時計を見ると、午前二時くらいだった。 寝転んでマンガ読んでると、なーんか耳障りな声が聞こえてくる。 この耳障りな声は、久保ちゃんが見てるテレビから聞こえてくんだけど、このやけにやる気なざーとらしい会話聞いてっと、なんか調子狂うんだよなぁ。 こんなん見ても買う気しねぇってのっ。 「久保ちゃん、久保ちゃ〜ん」 「ん〜、なに?」 ためしに久保ちゃん呼んだけど、やっぱテレビ見たまま返事してきた。 久保ちゃんはさっきからぼ〜とした顔で、じ〜っと画面見てる。 べっつに楽しそうでもなんでもねぇのに、なんで見てんだろ? そーいえば、よくよく考えたら久保ちゃんてテレビ見て笑ってんの見たことねぇよな…。 っていうか、普段も声出して笑ったりとかほとんどねぇし…。 「時任?」 「・・・・・・・・・」 「なにやってんの?」 「・・・・・・なんともねぇの?」 「なんともって何が?」 「さっきからくすぐってんだけど?」 「…そういえば、ちょっとだけくすぐったかったかなぁ」 「ちょっと?」 「なんとなく」 ・・・・・・・・・もしかして、ふ、不感症?? 今までぜんっぜん気づかなかったけど、もしかしてそうなのか? それってかなり問題アリみたいな…。 「なに悩んでんの?」 「久保ちゃん」 「ん?」 「ここらヘンとかくすぐったくねぇ?」 わき腹の辺りを両手でくすぐってみたけど、やっぱ表情に変化ないし、身体にも反応なし。 次に首筋、腕、足、最終手段で足の裏…。 くそぉっ、少しくらい反応しろってのっ! 「ねぇ、時任」 「なんだよっ!」 「お手本見せてあげよっか?」 「はぁ?」 久保ちゃんはそう言うと、俺をいきなりソファーに押し倒して上に乗っかってきた。 い、いきなり何すんだっっ!!! 「こういうのは、コツがいるんだよねぇ」 「は、放せっ!」 「たとえば、わき腹のココ…、とか」 「・・・・・・っ!!」 「もうちょっと上がって、ココ」 「あっ…!」 「ここなんかもダメだよね?」 「うぁっ!!やめ…っ!」 身体中なでられて、キスされて、舌で弱いトコ攻められた。 なんかいいように遊ばれてるカンジがして、くやしすぎっ! ぜってぇ、久保ちゃんの弱いトコ見つけてやるっ! 「う…ん…」 「時任…」 久保ちゃんが俺の首筋に唇を押し当ててきた。 このままじゃ…、マジで・・・・・。 「・・・・・っ!」 ジーパン脱がされそうになって、俺は苦しまぎれに手ぇ伸ばして久保ちゃんのわき腹の辺りを適当になでたんだけど、そしたら久保ちゃんの身体がビクッと揺れた。 これはひょっとして、ひょっとする?? 「ふっふっふ…」 「なに笑ってんの?時任」 バッと起き上がって今度は俺が逆に久保ちゃんを押し倒すと、久保ちゃんの弱い部分とか色々さわりまくる。 久保ちゃんは時々身体をビクッと反応させながら、それに耐えるように目を細めてた。 うわ〜、これって笑ってるっていうよか…。 なんか別な意味で…、アレだよなぁ…。 不感症じゃなかったのは良かったけどさ。 「…時任」 「やめてやんないっ」 「やめないと…、大変なコトになるけどいいの?」 「大変って何が?」 「コレだけ刺激しといて、何がってのはないでしょ?」 「く、くぼちゃん?」 「今日は眠るのあきらめようね、時任」 「なんで?」 「俺が寝かせないから」 「ち、違うってっ、俺はただ久保ちゃんが不感症かどうか確かめただけで…」 「不感症?」 「だってさ、始めはくすぐっても反応なかったじゃんかっ!」 「それは時任のテクの問題」 「うっ…」 「ちゃんと教えてあげるから、安心しなね」 「べ、べつに教えてくんなくていいっ!」 「予習と復習、どっちがいい?」 ・・・・・・・どっちもしたくねぇっつーのっ!! |