レンアイ系のドラマとかってあんま見ねぇんだけど、今見てるドラマに出てる相手役の男がほんのちょっとだけ久保ちゃんに似てたからなんとなく見てた。
 そいつはケッコンしてんのに、若い女と浮気すんの。
 ありがち設定のありがちドラマ。
 いつもなら、つまんないからチャンネル変えてるトコ。
 
 「なにマジ顔して見てんの?」
 「ぜんっぜん、おもしろくないドラマ」
 
 風呂から上がった久保ちゃんが、テレビ見てる俺の隣にすわる。
 ふわっと石鹸の匂いがした。
 なんかこーいう匂いって安心する。
 俺は久保ちゃんの肩に頭を乗っけた。
 
 「あの女、ダンナが浮気してんのに気づいてねぇの。にっぷいよなぁ」
 「まぁ、信じてたら気づかないんじゃないの?」
 「そーいうもんなのか?」
 「そおいうもんだぁね」
 「…ふーん」

 よくわかんないけど、久保ちゃんが言うならそーかもな。
 ケッコンって、紙切れに名前書いてハンコ押すもんらしいけど、それはずっと一緒に暮らそうって約束みたいなもんだろ?
 好きだからってさ。
 なのになんで浮気なんかすんのかなぁ?なんかそんなのヘンじゃんか。
 だったら、ケッコンしなきゃいいのに…。
 なんて思ってる間に、そいつは女に浮気がバレちまった。

 「なぁ?」
 「ん〜?」
 「あいつらリコンすんのかな?」
 「さぁねぇ」 
 「…久保ちゃんだったらリコンする?」
 「どうかなぁ」
 「わかんねぇの?」
 「時任だって、わかんないっしょ?」
 「…うっ」

 俺だったらって聞かれて答えらんなかった。
 浮気はゆるせねぇって、それは思うケドさ。
 それでもう一緒にいらんなくなるのは・・・・・、なんかちょっとヤな気する。
 ドロ沼ってヤツ?
 なんか考えんのもヤだぜ。

 浮気のコト許せねぇのに、離れるのイヤだなんてさ。

 「久保ちゃんって浮気したことある?」
 「なに?俺って疑われてんの?」
 「そーじゃねぇけどさ。なんとなく聞いてみただけ。浮気ってどんなキモチですんのかなぁって思ったからさ」
 「浮気したコトないから、キモチわかんないケド?」
 「ふーん」

 女はさっさとリコン届けにサインした。
 これってドラマだから、もとサヤってこともあるんだろうなぁ。
 現実じゃムズカシイんだろうけど…。

 「時任」
 「なんだよ?」
 「時任はそおいうコト考える必要ないと思うんだけど?」
 「なんで?」
 「俺が浮気しないから。…けど、もし俺以外のヤツのコト言ってんなら俺は知らないけどね」
 
 久保ちゃんのセリフに、俺は思わずテレビから久保ちゃんの方に視線を向ける。
 さっきの俺みたく、久保ちゃんがマジ顔でテレビ見てた。

 「久保ちゃん」
 「なに?」

 ぜんっぜん、俺の顔見ずに返事した久保ちゃんの顔に手ぇ伸ばして、強引にこっちの方を向かせると、俺はバチンッて久保ちゃんのほっぺたを挟み込むように両手で叩いた。

 「今度言ったら、これっくらいじゃすまねぇから覚えとけよ」

 俺がそう言うと、久保ちゃんは叩かれて痛いはずなのに、ちょっと驚いた顔したあと、らしくないくらい嬉しそうな顔で微笑んだ。

 「ごめんね」
 「反省しろよっ」
 「はい、ちゃんと反省しました」

 なんとなく、全然気づかなかった女のキモチがわかったような気ぃする。
 久保ちゃんが言ったように、たぶん信じてたら気づかないっていうか、気づけないんだろうな、たぶん。
 けど、後悔するなら信じてから後悔することにする。

 好きって想うキモチとココロが大切だから。

 「なんか眠くなってきたから寝る。久保ちゃんも、もう寝るだろ?」
 「そーだね、寝よっか?」
 「うん、寝よっ」

 俺のコト信じろよ、久保ちゃん。
 俺も久保ちゃんのコト信じてるからさ。

 信じるコトがレンアイの基本。
 君を想う僕のココロを信じましょう。

                            『レンアイ』 2002.3.19更新

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