もう春だなぁって。 最近、ずっとあったかい日が続いてる。 だから久保ちゃんが気持ち良さそうに、ソファーでうたた寝してんのも、なっとくって感じ。 話し相手いなくて、ちょっとヒマだけどさ。 あんま気持ち良さそうに寝てるからほっといてやる。 俺がゲームしてる横で、読みかけの本を胸の上に置いて寝てる久保ちゃんは、眼鏡もかけたままになってた。 久保ちゃんはかなり視力わるくて、乱視なんかもはいっちまってるから、眼鏡はずしてんのは家にいる時に限られてんだよなぁ。 そう思いつつ俺は、久保ちゃんの顔に手を伸ばして、そっと眼鏡をはずした。 うっ、ちょっとココロの準備ないとドキドキする。 眼鏡はずしただけで雰囲気がガラッと変わる顔。 こうっ、なんつーかさ。 色っぽいカンジ?? ちょっとなんかエッチくさい、なーんて…。 もしかしたら、眼鏡はずした顔んときにエッチするからかもしんないけどさ。 「ん〜、どしたの?」 起こさないようにしようって思ってたのに、久保ちゃんが目ぇ覚ましちまった。 まずったなぁ。 「わりぃ、久保ちゃん。なんでもねぇから寝てていいぜ」 「ふーん、そう?」 久保ちゃんが薄目開けてこっち見てる。 うわっ、なんか見られてるだけでハズカシイ…。 へ、へんなのっ! 「一緒に寝てよう?」 久保ちゃんはそう言うと、ぐいっと俺の腕引っ張った。 わっ、あぶねぇっ! 俺は久保ちゃんの上に乗っかるみたいな格好で倒れた。 久保ちゃんの胸の上に俺の頭がくるカンジ。 久保ちゃんは本を横にのけると、俺の頭を撫でた。 「おやすみ、時任」 「…おやすみ、久保ちゃん」 静かでなーんにもなくて、けどそれが気持ち良くって。 俺は久保ちゃんの乗っかったまんまで目を閉じた。 こうしてると、久保ちゃんのコトしか感じられないけど、今はそれでいいと思う。 春眠、暁を覚えず。 今は何もかも忘れて、何も考えないで寝てようぜ、久保ちゃん。 こうしてればさ、夢ん中でもきっと一緒だぜ、俺達。 今でも、夢でも、現実でも…。 |