ジャッキー・チェン出演映画
日本未公開作品
ファイティング・マスター (1971年香港)
[別題]ジャッキー・チェンのファイティングモンキー/昇龍拳
[原題]順天立地
監督/ジュー・ムウ
製作年度のジャッキー年齢:17歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
『ジャッキー・チェンの』と冠をつけるほどジャッキーの活躍はない。
主人公は悪の日本政府に追われる京劇役者で、カンフーの使い手。ジャッキーはその弟を演じる。
ジャッキーの出番は少ないし、カンフーも強くない。
最終的には暴漢に囲まれてタコ殴りにされ、刃物で腹部を刺されて殺される。
ジャッキー抜きに考えても、そんなに面白い作品ではないと思う。
観るべきところと言えば、ジャッキーの五分刈りぐらいか。
(この頃のジャッキーは“大沢たかお”にそっくりだと思うのだが、どう?)
日本未公開作品
ドラゴン・ファイター (1973年香港)
[別題]ジャッキー・チェンのヤング・タイガー
[原題]日可出馬
監督/ジュー・ムウ
製作年度のジャッキー年齢:19歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
この映画の役回りは、チンピラ団のリーダー格。
悪役として引き立たせるためか、ジャッキーの左顎には大きな黒いアザが描かれている。
この映画もまた、ジャッキーの活躍を期待した人には大ハズレの作品。
チンピラ団に追われる女を助けたタクシー運転手が事件に巻き込まれる話。
特質する事のない凡作だが、食事中、不自然に性風俗の乱れや映画界に対する憤りを話す雑談シーンは、
なんか監督の愚痴っぽくって笑った。
日本未公開作品
燃えよジャッキー拳 (1974年香港)
[別題]タイガー・プロジェクト/ドラゴンへの道序章
[原題]廣東小老虎
監督/ナイ・ホイフン
製作年度のジャッキー年齢:20歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
このダサダサな日本タイトルは置いといて、若きジャッキーの演技を観れるだけでも価値あり。
(しかしジャッキー拳ってなんだよ。コロコロコミックのセンスだ。)
町のチンピラが何か悪さをするたびに、巻き込まれるジャッキー(役名:タイガー)。
毎回カンフーでチンピラを凝らしめるが、師匠は理由も聞かずにいつもジャッキーを叱る。
チンピラの悪行は徐々にエスカレートし、ついには師匠の口から「奴等を叩きのめせ!」の声が出る。
ストーリー展開としては、ノーマルなカンフー映画と言えるだろう。
ラストのメッセージで「人はなぜ平和に愛し合えないのだろう?」は、唐突過ぎるぞ。
日本未公開作品
ビッグマスター (1974年香港)
[別題]ジャッキー・チェンの鉄指拳
[別題]ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳
[原題]刀手怪招
監督/チン・ミン
製作年度のジャッキー年齢:20歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
「燃えよジャッキー拳」の映像を拝借し、
追加映像を加える事で別のストーリーにしたという香港にありがちな生い立ちを持つ作品。
しかも、追加映像にはジャッキー本人は出演しておらず、
体型の似たそっくりさんが、暗がりで練習したり、目隠しをして戦ったりする。
「燃えよジャッキー拳」あっての作品なので、エンディングもいきなりやってくる。
追加ボスキャラが崖から落下し、それを目隠ししたまま見つめるニセジャッキー。
余韻も残さず「THE END」の文字。逃げるように幕を閉じる映画になっている。
追加映像は、酔拳の師匠役で有名なユエン・シャオティエン氏を中心に構成されているので、
氏の演技を拝めるという意味では参考になる作品と言える。
金瓶梅(1974年香港)
[原題]金瓶隻艶
監督/リー・ハンシャン
製作年度のジャッキー年齢:20歳頃
おすすめ度:−−−−−
日本未公開作品
ジャッキー・チェンの秘龍拳/少林門 (1975年香港)
[別題]ジャッキー・チェンの秘龍拳
[原題]少林門
監督/ジョン・ウー
製作年度のジャッキー年齢:21歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
本作の監督は、今や世界のアクション監督ジョン・ウー(出演もしている)。
ジャッキーは主演ではないが、脇を固める重要な役回りである。
少林寺の裏切り者が悪の将軍と策謀し、少林寺一門を排他、町を支配する。
数年後、多くの少林門徒の仇をとるために、一人の青年が送りこまれる。
一度は失敗するも、剣の達人、槍の達人(ジャッキー)などの仲間を得て再び将軍へと挑む。
若きサモ・ハン・キン・ポー、ユン・ピョウなども堪能できるのでお得な気分だ。
ジャッキーのハイライトは、おとりとなって一人で役人達を槍技で迎え討つシーン。
日本未公開作品
レッド・ドラゴン (1976年香港)
[別題]ジャッキー・チェン/新・怒りの鉄拳
[原題]新精武門
監督/ロー・ウェイ
製作年度のジャッキー年齢:22歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
まだジャッキーの顔は洗練されてないというか、世界に出せる顔じゃないな。
実はこの映画は、かのブルース・リー主演「ドラゴン怒りの鉄拳」の正統な続編として作られている。
監督も同作品と同じロー・ウェイ。
しかし、ブルース・リー作品は全てにおいてブルース・リーの存在が全てであり、
設定やストーリーを持って来て「続編」と言われてもピンと来ないのは致し方ないところだ。
やはりこの作品はジャッキーの出世作第一歩として観るべきだな。
さて、本題であるが、カンフーアクションはやや抑え目。
前半のジャッキーはカンフー嫌いなコソ泥青年。
本格的な活躍は映画終盤に日本人武道場「大和会」との抗争。
みどころはサイと三節棍の珍しい武器対決。(ヌンチャクも使って欲しかったが)
衝撃のラストはジャッキー作品には珍しい展開。
スネーキーモンキー/蛇拳 (1976年香港)
[別題]ジャッキー・チェンの蛇拳
[原題]蛇形刀手
監督/ユエン・ウーピン
製作年度のジャッキー年齢:22歳頃
おすすめ度:★★★★☆
ジャッキーが考案したという手を蛇の形にして闘う蛇拳のコンセプト。
それがこの映画を成功に導いた。
100年余り対抗してきた“蛇拳”と“鷹爪拳”。
そんな事はまったく知らないジャッキーは、蛇拳の老師と出会い、
その技を教わる事になる。
その老師というのが、のちに『酔拳』でもジャッキーとの名コンビぶりを見せたユエン・シャオティエン氏である。
鷹爪拳の刺客に狙われる老師とジャッキーが、華麗な格闘シーンを繰り広げる。
ストーリー的には特に捻りはないのだが、
それだけに『蛇拳』というテーマがわかりやすくダイレクトに伝わってくる。
間延びした場面もなく、テンポの良い映画に仕上がっている。
さらに、弟子であるジャッキーが蛇拳に猫の動きを加えて技を強化するシーンなどは、
実際の中国拳法の設定に近くてGOOD。
ジャッキーの演じる主人公には『素直でまっすぐなタイプ』と
『金持ちのボンボンで悪知恵の働くタイプ』が多いのだが、この映画は前者である。
私は前者のタイプの方が好きである。
『善人の努力家は報われる』という映画は日本人好きする基本であろう。
日本未公開作品
ファイナルドラゴン (1976年香港)
[別題]ジミー・ウォング&ジャッキー・チェン/キラードラゴン流星拳
[原題]風雨雙流星
監督/ロー・ウェイ
製作年度のジャッキー年齢:22歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
ジャッキー・チェンが悪役を演じている珍しい作品である。
ジャッキーの悪役は新鮮ではあるが、それ以上に衝撃的なのは、この映画がバカ映画だという事だ。
まさかジャッキーの出演している映画の中にこれほどレベルの高いバカ映画があるとは・・。
バカ映画が嫌いなら、星1つ消してくれ。
詳しい内容は、バカ映画のページに掲載しておいた。
蛇鶴八拳 (1977年香港)
[別題]ジャッキー・チェン/蛇鶴八拳
[原題]蛇鶴八歩
監督/チェン・チー・ホワ
製作年度のジャッキー年齢:23歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
映画のオープニングからジャッキーが既に強いという設定。
これだけで展開が異色になる。
だいたいこの頃のカンフー映画というのは、それほど強くない青年が、
過酷な特訓の成果で仇を討ったりといったものが多い。
しかし、最初から強いジャッキーは風格があり、この展開も捨て難い。
さながら第二部に突入した頃のケンシロウのようだ。
物語の中心は、ジャッキーの持つ『蛇鶴八拳』の極意書を狙う様々な人間と、
その極意書に隠された謎の部分なのだが、
その刺客たちのキャラクターが、妙に立っていて面白い。
それらのキャラクターが、時には味方、時には敵となって物語は展開していく。
しかし彼らが生きてくるのは、ジャッキーあってのもので、
中盤でジャッキーが負傷してからのしばらくは中弛み状態になってしまった。
少林寺木人拳 (1977年香港)
[別題]ジャッキー・チェンの少林寺木人拳
[原題]少林木人卷
監督/チェン・チー・ホワ
製作年度のジャッキー年齢:23歳頃
おすすめ度:★★★★☆
木人拳とは拳法の名前ではなく、少林寺の最終修業の名前で、これをクリアーすると卒業できる。
もちろん本当にこんな修業があったかどうかはかなり怪しい。
というよりたぶんない。そうそう上手く木人が鎖だけで動くわけがない。
確かにこの映画は、タイトル通り“木人”という奇抜なアイデアが注目の的なのだが、
それよりも、ジャッキーの役まわりが非常にドラマティックなのだ。
父の仇を討つために少林寺へ入門し、二人の師を持つジャッキー。
口の聞けない青年というのも、良い味付け。(この設定のタネ明かしはいかにも東洋的だ)
徐々に力をつけていき、ついに木人拳をクリアーして町に出たジャッキーは、
恩師との因果関係にさいなまれながら、仇を討つのであった。
成龍拳 (1977年香港)
[原題]剣・花・煙雨江南
監督/ロー・ウェイ
製作年度のジャッキー年齢:23歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
おふざけなしのジャッキーが、裏切られた友達を倒すまでを描いた正統派。
とはいえ、変な色恋沙汰はあるし、妖術使う盗賊団は出てくるしで、
どこまで正統派かはわからないが。
唐突に主人公に惚れる盗賊団の頭領は、国民性だろうか?
女性が師匠というのも珍しい形である。
結局『成龍拳の極意』って何だったのか謎だが。
カンニング・モンキー/天中拳 (1978年台湾)
[原題]一招半式闖江湖
監督/チェン・チー・ホワ
製作年度のジャッキー年齢:24歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
いきなりオープニングからショートコントが始まる。
劇中も変なキャラが出てきたり、効果音がやたらと変だったりと大胆なディフォルメ。
まるでクレージーの映画を観ているようだ。
それに拍車をかけるのが日本語訳のセンスで、
技の名前が『ツッパリハイスクール』『一本でもニンジン』『友達の輪』だったり、
二人組の盗賊のセリフを関西弁にして「お前たちオール阪神巨人か?」なんて言ったり、
ちょっと悪ノリが過ぎる翻訳ぶりである。
それにしても納得いかないのは、カンフー初心者のはずである主人公が、
たいして時間がたっていないのに終盤にはカンフーの達人を倒してしまうジャッキー。
タイトルのカンニング・モンキーというのは、
戦いながら「技の書かれたメモ」をカンニングする事からつけられている。
日本未公開作品
ジャッキー・チェンの燃えよ!飛龍神拳 怒りのプロジェクト・カンフー (1978年香港)
[別題]ヤング・ボディガード 神拳
[別題]ジャッキー・チェンの飛龍神拳
[原題]飛渡捲雲山
監督/ロー・ウェイ
製作年度のジャッキー年齢:24歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
この邦題は、もう何かを見失ってるよなあ…。長いし。
『燃えよ!』『怒りの』『カンフー』『神拳(北斗神拳)』と当時よく使われたものを全部入れた感じ。
しかも、そのほとんどが本編の内容と全然フィックスしてないし。
TV版タイトルの「ヤング・ボディガード 神拳」だけは一応内容観て考えたっぽい。
カンフーの達人ジャッキーは、「病気の弟を町まで運ぶのに護衛して欲しい」と美女に頼まれる。
だが、その為には盗賊団の支配する捲雲山を越えなければならないのだ。
つんぼで蹴りの達人や、相手の皮を剥ぐ達人などを仲間にして山を越える一行。
だが、そこには一行と山賊を巡る陰謀があった!
ロー・ウェイが描くちょっと変な世界が今回も出来あがっている。
指が6本ある男や、生きた羅漢像、仕掛け部屋などのギミック満載で、
この手のC級映画が好きな人にはそこそこ楽しめる。
ジャッキーの活躍はそれほど目立たないのだが、
出てくる登場人物のキャラクターが立っているから良しとするか。
それにしても、なんでこの頃のカンフー映画はトドメを刺す前に『終劇』になるんだ?
ドランク・モンキー/酔拳 (1978年)
[別題]ジャッキー・チェンの酔拳
[原題]酔拳
監督/ユエン・ウーピン
製作年度のジャッキー年齢:24歳頃
おすすめ度:★★★★★
一連のカンフー路線で、最も完成度の高い映画。
老師に拾われての修行を経て、ライバル拳士をついに倒すという王道は、
まさにこの映画が中心になって広まったと言って良いだろう。
酔拳という題材も観ている者に分かり易く伝わって功を奏している。
「酔えば酔う程強くなる」ってね。
拳精 (1978年香港)
[別題]ジャッキー・チェンの拳精
[原題]拳精
監督/ロー・ウェイ
製作年度のジャッキー年齢:24歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
秘蔵の拳法「七殺拳」の教本が盗まれた!この「七殺拳」に対抗できるのは「五獣拳」のみ。
ここまではいい。しかし、これからがアンビリーバボーな設定が展開する。
少林寺のダメダメ君だったジャッキーであるが、
ふとした事から「五獣拳の精霊」と出会い、拳法を習う事になる。
この精霊のデザインというのがまた凄い。
白の全身タイツに白塗りの顔、そして赤毛の長髪というイデタチ。まるで前衛舞踊だ。
そいつらに拳法を習ってメキメキ強くなるジャッキー。
最後の闘いなんかは、精霊たち(他の人間には見えない)の力を借りて勝つ始末。
コントみたい。
龍拳 (1978年香港)
[原題]龍拳
監督/ロー・ウェイ
製作年度のジャッキー年齢:24歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
「ジャッキーのカンフーアクションが見れる」という以外には実りのない作品。
そのアクションでさえ、何のギミックもないので冗長に感じる。
起承転結というか、映画全体に凹凸がない。
もしジャッキー主演でなかったら、
多くのカンフー映画の1つとして記憶の彼方へ消えていた事だろう。
クレージーモンキー/笑拳 (1978年香港)[監督、脚本]
[原題]笑拳怪招
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:26歳頃
おすすめ度:★★★★☆
時は清朝末期。
清国の使いである暗殺者ルウは、3人の部下を従えて清の意に従わぬ武術家を探して暗殺していた。
主人公シンロン(ジャッキー)の祖父もルウに追われる身。病を患いながら孫と一緒に山奥に隠れ住んでいた。
そんな事を知らないシンロンは、カンフー道場の用心棒を引き受けてしまう。
それによってルウに隠れ場所を突き止められ、シンロンの祖父は殺される。
復讐しようとするシンロンを止めたのは、祖父の弟子であった“八本足”。
彼はシンロンを鍛え上げ、感情の変化を利用する奥義を伝授。
かくしてシンロンはルウの前に立つのだった。
ジャッキー初監督作品にして、初期の代表作の一つ。
「仇討ち」「おふざけ」「独特の拳法」という三点セットが凝縮されている。
ジャッキーはこの78年度作品として6本ものカンフー映画に主演し、
どれも水準以上の作品として残しているのだから凄すぎる。
特にこの笑拳はジャッキーの監督作品という事もあって、
これを観るだけでジャッキー映画の本質が見えてくるのではないだろうか?
この作品のメッセージは、カンフー映画の“エンターテイメント性”という新たな試み。
変装して道場破りと闘ったり、
喜怒哀楽を使った拳法を題材にする事で格闘シーンにアクセントを与えたり。
完成度という点では同年の酔拳の方が上と見ているが、
ジャッキーのカンフー映画を語る上では外せない作品だ。
ところでこの作品、当時ジャッキーが所属していたローウェイ・プロとのトラブルの渦中で生まれている。
ローウェイ・プロの用意する環境や金銭面に折り合いがつかなくなったジャッキーが、
『醒拳』撮影中だったジャッキーが独立プロを作り、キャストを引き連れて新たに制作したのが本作。
本作と『醒拳』が何かと類似しているのはそんな事情があった。
キャノンボール (1980年アメリカ&香港)
[原題]砲弾飛車、THE CANNONBALL RUN
監督/ハル・ニーダム
製作年度のジャッキー年齢:26歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
コメディ映画としてはうまくまとまっている方だと思うが、ジャッキーのアクションはちょっとだけ。
そもそもアクション俳優のジャッキーに“車の中に居続ける”役をやらせるのが間違い。
コンビとして共演したマイケル・ホイ同様に、キャラクターをまるで生かされていない。
名もないアジア系役者にやらせても同じだっただろう。
それにしても日本人役なのに、なぜに広東語?
バトルクリーク・ブロー (1980年アメリカ&香港)
[原題]殺手壕、THE BIG BRAWL
監督/ロバート・クローズ
製作年度のジャッキー年齢:26歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
ジャッキーのハリウッド進出第1弾である。
ジャッキー自身は『失敗作』としているが、それほど観れないものにはなっていないと思う。
確かに『プロジェクトA』や『ヤングマスター』などと比べると圧倒的にスピード感は劣るし、
見せ方のヘタなシーンも多いのだが、『ドラゴン・ファイター』『龍拳』とかと比べれば映画として完成しているだけ良い。
アメリカンな役を演じる初期のジャッキーは貴重だし、アメリカ人とのカラミは新鮮だ。
ジッャキー映画の格闘は、
大抵“カンフーVSカンフー”“マーシャルアーツVSマーシャルアーツ”になるのだが、
この映画の闘う相手は、思いっきり米インディ団体のレスラーといった感じ。
その中に一人だけ、動きの素早いカンフー使いがいるので、さながら異種格闘技戦の様相だ。
そういう意味で言えば、ジャッキーファンにとって夢の映画と言えなくもない。(^^;
余談ではあるが、「ポリスストーリー」系の現代アクションで、
『蛇拳』や『酔拳』を使う映画を作ったら面白いと思うのだが、どうだろうか?
【一口メモ】
この映画でジャッキーの前に立ち塞がるヒゲが印象的な巨漢レスラーのキッスは、
ハードボイルド・ハガティという本物のプロレスラーである。
“喧嘩屋”の異名を持ち、日本にも1963年に2度招聘され、力道山とタッグマッチなどで激突している。
そんなハードボイルド・ハガティだが、2004年1月27日、自宅で家族にみとられながら生涯を閉じた。
享年80歳であった。
ヤング・マスター/師弟出馬 (1980年香港)[監督、脚本]
[原題]師弟出馬
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:26歳頃
おすすめ度:★★★★★
ジャッキーが監督した最後のカンフー時代劇。
なにより、そのカンフーアクションは見所満載である。
ジャッキー映画特有のユーモアが、アクションのそこかしこに散りばめられており、
カンフー映画ファンならずとも、目を見張る事だろう。
中でも扇子を使った華麗なアクションは、目に焼き付いて離れない。
それと、格闘ゲームのボス並のべらぼうに強い悪漢の存在も、大きなインパクトになっている。
ジャッキーが積み重ねてきたエッセンスを、ギューッと絞り上げた名作と言えるだろう。
もし、この作品と『クレイジーモンキー酔拳』を見ても、何も感じるものがなければ、
カンフー映画もしくはジャッキー・チェンそのものに感性が合わないのだろう。
ジャッキー・チェン/ドラゴン特攻隊 (1982年香港&台湾)
[原題]イ尓迷特攻隊
監督/チュー・イェンピン
製作年度のジャッキー年齢:28歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
一体何がやりたいのか不明。
それとも、やりたい事を無理矢理詰め込んだのか・・。
キャラクターの濃い連中を集めて「ドラゴン特攻隊」を結成、
捕まった人質(各国の将軍達)を助けるために、出陣するのだが。
その道中に女戦士だけのアマゾネス村は出るし、幽霊屋敷でキョンシーとのコントはあるし、
人質に取った軍団は、ハーケンクロイツを掲げるわりには兵士にサムライがいたりとか。
“これはギャグだよ”というには本気でチープなのである。
コメディ映画として貫いているかと思えば、最後は「ドラゴン特攻隊」全滅という悲しい結末。
ところでジャッキーの活躍であるが、ジャッキーは主演ではない。
ドラゴン特攻隊のメンバーではなく、出番も少ないので注意。
でも最後の10分だけ観たら、間違いなくジャッキー主演映画だと思うよな。
バカ映画が好きでなければ、おすすめ度−1。
ドラゴンロード (1982年香港)[監督、脚本]
[原題]龍少爺
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:28歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
おそらくやりたかったのは、冒頭と中盤で展開する『ラグビー風競技』と『サッカー風競技』である。
それ以外の部分はごく普通・・・いや、カンフー映画としての見せ場は標準より少ない。
なにより主人公のジャッキーは、たしなみ程度にカンフーをやっている金持ちの坊ちゃん。
最後まで特訓シーンがあるわけでもなく、ボンボンのままエンディングに雪崩れ込む。
正直言って、ラグビーもサッカーも凄い事はやっているのだがそれほど盛り上がりを見せない。
終盤、乱闘シーンでのバルコニーを使った攻防がハイライト。
ハリウッド帰りのジャッキーが、鬱憤を晴らすように作った作品だが、
ジャッキー自身のアイデアが盛り込まれた作品の中でも凡作の部類に入る。
キャノンボール2 (1983年アメリカ)
[原題]CANNONBALL RUN II
監督/ハル・ニーダム
製作年度のジャッキー年齢:29歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
やはり今回の出演も、前作「キャノンボール」に続いてチョイ役。
しかし、パトーナーの大男とのコンビは、前作のマイケル・ホイよりも相性が良く、
画面としてジャッキーの個性が(前作よりは)出ていたように思う。
ジャッキー関係なしで映画としての出来は前作より下だが。
ジャッキー・チェンの醒拳 (1983年香港)
[原題]醒拳
[別題]クレイジーモンキー/大笑拳
監督/チェン・チュアン
製作年度のジャッキー年齢:29歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
展開は「酔拳」や「笑拳」といったものと似てはいるのだが、
コンセプトがないまま展開するので、ダラダラ感を感じる。
道化者の役回りだったジャッキーが、後半真面目な拳法家になっているのも支離滅裂だし、
なにより全体的にドンヨリ漂うC級感は、既に味ですらある。
実はこの作品、プロダクションのトラブルでほとんどジャッキーは出演しておらず、
『笑拳』のボツ映像や、『ジャッキーのそっくりさんを使って撮られた映像』を未完成フィルムにツギハギして完成している。
今では貴重な珍作である。
プロジェクトA (1984年香港)[監督、脚本]
[原題]A計劃
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:30歳頃
おすすめ度:★★★★★
ジャッキー映画の最高傑作。構成、展開、見せ場、どれを取っても一級品。
これ以後のジャッキー作品にも大きな影響を与えている。
それに加えて、サモハン・キン・ポー、ユン・ピョウという豪華共演。
小人数で海賊島に潜入というラストも映画として旨味が詰まっているではないか。
ちなみに帝王が一番観ているジャッキー映画はコレで、一時はセリフが全部言えた。
スパルタンX (1984年香港)
[原題]快餐車
監督/サモ・ハン・キンポー
製作年度のジャッキー年齢:30歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
プロジェクトAで実現したビッグ3(ジャッキー、ユン・ピョウ、サモハン)が再び共演した第二弾。
三人の人気がノリにのっていたので、大々ヒットを記録したが、
今見ると作品としての質は、『プロジェクトA』には及ばない。
めまぐるしいアクションの連続というよりも、アイドル映画っぽい構成。
木の杭を使って壁をよじ登るシーンは必見。凄い。
敵役に起用したベニー・ユキーデとの絡みも興味深い。蹴りの伸びとスピード、さすが鳥人である。
五福星を予感させるギャグシーンは隠し味だろう。
ちなみにこの映画のノリの良いテーマ曲は、現在では全日本プロレスの三沢光晴選手のテーマ曲として有名である。
五福星 (1984年香港)
[原題]奇謀妙計 五福星
監督/サモ・ハン・キンポー
製作年度のジャッキー年齢:30歳頃
おすすめ度:(コメディ映画として)★★★★★/(ジャッキー映画として)★★★☆☆
この映画はそもそも、サモハン・キン・ポーを中心とする五人の個性豊かな男達が主人公で、
ジャッキーは客演といった役まわりである。
それでもローラースケートを使ったアクションは一つの見せ場になっている。
私の観た香港映画で最も円滑にギャグがスウィングしている作品。
ファースト・ミッション (1985年香港)
[原題]龍的心
監督/サモ・ハン・キンポー
製作年度のジャッキー年齢:31歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
この映画の主題は、“知恵後れ”の兄(サモ・ハン・キンポー)を持つ刑事(ジャッキー)の苦悩と兄弟の絆。
そのため、ジャッキーのアクションは控え目で、それほど特筆すべきスタントもない。
この映画で印象的なのは、やはりサモ。サモの映画史上、最大のハマリ役ではないだろうか…?
日本ではこれほどストレートな“知恵後れ”表現をコメディ調に描く事はないだろう。
最初観たときは、少しブルーになったものな。
それにしても、本題とはまるで関係ない主題歌、東京サタデーナイト(ジャッキーが日本語で歌う!)はどうかと思うぞ!
プロテクター (1985年香港)
[原題]威龍猛探
監督/ジェームズ・グリッケンハウス
製作年度のジャッキー年齢:31歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
序盤はハリウッド映画の趣きがあるが、舞台が香港になってからはいつものジャッキー映画である。
ジャッキーのアクションはそれなりに見せ場はあるのだが、脚本がそれほど上手くない。
気付くと新たな登場人物と一緒に行動していたり、今まで一緒に行動していた人物がいつの間にか居なかったり。
最初に誘拐された少女の救出に絞って展開すべきだったと思う。
闘いの舞台がクレーンで吊られた資材の上だったりと、ゲーム的な一面もある。
アメリカ人監督が撮ったこの映画は、ジャッキーも大いに不満だったらしく、
ジャッキーの手でシーンの追加や大幅な編集を行っている。
ポリス・ストーリー/香港国際警察 (1985年香港)[監督、脚本]
[原題]警察故事
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:31歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
この映画は、現在のジャッキー作品のパターンを初めて完成させたと言っていいだろう。
そしてそれは、カンフーアクションよりも“やられる側のやられ方”にこだわりを持った作品。
投げられた先にガラス張りのショーケースがあったり、
吹き飛ばされた先が痛そうな角っこだったり、
エスカレーターの溝にはまって滑り落とされたり・・。
冒頭のバスを止めるシーンなんかは、受け身をとっていながらも、
ほぼ垂直落下で頭から落ちてるぞ。
香港のスタントマンはシャレにならない、ホント。
もちろんジャッキーも同じように危険なアクションをやているわけだが。
香港発活劇エクスプレス 大福星 (1985年香港)
[原題]福星照高
監督/サモ・ハン・キンポー
製作年度のジャッキー年齢:31歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
日本が舞台となって、ジャッキーとラッキースターズ5人が事件を解決する話。
『五福星』よりもアクション性が高まっているが、コメディの質は幼稚化した感がある。
日本のマフィア(?)の部下が忍者だったり、
和服を着た日本女性が着物を脱ぐとレオタードを着たボディビルダー(西脇美智子)だったりと、
はっきり言ってしまえばバカ映画の部類に入るのだが、
ジャッキーやサモハンのアクションは見応え十分なので、ファミリー向け映画とでも位置づけておこう。
舞台が日本のため、日本人も多く登場するが、そのほとんどが棒読みの大根役者なのも見逃せない。
ちなみにユン・ピョウも華麗なアクションを披露するが、最初と最後にちょっとだけだ。
余談ではあるが、日本では同時上映に『嵩山少林寺』という映画をやっており、
当時劇場に観に行った私は「なんか少林寺の方が面白かったなあ」と感じたものである。
七福星 (1985年香港)
[原題]夏日福星
監督/サモ・ハン・キンポー
製作年度のジャッキー年齢:31歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
カンフーとコメディのぶつぎり。コメディの部分は失笑もの。
サモハンが女性を容赦なくぶっとばすシーンに国民性の違いを感じた。(オカマという設定だが)
サンダーアーム/龍兄虎弟 (1986年香港)[監督]
[原題]龍兄虎弟
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:32歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
ハイライトは突然やってくる。
原住民が奉っている聖剣を盗むジャッキー。
実はこの冒頭15分が最もインパクトのあるシーンである。
原住民が崇拝している聖剣を盗み出し、華麗なアクションで逃げて行くジャッキー。
このシーンが実に爽快感のあるカットになっている。
そういえば、レイダースのオープニングにもこんなシーンがあったっけ。
全体的な構成としては、ハリウッド映画をかなり意識した作りになっているが、
スケールの大きさはあまり感じなかったな。
出来は悪くないと思うのだが、不思議と見終わったあとの印象が薄いのである。
最後の戦いの相手が女黒人筋肉軍団というのもチープな印象を与えているかも。
ところで、本作で最も有名なエピソードは、ジャッキーが作品中に死にかかった事だ。
塀の上から木に飛び移るというイージーなシーンでミスをしてしまった。
ジャッキーの体はそのまま地面に落下して、岩に頭部を直撃してしまったのだ。
そのとき頭蓋骨に空いた穴は、今もジャッキーの頭に存在する。
意識不明になって運ばれる姿はエンディングで見る事ができる。
プロジェクトA2/史上最大の標的 (1987年香港)[監督、原案]
[原題]A計劃: 續集
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:33歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
名作プロジェクトAの続編であるが、前作のような豪華さはなく、
サモもユン・ピョウも出演していない。
前作の海賊島潜入といった盛り上がりのないまま、
「え?これで終わり?」といったエンディング。オチがない。
というより、プロジェクトAの名を借りた「ポリス・ストーリー」と言って良い。
サイクロンZ (1988年香港)
[原題]飛龍猛将
監督/サモ・ハン・キンポー
製作年度のジャッキー年齢:34歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
戦う弁護士ジャッキーと、その友達のサモとユン・ピョウが繰り広げる珍騒動。
麻薬工場を営む暴力団の弁護をする事になったジッャキーが、相手方の姉妹に接近する。
示談の持ち込む為に接近したジャッキーとサモだが、それぞれ本気の恋になってしまう。
結局、ダマしていたジャッキー達が100%悪いヤツらだと思うのだが、
『もう本気になってんのに聞き分けのない女達』ってな表現をされてて、
ここら辺は監督のサモハンイズムを感じずにはおれないな。
さて、ユン・ピョウは正義感は強いが、間が抜けていて天然ボケのキャラクター。
『特攻野郎Aチーム』で言うところの“クレージー・モンキー”的な位置か。
ユン・ピョウはこの手の役回りがなぜか多いな。
前半はアクション控えめで、3人と姉妹をからめたコントに終始。
終盤15分ぐらいに麻薬工場内での物凄いアクション(特にユン・ピョウ)が見られるが、
映画全体としては物足りない。
(ちなみにスパルタンXでも登場したベニー・ユキーデが本作でも華麗な蹴りを披露している)
ジャッキー、サモ、ユン・ピョウのビッグスリーが出揃った最後の作品である本作が、
一番スケールの小さい作品になってしまった。
九龍の眼/クーロンズ・アイ (1988年香港)[監督、脚本、原案]
[別題]ポリス・ストーリー2/九龍の眼
[原題]警察故事續集
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:34歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
完全に『ポリスストーリー』の続編。
それなのに、このよく解からない邦題は一体なんなんだ?
素直に『ポリスストーリー2』にするよりも興行収入が上がると目算したのだろうか?
物語は、前作でジャッキーによって逮捕されたボスの逆恨みによる嫌がらせと、
恋人のマギー・チャンやボケ役の部長をからめたコメディシーンで展開し、
後半は爆弾魔グループに狙われたクーロン社と、その捜査をするジャッキーで展開される。
ラストでもの凄い火薬量を使用したり、危険な“屋根落ち”などが用意されているが、
どちらかというと、記憶に鮮明に残るようなハデな仕掛けの数々があるわけではない。
比重で言えば、コント並のお笑いシーンが一番多いように思う。
前作『ポリスストーリー』は、ジャッキー映画の中で1、2を争う危険なスタントの連続だったが、
本作はそれに比べて“刑事ドラマ”の枠に収まった作品に落ちついていると言って良いだろう。
とはいえ、公園の雲梯などを使った格闘シーンなどの細かい演出は冴えており、
ジャッキーファンならばホレボレと凝視する事は間違いなかろう。
ミラクル/奇蹟 (1989年香港)[監督、脚本]
[原題]奇蹟
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:35歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
アクションは味付け程度にしかない。
ジャッキーの映画というよりも、「奇跡」という映画にジャッキーが起用されたといった印象。
ジャッキー自身が監督しているので、その考えは正しくはないのだが。
物語は、古き良きハリウッド映画を彷彿とさせるが、そこかしこに香港映画の香りを残している。
主人公の青年(ジャッキー)は、詐欺師に騙されて、一紋無しになる。
落ち込んで町をぶらついていると、マフィアの抗争に巻き込まれる。
そして、流れのままに助けたマフィアのボスは、胃を悪くして死んでしまうのだ。
その死の間際ボスは部下に言う。
「胃の事は・・この若者にまかせる・・」
その言葉を聞いた部下は、『後継者をジャッキーにする』と言ったと勘違いする、
という物凄く強引な導入から物語は始まるのだ!
前半は、「静かなるドン」のように、
『普通の青年が、突然異世界に放り込まれて隠れた才能を発揮して行く』
というサクセスストーリー的なノリで展開するのだが、
後半になると突然、『世話になった花売りおばさんのために一芝居打つ人情話』に路線が変わる。
こうなると、妙に規模が小さい感じの映画に納まってしまい、前半のノリで突き進んで欲しかったように思う。
でも、ジャッキーが本当にやりたかったのは“後半のノリ”だと推測できるのだが。
ジャッキーアクションとしては、終盤の工場内での喧嘩シーンがみどころだろう。
梯子やロープを使ったコメディタッチのアクションスタントがスピーディに展開する。
ちなみにタイトルの「ミラクル/奇跡」とは、人生の転機を表したものであり、
ミラクルなアクションの連続という期待をしてはいけない。
プロジェクト・イーグル (1991年香港)[監督]
[原題]飛鷹計劃
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:37歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
ジャッキー版の『インディ・ジョーンズ』といったところだが、
ほとんどのシーンは、ジャッキーと一緒に旅をする三人のマドンナが引き起こすドタバタで構成されているため、
そのためか、見どころ満載の割には、映画を見終わったあとにこじんまりとした印象を受ける。
物語としても、わかりやすい反面、アイドル映画っぽい雰囲気がある。
カッコイイアクションはあまりないが、キートン映画のようなコミカルアクション満載で、
肩に力を入れずに飽きる事無くエンディングまで楽しめると思うな。
ラストの風力を使ったシーンは、よく出来た面白いアイデアだ。
炎の大捜査線 (1991年香港&台湾)
[原題]火焼島
監督/チュー・イェンピン
製作年度のジャッキー年齢:37歳頃
おすすめ度:★★★★☆
これまでのジャッキー映画にあるような痛快娯楽アクションを期待して観ると、肩透かしを食らうだろう。
この映画のビデオパッケージを観ると、ジャッキー・チェンという名前が大きく踊っているが、
ジャッキーは主演ではない。脇を固める準主役といったところか。
ジャッキー目当てで観ると物足りないかも知れない。
ところがこの映画、ドラマとして良く出来ている。
奇妙な男の友情、裏切り、脱走、汚い看守達の裏工作。例えるなら男版の女囚サソリといったところか。
特にスーパーヒーローの登場しない構成は、アクションスターを多数キャスティングした映画としてはかなりの意欲作と言える。
邦題の意味はよくわからないがな。(本当に映画の内容観てつけた?)
ツイン・ドラゴン (1992年香港)
[原題]雙龍會
監督/ツイ・ハーク
製作年度のジャッキー年齢:38歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
ジャッキー・チェン一人二役をこなした意欲作。
双子のジャッキーは、生れてすぐ生き別れとなり、
一方は天才音楽家、一方はカンフー使いのレーサーとなっていた。
ニューヨークから香港にやってきたインテリの方は、体育会系ジャッキーと出会い大騒動に巻き込まれる。
とにかく交互の恋人に勘違いされたりといったドタバタが満載で映画全体を盛り上げる。
また、一方はカンフーの名手だが、一方はケンカがまるでダメという設定は、
ジャッキーのいろいろな面を見れて非常に面白い。
全体として話の重みはなく、最後は無理矢理カンフーシーンが展開しているように感じるが、
コメディ映画として観れば良く出来た作品である。
ポリス・ストーリー3 (1992年香港)[製作総指揮]
[原題]警察故事V: 超級警察
監督/スタンリー・トン
製作年度のジャッキー年齢:38歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
やはり、この作品の一番の特長はミシェール・キングの存在だろう。
彼女からは、何か特殊なオーラを感じる。
この映画はもちろんジャッキーが主役なのだが、ジャッキーに負けない光を彼女が放っているので、
なにやら主人公が二人いるような感覚の映画になっており、良い感じだ。
アニメで言えば「マジンガーZ対デビルマン」、ヒーローで言えば「ダブルライダー登場」、
バラエティーで言えば「神出鬼没タケシムケン」といったところか。
話の展開も、潜入捜査物なのでわかり易く、見せ場も作り易かった事だろう。
ただし、最後はあっさり正体がバレてしまうので、
もっと「バレるかバレないか?」といった緊迫感を持たせる事も出来たと思う。
(潜入捜査中に恋人のマギー・チャンと出会って展開するドタバタは「またか」という感じだったが)
ありきたり過ぎるかもしれないが、やっぱりミシェールの“バイクで走る列車に飛び乗るシーン”は凄い。
“凄い”というか、危ない。しかも、NGシーンでは何度か失敗しているようだし。
ここまでの事をやったアクション女優を過去も現在も知らない。
シティーハンター (1993年香港)
[原題]城市猟人
監督/バリー・ウォン
製作年度のジャッキー年齢:39歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
決してシティハンターの映画化と思ってはならない。
くだらないギャグの連続。
ストリートファイターのコスプレをするジャッキーは見たくなかったような…。
後藤久美子を出したりと話題を振り撒いたが・・。
新ポリス・ストーリー (1993年香港)
[原題]重案組、CRIME STORY
監督/カーク・ウォン
製作年度のジャッキー年齢:39歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
実際に香港で起こった誘拐事件をもとに映画化した作品。
シリアスなジャッキーはカッコイイが、別にジャッキーじゃなくてもいい役のような・・。
ポリス・ストーリーの名はついているものの、エッセンスはまったくの別物。
ジャッキーアクションも見られないのかな?と思ったが、
終盤にやっといつものジャッキーらしいアクションシーンが展開して一安心。
超人的なジャッキーの活躍を期待したら的外れかも。
プロジェクトS (1994年香港)
[原題]超級計画
監督/スタンリー・トン
製作年度のジャッキー年齢:40歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
ミシェール・キング主演のアクション映画で、もちろん『プロジェクトA』とは関係なし。
位置づけ的には『ポリス・ストーリー3』の外伝といったところか。
前半は大人しいめだが、後半は華麗なミシェールの蹴りを堪能できる。
また、主演が女優である特異性を活かしたシナリオになっており、
ジャッキー映画とはまた違った視点を発見できるはずだ。
最後の結末もミシェールの女心が伝わってきていい感じである。
ところで、この映画でのジャッキーはカメオ出演で、5分あまりしか出番がない。
しかもそのシーン全篇において女装である(笑)。
ジャッキー目的で見ると肩透かしである。
酔拳2 (1994年香港)
[原題]酔拳II
監督/ラウ・カーリョン
製作年度のジャッキー年齢:40歳頃
おすすめ度:★★★★☆
ジャッキー久々のカンフー映画。こういう活躍を待っていた!
納得出来ない点はいくつもある。
香港映画の特徴になってきてしまっているが、話がちゃんと完結されていない。
散々伏線を張っておいて、結局は事件の謎は明かされないまま、
黒幕の用心棒のような男を倒しておしまいってのは・・。
後半になってギャグに走ってしまったのも不服。
まあ、90年代に入ってジャッキーのカンフー映画が観れたって事で星4つ。
追記:
情報によると、オリジナル版では最後に工業用アルコールを飲んだジャッキーが、
知的障害者のようになってしまったという結末が描かれているが、
倫理的な理由から日本公開版ではカットされたらしい。(^^;;
デッドヒート (1995年香港)
[原題]霹靂火
監督/ゴードン・チャン
製作年度のジャッキー年齢:41歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
ジャッキーの趣味が反映されているかどうかは知らないが、
とにかくこの映画はカーレース物がやりたくて作られたように思える。
メカドックのリーダー的立場で、運転も腕利きであるジャッキーが、
警察に協力して逮捕したレーサーでもある殺人グループリーダーに復讐される。
二人の妹を誘拐され、「返して欲しかったら仙台のレースで勝負だ!」
などと言うかなり強引なストーリー展開である。
それほど退屈な映画ではないものの、
やはりカースタントの演出に関してはハリウッド映画に見劣りするし、
ジャッキーの魅力も生かされない。
そういった意味で、ジャッキーファンとしての私の見せ場は、
パチンコ屋での乱闘シーンだったりするのだ。
それにしても加山雄三の起用はどうかと思うぞ。
レッド・ブロンクス (1995年香港)
[原題]紅蕃區
監督/スタンリー・トン
製作年度のジャッキー年齢:41歳頃
おすすめ度:★★★★☆
ニューヨークで結婚する叔父の元へやってきた香港の刑事クーン。
最初はチンピラとのトラブルに巻き込まれるわけだが、やがて大きな犯罪組織にも・・・。
(近年の)ゴールデンハーベストとは思えない完成度。
ジャッキーのカンフーアクションというよりも、ハリウッドのアクション映画仕立て。
アクションの連続というイメージのあるジャッキー映画だが、
この映画のようにテンポ良く話が展開していくと、
ピンポイントにアクションシーンを挟んでいくだけでもジャッキー映画が成り立つんだな。
最後の黒幕を捕まえるのをギャグにしたのは良いんだか悪いんだか。
ファイナル・プロジェクト (1996年香港)
[原題]警察故事4之簡單任務
監督/スタンリー・トン
製作年度のジャッキー年齢:42歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
CIAよりの依頼で密輸組織の女性を尾行する任務についたジャッキーだったが、
やがていつものように大きな事件へと巻き込まれていく・・・。
ポリス・ストーリーの外伝的映画。最近の香港作品にしてはうまくまとまっている。
ロシアでのスノーボードやスノーモービルを使ったシーンあたりが一番の見せ場かな。
飛行中のヘリに飛びつくのは凄いんだけど、何度も別のアングルで見せるのはどうかと。
ナイスガイ (1997年香港)
[原題]一個好人
監督/サモ・ハン・キンポー
製作年度のジャッキー年齢:43歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
ジャッキーの役回りは料理番組のシェフ。
無関係の女性を助けた事がきっかけで犯罪組織に命を狙われるようになり、恋人まで人質に!
監督はサモ・ハン・キンポーで、少しだけゲスト出演もしている。
ジャッキーが外国で事件に巻き込まれるパターンは少々食傷気味。
アクションはまんべんなく散りばめられている。
が、ストーリー展開は完全に予定調和の世界でダレる。
ラストのビッグマシンでハチャメチャにするオチは失笑気味。コントかっての。
(しかもレッドブロンクスとかぶってる)
ジャッキー・チェン マイ・ストーリー(1997年)
[原題]JACKIE CHAN: MY STORY
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:43歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
『マイ・スタント』は、香港スタントの現状と未来を解説してくれるビデオだが、
この『マイ・ストーリー』は、ジャッキーの功績を追う形で収録されている。
ジャッキー本人の口から初期のカンフー映画について語られているのは超レアである。
他にはジャッキーの親父さんの映像や、奥さん(写真のみだが)が見られるのもファン必見。
愛人について「過去はいたけど今はいないよ」なんて言う素直なジャッキーが素敵だ。
ジャッキーが挫折した最初のハリウッド進出から、ハリウッドで地位を獲得するまでに重点が置かれている。
ちょっと全体の構成が安っぽいのが気になるところ。
『マイ・スタント』と比べちゃうとだけど。
ドキュメンタリーなんだから、最後のNGシーンはいらないと思う(笑)。
ラッシュアワー(1998年アメリカ)
[原題]RUSH HOUR
監督/ブレット・ラトナー
製作年度のジャッキー年齢:44歳頃
おすすめ度:★★★★☆
ジャッキーとハリウッド映画という組み合わせを楽しむ作品だ。(そういう意味で★+1)
特別これまでの作品に比べてアクションが凄くなったわけでもないし、
逆にクリス・タッカーとの共演も手伝って、これまでの作品よりも見せ場は少ないかも。
とはいえ、そこはハリウッド映画。話もまとまってるし、ちゃんと完結している。
(誘拐事件の捜査をデコボコ刑事コンビが繰り広げるという極めてオーソドックスな話だが)
ジャッキーは映画の中で、外国人という役まわりなので、
いつもの『おちゃらけ』は少なく、どちらかというとクリス・タッカーのボケの聞き役といった感じ。
今後、ハリウッドでの活躍が頻繁に行われる事を願う。
日本未公開作品
アラン・スミシー・フィルム(1998年アメリカ)
[原題]AN ALAN SMITHEE FILM: BURN HOLLYWOOD BURN
監督/アーサー・ヒラー
製作年度のジャッキー年齢:44歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
ジャッキー・チェンの役柄は、ジャッキー・チェンそのもの。
ジャッキー、シルベスター・スタローン、ウーピー・ゴールドバーグのビッグ3を起用した映画『トリオ』。
ハリウッドの悪しき習慣により、どんどん捻じ曲げられていく『トリオ』にキレた監督は、
公開5日前にマスターフィルムを持ち逃げする。
その顛末を関係者にインタビューする形で進行する。
はっきり言ってそんなに面白くないし、普通この手の映画は有名人のそっくりさんを起用したりして撮られる。
この映画の凄いところは、よくあるブラックパロディ映画に本物のジャッキーとスタローンとウーピーが出演している事だ!
ジャッキーの登場は冒頭に何回か出てくるだけ。
この映画は、新しい登場人物が出るたびに紹介文が表示されるのだが、ジャッキーの紹介文は
『言語学者、古典学者』である。(ちなみにスタローンは『大秀才、大天才』)
どうやら、英語がヘタクソな役者という皮肉らしい。劇中でも「ジャッキーは英語がヘタだ」とハッキリ言っている個所もある。
さらには、ジャッキーが“自分が死んでしまう脚本”に文句をつけ、
「俺は死なない、決して死なない、明らかに死なない、死んでも輪廻して生き帰る」
なんて頭悪そうなセリフを言わされてるし、
脚本が修正され『駄作』になっていく映画に対して、
「最高、死なない、バッチリ、死なない、輪廻もしない」
とかトレーニングしながら笑顔で話してるし(笑)…。
ジャッキーはなぜこの映画への出演を許諾したのだろうか?
ジャッキー映画の色とはまったく違う分野で見るジャッキーは新鮮だが、ジャッキーにとって何も得る物のない出演だぞ。
(それどころかアメリカ人に確実にバカにされてないか?)
今まで「アクション物以外には出ない」と主張してきたジャッキーがなぜこの映画に出演したのか?
いまのところ、それは謎である。
…もっと「これはシャレだよ」と大きくとらえた方が良いのかな?
でもジャッキーファンとして素直に喜べないんだよ。
いずれにしても『キャノン・ボール』以上の異色出演映画として記録に残る作品だろう。
ジャッキー・チェン マイ・スタント(1998年)
[原題]JACKIE CHAN: MY STUNTS
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:44歳頃
おすすめ度:★★★★☆
ビデオのみのリリースで、2巻に分かれているので注意。
ジャッキーチームのスタントやカンフーアクションの裏側をジャッキー自らが解説してくれる。
しかもその日本語吹き替え版の声が石丸博也というのが泣かせる。
(当時の)最新版の「WhoAmI?」でのスタントシーンや、
ヤングマスターなどのカンフー映画を再現した解説などジャッキーファンならお腹いっぱいの内容。
このビデオを見ると、ジャッキーのスタントに対するプロフェッショナルな姿勢と、
天性の明るさからくるカリスマ性がよく分かる。
WHO AM I?(1998年香港)
[原題]我是誰
監督/ジャッキー・チェン
製作年度のジャッキー年齢:44歳頃
おすすめ度:★★★★☆
正統派のジャッキー映画。私的には『レッド・ブロンクス』以来の成功作。
制作された順番は、実際には『ラッシュ・アワー』より前だ。
特殊部隊の作戦で処理されたジャッキーが、記憶にない理由で命を狙われる。
この設定がジャッキーのアクションにシンクロして最後まで飽きさせない。
研ぎ澄まされたスタントにもますます磨きがかかったようで、年齢を感じさせないな。
(ただし、格闘勝負のキレはさすがに全盛期のままというわけにはいかない)
特にビルからの駆け下りシーンは、ラストの山場だろう。
それと、カースタントを駆使した逃避行はハリウッドにも負けない凄さがあったと思う。
そういえば、ケイン・コスギがちょっとだけ出演していたようだが、
全然アクションしなかったな・・。
ゴージャス(1999年香港)
[原題]玻璃樽
監督/ヴィンセント・コク
製作年度のジャッキー年齢:45歳頃
おすすめ度:★★★★☆
ジャッキーがずっと撮りたいと思っていた映画の新ジャンル、それが本作『ラブ・アクション・ムービー』だ。
しかしながら、この作品をアクシン映画ととらえるよりも、ラブコメディととらえた方が素直に楽しめる。
ラブコメとしての完成度は非常に高く、肩の力を抜いて笑っていられる映画に仕上がっている。
これまで『五福星』などで培ってきた香港コメディがスマートに進化した秀作といって良いだろう。
なにより、ヒロイン役のスー・チーはキュートだ。顔が、とかではなくキャラクターが。
本作の中では、ジャッキーと同等か、それ以上のオーラを放っていたように思う。
他にもトニー・レオンを始めとする多くの個性派俳優達が脇を固めているのも見逃せない。
さて、ジャッキーのアクションであるが、ライバル会社の雇ったキックボクサー(?)が
二度にわたってジャッキーとタイマン勝負をするのだが、
果たしてこのバトルがこの映画に必要であったのか?必然性があったのか?というと少々疑問が残る。
むしろ完全にラブコメとしてのトラブルスタントでまとめた方が良かったように思える。
(かといってジャッキーの格闘演技が衰えたわけではなく、このシーンだけ切り取って見れば十分見ごたえがある)
『ジャッキー=世界のトップアクションスター』というプライドからくる永遠の呪縛だろうな。
喜劇王(1999年香港)
[原題]喜劇之王
監督/チャウ・シンチー
製作年度のジャッキー年齢:45歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
演技理論が先行していて、なかなか役者として認められない主人公。
生活費を稼ぐために、女子高生パブの演技指導を引き受ける。
そこのホステスの一人ピュウピュウに演技を教えつつもお互いに魅かれていく。
日本ではちょっと懐かしい感じのラブコメ。
タイトルを見て、売れない役者が出世していくサクセスストーリーかなと思ったが違った。
香港映画の舞台裏という視点はなかなか珍しくて興味深いぞ。
コメディとしては、爆笑シーンこそほとんど無いが、テンポが良いのでそこそこ楽しめる。
我らがジャッキーの登場は冒頭の3分ぐらい。
主役に殴られて倒れるというエキストラを失敗して降ろされた主人公に代わって、
「自分がやります」と倒れるデモンストレーションを見せる役。
スタントと言う程じゃ無いけど、その存在感は流石だ。
ちなみにこの映画は1999年の香港興行成績で1位になっている。
シャンハイ・ヌーン(2000年アメリカ)[製作総指揮]
[原題]SHANGHAI NOON
監督/トム・デイ
日本初公開/2000.08.05
製作年度のジャッキー年齢:46歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
『ラッシュアワー』に続く、ジャッキーハリウッド進出第2弾である。
アメリカ人英語教師にそそのかされてアメリカで囚われの身となったペペ姫を救出するため、
派遣隊に加わったジャッキー。
しかし、列車強盗に遭遇し、インディアンに助けられたり、インディアンの娘と結婚させられ、
カンフーを使ってガンマン達とやり合ったり、ヤンキーガンマンとの友情が芽生えたり・・、
れれ?なんかこの展開どこかで観たな・・、
と思ったらリー・リンチェイ主演の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ』にそっくり。
しかもリーの方が強い中国拳法を最大限に表現しているので見せ場も多い。
ジャッキーはどちらかというとコミカルなスタント中心なので、いつの間にか西部の風景に馴染んでしまう。
つまり、『西部劇の中の異端の存在』という面白さがイマイチ生かされていないのだ。
(同じ方向性だった作品として、日本のサムライが西部に渡る『イースト・ミーツ・ウエスト』などがある)
そのスタントさえも、カット割りの多いハリウッド式でジャッキーアクションが100%生きてない。
例えば、最初の連結器の外れた汽車を飛び移るシーンなどは、
ジャッキーアクションの見せ場になるはずなのに、
ジャンプしたと思ったらすぐアップになって期待を見事に外してくれている。
しかしそれはそれ。ジャッキーが制作総指揮をしているだけあって、それなりのクオリティは保っていると思う。
ここのところ、良作を多く輩出しているジャッキーだけに、期待し過ぎたのかも知れない。
本作の主要メンバーがイギリスに渡るという次作『シャンハイ・ヌーン2』に期待といったところか。
ラッシュアワー2(2001年アメリカ)
[原題]RUSH HOUR 2
監督/ブレット・ラトナー
日本初公開/2001.09.22
製作年度のジャッキー年齢:47歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
バカンスで香港にやってきたタッカーと付き添いのジャッキー。
バカンス中でもジャッキーには常に仕事がつきまとい、トラブルに巻き込まれるタッカー。
実験作的だった前作だったが、確かな手応えを感じたスタッフがツボを押さえ、
さらに完成度の高くなったシリーズモノとして安定した漫才アクション映画になっている。
決して名作とは言い難いが、安心して笑って観られるパターンを作り上げた功績は認めたい。
やはりクリス・タッカーの存在は大きい。
これまでのジャッキー映画は、ここまでのボケ役が隣りにいるというパターンは無かったように思う。
香港の町をさ迷うタッカーが、鶏肉屋で道を聞いているうちにとうとう鶏を生きたまま買ってしまう展開がお気に入り。
前作同様、ジャッキーのアクションは控え目だが、それでも前作よりはボリュームアップしている。
「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイーが敵役で登場しているのだが、
なんかあんまりアクションは際立っていないし、化粧は濃いし、と損な配役だったなと思う。
アクシデンタル・スパイ (2001年香港)
[原題]特務迷城
監督/テディ・チェン
日本初公開/2001.12.01
製作年度のジャッキー年齢:47歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
直感は鋭いものの冴えないスポーツ洋品店の店員であるジャッキー。(スパイに憧れている)
そのジャッキーがソウルで見つかった自分の父親(と思われる人物)に関わってから、
本物のスパイさながらの冒険にさらされてしまう。
ジャッキー映画でジャッキーが一般市民なのは久しぶりだ。(『奇跡』以来か?)
香港産の本作は、何か懐かしい匂いのする香港映画臭の強い映画。
ジャッキーが素っ裸で悪漢に追われて町中のもので股間を隠していく展開とか、
それこそお約束のシチュエーションである。
定番の完成度は保っているものの、何か吉本新喜劇的なマンネリズムを感じる。
いかに危険なアクションを見せてもマンネリに感じさせてしまっては損というものだ。
もっとストーリー展開に起伏があればアクションも生きてくると思うのだが、
パワーアップしているはずのスタントも『ラッシュ・アワー2』と比べて違っていたようには感じなかった。
(この映画はアクションに規制の多いハリウッドに不満を持ったジャッキーが香港で思う存分アクションをしたというふれこみだった)
この映画のヒロインはビビアン・スーなのだが、
ジャッキーを助ける謎の女を演じた韓国女優キム・ミンに魅了された。
顔立ち整ってるしカワイイし、アップになるたびに凝視してしまったぜ。これが韓国美人というやつか。
キム・ミンを観れただけでもこの映画を観た価値があるというものだ。(^^;
タキシード (2002年アメリカ)
[原題]THE TUXEDO
監督/ケヴィン・ドノヴァン
日本初公開/2003.03.15
製作年度のジャッキー年齢:48歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
スピルバーグの設立したドリーム・ワークス社とジャッキーが手を組んだ作品。
タクシー運転手のジャッキーは、その運転技術を買われて、一流スパイであるデヴリンのお抱え運転手となる。
だが、悪漢に襲われて重症を追ってしまったデヴリン。
最後に残した言葉『ウォーター・スライダー』を頼りに、デヴリンの代役を引き受けるジャッキー。
そしてちゃっかり彼の愛用してたタキシードを着るとアラびっくり。
そのタキシードは、普通の人間を超人的な身体能力にしてしまうハイテクスーツだった!
といういかにもコミック的なこのストーリー。
何より事件なのは、これまでCGなどのデジタル合成を嫌い、
『ウソの表現よりも本物(スタント)の迫力』を追求してきたジャッキーが、
ハリウッドのデジタルな領域に足を踏み入れたこと。
なぜジャッキーはこの映画を受け入れたのか?
たぶんスピルバーグに頼まれたから断り切れなかったんじゃないかな?(^^;
では、ジャッキーとデジタル技術の接点はどこに見出せばいいのか?
他のハリウッドスターのような使い方では、それがジャッキーである必要が無い。むしろマイナスである。
今回のストーリーテーマは、『弱い人間が道具の力で強くなる』というもの。
だから、ジヤッキーが生の凄さを見せてしまっては、テーマがボヤけてしまう。
また、観客はジャッキー・チェンの予備知識があるから、
「スーツを着てないから弱いんです」と言われても、いまいち頭の整理がつかない。
むしろこのテーマで映画を作るならば、ジム・キャリーとかエディ・マーフィとか、
いかにもァクション出来なそうな人を立てるのが正解ではないだろうか。
ストーリーは無視して、ジャッキーとデジタル技術の接点を模索すると、
アクションはこれまでのスタントで極限のものを見せて、
物理的に無理なアクション(例えばバイクで壁を走り抜けるとか)はデジタルで補完する…
というのが接点なのではないかと判断する。
この映画がなぜジャッキーを起用したのかというと、やはり“タキシードでスーパーマンになる演技”を
ジャッキーのアクションスキルに求めたのではないかと思う。
だとするなら、今度はデジタル技術を否定した事になって、どちらも打ち消す要素である事には変わりがないのだ。
結果、この映画はこれまでのジャッキー映画に比べて『ジャッキー色』の薄い映画となってしまった事は残念である。
ではジャッキーうんぬん抜きにして、映画としてどうかというと、脚本がかなり大雑把な点が口惜しい。
最初にデヴリンから腕時計とメモを渡されて、何とか『ウォーター・スライダー』を探そうとする所はまだ分かる。
だが、ジャッキーはなぜタキシードに袖を通したのかがまったく説明されていない。
むしろ前振り段階で「この背広には手を触れるな」というシーンがあるので、ジャッキーが進んでこの背広を着ようとするのはオカシイ。
また、最終局面で敵のボスがこのスーパータキシードを着て、ジャッキーに対峙するのだが、
これは味方であるはずのデル・ブレインが敵のボスに渡してしまったものだ。しかも「これはハイテクスーツよ」とか説明までして。
あれは一体なんだったんだ?それを説明するセリフも一切無し。(デル・ブレインに作戦があったわけでも、裏切ったわけでもない)
何かこの映画の脚本家からは、「コミックなんだから展開が面白ければ理由付けなんでどうでもいいだろう」みたいなアキラメを感じる。
この映画は「もしもジャッキーがハリウッドのデジタル技術を駆使した映画に出たら…」
というIfの世界を実際に確認できるという意味合いの価値として存在する映画と言えるだろう。
ツインズ・エフェクト(2003年香港)
[原題]千機變
監督/ダンテ・ラム
日本初公開/2004.02.28
製作年度のジャッキー年齢:49歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
ヴァンパイアと反吸血鬼同盟の闘いが続く中、スレイヤーの一人リーヴ(イーキン・チェン)はパートナーを殺されてしまう。
数年後、リーヴのもとに新たにやってきた助手のジプシーと、リーヴの妹ヘレンの二人が今回の主人公。
ジプシーはリーヴに恋心を寄せ、ヘレンはなんとヴァンパイアの王子と恋に落ちる。
“香港のモー娘。”と呼ばれる二人組アイドル“Twins”を主役にもってきたアクション映画。
だがしかし、二人ともそれほどカワイクないような気が…。
おそらく“モー娘。”同様にルックスよりもキャラクター性で人気が出ているユニットなんだと勝手に理解。
でもそれだけだったら“香港のモー娘。”と呼ぶのは言い得てない気がする。(二人組だし)
それだったらむしろ“香港のオセロ”だろう。(絶対に違う…)
全篇通してアイドル映画だが、ヴァンパイアとのバトルはそれなりに頑張っている。
なんだか『ブレイド』をかなり研究してマネしているのが丸わかり。
だが、それほど緊張感を感じられないのはキョンシー時代の名残か、どうしてもギャグの香りは拭い切れていない。
アイドル映画ってのもあるけど。
最後の大ボスにも目的があって6人の王子を襲ってウンヌンカンヌン…って設定があるのだが、
ほとんどストーリーの主旨とは関係無く、展開が終始ヌルい。
ギャグもちょっと古い気がする。それこそキョンシー映画を彷彿とさせる。(^^;
(かといってコメディにもなりきってないからな)
普通の香港映画として見てしまっているからこの程度の感想になるのだが、
Twinsの大ファンなら大満足の映画なのかも知れないな。香港では“ロード・オブ・ザ・リング”を超える集客数だったというし。
で、ジャッキーの出番だが、“特別出演”ではあるが2つのシーンに登場する。
最初はジャッキーの結婚式にヘレンと吸血鬼王子がやってくるシーン。
ここではジャッキーアクションは一切なく、酒癖の悪い花嫁に振り回される道化役に徹している。
2回目の登場では、実は救急隊員であったジャッキーが、ヴァンパイアに追われてカーチェイス。
さらに車を降りてヴァンパイアとのムーブが展開する。
鉄柱登りまで見せてくれるサービスぶりだ。
メダリオン(2003年香港&アメリカ)
[原題]飛龍再生
監督/ゴードン・チャン
日本初公開/2004.06.19
製作年度のジャッキー年齢:49歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
密輸組織・蛇頭を追っていた香港警察のエディ(ジャッキー)は、彼らが不死身の体を手にする事が出来る伝説のメダルを探している事を知る。
メダルを持つ少年ジャイと出会ったエディは、一度死んでしまうがメダルの力で蘇る。
そして恋人のジェームス、インターポールのドジ捜査官ワトソンとともに、ジャイを誘拐した蛇頭の本拠地へ向かう。
久々にジャッキーが香港のスタッフと組んで撮影した映画で、(日本では)ジャッキー生誕50周年記念作品にして日本公開作品50本記念作品となっている。
(そんなわけで50本のチラシがプリントされたプレミアポスターが劇場で配布された)
しかしながら監督がジャッキー作品では『デッドヒート』以来のゴードン・チャンという事でそれほど期待しないで劇場へ。
見せ場は蛇頭グループの一人である黒人男を街中で追うシーンだろう。
スーパーマンになってしまったジャッキーは、生身のアクションとデジタル処理によるムーブが打ち消しあってしまっていた。
どうせなら『レジェンド・オブ・ヒーロー 中華英雄』のイーキン・チェンぐらいハチャメチャな強さにすれば活きたのに。
さらに脚本もグダグダ。ご都合主義なのは目をつぶるとしても、
「表と裏の両方揃えなければ不完全だ」と言っていたのに、2枚集めた敵側のボスは特にこれといった変化は無かったし、
唐突に「とどめにメダルを投げるんだ!」とか言われても、そんな前振りまったく無かったじゃん。(^^;
仲間が死んでも簡単に生き返れる設定だし、何よりここまで不死だと絶対ピンチにならないだろうから緊張感が皆無。
その後、エディとジェームスはこのまま何千年も生きるのだろうか?(笑)
ベタなギャグも香港映画特有のベタさで笑えない。ワトソンの存在はそんなベタギャグをやるためだけにあり、
脚本的にはエディらは彼の力を借りる必要はまるで無い。(−_−;
総じて映画としては中の下といった所だが、やはりジャッキーの存在は魅力的。
ジャッキーがそこでそこそこのスタントアクションをするだけで平均値の満足度には至ってしまう。
それは帝王がジャッキー・ドランカーゆえなのかどうかは知らん。
シャンハイ・ナイト(2003年アメリカ)
[原題]SHANGHAI KNIGHTS
監督/デヴィッド・ドブキン
日本初公開/2003.11.15
製作年度のジャッキー年齢:49歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
前作『シャンハイ・ヌーン』の続編。
アメリカ西部の街でシェリフになっているチョン・ウェン(ジャッキー)。
その頃、中国で皇帝の金印を守っていた彼の父だったが、何者かの襲撃で殺されていた。
その事を妹からの手紙で知ったチョンは、犯人を追ってイギリスに渡った妹と合流するためにアメリカを旅立つ。
親友のロイ・オバノン(オーウェン・ウィルソン)とともに。
前作から3年以上経過しての公開だったので、ほとんど前作の状況を覚えていないんだが…。
まぁでも、アメリカに渡ったカンフー使いのジャッキーとお調子者のオーウェン・ウィルソンが
二人でドタバタする記憶さえ残ってればほぼ前作の情報は必要無い。(^^;
今回のジャッキーはほとんどコメディに徹している。
何かこういうドタバタコメディ主体のジャッキー映画は久しぶりだな。
特に前半のホテルを抜け出す場面とか、イギリスで奪われた時計を追いかけて市場を駆けずり回る場面とか、
マルクス兄弟とかバスター・キートンとかの古き良きドタバタムービーを思い起こさせてくれる。
実際、市場でのドタバタシーンはこの映画のハイライトだと思う。
残念なのは物語の終盤。
名優ドニー・イェンとの対決、時計台の中でのボスとの対決と続くわけだが、これらのシーンがことごとく退屈。
ストーリーの盛り上がりを考えてか、コメディ色をこのときだけ封印しているのにアクションがそれほど映えない。
それにしてもドニー・イェンとの共演が不作に終わったのは残念。
ジャッキーと共演した中国人アクションスターで光る事が出来た例は意外と少なかったりする。
帝王の記憶を辿るとサモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウ、ミシェール・キングぐらいじゃなかろうか?
ジャッキーの名で客を呼んで、蓋を開けたらこっちの若手の方が凄ぇ!…みたいな育て方出来ないもんかね。
ストーリー的には可もなく不可もなく。
ジャッキーとオーウェンがドタバタするための舞台設定をするために組まれたようなプロットで、
特にこれといって特出するものは無い。
余談ではあるが、子供のチャップリンがジャッキー達を招待した家を「インドの将軍が住んでたところ」と説明するシーンがカットされていたが、
このシーンが無いとジャッキーがインドの大使に扮したシーンが唐突過ぎるな。
失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン(2003年香港)
[原題]TRACES OF A DRAGON: JACKIE CHAN & HIS LOST FAMILY
監督/メイベル・チャン
日本初公開/2005.03.05
製作年度のジャッキー年齢:49歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
ジャッキーの父親ファン・ダオロンがジャッキーに自らの生い立ちを語る前半と、
息子がスターになるまでを語る後半にわけられる。
映画のメインとなるテーマは、父親が自分の血筋に関しての秘密をジャッキーに明かした点にある。
中国政府にスパイ容疑で追われ、名を捨て家族を捨て香港へ逃げてきた事だ。
至極冷静に淡々と語る父親と、それを淡々と受け取るジャッキーの光景が印象的。
ほとんど演出の無いドキュメンタリーで、素のジャッキーを覗ける貴重なフィルムだ。
(親父さんの話が全て真実なのかどうかはおいといて)
とはいえ、これは映画館で見るもんかなぁ〜?と思う。
映画の最後がジャッキーの
「僕は“血は水よりも濃い”とは思わない。兄弟に会う気は無い。」
という言葉で締めくくられているのはシュートだなぁと思ったぜ。
80デイズ(2004年アメリカ)
[原題]AROUND THE WORLD IN 80 DAYS
監督/フランク・コラチ
日本初公開/2004.11.06
製作年度のジャッキー年齢:50歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
イギリスの発明家のフォッグは、王立科学アカデミーで長官のケルヴィン卿に80日間で世界一周できるとうそぶいてしまった事で、
長官の座とフォッグのアカデミー追放を賭けて本当に実行する事になってしまった。
追っ手から逃れながら急いで故郷へ帰る必要があったラウ・シン(ジャッキー)は、フォッグの助手となり、世界一周の旅に供する。
ジュール・ヴェルヌの小説『80日間世界一周』を元にしたジャッキー映画という位置付けの映画。
小説の映画化や同名タイトル映画のリメイクとして考えた人は「なんだこりゃ!」と思う事であろう。
ジャッキーアクションがふんだんに盛り込まれているものの、何とも退屈。
ストーリーの流れが淡々としててどうにもつまらないのだ。
次はどんな展開になるんだろう?というハラハラドキドキが圧倒的に無い。
「このままじゃ間に合わない!」みたいな。
ストーリーがツマラナイからジャッキーアクションも単なるドタバタに感じられて活きてこないんだな。
アーノルド・シュワルツェネッガーなどのゲスト出演も“話題作り感”丸出しで蛇足に思える。
これだったらアメリカ人監督に撮らせずに、香港のスタッフで“香港映画テイスト爆発”で作った方が良かったんじゃないか?
唯一良かったのは、中国でジャッキーがピンチに立たされたとき、助っ人としてやってきた“ウォン・フェイフォン”役のサモ・ハン。
ジャッキー映画を見続けてきた者にとって、これ以上嬉しい助っ人はないだろう。(いるとすればユン・ピョウ)
香港国際警察 NEW POLICE STORY(2004年香港)
[原題]新警察故事
監督/ベニー・チャン
日本初公開/2005.03.05
製作年度のジャッキー年齢:50歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
SWAT以上の能力を誇る隊を率いていたチャン警部(ジャッキー)は、銀行強盗団を3時間で逮捕すると宣言。
突き止めたアジトに乗り込んだ部隊だったが、巧妙に仕掛けられた罠により部隊は全滅。
爆破された建物からなんとか生き残ったチャン警部は、自信喪失とショックから警察を休職、
酒浸りの毎日で自堕落な生活に落ち込んでしまう。
そんなとき、シウホンと名乗る巡査が現われ、一味を捜査しようと持ち掛ける。
立ち直る気配の無いチャン警部だが、強引なまでに彼を連れ歩こうとするシウホンによって、ゆっくりとやる気を取り戻していく。
いきなり酔いつぶれているジャッキーが登場。
今までのジャッキー映画と違うムードだなと思ったら、まさかこのダメジャッキーが映画の中盤以降まで続くとは…。
そのためにほとんどジャッキーアクションはみられず、重苦しいドラマが淡々と進む。
ジャッキーがこういうダメな人間を演じるのは何年ぶりだろうか?
何だか『刑事物語』の武田鉄矢にも思えてきたりして…。
終盤のアクションはさすがだが、このラストも含めて今回のジャッキー映画はコミカルシーンを封印している。
そういう意味ではシリアスに徹した『新・香港国際警察』にも似ているが、これまでのジャッキー映画の定石を破っている点ではその比ではない。
おそらくここまで陰性キャラを演じるのは『炎の大捜査線』以来では無いだろうか?
また、仲間が残酷に殺されたり、恋人がひどい目にあったりといった悲惨なストーリーラインもジャッキー映画としては異例だ。
アクションで引っ張っていく事に限界を感じたジャッキーが“アクション&ドラマ”の路線にシフトチェンジしたという事なのだろうか?
ジャッキーも今年で51歳。その選択も間違っていないが、何か寂しい気持ちにはなるよな。
花都大戦(はなのみやこたいせん)ツインズ・エフェクトII(2004年香港)
[原題]千機變II 花都大戦
監督/パトリック・レオン、コリー・ユン
日本初公開/2005.08.27
製作年度のジャッキー年齢:50歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
男に強い不信感を持つ女帝は、男を奴隷として扱う国を作って支配していた。
『前王朝の末裔が現れて男女平等の世を作る』という予言を聞いた女帝は、末裔を探し出して抹殺するよう刺客を放った。
そのころ、前王朝の秘密と関係のある石版をひろった旅芸人一座の青年チャー(ジェイシー・チェン)は、
石板を宝の在り処を示すものと勘違いし、仲間のコール(チェン・ボーリン)と一座を抜けて旅をする。
そこに奴隷商人のスプリング(シャーリーン・チョイ)と刺客のブルー(ジリアン・チョン)が加わる事に。
神殿へと辿り着いた4人は、そこに眠る神剣を手にしたものが皇帝になる事を知る。
神剣を手にしたチャーは、囚われの身になったスプリングとブルーを救うため、神剣を手に女帝討伐に向かう。
ツインズが主演のアクョン映画というだけで前作とは何の関係もない。
時代劇になったばかりか、ヴァンパイアも退治しないんだからひどい。だったら続編にして欲しくないなぁ…。
内容は香港映画でわりとよくあるタイプのアクションアドベンチャー。
ワイヤーアクションは頑張ってる方だと思うが、アイドル映画の範疇。
やっぱりアクション映画はワイヤーにしてもちゃんと鍛え抜いた人がやらないと熱が伝わってこないな。
この映画の一番の目玉は、残念ながら看板であるツインズの二人ではなく、映画初出演となるジャッキー・チェンの息子ジェイシー・チェン。
ルックスは?アクションは?演技力は?
そういう興味本意を満たすための映画と言っていいだろう。
で、まずルックスであるが、ジャニーズ系に囲まれた中であまりに平凡な顔だ。
垂れた太めの眉が特徴でおっとり系のちょっと頼りない感じ。アイドルとしてやっていくのは無理がある気がする。
余談ではあるが、松田龍平しかり、ケイン・コスギしかり、長嶋一茂しかり、
スターのジュニアというのはどうして親父の顔を縦に引き伸ばしたような顔をしてるんだろうねぇ。
親父そっくりに生まれたとしても整形前のジャッキーに似てるんだろうから、それはそれでアレだが(^^;
ジャッキーはというと、神剣を守る武術の神様役。神殿に入ってきた者を追い返すために石像の中からジャッキー登場。
ドニー・イェンと激しい攻防を見せて「じゃっ!後は任せた」と消えて行く。
生身のアクションこそ少なくなっているものの、ドニー・イェンとのアクションは見応えがあった。
が、はっきりいって客寄せパンダ的な役回りで、映画の流れ上は出てきてもこなくても関係無いシーンとなっている。(^_^;
ドニー・イェンとの絡みと言えば『シャンハイ・ナイト』の記憶が新しい。
ひょっとしてあのときのドニー・イェンとの共演が気に入ったジャッキーが彼との絡みをリクエストしたのかも。
そう言えばドニー・イェンの役回りも主人公の味方的な位置にいながら、彼らを助けるでなく、
最後の戦いに参加するでなく、いてもいなくてもいい役だった気がするし。
エンター・ザ・フェニックス(2004年香港)
[原題]ENTER THE PHOENIX
監督/スティーヴン・フォン
日本初公開/2006.06.03
製作年度のジャッキー年齢:50歳頃
おすすめ度:−−−−−
THE MYTH 神話(2005年香港&中国)
[原題]THE MYTH
監督/スタンリー・トン
日本初公開/2006.03.18
製作年度のジャッキー年齢:51歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
秦の始皇帝は、隣国・朝鮮のユシュウ姫を妃に迎え入れるため、モンイー将軍(ジャッキー)を警護に向かわせた。
だが姫を渡すまいとする朝鮮軍の襲撃にあい、モンイー将軍とユシュウ姫は谷底へ落ちてしまう。
二人で秦へ向かう事になったモンイー将軍とユシュウ姫。
懸命に自分を守ろうとするモンイー将軍に次第に心を寄せていく姫だった。
場面は現代に変わり、モンイー将軍の生まれ変わりである考古学者のジャック(ジャッキー)は、
物理学者ウィリアムに頼み込まれてインドの遺跡へ行く事になった。
ウィリアムが研究する反物質エネルギーを解明するヒントがそこにあるというのだ。
遺跡を調べているとき、そこに収められてられていた肖像画を見てハッとするジャック。
それは夢の中で見ていたユシュウ姫だったのだ!
史劇と現代劇が交互に展開する作り。
どっちも中途半端な作りになっていたのが残念。
史劇の方は盛り上がりに欠けるし、ジャッキー自体に“豪傑”というイメージが無いので、魅力が殺されてしまっていると思う。
また、現代劇の方だが、反重力とか、不老不死とか、前世とか、ウソ臭い設定がよく噛み砕かれもせずに放り込まれた脚本で、乗り切れない。
後半になるとすっかりお話に飽きてしまった自分がいた。
唐突に登場する悪徳学者とかの存在も安すぎて苦笑するしかない。
史劇か現代劇かのどちらかをメインに構成すべきだったと思う。
この映画の見せ場はインドで警察から逃げ回るシーンだろう。
特に“ねずみ取り工場”でのやり取りはジャッキー映画らしい微笑ましいドタバタアクション劇に仕上がっている。
韓国女優のキム・ヒソンはかなりの美形。まさに姫って感じだった。
プロジェクトBB(2006年香港)
[原題]ROB-B-HOOD
監督/ベニー・チャン
日本初公開/2007.04.07
製作年度のジャッキー年齢:52歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
3人組の窃盗団、ギャンブル狂いのサンダル(ジャッキー・チェン)、女好きのフリーパス(ルイス・クー)、リーダー役の大家さん(マイケル・ホイ)。
あるときこの3人に大口の依頼が入った。それは大富豪のリー家から、生まれたばかりの赤ちゃんを誘拐する事だった。
子供を届けにむかう間に事故にあい、逮捕されてしまう大家さん。
しかたなく、釈放まで赤ちゃんの面倒を見る事になったサンダルとフリーパス。
次第に赤ちゃんに心を寄せていく二人。
だが、仕事を依頼したギャング団のボスは、子供を奪いに彼らのもとへ迫る。
宣伝に偽りありな作品。
『プロジェクトAシリーズ復活?!』…まったく関係ありません。
『“ジャキー×ユン・ピョウ×マイケル・ホイ”夢の共演』…ユン・ピョウはほぼカメオ出演に近い。
『ユン・ピョウ17年ぶりにジャッキー映画出演』…2004年の『エンター・ザ・フェニックス』で共演してるじゃん。
『ジャッキー初の悪役』…ジャッキーはこれまで何度も悪役やってるし、泥棒役だから悪役とは限らない。
米映画『スリーメン&ベビー』のコンセプトをジャッキー映画仕立てにしたコメディアクション映画。
コメディなので、アクションは味付け程度。
とはいえ、すでにアクション引退宣言をしているジャッキーにしてみれば貴重な存在であろう。
それにしても疑問なのは、なぜフリーパス役はユン・ピョウじゃないのか?
ジャッキーとのコンビネーションが随所に見られた役回りで、
ユン・ピョウを配役するならあそこしか考えられないと思うのだが・・。
もしそうなれば、真の3大スター共演になったわけだし。
マイケル・ホイはすっかり人相が変わったな。
普通のおじいちゃんになっちゃって、昔の嫌味な部分が無くなってしまった。
(嫌味な人がひどい目に合うというのが彼の売りだったから)
ラッシュアワー3(2007年アメリカ)
[原題]RUSH HOUR 3
監督/ブレット・ラトナー
日本初公開/2007.08.25
製作年度のジャッキー年齢:53歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
ロスのシンポジウムで中国からやってきた要人が狙撃される事件が起こった。
警護に当たっていたリー(ジャッキー)は犯人を追うが、追い詰めたその犯人は、彼のよく知る男・ケンジ(真田広之)だった。
事件を追ってフランスへ向かったリーとカーター(クリス・タッカー)は、
いつものデコボココンビネーションで騒動に巻き込まれていく。
映画自体は非常に肩の力の抜けた懐かしい感じのアクション・コメディ。
シナリオ展開に余計な捻りもないのでジャッキー好きなら退屈せずに駆け抜けられる。
特にこれといった見せ場はないものの、全編通して居心地のいい空気を作り出してるというのかな?
もう危険アクションを期待するには年齢を重ね過ぎたジャッキーだが、
このぐらいのアクションでも十分その魅力は発揮できる事を証明した一作だろう。
たぶんクリス・タッカーが合間合間にガナリ立てるパートがあるから、いい緩急がついているのも大きい。
さて、何より日本人にとってこの映画最大の注目ポイントは、
和製アクションスター・真田広之とジャッキーの初共演に尽きる。
しかもその二人が最後に死闘を演じるのだから鼻血ブーしても誰も攻められない。
千葉真一率いるJACの若手スターとして数々のアクション映画で活躍した真田広之。
日本人なら誰もが『伊賀忍法帖』や『里見八犬伝』、
もしくは『吼えろ鉄拳』『宇宙からのメッセージ』での活躍に心をときめかせていたはずだ。
そんな真田広之がハリウッドへと拠点を移し、巡り巡ってジャッキーの横に並ぶようになったなんて…
感無量もいいとこだ。
そんなに印象の残る活躍のしない悪役だが、画面にジャッキーと並び立つだけでそれはビッグサプライズなのだ!
そんなジャッキーは次の作品でジェット・リーと共演するとか。まだまだ夢は続くぜ!!
ところで工藤夕貴が女殺し屋を演じてたのはビックリしたなァ。
この人、全然アクション俳優じゃないじゃん。(^_^;
ドラゴン・キングダム(2008年アメリカ)
[原題]THE FORBIDDEN KINGDOM
監督/ロブ・ミンコフ
日本初公開/2008.07.26
製作年度のジャッキー年齢:54歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
カンフーおたくのいじめられっ子ジェイソン。
中国人が経営する質屋でカンフー映画のDVDを買い漁っているとき、金色の棍棒を発見する。
質屋を襲ったいじめっ子に追い詰められた彼は、棍棒とともに時空を越えて古代中国へ。
そこでは彼は“導かれし者”として、棍棒を石化した孫悟空のもとへと返す使命を聞かされる。
その旅の過程で酔拳使いのルー・ヤン(ジャッキー・チェン)、女戦士ゴールデン・スパロウ、
棍棒の使命を知る僧侶サイレント・モンクが仲間になっていく。
何よりジャッキー・チェンとジェット・リーが初共演するというところに注目が集まるが、
実際に映画を見てみると、それ以上に監督のカンフー映画へのリスペクトが感じられる。
カンフーおたくは主人公じゃなくて、この監督なんじゃないかと思えるほどだ。(^^;
アメリカ人だからこそ、ここまで思い切った構成が出来るってもんで。
ジャッキーに酔拳使いやらせた上に孫悟空出して、白髪魔女出してって、オールスターキャストにもほどがあるw。
(ジャッキーは最初にこの脚本を読んだときに「なんてくだらない話なんだ」と思ったらしい)
同じくカンフー映画リスペクト作品としてはタランティーノの『キルビルVol.2』があるが、
こちらの方がエンターテイメント作品としてのまとまりは数段上だ。
動きはやはり昔のキレはないものの、ジャッキーは“ジャッキーにしか出来ないキャラクター”でそれをカバーしている。
最初に主人公のジェイソンがいじめれている時点で、結末のシーンが見えてしまうオーソドックスな展開であるが、
それはこの映画においては正しい選択だったと思われる。
主役をジャッキーやジェット・リーではなく、普通のアメリカ人少年にした事で見やすくなっているし、
冒険モノとしてのまとまりがついているじゃあないか。
とはいえ、やはりこの映画はジャッキー・チェンとジェット・リーの共演があってこそ。
二人の絡みはどれも魅力的だし、どう絡ませれば魅力的になるか熟知しているようにも思える。
言うなればこの監督は「自分の作りたいものにはこの二人が必要」と判断した事が偉い。
これがチョウ・ユンファだったら『バレットモンク』になるとこだった。(笑)
新宿インシデント(2009年香港)
[原題]新宿事件
監督/イー・トンシン
日本初公開/2009.05.01
製作年度のジャッキー年齢:55歳頃
おすすめ度:★★★☆☆
音信不通の恋人を追って日本に密入国した鉄頭(ジャッキー)。
生きるために汚い仕事にも手を染め、他の不法入国中国人とともに新宿の裏社会に根付いていく。
やがてヤクザの抗争に巻き込まれていくのだが…。
ジャッキー初のアクションが無い主演映画という事で話題になったわけだが、
それよりも、ジャッキーがここまで汚れ役を演じたという点の方が新鮮だった。
偽造カードで盗んだ品物を横流ししたり、パチンコでイカサマを仕組んだり、ヤクザの鉄砲玉になったり・・。
『プロジェクトBB』も“ジャッキー初の悪役”という煽り文句だったが、
非じゃないほどの泥にまみれた役回りだった。(娼婦を買うシーンもある)
アクションが無いとの事で「かなり地味な映画」になってるんじゃないか?
と心配だったのだが、かなりバイオレンス度の強い作品に仕上がっていて、飽きさせてもらえなかった。
ジャッキーはアクションしなくても存在感あるしな。
日本が舞台のドラマではあるが、密入国者視点で描かれているのが新鮮。
日本でここまでのものをヘタに作ると“差別映画”と言われかねん。
そういう意味では香港映画ならではのシュートな描写だと思う。
(描写にどこまでリアリティがあるのかは別として)
終始シリアスに徹した描写も吉と出ている。
結末は納得いかない人もいたようだが、帝王はこれでいいと思う。
やっぱり悪に手を染めたら悲惨な最期を迎えないとね。
それにしても鉄頭(ジャッキー)の年齢設定はいくつなんだろう?(^^;
元恋人で幼馴染み役のシュー・ジンレイとも20歳差ですぜ。
和製ドラゴン倉田保昭氏が顔を見せていたのは嬉しい副産物だ。
と喜んでいたら、スタッフロールに千葉真一先生の名前がっ!
どうやらスタッフとして協力してたらしい。
な〜んだ。
この映画は“ジャッキー×倉田×千葉”がコラボした凄い映画だったんじゃないか!
どうりで昭和のヤクザ映画の臭いがしたわけだわ。
余談だが子役の棒読みっぷりに場内爆笑。
ダブル・ミッション(2010年アメリカ)
[原題]THE SPY NEXT DOOR
監督/ブライアン・レヴァント
日本初公開/2010.06.19
製作年度のジャッキー年齢:56歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
中国から出向していたCIAのエージェントであるボブ・ホウ(ジャッキー・チェン)。
隣家のジリアンと付き合う事になったが、彼女は3人の子供を抱えるシングルマザー。
そして子供達はボブとの再婚に大反対。
ボブは子供と仲良くなろうと、家を空けるジリアンに代わり、子供の世話を引き受ける。
何かと問題を起こす3人に手を焼くボブ。
そんな中で長男イアンがボブのパソコンをいじってしまった事で、ロシアの犯罪組織に狙われる事になる…。
ジャッキーのハリウッド進出30周年記念作品。
帝王にとっては『新宿インシデント』以来、13ヵ月ぶりのジャッキー映画。長かったなぁ〜。
ホームアローン的なヌル〜いファミリー向けコメディ。
スタローンやシュワルツェネッガーも人気が下降した頃、
この手の映画に出ていたが、ついにジャッキーも…という感じ。
90年代の映画だと言っても疑わない内容である。
(ジャッキー映画にはコメディも沢山あるが、ここまでベタなハリウッド系の笑いはさすがに珍しい)
ポイントポイントでアクションを織り交ぜているのだが、
相手はカートゥーンアニメの悪役のようにリアクション待ちでいてくれるので空気がヌル〜い。
過去のジャッキー映画に登場したアクションのセルフオマージュがいくつか入っている。
ハンナ・モンタナことマイリー・サイアスの父親、ビリー・レイ・サイラスがスパイの相棒役で共演している。
ベスト・キッド(2010年アメリカ&中国)
[原題]THE KARATE KID
監督/ハラルド・ズワルト
日本初公開/2010.08.14
製作年度のジャッキー年齢:56歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
母親の仕事の都合で北京に引っ越してきたドレ・パーカー少年。
中国人の女の子と仲良くした事でいじめっ子の標的にされてしまう。
ある日もいじめっ子達に追われてアパートまで逃げ込むが、おいこまれてボコられる。
そこでアパートの管理人ハンに助けられる。
ドレはハンにカンフーの教えを請い、いじめっ子達も参加するカンフー大会に出場する事になる。
1984年に製作された『ベストキッド』をリメイク。
主役の少年に製作のウィル・スミスが息子のジェイデン・スミスを起用。
そして師匠役にジャッキー・チェンをキャスティングした。
『ベストキッド』はもともとプロットが良いので、素直に作ればそれなりに見せ場の予想できる映画になる。
いじめられていた前半と鍛え上げられていく中盤、そしていじめを克服する終盤のカタルシス。
そんな過程で交わされる西洋人少年と東洋人老人との奇妙な友情。
東洋格闘技の神秘性、とことん悪く描かれる悪の道場(笑)。
結果的にそれらの要素は外さずに描かれていたように思う。
欲を言えば最後に卑怯なお礼参りをしてくる悪道場師範をジャッキーが返り討ちにするシーンを入れて欲しかった。
今回は格闘技の題材が空手ではなく中国拳法に変わったわけだが、
攻防がシンプルな空手ならともかく、中国拳法が数ヶ月(?)の特訓で使えるようになるのは無理があるだろう。
とはいえ、原題が『THE KARATE KID』のままである事を考えると、
空手も中国拳法(劇中ではカンフーと呼んでいた)もそんなに違いがないものとして考えているのかも知れない。
鑑賞前の不安点は、セレブのイメージが強いジェイデン・スミスにいじめられっ子が演じ切れるのか?という点だったが、
思ったより無理のなく演じれていたと思う。
ジャッキーの役は物静かで内向的なくたびれた初老の男。ジャッキーの陽性部分はほとんど封印し、
アクションもいじめっ子を追い払うシーンだけでほとんど見せていない。
どちらかというとジェット・リーやチョウ・ユンファが演じた方が合ってる気がするけど、
ジャッキーをキャスティングした事で商業的価値が高まった事も確かだな。
ジャッキーなりによく演じていたものの、ファンにとっては物足りない作品ではないだろうか?
キャストの中では凄い北京に順応してるドレの母親が良かった(笑)。
ヒロインの女の子はあんまりかわいくない。
それにしてもこの映画の内容で2時間20分は長くないか?
最後の試合のシーンぐらいで眠くなってきちゃったよ。
90分ぐらいでスカッと終わらせる映画だと思う。
ラスト・ソルジャー(2010年中国&香港)
[原題]大兵小将
監督/ディン・シェン
日本初公開/2010.11.13
製作年度のジャッキー年齢:56歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
戦国時代。
衛と梁の戦争は両軍とも全滅。
そんな中で死んだフリをして生き延びた梁の兵士であるジャッキー。
そして偶然に生存していた衛の将軍を発見し、捕虜にする事に成功する。
追っ手から逃げながらの自国への旅が続く。
ジャッキーが20年間構想を温めていたらしい。本当かよ・・。
中国で公開された歴代ジャッキー主演映画の中で最高額の興行成績を残したらしい。
ジャッキーの役回りは、戦争中でも死んだフリをして生き残ろうとする器の小さい男。
強い役でも無いのでアクションは味付け程度だ。
(それでも猿のように逃げ回るなどのアクションはジャッキーならでは)
中盤以降の展開にアイデアが足りなくて退屈だ。物凄く長い映画に感じた。
逃亡劇なんだから、追っ手と蛮族の戦いをあんなに長く見せる必要が無いだろう。
メッセージ性は強く、劇中にジャッキーが語る「親父はこう言ってた」というセリフや、
衛の将軍の境遇など、すべてがラストに繋がっている。
このラストで作品の印象がだいぶ変わる。
平凡な逃亡劇の過程を細かいギャグで埋め合わせたような感じになっちゃってるのが残念。
1911(2011年中国)
[原題]辛亥革命
監督/チャン・リー
日本初公開/2011.11.05
製作年度のジャッキー年齢:57歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
20世紀初頭。
弱体化した清王朝は列強諸国の支配を許し、中国は革命の火が燻り初めていた。
そんな中で孫文と黄興は出会い、革命へと身を投じていく。
孫文の辛亥革命を淡々と語っていく共産思想の啓蒙映画。
エンターテイメント性は皆無。
事実をもとに作られているにしても、
もっとドラマティックな脚色が欲しいところ。
辛亥革命の詳細はあまり馴染みが無いと思うが、
前知識がある前提で作られているので、日本人には厳しい内容だと思う。
ジャッキーの出演がなければ日本公開も難しかっただろう。
そんなジャッキーだが、重要な役割で出演しているものの、
ジャッキーの魅力を活かしているかといえば否である。
申し訳程度にアクションシーンがあるけど、あれが何を示しているシーンかは理解できなかった。
本作はジャッキー映画出演100本目との触れ込み。
新少林寺/SHAOLIN(2011年香港/中国)
[原題]新少林寺
監督/ベニー・チャン
日本初公開/2011年11月19日
製作年度のジャッキー年齢:57歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
1911年に勃発した辛亥革命後の中国。
各地で争いが続く中で、将軍・侯杰(こうけつ)は少林寺に逃げ込んだ敵将を追って乗り込む。
冷酷に将軍を銃殺する侯杰(こうけつ)は、看板に「武術の始祖恐れるに足らず」と落書きし去っていく。
だがそんな侯杰(こうけつ)も腹心の裏切りにあい、愛娘も失う。
少林寺に逃げ込んだ侯杰(こうけつ)は出家し、心を入れ替えていく・・。
少林寺の名前を冠する映画は無数にあり、
ジェット・リーを生み出した傑作『少林寺』を始めとして、
中国の少林寺とはほとんど無関係な千葉真一主演の『少林寺拳法』なんていう空手映画もある。
(少林寺拳法は四国で生まれた日本の流派だ)
なので本作が『新少林寺』と言っても、どの流れを汲むのか?といった断言は難しい。
ちなみに『真少林寺』という映画もあるし、『新・少林寺』というテレビ映画もあったりする。
少林寺映画の系譜を調べたら、ウエストンのワンダーボーイシリーズをまとめる以上に大変な事となるだろう。
それはさておき本作。
監督は『WHO AM I?』『香港国際警察/NEW POLICE STORY』『プロジェクトBB』
といったジャッキー映画を手掛けたベニー・チャン。
ドラマが中心の構成でアクション映画の側面は薄い。
だからなのか、それなりにアクションシーンはあるのだが、
印象に残るアクションはほとんど無かった。
砲撃により寺が破壊されていき、中心人物が次々と銃弾に倒れていく結末は刹那的。
(ドラゴン特攻隊みたいな)
仏像の掌に収まって息をひきとる主人公は映画の主題を象徴的に表していた。良シーン。
侯杰(こうけつ)の人間的変化を通して慈悲の心や、禅の悟りを描いた、ある意味での仏教映画と言えよう。
ジャッキーの役は、少林寺の厨房係で、娘を亡くして自暴自棄となった侯杰(こうけつ)を介抱する役回り。
「俺は武術はできない!」と言いつつ、
野菜炒めを作る動作や饅頭をこねる動作で一小隊を全滅させちゃう。(笑)
暮らしの中に修行ありってわけか。
さてはマスター・シャーフーの教えを受けたか!(爆)
他が大真面目なだけに、このシーンだけ違和感がある。
ジャッキーらしくはあるが。
余談ではあるが、辛亥革命を描いた『1911』も同時期に劇場公開されている。
ジャッキー出演映画の公開時期が被るのはとても珍しい。
ライジング・ドラゴン(2012年香港)
[原題]十二生肖
監督/ジャッキー・チェン
日本初公開/2013年4月13日
製作年度のジャッキー年齢:58歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
19世紀にヨーロッパの中国侵攻で持ち出された清朝時代の国宝。
そのようにして世界各地へ散った“十二生肖”という十二支頭部のブロンズ像。
アンティーク・ディーラーのマックス・プロフィット社は
“十二生肖”の回収をするよう“アジアの鷹”ことトレジャーハンターのJCに依頼。
JCはチームとともに“十二生肖”を探し出す。
『サンダーアーム/龍兄虎弟』『プロジェクト・イーグル』に続く“アジアの鷹”シリーズ第3弾。
なんだか80年代に戻ったかのような懐かしい構成。
まずは序盤、いつものようにミッションを遂行したジャッキーの逃亡劇。
今回は体の色んなところにローラーのついた“ローラーブレードスーツ”で魅せる。
近年は控えめなアクションにシフトチェンジしていたジャッキー。
「もうアクションはやらない」とほのめかしていたのに、
急に昔に戻ったかのようなアクションっぷり。
(なお、ジャッキーは本作でアクション超大作は最後と明言している)
ただね。内容がペラペラなところも昔をトレースしちゃってる。
基本的にはコメディ中心で、ストーリー展開はコメディとアクションを繋ぐための添え物。
B級感が極めて強く、特にジャック・スパロウもどきの海賊が出てきたあたりはコント感強まる。
それも含めて“ザ・ジャッキー映画”であり、
ジャッキーが集大成として送り出したラスト・アクションである事も納得出来る。
ポリス・ストーリー/レジェンド(2013年中国)
[原題]警察故事2013
監督/ディン・シェン
日本初公開/2014年06月06日
製作年度のジャッキー年齢:59歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
繁華街のナイトクラブに娘から呼び出されたジョン・ウェン。
娘のミャオは、刑事である父親が今まで家族を顧みなかった事を責めてグレていた。
そんなとき、突然ナイトクラブが暴漢グループに占拠され、
ジョンは拘束され、ミャオを含む残った客も人質と鳴ってしまう。
この事件は容疑者のリーダーであるウーが、
とある目的を果たすために周到に計画したものだった。
ジャッキーファンなら想定の範囲内だと思うが、
これまでの『ポリスストーリー』とはほとんど関係が無い。
ジャッキーが刑事役をやればもう『ポリスストーリー』なのだろうw
ジャッキー特有のユーモアを完全封印。
終始陰気なキャラクターで進む。
シリアスなキャラクターを否定するわけじゃないけど、
この映画においては「ジャッキーがやる必要の無い」役に思える。
むしろジェット・リーあたりの方がハマる。
その感覚が確信に変わるのはエンドロールのNGシーン。
ここでやっといつものジャッキーに会えた気になる。
脚本も奇妙だ。
最初は閉鎖された建物内で起こるシチュエーションサバイバル劇と思いきや、
犯人グループが意外とヌルくて盛り上がらない。
最後はなぜかミステリーの謎解きみたいな展開になるが、
これが街で起こった小さなイザコザなもんだから
「犯人、もっと別の方法無かったのかよ」とか思えてしまう。
映画の最後で明らかになるのだが、
この映画のテーマは「人質も犯人もみんな救う!守る!」という事だと思う。
従って誰も死なない。不自然なほどに。
ジャッキーらしいテーマだったけど、
テーマに絞って脚本をシンプルにするべきだったね。
ファイアー・レスキュー(2013年中国&香港)
[原題]救火英雄
監督/デレク・クォック
日本初公開/2014年10月11日
製作年度のジャッキー年齢:59歳頃
おすすめ度:−−−−−
ドラゴン・ブレイド(2014年中国&香港)
[原題]天降雄獅
監督/ダニエル・リー
日本初公開/2014年06月06日
製作年度のジャッキー年齢:60歳頃
おすすめ度:★★☆☆☆
紀元前50年頃の前漢時代。
部族間紛争が絶えないシルクロードで、警備隊長をつとめるフォ・アン。
だが不正行為の濡れ衣を着せられ、警備隊ごと罪人とされ、
辺境の砦“雁門関”の修復という強制労働が課せられる。
そこにローマ帝国の将軍ルシウスが襲撃に訪れる。
フォ・アンの計らいで戦闘は避けられ、ルシウスとの友情も芽生えていく。
ルシウスは謀略に巻き込まれて国をおわれていた。
“雁門関”にはルシウスの軍を追ってきたローマ帝国の軍勢が迫っていた。
2012年の「ライジング・ドラゴン」で
「アクション超大作は最後」と名言していたジャッキーだが、
相変わらずアクション映画の主演を張っている。(^^;
きっとこの人は体が動かなくなるまでアクション俳優やってると思う。
とはいえ、アクション自体はイマイチ映えない。
画面映えするオーバーアクションはやはりジャッキーの年齢ではキツイのと、
アクション向きではないハリウッド俳優を相手のアクションでは
どうしてもダイナミックな絵は撮りづらいのだろう。(吹き替えアクションも多いし)
主題は「民族や国の違う者達が手を取り合って困難を突破する」
というジャッキーらしいものだ。
物語の流れが平坦で構成も上手くない。
罪人のはずなのにいつの間にか砦の長になっていたり、
自分の町に戻って役人に追われていたり、
「?」になるシーンも多かった。
そしてどうにもスケール感に乏しく、
集団戦のシーンでも小競り合いに見えてしまうのが残念だった。
「我々中国人は人を助けるため、平和のために戦う」とか、
「戦うよりも友達になろう!」とかジャッキーが叫ぶたびに
中国のチベット侵攻などの現状が思い起こされて苦笑してしまう。
皮肉にすらなっていないよ、ジャッキー。
シーンとしては中国人とローマ人が砦で演武を競い合うシーンが良かったね。
中国武術のみならず、ローマ軍の盾を使った戦闘様式も面白い。
あと鉄格子をみんなで持ち上げて逃げるシーンも好きw
エンドクレジットのNG集は日本公開版だけらしい。
やはり「ジャッキー映画はNGシーン」というのは日本ならではの定番なのかな。
レイルロード・タイガー(2016年中国)
[原題]鉄道飛虎
監督/ディン・シェン
日本初公開/2017年6月16日
製作年度のジャッキー年齢:62歳頃
おすすめ度:★☆☆☆☆
1941年。第二次世界大戦中、日本軍統治下の東南アジア。
鉄道職員のマ・ユエンは、秘密裏にゲリラ部隊を編成。
鉄道で運搬される物資を奪うなどの日本軍への妨害を繰り返していた。
そしてあのとき、物資運搬の重要拠点である橋の破壊計画を実行に移す事になる。
全体的に脚本が単調な上に、編集が下手過ぎる。
間延びしてたり、ぶつ切りだったり。黒フェード多様したり。
ジャッキーのアクションも控え目だし、印象に残るスタントも皆無だ。
最後の橋爆破の攻防でようやく取り戻した感じ。
ジャッキーのコスチューム、カッコ良かったぜ。
ジャッキーファン的にはジャッキーとジェイシー・チェンの親子共演がおいしい。
二人が捕まったときの
「お前達似てるな」と言われてジェイシーが
「どこが似てるんだ!みろよ(ジャッキーの)鼻を!デカすぎるだろ!」
みたいな掛け合いはサービスシーンだろう。
今までジェイシーはジャッキーに似てないなと思ってたけど、
アクションしてるシーンだと似た表情するね。
日本人俳優の池内博之が存在感を存分に発揮していた。
ジャッキーと共演した日本人は真田広之とか倉田保昭とかいるけど、
ここまでハマってた人もなかなかいないかも。
ナミヤ雑貨店の奇蹟 -再生-(2017年中国&香港)
[原題]解憂雑貨店
監督/ワン・ジュンカイ
日本初公開/2018年10月13日
製作年度のジャッキー年齢:63歳頃
おすすめ度:−−−−−