●解説


 昭和47年1月にアニメで復活した「月光仮面」に続いて、萬年社が川内康範氏に原作を委ねて取り組んだ本シリーズは、ヒーロー番組が乱造される中で一際異彩を放っていた。思わず頭を抱えたくなるような凄まじいストーリーや強烈なキャラクター、主役悪役はもちろんエキストラに至るまで見られる役者たちのものすごい熱演に、今でも熱狂的なファンが多い。ヒーローがダッシュ1からダッシュ7までの七つの化身に自在に姿を変え、様々な超能力を必要に応じて使いわけるという設定も大きな魅力で、今回はどの化身が登場するかという点が視聴者である児童の興味をひくこととなった。また、有川貞昌氏が手がけた特撮シーンも見どころのひとつで、東宝特撮映画のフィルムの使いまわしやミニチュアの代わりにスチールでまにあわせるなど、製作費削減のための苦肉の策が随所に見られるものの、胸躍る化身(変身ではない)シーンや光線技、空飛ぶレインボーマンと戦闘機との空中戦といった斬新なシーンを作りあげている。
 1クール完結という連続ドラマ形式の中で原作者が訴えるべくして持ち込んだテーマは宗教的観念に基づく「愛」である。このシリーズに限らず、これは川内作品に共通したテーマではあるが、男女の愛から家族愛、隣人愛、祖国愛、人類愛に至るまで様々な愛が描かれており、まさに「愛」のフルコースだ。
中でも他のヒーローものと一線を画していたのは祖国愛であろう。敵の秘密結社・死ね死ね団の目的を日本人の抹殺とし、日本人が外国人に忌み嫌われている事実を示しながらも、それでも日本と日本人を守るために命をかけるレインボーマンの姿には、戦後27年経過した当時の子供たちの間に祖国愛を復活させようとした川内氏の姿勢が感じられる。レインボーマンの基本形となるダッシュ7の白と赤のコスチュームは日本の国旗をまとっているようにも見え、これほど「日本」を意識したヒーロー番組も珍しい。
 なお、番組の正式タイトルは「愛の戦士レインボーマン」であり、多くの関連商品にはこのタイトルが使用されていたが、番組のオープニングに「愛の戦士」の文字はない。


 


 
●キャラクター


ヤマトタケシ
・・・・・・城東高校のレスリング部在籍中、必殺回転落としという技を持ち、「下町の黒豹」の異名をとっていたが、大会で四人もの負傷者を出したことから部を除名される。その後プロ入りを決意するが、プロには彼の技もまるで通用せず、もっと強くなるべくインドへ渡ってダイバダッタの弟子となる。だが、一年間の厳しい修業の中で人類愛に目覚めた彼は、愛の戦士レインボーマンとしての使命を与えられ、折りしも日本人抹殺を画策していた秘密結社「死ね死ね団」と戦うこととなった。眉間にしわをよせて一生懸命悩む姿が印象的だ。
レインボーマン・・・・・・ヤマトタケシの化身した姿。ダッシュ1(月の化身)、ダッシュ2(火の化身)、ダッシュ3(水の化身)、ダッシュ4(草木の化身)、ダッシュ5(黄金の化身)、ダッシュ6(土の化身)、ダッシュ7(太陽の化身)の七つの化身に変幻自在で、状況に応じてそれぞれの能力を発揮する。。第44話ではレインボーマンの本体ともいうべきダッシュ7の状態のまま他の二つの化身の能力を同時に有することのできる「合体の術」を会得している。
ダイバダッタ
・・・・・・インドの山奥に住んでいた、様々な超能力を持つ聖者。世界各国の武道家やスポーツマンが弟子入りにおしかけたが、タケシ以外にその能力を譲り受けた者はいなかった。タケシを一年間に渡って鍛えあげ、150年もの寿命を終えるが、魂を彼の身体に宿して彼を見守り続けた。タケシがエネルギー補充のためのヨガの眠りの状態でいる時に現れることが多いが、励ますだけならともかく、術を使ってタケシのピンチを救ったり、新しい技を与えたりしており、本当に死んでいるのかよくわからない。
たみ
・・・・・・タケシの母。心配性で、いつも危険なめにあっている息子のため苦労が絶えない。おにぎり屋「おふくろ」を一人で営んでいる。
みゆき
・・・・・・タケシの妹。幼い頃に自動車に跳ねられて左足を痛め、松葉杖を使わなければ歩けなくなってしまった。
淑江
・・・・・・タケシの恋人。父・正造の経営する保育園「どんぐり園」で保母をしている。おしとやかな女性だが、芯は強い。父親と二人住まい。
レスキの正造・・・・・・淑江の父。レスリングが好きで、保育園を経営するかたわら、レスリングジムを開いていた。「べらんぼうめえ!」が口癖の江戸っ子でお人よし。タケシを自分の息子のように思っている。レスキとは、レスリングキチ○イのこと。
堀田・・・・・・タケシの先輩で良き相談相手。タケシにダイバダッタの存在を教えたのもこの人。ガソリンスタンドを営んでいるが、かつてはアマレスのチャンピオンだったこともあり、逆噴射投げという得意技(どんな技なんだ?)を持っていたという。友人の北村刑事が「死ね死ね団」に殺されてからは、なぜかタケシにあまり協力しなくなった。
ヤッパの鉄・・・・・・正造のところへ借金の取立てに来たヤーさんだったが、タケシの男気に惚れて足を洗い、職を転々とする中で何かと事件のてがかりを見つけてくる。タケシのことを「兄貴」と呼んで慕っており、協力をいとわない。
ヤマト一郎・・・・・・タケシの父。日洋新聞社の記者で海外特派員として東南アジアに渡ったが、「死ね死ね団」の手がかりを追っているうちに一味に捕われ、アフリカの基地に幽閉されていた。やたらと正義感が強い。
ミスターK・・・・・・「死ね死ね団」のリーダー。日本と日本人をひどく忌み嫌っている国籍不明の外国人。男の部下の失敗は許さず、ためらわずに処刑してしまうが、女幹部の場合はなんだかんだいっても結局許してしまう。男のくせにヒステリックなところもある。変装が得意。
ダイアナ・・・・・・古株の女幹部。タケシ抹殺の命を受けてマスクの団員たちを指揮。地底戦車モグラートの工場主任となった後、サイボーグに改造され、キャシーとアベック作戦をとった。冷酷非情でヒステリック。
ミッチー・・・・・・ミスターKの秘書兼、本部での連絡担当。従ってKの横にくっついてるか、マイクに向かって喋っていることがほとんどだった。死ぬシーンはないが、第26回を最後に(この回は声だけ)姿を見せていないところを見ると、海堡基地の爆発に巻き込まれたようだ。
キャシー・・・・・・いつのまにか団員に加わっていて、初仕事はみゆきをさらうことだったが、新兵器ダッカーの指揮をとった後、サイボーグとなる。レインボーマンとの戦いで、オイルの涙を流すシーンが印象的。髪はかつらで本当はつるっぱげである。
オルガ・・・・・・ミッチーに代わって登場したKの秘書。単身オートバイでタケシを襲うこともあったが、他の女幹部たちに対する情けは厚く、幹部たちが皆サイボーグ化されてレインボーマンに敗れていった後、自らの身体にボーグアルファ(人間をサイボーグ化する薬)をうち込み、鬼面のサイボーグと化した。
ロリータ・・・・・・ごつい黒人のパゴラを連れてアフリカ基地よりやって来た。殺人フルーレを武器に持ち、女幹部の中では一番白兵戦に長けている。オルガとコンビを組み、レインボーマン抹殺に執念を燃やす。やはりサイボーグに改造された。
イグアナ・・・・・・アフリカ基地よりやってきたアマゾンの魔女。打倒レインボーマンを目的に編成された七人の殺人プロフェッショナルチームのリーダーで、自らも魔力をくりだしてレインボーマンを襲った。血が好物で、光に弱い。
ゴッドイグアナ・・・・・・イグアナの母。死んだ娘をよみがえらせるのに必要なタケシの血を求めてタケシをつけ狙う。死ね死ね団とは敵対していたが、ラスト近くになって死ね死ね団を利用しようとKの配下になったふりをした。娘と同じく人の血が好物。バッドシスター、ミイラシスターといった自らの分身を呼びだせる。
ドクターボーグ・・・・・・死ね死ね団に協力する科学者。戦時中に日本軍医に妻を殺されたことから日本人に対して強い憎しみを抱いている。女幹部たちをサイボーグに改造し、一定時間だけ人間をサイボーグにし変えてしまうというわけのわからない薬・ボーグアルファを開発した。


 
●全話ストーリー


第1回 奇蹟の聖者

 「下町の黒豹」の異名を持つ青年・ヤマトタケシは大会で相手を負傷させたためレスリング部を除名され、プロへの転向をめざした。だが、高校では脅威の的だった彼の技もプロではまったく通用しない。そんなある日、ヨガの秘術を身につけた老人・ダイバダッタの存在を知ったタケシは、彼に弟子入りするべく単身インドへ渡った。だが、東パキスタンと交戦状態にあったインドの地で銃弾を浴び、敢えなく息絶えてしまう。そんな彼の亡骸に近づく一人の老人。それはタケシがさがしていたダイバダッタその人であった。彼はその驚くべき超能力によってタケシを生き返らせる。
 

第2回 レインボーマン誕生

 ダイバダッタに弟子入りを許されたタケシ。だが、彼は私利私欲の虜となっていたためにヨガの極意をなかなか身につけることができない。そこでダイバはタケシを戦場へと連れていき、彼の目の前で兵士たちの亡骸を生き返らせた。再び銃を構える彼らを押しとどめ、愛を説くダイバ。その偉大な力とその美しい愛の心に感銘したタケシは一心不乱に修業に励み、やがて一年の月日が流れた。様々なヨガの秘術をタケシに伝授したダイバはその寿命を終え、彼の魂はタケシの身に宿る。そして愛の戦士レインボーマンとしての使命を託されたタケシは故郷・日本へと帰るのだった。
 

第3回 レインボー・ダッシュ・7

 レスキの正造のレスリングジムを訪ねたタケシは、ジムに乱入した謎の覆面レスラーたちと戦い、彼らをうち負かした。だが、これを根に持ったレスラーたちは正造の娘・淑江を人質にとり、彼を波止場へおびき出して殺そうと迫る。自分の力の限界を感じたタケシはレインボーマンに化身。超能力で危機を脱し、レスラーたちのプロモーター・カリモスに詰め寄るが、彼は何も知らないとしらを切り、マカオで開かれる賭け試合の出場をタケシに勧める。正造が借金を抱え、返すあてがないことを知ったタケシは多額の賞金を得るためやむなくそれを承諾した。
 
 

第4回 マカオの殺人ショウ

 マカオに着いたタケシは、さくらとロコという姉弟からマカオの秘密の場所で殺人をショーとして見せているという噂を聞く。タケシの出場する試合がまさにそれであった。キャッツアイと呼ばれる薬を飲まされて凶暴化した黒人レスラー・バッファローがタケシを殺そうと迫ってきたのだ。見物人は全員、日本人皆殺しを図る秘密結社・死ね死ね団のメンバーたち。薬の効き目がきれてバッファローが倒れると、彼らのリーダー・ミスターKはタケシの抹殺を部下たちに命じた。タケシはレインボーマンに化身し、会場を脱出するが、力を使い果たした彼の身をヨガの眠りが襲った。
 
 

第5回 死ね死ね団の陰謀

 5時間のヨガの眠りから覚めたタケシは死ね死ね団に捕われたロコを助けるべく、ミスターKの屋敷へ忍び込むが、そこにはKの仕掛けた罠が待ち構えていた。隠れ潜んでいた団員たちがタケシに襲いかかり、一本の矢が彼の胸に突き刺さる。一方、弟の身を心配したさくらはタケシの後を追って屋敷に向かうが、たちまち団員たちに捕われてしまった。ヨガの秘術で自らの傷を治したタケシは姉弟を救うためレインボーマンに化身。ダッシュ5のレインボーフラッシュが敵の目をくらます。だが、さくらはレインボーマンをかばって敵の矢を身体に受け、息絶えるのだった。
 
 

第6回 魔の5時間がきた!

 さくらの墓前で死ね死ね団の陰謀を叩きつぶすことを誓うタケシ。彼の前に新手の敵が出現し、タケシはレインボーマンとなってこれを撃退するが、傷ついたその身体をまたもヨガの眠りが襲った。彼の身を案じたロコは医者を呼びにいくが、やって来た医者と看護婦は死ね死ね団の団員と女幹部ダイアナの変装であった。ミスターKは自らの基地へタケシの身を運ばせ、タケシの操る不思議なマジックの秘密をさぐるためその身体を解剖しようとする。間一髪、5時間の眠りから覚めたタケシはレインボーマンに化身するが、Kの手によって基地は爆発を起こし始めた。
 
 

第7回 キャッツアイ作戦上陸す

 レインボーマンは爆発する敵基地の中からロコを連れて脱出することに成功した。だが、その時すでにミスターKを乗せた潜水艦が一路日本へ向かって進んでいることを彼は知るよしもなかった。一人日本へと戻ったタケシは白昼狂った男が目の前で死んでしまうのを目撃。そして一日に12名もの人間が変死したという新聞記事に目がとまった。記事の写真に写っていたマッチが昼間の男が持っていたものと同じだったのだ。その頃、東京の街を走る一台の自動車の中にミスターKの姿があった。偶然タケシを見かけたKはタケシの抹殺をダイアナに命じる。
 
 

第8回 ひとりぼっちの戦い

 死ね死ね団に襲われ、傷ついたレインボーマンはダッシュ6に化身して辛くも土中に逃れた。タケシは一味のことを堀田先輩や淑江に話すが、突飛な話だけにまるで信じてはもらえない。孤独感にさいなまれるタケシ。そんな彼の苦悩をよそに死ね死ね団の陰謀は着実に進められていた。キャッツアイを知らずに飲まされた日本人たちは次々と狂人化し、そして死んでいく。師・ダイバの魂に勇気づけられたタケシは人々を守るべく新たな決意を固めた。だが、彼自身も常に死ね死ね団から狙われていた。建設中のビルの中へと誘いこまれた彼はたちまち一味にとり囲まれてしまう。
 
 

第9回 タケシを狂わせろ

 間一髪、タケシはダッシュ1に化身し、蛇変化の術によってビルの中から脱出した。その後、堀田とその友人の北村刑事に会った彼は一連の事件のことを二人に話した。証拠がないので正式に動くわけにいかないと言う北村に、狂人が持っていたマッチ箱を見せるタケシ。そこに記されていた「ケイ」という衣料品店だけが今はただ一つの手がかりだった。だが、やがてタケシの身に変化が起こった。死ね死ね団によって知らないうちにキャッツアイを飲まされていたのだ。堀田は狂い出したタケシを精神病院へ連れていくが、診察にあたった川島医師は一味とつながっていた。

 

第10回 やつらを殺せ!

 キャッツアイにおかされた上、電気ショックを受けて狂人と化すタケシ。邪魔者が消え、安心したミスターKは恐るべき大量虐殺作戦の実行を命じた。村山貯水池に多量のキャッツアイを放り込もうというのだ。一方、死ね死ね団の魔手は堀田と北村刑事にもおよび、タケシの身を案じて精神病院を訪ねた二人はたちまち一味に捕えられる。檻の中に閉じ込められながらもヨガの眠りによって精神と肉体を回復したタケシはレインボーマンに化身して彼らを救出。だが、敵が手にした火炎放射器の炎が病院の倉庫に保管されていたキャッツアイに燃え移ってしまった。
 

第11回 罠にかけろ!!

 死ね死ね団の陰謀の証拠となるキャッツアイは目の前ですべて灰となった。その上、北村刑事は敵の銃弾に倒れ、帰らぬ人に…。タケシをとりまくただならぬ異常事態に、母のたみや妹のみゆきも疑問を抱かずにはいられなかった。問いつめられたタケシは死ね死ね団の陰謀のことを家族や淑江たちにうちあける。そして彼の話を信じた淑江はタケシに協力を申し出、唯一の手がかりである「ケイ」をさぐり始めた。だが、店の奥に隠れ潜んでいた一味にその素性を見破られ、たちまち捕えられてしまう。淑江が人質にとられたことを知ったタケシは単身「ケイ」へ乗り込んだ。
 

第12回 危機一発!!

 レインボーマンは死ね死ね団の罠を切り抜け、奥の部屋に捕えられていた淑江を発見するが、娘を心配して駆けつけた正造までもが一味に捕えられる。辛くも二人を助けだすレインボーマン。だが、エネルギーを使い果たした彼は満身に矢を受けたまま、敵の真っ只中でヨガの眠りに入ってしまった。ミスターKは恨み重なるタケシを残酷に処刑するべく女幹部キャシーに命じてみゆきをさらう。妹の眼前で開始されるタケシの処刑。仮死状態のまま火あぶりにされる兄を見て泣き叫ぶ妹みゆき。その声を耳にしたタケシは眠りから覚め、化身して炎の中から脱出した。
 

第13回 レインボー大作戦

 レインボーマンが戦いの後に5時間の眠りを必要とすることに気づいたミスターKはレインボー大作戦を決行した。レインボーマンがエネルギーを消耗して眠りについたところを殺害しようというのだ。敵の基地をさがして空を飛んでいたレインボーマンは死ね死ね団の戦闘機隊に奇襲され、Kの思惑通りヨガの眠りに追い込まれると、やむなく海の中へ逃げ込む。沿岸を厳重に警戒する死ね死ね団。そのためタケシが眠りにつける場所は海の底しかなかった。やがて5時間が経過。沿岸に姿を現したレインボーマンは一味を次々と倒し、ここに一つの勝利をおさめた。
 

[第1〜13回・解説]

 タケシが修業に出るまでのエピソードから修業、レインボーマン誕生、タケシとカリモスの出会い、そして「死ね死ね団」とのかかりあいを経て、「キャッツアイ作戦」が開始されるまでの、まるで糸をたぐっていくかのようなストーリー展開が実に見事。タケシがインドに渡るまでの、いずれのエピソードが欠けていてもタケシがレインボーマンにかることはなく、レスキの正造が借金の保証人になっていなければ、タケシは死ね死ね団の存在すら知ることはなかったかもしれない。「死ね死ね団」の最初の作戦が薬を使って日本人を狂い死にさせるというのも実に日本人を忌み嫌っている集団らしく、彼らを現実的な存在として印象づけている。
 番組の目玉であるヒーローの七変化が最も効果的だったのもやはりこの1クール目で、敵の怪人が日替わりで出てくるのではなく、ヒーローの格好が日替わりという逆転の発想が新鮮だった。

 

第14回 恐怖のM作戦

 タケシは十年前に行方不明となっていた父・一郎の消息をさぐるうちに、父の同僚だった平という男に父から送られた謎の手紙の存在を知らされた。暗号数字の記されたその手紙は妻のたみ、そして平を始めとする三人の知人に送られているという。一方、ミスターKは大量のにせ札によって日本経済を混乱させるM作戦を実行に移すと共にレインボーマンを倒すため七人の殺人プロフェッショナルを日本に呼び寄せた。殺人プロたちを取り仕切る魔女イグアナは平に催眠術をかけ、タケシを秩父山中の別荘に呼び出させる。そこで彼を待っていたのは毒殺のプロ・フドラであった。
 

第15回 殺人プロフェッショナル

 毒を使ったフドラの攻撃に苦戦したタケシはダッシュ6に化身し、地中にひきずりこんでフドラを倒した。毒におかされたタケシの身体はヨガの眠りによって回復。そこへ新たな殺人プロ、人間ポンプ・ガルマが出現するが、レインボーマンとなった彼はその攻撃をかわした。その頃、製版の技術者・源吉を捕えた死ね死ね団は、彼ににせ札作りを強要していた。だが、源吉は簡単に言うことを聞くような男ではない。そこで一味は彼の孫のマー坊を拉致。それを知ったタケシはレインボーマンとなってただちに後を追うが、その行く手に再びガルマが立ちふさがった。
 
 

第16回 殺人プロ ガルマの復讐

 レインボーマンは再びガルマの動きを封じると、一味の手からマー坊を助け出した。だが、そうとは知らない源吉は脅迫に屈し、死ね死ね団に協力してしまう。その頃、帰らぬ夫を心配した源吉の妻は、おまもりとして多額の現金を授けるという奇妙な新興宗教団体「御多福会」に通っていた。タケシはその背後に死ね死ね団の陰謀があることに気づくが、魔女イグアナによって人間爆弾と化した平が彼の前に現われ、さらに復讐に燃えるガルマが襲いくる。度重なる危機をくぐり抜け、ガルマを倒したタケシは死ね死ね団を追って御多福会の本拠をさぐり始めた。
 
 

第17回 妖術・人間化石!!

 御多福会の本拠をさぐるレインボーマンの前に新たな敵・怪物ヘドロンとそれを操るヘロデニア3世が出現。人間を化石にしてしまうその怪物にはレインボーマンの術も効かず、やむなく退却したタケシは見知らぬ村へと逃げ込む。そこは南朝貴族の隠れ里であり、現在も「若様」と呼ばれる少年と彼の身の回りの世話をするきみという老婆がいた。きみから村の鎮守の森に鬼がいるという噂を聞いたタケシはそこが御多福会の拠点であることをつきとめる。彼の前に再び立ちふさがるヘロデニア3世。タケシはレインボーマンとなり、捨て身の攻撃でこれをうち倒した。
 
 

第18回 星っ子大変化

 村人たちから星っ子と呼ばれている孤独なおしの少女。その正体は殺人プロにして氷の魔女・アイスリーであった。アイスリーに襲われたタケシはその頭部から噴射される冷気を浴び、さらに爆弾で吹き飛ばされてしまう。傷つき、人知れぬ場所でヨガの眠りに入るタケシ。執拗にその姿をさがしまわる敵の魔手からタケシを救ったのは師ダイバの魂であった。タケシはきみが父と旧知であり、平同様に父から手紙を受け取っていたことを知るが、きみはアイスリーの手によって帰らぬ人となる。アイスリーを倒して手紙を手に入れたものの、タケシの心は悲しみにくれていた。
 

第19回 空転!ムササビ殺法

 敵の本拠へ向かったタケシはムササビ殺法を得意とする殺人プロ・ジェノバードに襲われ、ダッシュ4に化身してその場を逃れるが、敵の放ったしびれガスをまともに浴びていた。だが、彼が苦しんでいる間にも御多福会の企みは着々と進んでいく。多量のにせ札が世の中に流れたことによってお金の価値は日毎に下がり、店先の品物の価格は次第に高くなっていった。ヨガの眠りによって体力を回復したタケシはジェノバードを倒し、ついに御多福会の本部へ乗り込んだ。追い詰められた御多福の女王クィーンは証拠を残すまいと、自らの命をも犠牲にして本部を爆破する。
 
 

第20回 M作戦をぶっ飛ばせ!!

 レインボーマンに逃げられ、怒ったミスターKは街頭ににせ札をばらまくという強行手段に転じた。そのため、物価はさらにはね上がり、民衆の生活は極度に苦しくなった。そこでレインボーマンは政府の経済対策委員会に乗り込んでその真相を訴える。彼のことばを信じた政府は御多福会の調査を決定。それを知ったKは御多福会の各支部に命じ、すべての証拠を消した。一方、にせ札のことを公言しようとしたために御多福会に捕われていたヤッパの鉄は、命からがらタケシのもとへ逃がれてきた。彼からにせ札工場の所在を聞いたタケシはただちに工場の破壊に向かう。

      ス パ ー ク マ ン
第21回 電流人間をやっつけろ!!

 レインボーマンを迎え撃つ電流人間エルバンダ。敵の姿を見失った彼は誤ってにせ札工場を襲撃した。混乱する工場の中で捕われていた源吉はその命をかけて自爆スイッチを入れ、工場は大爆発を起こす。だが、M作戦による経済混乱はもはや頂点に達し、日本政府はやむなく一万円札の使用を禁止。にせ札を判別する装置を銀行に設置し、本物の紙幣のみを両替するというその対策は人々をさらに苦しめるだけだった。戦いで傷ついた身体をヨガの眠りによって癒したレインボーマンは、執拗に襲いくるエルバンダと再び対決。ダッシュ1の術でついにこれを倒した。
 
 

第22回 一億人を救え!!

 日本中にあふれ返ったにせ札はお金そのものの信用をなくさせ、物資の生産と流通はストップ。そのため人々は飢えに苦しみ、日増しに暴動へと走った。この光景を見かねたレインボーマンは大臣に掛け合い、国民に食糧を無償配給するよう願いでる。大臣はこれを聞き入れ、政府による食糧の配給を発表。苦しみあえいでいた人々にようやく笑顔が戻った。一方、息子のエルバンダを殺されたイグアナは自らタケシの命を狙うが、今一歩のところで失敗。そこでミスターKはアフリカ支部に捕えていたタケシの父・一郎を日本へ呼び寄せ、彼をおとりにタケシをおびきだした。
 

第23回 奴らの基地はあれだ!!

 女殺し屋・マリンダとノーマの攻撃をかわし、一郎が監禁されている部屋へと向かうレインボーマン。だが、部屋は電磁バリヤーにさえぎられ、父の救出は容易ではなかった。一郎は死ね死ね団の秘密をおさめたマイクロフィルムをある場所へ隠していたが、ミスターKがそのありかを聞き出そうとしても彼は決して口を割ろうとはしない。そこでKは、再び父親を助けに現われたレインボーマンを捕えて彼を人質にとった。さすがの一郎も今まさに処刑されようとする息子の姿を見かね、フィルムの隠し場所を示すメモが死ね死ね団の基地にあることをKに告げるのだった。
 

第24回 男の約束

 レインボーマンはヘリコプターに吊るされて基地へ運ばれる途中、海へ飛びこんでKの手から逃れた。死ね死ね団は一郎を脅迫するための新たな人質として、たみとみゆきを狙うが、それに気づいたレインボーマンは一味の手から二人を守りぬいた。父・一郎の無事を伝え、父を救い出すことを母に誓うタケシ。だが、下手に動けば父の命が危ない。思い悩んだタケシは、一人の命よりも日本人一億の命を救えという父の言葉を思い出し、死ね死ね団の基地を攻撃する決意を固めた。そんな彼の前に魔女イグアナは最後の決着をつけるべくその姿を現わした。
 

第25回 朝陽に魔女は消えた

 レインボーマンとの戦いで手傷を負う魔女イグアナ。魔女が体力を回復し魔力を保つためには新鮮な血が必要であり、イグアナはタケシの妹・みゆきからそれを吸い取るべくタケシの家を急襲した。襲いくる魔女の手からみゆきを必死でかばう母・たみ。間一髪、駆けつけたレインボーマンによってみゆきは救われる。レインボーマンはダッシュ5やダッシュ4の術を駆使してイグアナの魔術に挑むが、戦いの中で傷つき、ダッシュ6となって土中へ逃れた。追いつめられた彼は剣でイグアナの顔を切りつけるものの、弱りきった彼の身体はヨガの眠りに入ってしまった。
 

第26回 秘密基地大爆発!!

 イグアナは無防備のタケシを前にしながら昇る朝陽の光を浴びて死んだ。ヨガの眠りから覚めたタケシは化身して東京湾にある死ね死ね団の本拠地をめざす。戦闘機隊を全滅させ、一郎がとらわれていた牢へ潜入するレインボーマン。父と共に毒ガスたちこめる密室に閉じ込められ、危機に瀕しながらもその場を脱し、ガスにおかされた父の身体を解毒の術によって回復させる。襲い来る団員たちを次々と倒しながら基地の心臓部へと向かう二人。そして一郎の手によって基地はついに大爆発を起こすが、ミスターKの銃弾に倒れた一郎は息子の腕の中で息をひきとるのだった。
 

[第14〜26回・解説]

 タケシの父一郎が友人たちに送った手紙の暗号文を集めるとそれが地球上の一地点を表わし、死ね死ね団の秘密がわかるという設定があるのだが、結局四枚あるうちの三枚しか出てこない。当の一郎が登場したら今度は秘密のマイクロフィルムの隠し場所を書いたメモがKの基地に隠してあるという展開になるが、これもまた訳のわからないまま終わってしまっている。M作戦、父探し、そして殺人プロとの戦いという三本の線がほとんど交わることもなく進行しており、全体的にいきあたりばったりの感は否めない。
 しかし、にせ札が大量に出回ったために貨幣の価値がなくなって人々が暴動を起こしたり、そのためにレインボーマンが大臣に食糧の配給を要求するといった、物凄いエピソードが見る者をひきつける。第1部ではわりと現実的な陰謀団でしかなかった死ね死ね団の戦力も、魔女イグアナという霊界の化け物を得てパワーアップ。現実的な作戦と非現実的な戦力というアンマッチさも魅力の一つだ。

 
 

第27回 甦った死ね死ね団

 タケシは家族を連れ、父・一郎の遺骨を手に彼の故郷を訪ねた。一郎の死に目にも会えず、悲しみにくれる母と妹。二人を励ますため淑江も呼んでハイキングに出かけるが、突如として何者かの爆破による崖崩れに遭遇する。家族たちは無事だったものの、ちょうどその付近を視察していた石油大国オイルランドの科学者が死亡。そのため、オイルランドの大使は日本人を暴力的な国民だと激しく非難した。だが、その大使こそ基地の爆破から辛くも逃れたミスターKの変装であった。基地の爆発から逃れていたKは都心のビルの中に司令室を構え、新たな作戦を開始していた。

第28回 地底戦車モグラートを探せ!

 事件に疑問を抱いたタケシはダッシュ6に化身して事件現場の地下をさぐり、地下空洞を行く地底戦車モグラートを発見した。モグラートから発射される熱線をかわし、命からがら逃げ帰るタケシ。その頃、オイルランドの駐日大使が他殺体で発見され、目撃者の証言から犯人は日本人だと思われていた。それが巧妙なトリックであることを見破ったタケシは、その背後に死ね死ね団の陰謀を感じ、ミスターKが生きていることを確信する。やがて彼は海辺でひとりの紳士と出会うが、その紳士こそがミスターKの変装だとは夢にも思わなかった。
 

第29回 悪魔の戦隊DAC

 突如タケシの前に現れた悪魔武装部隊DACはレインボーマン暗殺のために派遣された特別チームであり、その超科学力による武装の前には彼のいかなる術も通用しなかった。DACの手から辛くも逃げ延びたタケシは父の意志を継いで死ね死ね団と戦うことを母に告げ、せめてその日一日だけはつかの間の平和な時を過ごすことにする。高校レスリング時代の友人・吉岡たちとふれあい、青春の息吹を取り戻すタケシ。だが、その間にも一味の作戦は着々と進んでいた。地底を掘り進んで東京湾へ向かったモグラートがオイルランドのタンカーを一条の熱線で破壊してしまったのだ。
 

第30回 モグラート大破壊作戦

 死ね死ね団の捜索を再開したレインボーマンはDACの戦闘機隊の襲撃に遭い、海中へと逃れた。ミスターKはダイアナに製造中のモグラート2号、3号の完成を急がせると共に、モグラート1号で天然ガス貯蔵センターを破壊。相次ぐ不祥事によって日本は危険な国であるというイメージが世界中に植えつけられ、日本を世界から孤立させようとするミスターKの思惑通りになりつつあった。東京へ戻ったタケシはアイアン共和国領事を殺すという殺人予告を知り、レインボーマンとなって領事館へ急ぐ。そこで彼を待ち受けていたのは復讐に燃えるミスターKであった。
 

第31回 恐怖の連続爆破

 レインボーマンはモグラートの秘密工場を発見しこれを破壊するが、モグラート1号だけは自動操縦に切りかえられ、爆発から逃れていた。オイルランドのタンカーが爆破されるのをまの当たりにしたタケシはダッシュ3となって海中から次の爆破に備えるが、モグラートの近づく気配はない。だが、それにもかかわらず、貨物船がまたも爆破されてしまった。爆破は海中に仕掛けられた海草爆弾によるものだったのだ。このままでは日本とオイルランドとの関係に亀裂が生じる。レインボーマンはDACの魔手からオイルランド代理大使を救い出し、彼に真実を伝えるのだった。

第32回 改造人間パゴラ

 ミスターKの秘書オルガのもとに、女殺し屋ロリータとその片腕パゴラがアフリカ基地より派遣されてきた。オルガは来日したアルパニヤの友好使節ナルカスを複写人間とすりかえようと企むが、レインボーマンにそれを察知され、阻止されてしまう。そこでオルガはロリータとパゴラの力を借り、再びナルカスを襲撃。人間複写機の事故によって強靭な改造人間と化したパゴラにはいかなる術も通用せず、レインボーマンは思わぬ苦戦を強いられた。目が唯一の弱点であることを見抜いたレインボーマンは辛くもパゴラを倒したものの、ナルカスはすでに殺されていた。

第33回 ダッカー飛行隊出撃せよ!

 ダッカーと呼ばれる新型ロケットの編隊に襲われたタケシはダッシュ5に化身して空中戦に挑むが、ダッカーの機動性と攻撃力の前に敢えなく敗れ、山中へと逃れる。執拗にレインボーマンを狙うダッカー飛行隊は夜になっても厳重に警戒を続けた。やがて夜が明け、太陽の光を満身に浴びたレインボーマンは、そのエネルギーを強力なビームに変えることに成功。ここに新しい技・レインボーフラッシュが誕生し、その威力は一撃でダッカーを破壊。たちまち編隊を退却させる。一方、モグラートはエンドニウム爆弾を海底で爆発させ、東京湾に大津波を引き起こそうとしていた。
 

第34回 真空竜巻の術

 東京に押し寄せる大津波。逃げまどう東京都民たち。レインボーマンは真空竜巻の術を使い、そのすべての力をふりしぼって大津波を食い止めた。DACは力を使い果たしたタケシを懸命に捜索するが、彼らが発見した時にはすでにヨガの眠りを終え、タケシは体力を回復していた。その頃、相次ぐ事件による、危険な国・日本のイメージは外交や貿易に大きな影響を与え、その実態を調査するための委員会が諸外国により結成。委員会代表・ダリンジャーが来日した。ミスターKは彼を暗殺してにせ者とすりかえるべく、DACを率いて自らダリンジャーの前に姿を現す。

第35回 姿なき黒い手

 DACに襲われたダリンジャーは駆けつけたレインボーマンによって救われた。だが、火薬工場から大量の火薬が盗まれるという新たな事件が起こり、タケシはこれをモグラートの仕業と考え、地下をさぐり始める。一方、今はかたぎとなった鉄は自分のにせ者が昔の自分のような悪さをしていることを知り、困惑していた。その正体は人間複写機によって姿を変えていたDACであり、鉄はたまたま複写人間のモデルのひとりになっていたのだ。仲間と間違われて彼らの集合場所を知った彼はそれをタケシに伝える。タケシはレインボーマンとなって一味の作戦を阻止するのだった。
 

第36回 恋人は暗殺者

 レインボーマンのために火薬の調達に失敗し責任を問われたオルガは、人間複写機によって淑江の姿となり、自らレインボーマン=タケシの暗殺を図った。よもや敵の変身とは知らず彼女に対しては無防備なタケシ。まんまと毒を飲まされて危うく殺されかけるが、鉄の機転に救われる。オルガはロリータと組んで再びタケシを狙ったものの、彼を殺すことはできなかった。その頃、ダリンジャーの要請によって各国の調査員が来日することになり、レインボーマンはその護衛に向かったが、調査員を乗せた3機の旅客機のうち2機までがダッカーに撃墜されてしまう。
 

第37回 Xゾーン破壊命令!!

 レインボーマンは決死の覚悟で戦い、最後の1機を必死に守り抜いた。一方、Xゾーン作戦を計画したミスターKのもとに作戦の要となる新爆薬スーパーニトロンがアフリカ基地より到着。それを大量に製造するべくダイアナとキャシーはその原料となる苛性ソーダと石炭の確保にあたる。タケシはそんな敵の動きに気づきながらも手のうちようがなく、あせっていた。復讐に燃えるオルガとロリータは白昼堂々タケシをつけ狙い、脅迫状を送りつけて彼を山の頂きへとおびき出す。だが、その山では死ね死ね団によるスーパーニトロンの爆破テストが今まさに行われようとしていた。
 

第38回 A、B、C、Dライン大爆発

 スーパーニトロンの爆破テストは成功し、レインボーマンがそれに巻き込まれて死んだものと思い込んだミスターKはXゾーン作戦を実行に移した。モグラートによって東京都内の四つの地点にスーパーニトロンを設置し、各地点を結ぶXゾーンを連鎖爆発によって東京を壊滅させようというのだ。だが、タケシはダッシュ4の術によって爆発から辛くも逃れていた。そして、河原で遊んでいたマー坊が偶然仕掛けられていた起爆装置の爆発によって死んでしまうのを目撃。死ね死ね団の恐るべき作戦に気づいたタケシは、他の起爆装置の所在をさぐり始める。
 

第39回 首都東京最後の日

 Xゾーン作戦の目的は日本経済心臓部の完全破壊にあった。そんな死ね死ね団の陰謀を鉄から知らされたタケシは、レインボーマンとなって大臣にそのことを伝える。炭鉱で働いていた鉄は知らずにスーパーニトロンの製造に協力させられていたのだ。政府はただちに東京都民へ避難を呼びかけると共に、レインボーマンの活動を側面から援護した。防衛隊のミサイルによって次々に撃墜されるダッカー編隊。レインボーマンは起爆装置をさがして空を飛び、間一髪のところですべての爆薬を処理し東京を救う。世界における日本の信用は回復され、再び平和がよみがえった。
 

[第27〜39回・解説]

「日本人は原料を輸入してもすぐに製品化して輸出する。目先の利益しか考えず、貯蓄心がない」
「もし日本に石油がなくなったら、どうなりますか?」
 これは変装したミスターKがタケシに言うセリフだが、この第3部のテーマそのものでもある。エコノミックアニマルなどと呼ばれて外国に非難されていた問題ではあるが、現実に番組終了直後、Kのことば通りにオイルショックという現象が起きているのには驚かされる。『レインボーマン』は、まさに”予言”をし、それが的中した番組だったのだ。
 物語は石油産出国の科学者の殺害に始まり、じわじわと陰謀が進んでいくといったムードが興味をひく。モグラート、ダッカーといったメカや、科学力で武装したDACなど、それまでたいした科学力のなかった死ね死ね団が空想的な科学兵器を持ち得たというのも第3部の特徴で、これらの登場はレインボーマンが苦戦を強いられることを予感させ、前半のストーリーを大いにもりあげている。いずれも初登場時にはやたら強くて、後には簡単にやられてしまうのがパターンだが・・・。それぞれのチームの指揮を分担した女幹部たちの活躍も見どころだ。

 

第40回 ダイヤモンド略奪作戦

 ミスターKは新たな作戦に必要な軍資金を得るべく画策し、日本が輸入した大量のダイヤモンドに目をつけた。組織の存在が明るみとなった今、死ね死ね団はダイヤモンドの略奪を堂々と予告。警察の巧妙な護送も彼らの目をはぐらかすことはできず、まんまと強奪されてしまう。駆けつけたレインボーマンの前に現われる女幹部キャシー。彼女はアフリカ基地のドクターボーグの手によって人間サイボーグと化し、レインボーマン打倒に燃えていた。一方、イグアナの母・ゴッドイグアナが暗黒の世界によみがえり、彼女もまた娘のかたきのレインボーマンを狙っていた。
 

第41回 サイボーグ1号との戦い

 サイボーグ・キャシーに苦戦していたレインボーマンは、突如として現れた魔女ゴッドイグアナによって魔法ゾーンへと誘いこまれた。魔女の異様な妖術の前に窮地に陥りながらもレインボーマンは辛くも魔法ゾーンから脱出。再び戦いを挑んできたキャシーを太陽フラッシュによって倒すが、キャシーの傷ついた身体は飛来したロケットに回収されていく。一方、レインボーマンがキャシーと戦っている間にもDACは各地の銀行を次々に襲撃して現金を大量に奪っていた。それは死ね死ね団の軍資金集めと日本経済の混乱の両方を狙ったKの巧みな作戦であった。
 

第42回 追跡1000キロ!

 レインボーマンは再びゴッドイグアナに襲われて深手を負い、ダッシュ6に化身して土中へと逃れた。ミスターKが九州のサイボーグ工場へ赴くことを知ったタケシはその後を追い、偶然にもKと同じフェリーに乗り合わせる。タケシを抹殺するべく、サイボーグ化したダイアナとロリータを船上へ呼び寄せるミスターK。タケシは船上で新婚旅行中の竜二と明美に出会うが、二人はサイボーグの姿を見たため死ね死ね団に命を狙われていた。フェリーが着岸するまで二人を無事に守り抜いたタケシは、サイボーグ工場をさがしてオートバイを走らせた。
 

第43回 太陽とみどりに誓う!

 サイボーグ工場に到着したミスターKは、工場の責任者となっていたドクターボーグにある秘密の研究を急がせていた。一方、タケシはその工場を見つけることができない上、手に負った傷のために術が使えず、ひとり焦っていた。やがて鹿児島に住む祖父・久蔵のもとを訪ねた彼は、久蔵にその心の迷いを見抜かれ、雑念を捨てて無心になれと教えられる。白煙とりまく岩山で厳しい修業に取り組み、さらにヨガの眠りによって雑念を捨てることに専念するタケシ。サイボーグ・ロリータの挑戦を受け、レインボーマンとなった彼はついに術をとり戻し、ロリータの攻撃を退けた。
 

第44回 レインボー合体の術

 ロリータに続いて現われたダイアナをも撃退したレインボーマンはその近くに工場があるものと見て再び捜索を開始した。だが、ドクターボーグによって強化改造されたダイアナとキャシーが放電装置を武器にして攻撃を仕掛けてくる。二人同時の攻撃によるアベック作戦にはさしものレインボーマンも身を守るのが精一杯だった。敗退したタケシは師・ダイバによって天、地、人の試練を与えられ、これによってダッシュ7に他の二つの化身の能力を同時に併せ持つレインボー合体の術を会得。レインボーマンは再びダイアナとキャシーに挑み、アベック作戦を打ち破った。
 

第45回 ドクター・ボーグの執念

 ダイアナの身体を抱えて基地へ逃げ帰るキャシー。その後を追ったレインボーマンはミスターKの罠にかかり、トンネルに閉じ込められるが、辛くも逃れ、ついにサイボーグ工場を発見。その内部へと潜入する。だが、ドクターボーグは人間をサイボーグ化する薬・ボーグアルファをミスターKに渡し、さらに研究を続けるために工場へ残っていた。それは日本人への恨みだけで生きてきた彼の凄まじい執念の現われであった。行く手に立ちふさがるキャシーを倒し、研究室へと侵入するレインボーマン。ボーグは自らの命もろとも工場を爆破するのだった。
 

第46回 サイボーグ奴隷部隊

 ミスターKの命を受けたダイアナは囚人を使ってボーグアルファの威力を試した。ボーグアルファを身体に注入された囚人たちはダイアナにコントロールされるまま脱獄を実行し、宝石店や銀行を襲撃する。ドクターボーグの執念はまだ生き続けていたのだ。サイボーグ工場の爆発から逃れ、東京へと戻ったレインボーマンに集団で襲いかかるサイボーグ奴隷部隊。だが、ボーグアルファはまだ未完成であったためその効力は長くは続かなかった。レインボーマンは単身挑んできたダイアナを破壊すが、さらに魔女ゴッドイグアナの執拗な攻撃を受ける。
 

第47回 黒い星は呪いのマーク

 ゴッドイグアナは自らの血から蝙蝠の魔女・バッドシスターを生み出し、レインボーマンをつけ狙った。一方、ロリータはタケシの友人・吉岡にボーグアルファを注入して部下に仕立て、やはりタケシを襲わせる。友人が相手では本気で戦うことのできないレインボーマン。だが、突如現われたバッドシスターとロリータは敵を見誤って互いに戦いを始め、レインボーマンはその隙に解毒の術を使って吉岡の身体をもとへ戻した。ロリータは激闘の末にバッドシスターを倒したものの、魔女ゴッドイグアナに襲われ、魔女の放った悪魔の矢を身体に受けて爆死してしまう。
 

第48回 鬼面の決斗

 ゴッドイグアナの新たな分身・ミイラシスターに襲われたレインボーマンは、その生命のない肉体の前に苦戦を強いられた。その上、死ね死ね団最後の女幹部となったオルガもまた仲間の復讐を果たすべく彼の前に現れる。オルガによってボーグアルファを注入された三人のオートバイライダーを倒し、真空竜巻の術を使ってミイラシスターをうち破るレインボーマン。だが、オルガは自らの身体にボーグアルファを注入し、鬼面のサイボーグと化して最後の戦いを挑んできた。その挑戦を受けたレインボーマンは激闘の末、辛くも勝利するが、彼の心にやるせない思いが残った。
 

第49回 燃えろ!大勝負

 腹心の部下をすべて失ったミスターKは自らDACの陣頭に立ち、ついにレインボーマンを捕獲した。怒りにまかせ、彼の身体を鞭打つミスターK。だが、レインボーマンは突如現われた魔女ゴッドイグアナに連れ去られ、怒ったKは妖術師ドクロマンにゴッドイグアナの抹殺を命じた。魔女の手から逃れ、エネルギーを消耗したタケシはヨガの眠りに入るが、その無防備の状態のまま、またもDACに捕えられてしまう。その時、ゴッドイグアナが再び出現し、タケシをめぐってDACと戦いを始めた。やがて眠りから覚めたタケシはレインボーマンに化身する。
 

第50回 狂った銃弾!

 ミスターKの率いるDACに戦いを挑むレインボーマン。その一方でゴッドイグアナはドクロマンと激闘を繰り広げていた。DACの攻撃を退けたレインボーマンは人家を守るためその戦いを止めさせ、挑みかかってきたドクロマンを倒す。だが、司令室にひとり逃げ帰ったミスターKはボーグアルファを仕込んだ銃弾を使って道行く者たちを次々とサイボーグに変えていった。偶然にして誕生したサイボーグ怪獣かまきり男、そしてゴッドイグアナをも配下に加えたKはサイボーグたちに火薬工場を爆破させてレインボーマンをおびき出し、その隙に都心の競技場を占領した。
 

第51回 使命の十字架

 ミスターKは東京周辺にミサイルを放ち、大衆におのれの力を見せつけた上で、テレビ放送を使ってレインボーマンを競技場へさそい出した。そのため人々は逃げまどい、東京は混乱のるつぼと化した。レインボーマンを迎えうつかまきり男とゴッドイグアナ。苦戦の末にかまきり男をうち破ったレインボーマンは競技場に稲妻を落とし、競技場に潜むKを攻撃するが、ゴッドイグアナの奇襲を受けて傷つき倒れる。処刑台につかなければミサイルを発射すると告げるミスターK。人々を守るためレインボーマンは自らの命を投げ出し、十字架にその身を委ねるしかなかった。
 

第52回 虹に翔ける愛の戦士

 刻一刻と迫る処刑の時。間一髪、師・ダイバによって救われたレインボーマンはミサイル基地をさがし出し、これを破壊。襲い来るサイボーグ部隊、DAC、そしてゴッドイグアナをうち倒す。だが、ついにつきとめた司令室には、すでにミスターKの姿はなく、日本人抹殺を命令するテープだけがむなしく回っていた。やがて日本は平和を取り戻し、みゆきは足の手術を受けるため外国へ出発する。しかし、その一方では、国際平和会議場を襲う死ね死ね団残党の姿があった。ミスターKはまだ生きている。この世に悪がある限り、愛の戦士レインボーマンの使命は終わらないのだ。
 

[第40〜52回・解説]

 サイボーグ化された女幹部たちを始め、敵側のキャラがそれぞれ何か哀しみを持ちながらレインボーマン抹殺の執念を燃やす様が凄まじい。最初にサイボーグに改造され、黒いオイルの涙を流すシーンが印象的なキャシー。死に直面し、それまでの確執を捨てて仲間を思いやるようになったダイアナ、ロリータ。ボーグアルファを自ら注入し、鬼のような顔になってまでも殺されたダイアナたちのかたきをうとうとしたオルガ。娘を蘇らせるのに必要なレインボーマンの血を求めてさまよう魔女ゴッドイグアナ。妻を日本人に殺されたため日本人すべてを憎むドクターボーグなど・・・。広い意味での愛を至極真面目にテーマとして取り入れていたこのシリーズで、それを破壊しようとする敵側の狂気を生み出したのもやはり愛だったという皮肉な結末に至っている。
 この世から悪が滅びることはなく、レインボーマンの戦いはいつまでも終わらないというラストは、第2部で一郎が死に間際にタケシに告げたことばにも通じ、現実に即したドラマを貫き通した結果と言えるかもしれない。



 
●データ


1972年10月6日〜1973年9月28日
NET(テレビ朝日)系 毎週金曜午後7:30〜8:00放映
カラー 30分 全52本 東宝作品


[スタッフ]
企画/衛藤公彦  原作/川内康範  プロデューサー/片岡政義(NET)、野口光一(東宝)  音楽/北原じゅん  撮影/田島文雄  照明/大野晨一  美術/儘田敏雄  録音/坂田通俊  助監督/六鹿英雄、増子正美  編集/平木康雄  操演/中代文雄  連絡担当/高木敏行(萬年社)  ユニットマネージャー/久東晃  衣裳/京都衣裳  効果/伊藤克巳(石田サウンドプロ)  現像/東京現像所  制作担当/小林晋貮  特殊技術/有川貞昌  協力/国際放映、愛プロ、萬年社  制作/東宝株式会社、NET

[キャスト]
ヤマトタケシ/水谷邦久  母・たみ/本山可久子  妹・みゆき/石川えり子  堀田/黒木進  ダイバダッタ/井上昭文  レスキの正造/村田正雄  淑江/伊藤めぐみ  ヤッパの鉄/山崎純資  ヤマト一郎/小泉博  ミスターK/平田昭彦  ダイアナ/山吹まゆみ  ミッチー/三枝美恵子  キャシー/高樹蓉子  オルガ/藤山律子  ロリータ/皆川妙子  イグアナ/塩沢とき  ゴッドイグアナ/曽我町子  ドクターボーグ/長沢大  擬斗/宇仁貫三、安川勝人、安川剣友会  ナレーター/納屋悟郎