近くのコンビニに行った帰り、運悪く豪雨に降られちまった。 ちょうど店出たばっかりの時に、いきなりっ! まるでバケツの水を頭っからかけられたような感じだった。 「ったく、何も今降らなくったっていいじゃねぇかっ」 「普段の行いでも悪かったんじゃないの?」 「行いは良すぎだっての!」 びしょびしょになって、服が身体に張り付いて気持ち悪いんだけど、なんでだか久保ちゃんも俺も笑ってた。すっげー、楽しいコトが起こったみたいに。 いつもは絶対つながない、手ぇなんてつないじゃったりしてさ。 そのまま、まるでバカップルみたく二人で走った。 帰る場所は同じだから、手を放さなくてもいいんだよな。 俺と久保ちゃん・・・・・。 「うわっ、中まで濡れてる」 「部屋が濡れるから、バスルームで着替えなさい」 「わぁってるって」 久保ちゃんと俺は水を滴らせながら、バスルームに入った。 ここなら濡れても大丈夫だもんな。 けど、上着とか脱ごうとしても、雨に濡れててボタンが上手く外れない。 俺が苦戦していると、外れないボタンのトコに久保ちゃんの手が伸びてきた。 「ほら、はずしてあげるからじっとしてて」 「うん」 久保ちゃんが一個一個、ボタンを外してくれる。 俺はなんだか楽しくなって、久保ちゃんがしてるみたく、久保ちゃんのボタンに手を伸ばした。やっぱり濡れててはずしにくいけど、自分のやるよりやりやすい。 「俺の服脱がせてどうするつもり?」 「そーいう久保ちゃんこそ、どうするつもりなんだよ?」 「それは秘密」 「じゃあ俺も秘密っ」 競争みたいにお互いの服を脱がせながら、さっきみたいに俺も久保ちゃんも笑ってる。笑いながら小さく何回もキスしてたら、ちよっと冷たくなってた唇が温かくなった。 「く、久保ちゃんっ。こっからは自分で脱ぐ」 「遠慮しなくていいよ」 「遠慮なんかしてねえっての」 「時任には、俺のを脱がすっていうシゴトあるでしょ?」 一枚、また一枚とお互いの服を脱がして、俺たちは裸になっていく。 そうすると、なんだかくすぐったいような気分になってくんのが不思議。 まるで、自分のココロの想いを知られた見たいで、ちよっとハズカシイ。 「風邪かないように、ちょっとあったまってから出ようね」 「…くしゅっ」 「あっ、もう風邪ひいちゃった?」 「ひいてねぇ…って、くしゅんっ!」 「おいで時任」 俺は久保ちゃんに引っ張られて、シャワーの下まで連れて来こられた。 すると、俺たちの上に暖かいシャワーが降り注いだ。 さっきとは違って暖かい。 けど、なんか雨に降られてるみたいだ。 「雨が降ったらさ。今日のこと思い出せるように、俺がしてやるよ」 そう俺が言うと、久保ちゃんは微笑んで俺の手を握った。 「大丈夫。時任が隣にいる時に降る雨は、あったかいから」 君のために、冷たい涙のような雨を、暖かい恵みの雨にしよう。 やがて雨が上がって、虹が出るように…。 |