「あれっ、俺のがないじゃん」 風呂から上がって着替えを見たら、そこには俺のじゃなくて久保ちゃんのTシャツが入ってた。たぶん、間違って入ってたんだと思うけど、まっいっか…。 別に着れないワケじゃねぇし、取りにいくのは面倒臭ぇし。 そんなカンジで俺は久保ちゃんのTシャツを着てみた。 あっ、やっぱブカブカ。 久保ちゃんは痩せてっけど、背が高けぇからそれなりにサイズがデカイ。 俺の太ももの辺りまでTシャツがくる。 なんかヘンな気分。 Tシャツからちょっとだけ、セッタの匂いするからかな? わっかんねぇケドさ。 「久保ちゃん。風呂上がった」 俺はバスルームから出ると、新聞読んでる久保ちゃんにそう言った。 「ん〜、わかった」 時任が先に風呂に入ったから、俺は新聞読んで上がってくるの待ってた。 だから、時任が上がったんなら入ろうと思ったんだケド、バスルームから出てきた時任見て、なんとなく一瞬止まってしまった。 なんて格好してんだろねぇ。 ブカブカの俺のTシャツ着てるから、首んトコがちょっとずれ落ちてるし、そっから、鎖骨とか見えちゃってるんですけど? 「洗濯モノ間違えて入れただろっ、俺の引き出し」 「ああ、そういうワケね」 どうやら、俺が間違えて時任の引き出しに自分のTシャツを入れてしまってたらしい。間違えたら自分のに着替えればいいと思うけど、着替えるのが面倒なんだろうなぁ。 時任は俺のTシャツを着たまま、俺の隣に座った。 風呂上りだから、時任の肌はちょっと上気してて…。 なんか色っぽいカンジ。 ブカブカなの着てるトコもちょっと…ねぇ? 「・・・・・・・」 俺は時任の首筋に唇を寄せた。 「えっ、な、なにっ!?」 テレビでも見ようと思ってリモコンを取った時、首んトコにくすぐったいカンジがした。 びっくりしてリモコンが床に落ちちまったじゃんかっ! なにされたかは…わかってっけどなっ! 「ふざけてねぇで風呂入れってのっ!」 俺は久保ちゃんが伸ばしてくる手から、身体をひねって逃げてそう怒鳴った。 ったくっ、冗談じゃねぇっ! 昨日だって…、その…、色々やったんだしさっ。 今日はぜってぇ何もやんねぇ! …って、俺は思ってたんだけど、久保ちゃんは強引に俺の身体を抱きこんできたっ!!くっ、久保ちゃんのバカぢから!! 「サカってねぇで、風呂入れっ!!」 「後にするから」 「だぁーっ!!」 「おとなしくしててくれれば、すぐ済むよ」 「いっつも長げぇじゃん…とかって、そんな問題じゃねぇだろっ!!」 「そそるカッコしてんのが悪いと思うんだけど?」 「そ、そそるって何が?」 「俺のブカブカのヤツ着てる上に、風呂上りだからかなりエッチだよ。今の時任」 「えっちぃぃ〜!?」 「うん」 「そこでうなづくなっ!! エッチなのはヘンなコト考えてる久保ちゃんだっ!!」 「そう、俺もエッチ。だから一緒にエッチしよう?」 「うわぁぁっ、ヘンタイっ、痴漢っ!!」 「ひどいコト言うコには、オシオキしちゃうよ?」 「たすけてっ」 「誰に助けてほしいの? 時任は」 「…く、久保ちゃん」 「はい、大変良くできました。良くできたからご褒美あげるね」 「ご褒美なんかいらねぇっての〜!!」 結局、久保田が風呂に入ったのは、今日から明日に日付が変わった後のことだった。 |