とつぜん。 なんの理由もなく、とーとつにキスしたくなる時がある。 あの唇とキスしたい。 そーいう時は、どうしていいかわかんなくなる。 自分から・・・なんて・・・。 そ、そ、そんなことできねぇし。 はずかしいっていうかっ、なんかムズムズする。 考えただけで顔がアツクなってきて、ドキドキが止まんなくなる。 やっぱ、俺ってヘンなの? 「赤い顔して、何考えてるの?」 「べ、べつに、なんにも考えてねぇもん」 「時任くんのエッチ」 「誰がエッチだっ、誰がっ!」 エ、エッチがしたいとか、そこまでは思ってねぇってのっ! そーいうのじゃなくってさ。 そーいうのじゃなくて。 好きって言うかわりに、キスしたい。 好きの数だけキスしたいって、そんなふうにバカみたいに思ってんのっ。 くそぉっ、なんでこんなコト思わなきゃなんねぇんだ! ムカムカするなぁ。 こういうムカムカは・・・・やっぱ、久保ちゃんのせいだ。 責任取りやがれっ! 俺がそう心の中で叫んでると、久保ちゃんがクスッと笑って顔を寄せてきた。 「自分からキスできるように練習してみる?」 うっ、なんかしんないけどバレてる。 やっぱ久保ちゃんて鋭いっ。 俺はごまかすようにそっぽを向いた。 「なんでんなこと練習すんだよっ」 「けど、できないでしょ? それとも俺にはキスしたくない?」 「そ、そおいうワケじゃねぇケド」 「じゃあ、なんで?」 「教えない」 久保ちゃんは俺の顔を自分の方に向けさすと、ゆっくりと俺にキスしてきた。 優しくて甘いキス。 結局、俺はキスするよりされる方が好きなんだってコトに気づいた。 ケド、それってやっぱワガママかなぁ? |