夜中、ゲームしてると途中で眠くなった。 そういう時は、さっさとゲームやめて寝りゃあいいんだって、そんなのは当たり前だけど。 身体がだるくて、頭ん中がぼ〜っとしてて、もうこのまますぐに寝ちゃいそうってカンジの時は、ココから歩くのも面倒くさい。 けど、今日はソファーで寝たくねぇし、床で寝るのはカラダ痛い。 どうすっかなぁ…。 なーんて悩んでる内に、コントローラー持ったまま、だんだん頭がグラグラしてきて、俺はゴロッと床に寝転がった。 なんかもう眠くて限界…。 もう歩けねぇし、動けねぇカンジ。 「…時任」 久保ちゃんが呼んでる。 けど、返事する気力なんかねぇの。 「寝ちゃったの?」 久保ちゃんがこっちに歩いてくる足音がする。 けどだるいから、寝たふりした。 べつにムシとかそんなんじゃなくて…、ちょっと眠いだけ…。 「こんなトコで寝たら風邪ひくよ?」 そう言いながら、久保ちゃんが頭を撫でてくる。 頭撫でたりとかしたら…、気持ち良くて余計に眠くなるっての…。 ふあぁぁ…、もう久保ちゃんのせいでカンペキだめになったじゃんか…。 …もういい、ココで寝る。 「時任?」 「・・・・・・・・」 おやすみ、久保ちゃん…。 俺はゲームのコントローラーから手を離して、床で眠る体制に入る。 けど、カラダが痛くなるのを覚悟で寝ようとしてたのに、小さなため息が聞こえた後、なぜかカラダがふわっと浮き上がったカンジがした。 あれ? なんかフワフワする。 もしかして…、久保ちゃんが運んでくれてんの? 「…結構重いなぁ」 久保ちゃんは俺のコト抱き上げて、ベッドまで運んでくれようとしてる。 重いって言ってる久保ちゃんには悪いケド、すっげぇ気持ちいい…。 ユラユラしてる感覚とか、寄りかかってる久保ちゃんの体温とか。 胸にくっつけてる耳に聞こえてくる、心臓の音とか…、そんなのが全部気持ちよすぎ。 ホントに意識がヤバく…なって…。 「ほら、ベッドについたよ。時任」 もうちょっと、このままこうしてたいのに、久保ちゃんがゆっくりと俺をベッドに降ろす。 仕方ないけど、やっぱ残念な気ぃする…。 もっともっと…、心臓の音とか聞いてたかったのに…。 ガキみたいに抱っこして運んでもらってめちゃくちゃハズカシイけど、寝ぼけてんだからしょうがねぇじゃんって、そんな風に自分に言ってハズカシイのをごまかした。 「おやすみ、時任」 久保ちゃんは、俺の頬に軽くキスして部屋を出ようする。 けど俺は、自分でもなんでかわかんないけど、久保ちゃんの服のすそを引っ張ってた。 まるで、行くなって言うみたいに。 たぶん、きっとコレも寝ぼけてるせいだ…。 行かないで一緒に寝よう、久保ちゃん…。 何にも言ってないけど、そう思ってんのが聞こえたみたいに、久保ちゃんは小さく笑ってベッドの毛布をめくって俺の隣に入ってきた。 入ってくる時に聞こえる布ずれの音が、なんかくすぐったい。 強く匂ってくるセッタをかいでると、ちょっと安心する。 久保ちゃんは腕枕に俺の頭をのっけると、深く息を吐いた。 「狸寝入りしてないで、ちゃんと寝なさいね?」 …うっ、やっぱまだ寝てないのバレてた。 けどさ、こんなに気持ちいいなら、たまには狸寝入りも悪くないよなぁなんて、久保ちゃんには悪いけど思ったりしてる。 おやすみ、久保ちゃん…。 俺がつぎに起きるまで…、ずっと…このまま…。 |