好きだとか…、愛してるとか…。 そんな言葉を自分が言うようになるなんて、想像したこともなかった。 それは言われたことはあっても、一度も言ったことのないその言葉に、何も感じことも想ったこともなかったからっていうのが理由だった。 まるで一つ覚えの陳腐なセリフみたいでクダラナイって、そんな風にさみしがり屋の強がりのセリフを吐きたいワケじゃなかったけど…。 ほどほどに好きで…、ほどほどに大切なモノばかりだったから…。 たぶん言わずにはいられないそのワケを、知らないでいたのかもしれない。 「好きだよ…、時任」 「んっ…、くぼちゃ…」 好きだから好きで…、愛してるから愛してると言うんだって…。 そういう簡単なことがわかってしまえば、コトバは想ったよりも直情的で…。 どんなに愛しく想っていても、どんなに恋していても…、それを伝える手段なんて限られてしまってるから、いつの間にか好きだと口ずさむようになってた。 何度も何度も飽きるほど好きだと言って、それでも足りないから…。 唇にも首筋にもキスして…、着てる服を脱がせて…。 俺の与える刺激に反応して声を上げるのを聞きながら、アツくなった身体を時任につなげた。 まるで熱に浮かされるように時任を抱いて…、犯して…。 けれどそれでも…、まだ何かが足りなく感じてしまうのは…。 どんなにコトバで好きだと言っても…、どんなに身体をつないでも…、それが限界点だって知っているからかもしれなかった。 「うぁっ…、あっ…」 「もっと…、シテほしい?」 抱いている間は繋がっていられても、これ以上はどうにもできなくて…。 そういうもどかしさに、時々、胸がじくじくと疼いてくる。 時任を欲しがってるから…、何もかもを欲しがっているから限界点は目の前だった。 どんなに身体を犯しても、ココロまでは犯せないから…。 これ以上は、何もできることがなかった。 「このまま…、ずっと繋がってよっか?」 「ば、バカっ、俺を殺す気か…」 「気持ちよく…、死なせてあげるから…」 「い、いやだっ…、あぁっ…」 何もかもが狂いだすほど恋しても…、愛しても…。 その想いを愛しいヒトに伝えられるのは…、きっとほんの少しだけで…。 だから伝わりそこねた想いが、じくじくと胸を痛ませているんだろう。 「く、くぼちゃ…」 「俺のコト好きだって…、叫んでよ」 「あっ、あぁっ…」 「コトバじゃなくて…、カラダでね…」 こんなにハッキリ目の前に限界点が見えるのに…。 狂おしいほどの恋しさも…、愛おしさも…、そして醜い独占欲にも…。 限界点なんてどこにもなかった。 |