口に残したまま、自室へと戻る。そして、何故かついてくる王子。
「なんだよ、ついてくんなよ」
「あっれ〜?俺の添い寝なしでナナ…じゃなくてシンデレラは眠れるのかなぁ?」
「おまえなぁ!!いい加減にしろよ!だいたい、こんなの脚本にねぇだろ!」
「なくて上等。脚本は勝手に作りかえるためにあるんでしょ?」
 王子、それを言うなら学校規則です。
「兎に角!帰れ」
「やだね。お前のそんな格好見て、引き下がれる男はいねぇよ」
 そんな格好…シンデレラの寝巻きは、ちょっと大きめのパジャマ。大きいゆえに、襟からうなじやら鎖骨が見えて色っぽい。
「何考えてるんだよ!?変体!」
「変態で結構」
 王子はにんまりと笑うと、シンデレラを後ろのベッドへと押し倒す。
「ちょ…マジ!やめ…」
「ヤダ☆それじゃ、いただきますvv」
「――――――――っっ!!!」




こうして、王子とシンデレラはめでたく結ばれましたとさ。




終わり


 
海原都さんの素敵サイトはこちら。→MARINE LEGEND


あさこより、お礼の言葉。

なんだかとても謙遜なさっていましたが、そんな事ないですー!まさかそう来るとは!と、笑ってしまいました。
ヅキがとっても良い感じでvv三村もヅキには敵わないわね、うふ(ヅキ口調?)
そして、アイドルセブン(違)の七原が、シンデレラとして合ってますvv
守られるシンデレラ!素敵☆典子さん達はさすがですね!!
杉村や豊も、とってもナイスなポジションvv王子なのにヘタレな三村が個人的にかなり好きです(笑)
素敵小説、本当にありがとうございました!!

さて、次からは私の企画小説です。
はてさてふむー。

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