●解説 |
もともとアニメ番組の企画だった『ザ・カゲスター』は代理店の大広の意向もあって特撮実写作品に企画変更され、1976年4月に放映を開始。この時期、東映では放送中の3つの特撮番組に加え、同番組を含めた3つの新番組がスタート。実に6つの特撮番組が放映されるに至り、その全てにプロデューサーとして関わっていた平山亨氏は多忙を極めていた。とはいえ、決して人気に甘んじる事なくその設定にはそれぞれ様々な工夫が凝らされている。特に本シリーズ『ザ・カゲスター』においては、原作者を”八手三郎”名義とした東映オリジナルの最初の作品でもあり(ただし、シナリオ等では”吾妻健二”となっている)、異色とも言えるほどの独特の雰囲気を持って登場した。
まず他の作品と違うのは、毎回登場する怪人たちが大組織の一員ではなく、飽くまでも仮面をかぶった人間に過ぎないという点である。これは実にアメコミのヒーローの悪役にイメージが近く、一人一人が独立した組織を持ち、個人的な恨みや欲望のために犯罪を犯す様はそれまでの東映ヒーロー番組にはなかった。
そしてヒーロー自体の異色さはこの番組が好きになれるかどうかの重要なポイントであろう。カゲスターは影から生まれるヒーローであり、主人公が変身するのではなく、”分身”によって登場するのだ。野口竜氏が手がけたその奇抜なデザインもまた他のヒーローとは一線を画していた(正直言って、人間の目玉が描かれたあのマスクには、我が目を疑った)。また、巨大メカの登場というのもこの時期のヒーローには既に不可欠なものとなっており、本シリーズにもカゲボウシなる飛行メカが登場しているが、このデザインも凄いデザインセンスである。また、ベルスターという女性の相棒の存在も忘れてはならない。この男女ペアのヒーローという設定はすでに『仮面ライダーストロンガー』という前例があったものの、二人そろって大きなマントを振り回すアクションはとても斬新だった。
主人公・姿影夫がサラリーマンであったのもそれまでにない設定であり、ベルスターに分身する鈴子は彼が勤務する会社の社長令嬢であるため、彼よりも立場が上になっていた点も面白かった。上司役の小松政夫氏のバラエティ番組そのまんまの演技も忘れられない。しかし、これらの新機軸は視聴者である子供たちに受け入れられたとは言いがたく、結局13話においてドクターサタン率いるサタン帝国が出現し、これ以降の怪人たちはすべてサタンの配下として登場。人間の顔を露出していたデザインも『仮面ライダー』の怪人とあまり変わらないものに変更されてしまう。更には、分身した後の主人公の姿も描かれなくなり、ほとんどイメージ的には変身と変わらなくなってしまった。コミカルな味を出していた小松政夫氏演じる神成部長や小林昭二氏演じる屯田警部といった名脇役も後半にはあまり姿を見せなくなり、他のヒーローとの差別化を計った要素がことごとく削られてしまったことは残念でならない。
ところで、本作で姿影夫を演じた立花直樹氏がデビュー作『ジャンボーグA』での役名と同姓同名であることはよく知られているが、相棒となる風村鈴子を演じた早川絵美氏もまた、東映映画『女必殺拳』に出演した際にその役名を芸名としている。『女必殺拳』は志穂美悦子氏の出世作だが、当初は志穂美氏が主演ではなく”早川絵美”を演じる予定だったという。
●キャラクター |
■姿影夫・・・・・・風村コンツェルンの秘書課に勤務するサラリーマン。高圧線に触れたために彼の影が実体化し、カゲスターとなった。カゲスターが分身した後は腑抜けになる。
■カゲスター・・・・・・影夫の影が実体化した姿。その意識は影夫そのものである。得意技はマントを振り回して敵を倒す”カゲ車輪”。シリーズ前半の決め技はベルスターと共同で行う”ダブル車輪”、後半の決め技は単独で行うキック技”流星キック”だ。影であるはずの彼にもまた影があり、それは影の分身”カゲロベェ”となって親分であるカゲスターに協力する。不思議なバイク・カゲローカー、さらにこれを収容する巨大メカ・カゲボーシを出現せしめ、正義のために悪と戦う。
■風村鈴子・・・・・・風村コンツェルンの社長令嬢で、影夫同様秘書課に勤務。19話より風村フィッシングショップを経営し、影夫を店員に。いつも身につけているブレスレッドの鈴はなぜか危険を察知すると彼女に知らせてくれる。影が実体化し、ベルスターとなる。
■ベルスター・・・・・・自分では日本一と思い鈴子の影が実体化した姿。その能力や技はカゲスターとほぼ同じ。ベルカーというバイクに乗る。
■屯田警部・・・・・・自分では日本一と思い込んでいる迷警部。美女の手にキスすると名推理が浮かぶ・・・らしい。
■業平・・・・・・屯田警部といつもコンビを組んでいるヘンな刑事。
■タケシ・・・・・・屯田警部の一人息子。父親を日本一の名警部と信じ、大変尊敬している。
■千秋・・・・・・風村フィッシングショップの店員。
■風村社長・・・・・・社員にはやたら厳しく、一人娘の鈴子にはやたら甘い、風村コンツェルンの社長。
■風村牧子・・・・・・社長夫人にして鈴子の母。
■神成部長・・・・・・その名の通り、すぐカミナリを落とす総務部長。社長や鈴子にはいつもペコペコしている。小松政夫氏の芸風そのままのキャラクター。
■ドクターサタン・・・・・・世界征服を狙うサタン帝国の首領。もとナチスの科学者であり、生体改造技術によって怪人を次々に作り出す。
●全話ストーリー |
風村コンツェルンの風村社長の一人娘・鈴子が社員の姿影夫と共に白ろう魔人に誘拐された。風村家に身代金として十億円を要求する魔人。影夫と鈴子は魔人のアジトを抜け出し、オートバイに乗って逃走するが、一味の追跡から逃れるうちに崖下に転落。二人が眼下の高圧線に触れた時、影夫の影からカゲスターが、鈴子の影からベルスターが誕生した。
影夫たちは辛くも風村家へ逃げのびたが、犯人逮捕に乗り出した屯田警部と業平刑事は鈴子を囮にして再び魔人たちが現れるのを待った。だが、一味はまんまと鈴子をさらい、一味の後を追った影夫も再び捕われてしまう。ピンチに陥った影夫が自らの影に向かって命令した時、影はカゲスターとなって鈴子を救出。そして鈴子の影もまたベルスターとなり、カゲスターと共に魔人一味を追いつめるのだった。
ラストの影夫のセリフによるとカゲスターの誕生理由は「高圧線に触れた時、細胞が分裂作用を起こしておそらく・・・よくわからないけどね」だそうである。細胞分裂で影が実体化したと言われても困ってしまうのだが、カゲローカーやらカゲボウシやらのメカの登場や、カゲスターの影もまたカゲロベェという子分となって動いてしまうという有様では、もはや科学公証がどうのこうのという次元ではない。敵に「化け物」呼ばわりされるヒーローなんてのも珍しいが、誕生理由もよくわからない奇怪なヒーローだけに、そんなセリフにも抵抗なくうなづけてしまう。
第2話 黄金魔人 モグラ作戦!
黄金魔人は京都美術館を襲って美術品を奪い去り、さらに与久野邸の土蔵に保管されている黄金の美術品を狙った。だが、黄金が全てにせものにすり換えられていることを知った彼は、手下たちに命じて地下に土蔵まで通じる穴を掘らせるのだった。
第3話 怪盗紅ヤモリ 追跡作戦!
大会社の給料ばかり狙う怪盗紅ヤモリが出現! 怪盗のアジトの所在を知った鈴子はベルスターを出現させるが、苦戦を強いられる。ベルスターのピンチにカゲスターが駆けつけたものの、分身によって気力の抜けた影夫は会社の仕事で大失態。紅ヤモリは子供たちを人質にとって姿を消すが・・・。
風村コンツェルンでは”ハツラーツ”という健康飲料を作っており、販売促進のための説明会で影夫がその説明をすることになるのだが、ハツラーツを飲んだ後で分身してしまい、取引先のお偉方の前に腑抜けになった影夫がフラフラになって登場。「こりゃハツラーツとは言えんよ」などと言われる始末で、分身後の影夫の設定を活かした名シーン(?)となっている。
第4話 恐怖のワクチン 毒グモ作戦!
子供たちが何者かに操られ、スーパーマーケットや宝石店を襲った。事件の起こった地区の子供たちが皆、インフルエンザのワクチンを受けていることを知った影夫は、ワクチン研究所に分析を依頼するが、所長の三沢によればそれは普通のワクチンだという。
その夜、影夫と鈴子はスーパーを襲った子供たちを追ってある屋敷へと忍び込んだ。そこに現れたクモ魔人こそ子供たちを操っていた張本人であり、その正体は三沢であった。彼は自分の研究が認められずに世間へ復讐を企てたのだ。
クモ魔人こと三沢を演じたのは東宝特撮映画でもおなじみの伊藤久哉氏。ひねくれた学者を好演している。
第5話 蛙怪人 ダイヤモンド作戦!
あるパーティ会場で婦人たちが身につけていた宝石類が盗まれた。調査を開始した影夫たちの前に現れる蛙怪人とその一味。そして、鈴子も出席したパーティ会場でまたしても宝石が盗まれてしまう。
敵キャラは前回まで魔人と呼ばれていたのだが、この回よりなぜか怪人と呼ばれるようになる。仮面をかぶっただけのただの人間(変人ではあるが)に過ぎないので、確かに魔人は言い過ぎか? その正体が意外な人物である事も少なくないが、今回もパーティ主催の婦人とその娘が、それぞれ蛙怪人とドクロの怪人だったという結末。しかも犯罪の理由がただ単に宝石がたくさん欲しかっただけという、あさましい女心がなんとも哀しい。
第6話 冷凍怪人 どぶねずみ作戦!
大和田博士の孫たちを次々に誘拐し、抵抗する者をすべて冷凍にしてしまうネズミ怪人こと神博士。彼は十年前、冷凍実験を行っていた自分を非難していた大和田博士が、その冷凍方式を使って手術に成功したことに腹を立て、その復讐を果たそうとしていたのだ。
第7話 コウモリ男の宝さがし作戦!
影夫と鈴子は謎の男たちに連れ去られそうになった女性を助けた。彼女は行方不明の兄から送られた徳川家の財宝の在り処を示す地図を持っており、怪人コウモリ男がそれを狙っていた。
第8話 カメレオン男の変装大作戦!
大金持ちの家宝ばかりを狙うカメレオン男は、インカ帝国の秘宝・黄金のドクロに目をつけ、得意の変装を使って見事それを盗み出すが、それはあらかじめすり替えられていたにせものであった。影夫はにせもの秘宝を追ってカメレオン男のアジトに潜入する。
第9話 毒アゲハの大魔術作戦!
子供たちを次々にさらっていた毒アゲハの正体は死んだはずのマジシャン・白楽天だった。彼はかつて普通の手品に飽き足らず人間を動物に変えるマジックを行って失敗していた。そのため子供たちを実験材料にして人間を蝶に変えようとしていたのだ。
第10話 フクロウ怪人 夜行作戦!
夜毎、人々を襲い、金銭を強奪していたフクロウ怪人は丸芝電気の金庫室に運び込まれる二億五千万円の給料に目をつけた。怪人とその一味はガードマンになりすましてまんまと現金を盗み出し、国外逃亡を図る。
第11話 魔のオオカミ男 追跡作戦!
超音波拡声器をつけたニホンオオカミを使って人々を襲い、金銀財宝を奪うオオカミ男。事件をさぐってニホンオオカミの研究家・犬神博士をたずねた影夫と鈴子はオオカミ男一味に襲われる。オオカミ男の紹介は博士の弟子のタケミであり、彼は研究費を集めるために犯行を重ねていたのだが、自首をすすめる博士のことばもきかず、今や財宝を奪うことに興じていた。
第12話 豹女の東京ジャングル作戦!
豹女は動物たちに自由を与えるべく東京をジャングルに変えようと、ミツノ博士の孫娘・まゆみを人質にとり、博士に植物を巨大化させる最近ガスを作らせた。豹女こと礼子は可愛がっていた犬が自動車にひき殺されたことから人間に復讐を企てていたのだ。
犬が自動車にひかれたから東京をジャングルに変えてしまおうという豹女の発想がすごい。その狂いっぷりは初期怪人の中でもなかなかのもので、実に魅力的な女性怪人となっている。
第13話 ドクターサタンの世界征服作戦!
ドクターサタン率いるサタン帝国が全世界征服を目指し、行動を開始した。サタンより使命を受けたキバイノシシはロボット人間X1を開発したサイオンジ博士を拉致。さらに、水を石油に変える実験に成功したミネ博士をさらい、何億ものロボット人間軍団を使って世界を征服するサタンG計画を企てる。サタンの基地に捕われた両博士はそれを人々に知らせるべくX1に手紙を託して脱走させた。
なぜかフィシングショップを開くことになった鈴子(風村コンツェルンは釣り用品も扱っているのか?)。影夫もこの店を任され、これまでよりも自由に行動ができることになる(服装も背広姿からカジュアルに変更されている)。ただ、この設定変更によって神成部長の出番が少なくなってしまったのははなはだ残念だ。悪側もサタン帝国なる組織が登場し、他のヒーロー番組の悪役同様、その目的は世界征服となっている。また、本作は長石多可男氏の監督デビュー作でもあり、要所要所に意欲的な演出が光っていた。とは言え、訳のわからない部分もあり、凝り過ぎて半分程撮り直しになったというのも頷ける。
第14話 カマキラーの人形作戦!
怪人カマキラーは人間を人形に変え、これを思い通りに操作しようとしていた。捕えられた鈴子と子供たちを助けるため怪人のアジトに潜入するカゲスター。だが、太陽光線の数百倍もの威力を持つ超電子光線の罠がカゲスターを待ち構えていた。
前回以上に過剰とも言える長石演出が目立つ作品。カメラアングルも凝っており、人間が人形に変えられてしまう恐怖と不気味さを見事に表現している。
第15話 少年サタン隊 ザリガニアン作戦!
タケシたちが見知らぬ男からもらったザリガニが彼らの頭脳をコントロールし始めた。男の正体は怪人ザリガニアンであり、怪人は子供たちを操って少年サタン隊を結成する。
第16話 怪人ムカデリヤ 東京砂地獄作戦!
水を砂に変える毒薬をその体内に持つ怪人ムカデリヤは東京中の飲み水を砂に変え、人々を苦しめた。捜査を始めた影夫の前にムカデリヤが出現。危機一髪の彼を救ったのは、人間の改造研究をしていた南川博士だった。
第17話 恐怖の殺人鬼 ハエドブラー作戦!
ドクターサタンは脱獄犯鬼島真一をハエドブラーに改造した。ドブラーガスを噴射して子供たちの目を見えなくさせるハエドブラー。影夫はカゲスターを分身させるが、カゲスターまでもが目をやられ、一味に捕われてしまった。一方、北東京薬物研究所でドブラーガスの効き目をなくす特効目薬が完成。屯田警部がその運搬にあたる。
第18話 アリジゴク 東京壊滅作戦!
人々をアリジゴク人間に変えたアリジゴク怪人は、彼らの手で東京の地下に巨大なトンネルを掘らせ、そこへ強力爆弾を仕掛けて東京を壊滅させようと図る。それを知った影夫と鈴子は爆弾を探して地下トンネルへ潜入するが、東京壊滅の時間は刻一刻と迫っていた。
第19話 化石怪人サンゴラスの化石大作戦!
怪人サンゴラスはあらゆるものを化石にしてしまう化石サンゴの実験を行った。怪人によって姉を化石にされた少年五郎から話を聞いた影夫と鈴子は分身して怪人に挑む。だが、サンゴラスはさらに化石サンゴを東京上空からばら撒いて東京中の人間を化石にしようとしていた。
第20話 極悪怪人ベアーコング・コピー作戦!
怪人ベアーコングは凶暴なコピー人間を作る”人間コピーマシーン”を使って社会を混乱させようと企んでいた。マシーンによって誕生したコピー人間たちは人間になりすますべく、本人を殺そうとする。
第21話 ゴリラ怪人 大あばれ作戦!
ウェイトリフティングの選手・珍田が世界大会の代表に選ばれなかった腹いせにコーチと大会委員長にけがをさせて姿をくらました。その後、彼はドクターサタンの手によって怪人ゴリオリバーに改造され、ダムの破壊を命ぜられる。凄まじい怪力を発揮し、暴れ回るゴリオリバー。しかもその怪人にかみつかれた人々もまた凶暴なゴリラ人間と化すのだった。
第22話 毒魔人キノコンガ 誘拐作戦!
キノコ博士として有名な宮下博士はキノコのエキスを使って不老長寿の薬を完成させた。だが、自ら実験台となった彼は、薬の作用によって怪人キノコンガになってしまう。人間を次々にキノコに変えるキノコンガ。怪人を追うカゲスター、ベルスターの前に新たな敵カニガブラーが出現。二人をアワのカプセルに閉じ込めてしまう。
第23話 怪人カニガブラー 首狩り作戦!
カゲスターはカプセルからの脱出に成功し、ついにキノコンガを倒した。一方、人間に化けたカニガブラーは執拗に影夫と鈴子を狙い、子供たちを人質にとる。手が出せず、窮地に陥るカゲスター。そんな彼を救ったのは少年・健一の投げた一本の銛だった。健一は、海女だった母親をカニガブラーに殺されていたのだ。
前回はカゲスター、ベルスターのピンチで引きとなっており、シリーズ唯一の前後編・・・と言いたいところだが、キノコンガは冒頭ですぐに倒されてしまい、結局別の話になってしまっている。
第24話 怪人バラキュラーの皆殺し作戦!
薔薇から噴き出した花粉が人間を溶かすという怪事件が相次いで起こった。薔薇の怪人バラキュラーの仕業だ。鈴子を捕えたバラキュラーは彼女を洗脳し、悪の心を持ったベルスターをカゲスターと対決させる。
第25話 ドクガルダー 人喰い作戦!
北陸へ出かけたタケシと子供たちはクラスメートのミエの別荘を訪ねる。だが、ミエの父である昆虫学者の大原博士はひそかに人喰い蛾を作っていた。ミエの体内に爆弾がうめこまれ、怪人ドクガルダーに脅されていたのだ。
第26話 怪人ヤマアラシスの殺人光線作戦!
怪人ヤマアラシスは朝田博士が研究中のSP装置の完成を急がせていた。SP装置は地上の全ての物質の分子を破壊してしまう威力があり、博士は息子の浩一の命を握られていたため、言う通りにせざるを得なかった
第27話 恐怖のトンボギラー 金しばり作戦!
チンドン屋が配っていたスーパーのチラシから突然毒ガスが噴き出した。ピエロに変装していたトンボギラーの仕業だ。カゲスターはそのチンドン屋の汚名を晴らすため怪人に立ち向かうが、トンボ金縛り液をかけられ、身体が動けなくなってしまう。鈴子は影夫を回復させるため、超高圧電流を彼の身体に流した。
第28話 怪人ナメクジーガーの人間あやつり作戦!
怪人ナメクジーガーはナメクジシャワーを使って影夫のクラスメートの坂田を命令通りに動くサタン帝国の奴隷に変えた。子供たちをさらってカゲスター、ベルスターをおびき寄せる坂田。そして子供たちをかばってナメクジシャワーを浴びた鈴子もまた坂田同様、サタンの奴隷になってしまう。
第29話 カラスガー 死の四次元作戦!
四次元パワー製造機を作り出したカラスガーはタケシたちを四次元世界へ閉じ込めた。カゲスター、ベルスターはタケシたちの救出に向かうが、カラスガーはカゲスターを四次元の彼方へ消そうと企んでいた。
第30話 猛牛怪人のカゲスター毒殺作戦!
怪人バッファローギューは善良な市民たちをサタン戦闘員に変え、影夫たちに襲いかかるが、カゲスター武器である角を折られて退散する。角をパワーアップしたバッファローギューはカゲスターをおびき出すべく、影夫が出会った少女・しのぶを捕える。彼女を助けようとする一人の戦闘員。それは行方不明になっていたしのぶの母親だった。
第31話 怪人カミキーラーの炎地獄作戦!
ジェット燃料UXを狙うカミキーラーは発明者の北山博士を襲い、その合成法を聞き出そうとする。だが、UXの合成法のコピーを写したマイクロフィルムは博士の息子・タダオの持つメダルの中に隠されていた。それを知らないタダオは拾った子犬の首にそれをつけてしまう。
第32話 吸血カズラの子供さらい作戦!
吸血カズラゴンは吸血カズラの苗木を育てるためその栄養源となる子供の心臓を狙った。カズラゴンによって次々にさらわれる子供たち。それを目撃した少年・ダイスケはそのことをタケシたちに話すが、普段からうそついてばかりいる彼を誰も信用してはくれない。そんなダイスケの前に再びカズラゴンが姿を現わし、彼をさらっていく。怪人のアジトをつきとめ、そこへ潜入した影夫は子供たちを救いだすが、鈴子を人質にとられて形勢逆転。一味に捕えられてしまった。
鎖で縛られた影夫に回転ノコギリが迫る。どうやってこの危機を脱するのかと思えば、なんと回転ノコギリが彼の身体よりも先に鎖の方を切ってしまったのだ。このマヌケぶりは尋常ではない。ところで、十数年前に静岡のけんみんテレビで再放送された時、なぜかこの回のみ放送されなかった。他の地方では放送されているので、単なる手違いだと思うが・・・。
第33話 オウム怪人の毒殺作戦!
人間を操ることのできる怪人オウムラーダは医師たちを操って患者に毒液を注射させ、東京中にオオムラサキ病をはびこらせた。これに感染した者はたちまち凶暴化し、他の者にかみついて伝染させた上、最後には死んでしまうという恐ろしい病気だ。ついに影夫までもがその犠牲となり、鈴子は開発されたばかりのワクチンを手に入れるべく大里細菌研究所へ向かうが、すでにサタンの手がそこまでのびていた。
第34話 死闘!!激闘!!サタン帝国最後の日!
ドクターサタンは全力を結集して一気に野望を達成せんものと全軍に総攻撃命令を下した。子供たちと釣りを楽しんでいた影夫の前に、冷凍怪人トドギラスがかつてカゲスターに倒された怪人たちをひきつれて出現。さらにフィッシングショップの鈴子のところにも別の怪人たちが姿を現わすが、十一人もの怪人をもってしてもカゲスター、ベルスターを倒すことはできなかった。子供たちを人質にとり、富士山地獄谷に二人を呼び出したサタンは最後の決戦を挑む。だが、怪人たちはカゲスターたちの前に次々と敗れ、ドクターサタンも敢え無く倒れた。そして地上には平和が戻ったのである。
最終回とあって、新怪人トドギラスに加え10体もの再生怪人(という呼ばれ方はされていないので、再生ではないのかもしれないが)が登場。再生怪人が以前より弱いというのはお決まりのパターンなのだが、鈴子にすら押され気味のありさまではどうしようもない。怪人をすべて倒され、カゲスターとベルスターにほとんど一方的に攻撃されて爆死するドクターサタン。なんとも哀れである。また、最後の大サービスは怪人の数だけではなく、神成部長も久しぶりに登場し、小松政夫氏独特のギャグが初期並みに楽しめる。
●データ |
1976年4月5日〜1976年11月29日
NET(テレビ朝日)系 毎週月曜午後7:00〜7:30放映
カラー 30分 全34本 東映作品
[スタッフ]
原作/八手三郎 プロデューサー/吉津正(NET) 松永英(大広) 平山亨、阿部征司 音楽/渡辺岳夫 音楽制作/あんだんて 撮影/小林武治、古市勝嗣、小川康男、吉田重業、加藤弘章 照明/戸塚和夫、銀屋謙蔵、酒井信雄、城田昌貞、山岸清海 美術/川村晴通、阿部三郎、大瀬賢一 助監督/長石多可男、小林俊夫、鈴木隆志、堀内泰治、松本喜隆、天間敏広 作画/野口竜 録音/北條昭二 編集/吉川泰弘、祖田富美夫 選曲/秋本彰 制作主任/飯田康之、工藤孝行 進行主任/原田良彦、伊藤隆造、立花浩、伊藤一男 記録/山ノ内康代、久保田民子、福富京子、紀志一子、森美礼、植松よし子、津田のり子、浅田マリ子、川村澪子、船津一 特技/高橋政生、熊沢敏明 技斗/渡辺安章 制作担当/大里俊博、末永和雄 効果/原田千昭 特殊撮影/石山信雄 企画協力/企画者104 現像/東映化学 特殊美術/コスモプロ オートバイ協力/鈴木自動車工業 美術協力/島野工業 車輛協力/いすゞ自動車 衣裳協力/チャイルド 制作仕上/映広音響 装置/共和美健 装飾/大晃商会 衣裳/入江プロ、佐藤せつ子 制作/NET、東映、大広
[キャスト]
姿影夫/立花直樹 風村鈴子/早川絵美 屯田警部/小林昭二 業平/星純夫 タケシ/佐野伸寿 千秋/渡井直美 風村社長/天草四郎 風村牧子/浜田ゆう子 神成部長/小松政夫 鈴の声/矢島洋子 サタンの声/納屋吾朗 ナレーター/沢りつお