初詣。
正月、元旦、一月一日…。
この日に神社の前に集合することを決めたのは、クリスマスなどそういう行事ごとの大好きな桂木だった。
生徒会執行部全員でのお宮参りは反対する者もなく簡単に決まってしまったが、その理由は誰も桂木に逆らえなかったというのもあるが、やはり全員が根本的にお祭り好きだったということも原因している。
そのため年の明けた元旦の神社の鳥居の前では、すでに二人を除いた執行部全員がそろっていた。
「やっぱり、元旦ってすごい人だよな」
「そんなの当たり前でしょっ。全国各地どこでも同じよ」
「お宮参りは日本の伝統行事ですから…」
「それにしても人が多いな。迷子になりそうだ…」
「…室田。あんたが迷子になるワケないじゃない」
「・・・・確かに」
そんな感じて雑談しながら桂木率いる生徒会執行部は、それぞれが正月らしい格好をして残りの二人を待っていたのだが、やはり馬鹿でかい室田がいるせいもあってかなり目立ちまくっていた。桂木は可愛い緋色の着物に桜の花が描かれている振袖、後の全員が羽織袴という日本伝統的な格好だったが、松原はこんな時でも木刀を持っているので、お正月というよりは映画村といった感じである。
しかし全員がそれなりに似合っているのだが、一人だけやけに似合わない人物がいた。
それは、やはり二年で補欠の藤原である。
別に普通に着ているし着方も間違ってはいないのだが、どうもどこかが妙だった。
「ほんっと、あんたっておそろしいくらい着物が似合わないわよねぇ」
「余計なお世話ですっっ、ほっといてくださいっ! 僕は久保田先輩だけに見せるために着てきたんですからっ!!」
「…って、まだ来てないから、来ないかもしれないわよ」
「うわぁぁんっ、久保田せんぱーいっっ! 早く来てくださいぃぃぃっ!」
桂木と藤原が話しているように、まだ来ていない二人と言うのは、執行部のエースことお騒がせコンビの久保田と時任だった。
集合時間までには後三分くらいあったが、未だ二人の姿は影も形も見えない。
面倒臭がりの久保田と時任が、『正月らしい格好で神社に集合』という桂木の提案をさぼる可能性は十分にあった。
なんとなく色々な意味で、二人がベッドでゴロゴロ寝正月してるような気がしないでもない。
桂木は小さくため息をつくと、腕にはめている時計を眺めた。
「時間になっても来なかったら、しょうがないからさっさと行くわよ。あいつら待ってたら日が暮れるかもしれないからっ」
そう言いながら、桂木が時計から道の方に視線を移してみると、やはりもう時計の針は約束の時間を示していたがそれらしき人影は無い。
とりあえず後五分くらい待つことにしようと桂木が思っていると、そんな桂木の背後から聞き覚えのある声がした。
「誰を待ってたら日が暮れるって?」
「さぁ?」
桂木が勢い良く後ろを振り返ると、羽織袴姿の時任と着流しに羽織を着た久保田が立っていた。二人はなぜか鳥居の方向ではなく、神社の方向から来たようである。
しかも今来たはずなのに、時任の手にはすでにたこ焼きが乗っていた。
「あんた達、まさかもう来てたって言うんじゃないでしょうねぇっ」
「…ったりめぇじゃん、そのまさかに決まってんだろっ」
「コイツがどうしても、たこ焼き食いたいって言うもんだから…。ゴメンね、桂木ちゃん」
「俺のせいかよっ」
「あれ、違うの?」
どうやら久保田と時任は、すでに神社に来ていて屋台を回っていたようである。
桂木は少しこめかみをピクピクさせながらも、正月だからということでそれを抑えた。
これで一応、予定通り執行部が全員集合したのである。
とにかく、神社に新年のお参りに来たのだが、そちらに行く方が先決だった。
しかし年間通しての恒例行事らしく、久保田を見つけた藤原が瞳をキラキラさせながら感動している。そしてそれを見た時任が、にじり寄ってくる藤原と久保田の間に割って入った。
「久保田せんぱーいぃぃっ、明けましておめでとうございますぅぅっ!!」
「めでたくねぇから、こっちにくんなっ!!!」
「元旦に先輩にお会いできるなんて、僕は…っ!!」
「新年早々、てめぇに会うなんざぁ、不幸の始まりだっ!!」
「それはこっちのセリフですっ!!」
「なぁにぃっ! 藤原のクセになまいきなコトいいやがってっ!!」
「ぎゃぁっ、乱暴しないでくださいっ! 去年と変わらず今年も野蛮なっ!」
そんな二人の様子を見ていた桂木は、新年になって新しく新調した白いハリセンを構えて、二人に向かって振りかざす。やはり使い込まれたハリセンと違って、下ろしたてのハリセンはいい音がしたが紙が硬くていつもより攻撃度がアップしていた。
「いってぇぇっ!!」
「いっ、痛いじゃないですかっ!!」
「うっさいわねぇっ、騒いでないでとっとと行くわよっ! あんた達がぐずぐすしてるから、人がますます混んで来たじゃないっ!!」
「最初っから、混んでただろっ」
「ブツブツ言ってると、もう一発お見舞いするわよっ!」
「げっ!」
そんな感じで桂木のハリセンのおかげで、ようやく神社にお参りすることになった執行部一同は、集団で神社の境内に向かい始める。するとやはりさっきからすでに目立っていたせいもあって、執行部に道行く人の視線が集中していた。
しかし、その視線の半分以上が久保田と時任の二人に向かっている。
特にその視線の中でも久保田の方に向かっているものは、じーっと見ているというよりはうっとり見つめているという類の視線がほとんどだった。
紺色の無地の着物に羽織を着た久保田の姿は、本当に似合いすぎるくらいに似合っている上に横にいる時任に微笑みかけているので、今に通行人の中に藤原のように倒れる者が出るかもしないくらいの勢いで人々の視線を集めている。
一方、時任の方は羽織袴姿が似合っているというよりは、ちょっと無理やり着せられた感じが逆に可愛く見えていた。自分よりも背の高い久保田を見上げて無邪気に笑っている顔は、本当に時々、ハッとさせるほど魅力的な表情をしている。
そんな時任に向けられている視線は、久保田に向けられている視線と種類は違うが、その大半がねっとりとしつこく見つめてくる男の視線だった。
「着流しにしなかったのは正解だけど…、これもねぇ…」
「…あ?なんか言ったか?」
「いんや、べつに?」
「たこ焼き食う?」
「あとでね」
「…って、さっきのがラストでもうなくなっちまった」
「あっそ」
「あそこにちょうどゴミ箱があっから、コレ捨ててくる」
「一緒に行く?」
「いい、すぐ戻るから一人でへーキだって!」
時任はそう言ってゴミ箱にゴミを捨てに行ったが、今日の神社はかなりの人出である。
普段はぽつりぽつりと参拝者がいる程度の神社だが、今日は正月なのでかなりの人がここに集まっていた。やはり松原が言っていたように、正月に神社に参るのは日本の伝統的行事なので、別に信心深くなくても神社には参る習慣になっているようである。
神社までの道には沢山の屋台が並んでして、時任が持っているたこ焼きを打っている店や団子、とうもろこしなどの店々が軒を連ねていた。
久保田達から離れてたこ焼き屋の近くにあったゴミ箱まで走っていくと、時任は手にもっていたゴミをその中に投げ込む。
そうしてから、迷子にならないようにすぐに来た方向に戻ろうとした。
だが、時任は何かに羽織の裾をぐいっと引っ張られて戻るのを邪魔されてしまっている。
時任が何かに引っかかってしまったのかと思って、袖の方を見るとそこには見慣れない小さな手があった。
「な、なんだぁ??」
「あれ買ってっ!」
「はぁ?」
「たこ焼き買って!」
「なんで見ず知らずのガキに、たこ焼き買わなきゃなんねぇんだよっ」
「たこ焼き〜〜っ!!」
「今日は、サンタの格好なんかしてねぇっつーのっ!!」
時任の羽織の袖をつかんで引っ張っていたのは、幼稚園くらいの女の子だった。
女の子は長い髪を腰まで伸ばして、それを赤いリボンで頭の左右で結んでいる。
着物は着ていなかったが、それらしくピンクのワンピースを着ているので、やはりこの神社に参拝しに来た親にくっついてきたに違いなかった。
しかし、その女の子は自分の親ではなく、時任の袖を引っ張ってたこ焼きをねだっている。
時任はこめかみをピクピクさせていたが、幼稚園児相手に怒鳴るのはさすがに大人げないので、ゆっくりと女の子の前にかがみ込むとぎゅっと握りしめている袖を離すように説得しようとした。
「どうせ親か誰かと来てんだろっ。たこ焼きはそいつに買ってもらえ。俺は今から行かなきゃなんねぇことがあんだよっ」
「イヤっ!」
「離せって言ってんだろっ」
「だって、まのかは迷子だもんっ」
「はあぁぁっ、迷子ぉぉっ!!」
「だから、たこ焼き買ってっ!」
「それとこれとなんの関係があんだよっ」
どうやらまのかという女の子は、本人の言う所によるとこの神社の境内で親とはぐれてしまっているらしい。それで通りかかった時任の袖をつかんだのかもしれないが、どちらかと言えば迷子になって心細いというより、時任にたこ焼きをおごらせようとしているようにしか見えなかった。
時任は女の子をどうしようかと考えていたが、ハッとして辺りを見回して見る。
そうしたのは、久保田達がどこまで行ったのか確認するためだった。
しかし更に人が増えてきているため、すぐに見えるはずのデカイ室田の姿さえ見つけることができない。この状態では女の子の親を捜すどころか、久保田達に追いつくこともできそうにもなかった。
時任は頭を抱えてため息をつくと、とりあえず神社の誰かに預けようと女の子をくっつけてまま社殿の方に歩き始める。
すると女の子はたこ焼きをじっと眺めていたが、時任についてトコトコと歩き出した。
次第に増えてくる人々の群れを見ながら桂木達と歩いていた久保田は、ゴミを捨てに行った時任があまりにも戻らないのでとうとう立ち止まってしまった。
ゴミ捨てに行くにはあまり距離がなかったので一人で行かせたのだが、時任はいつまでたっても戻ってこない。後ろを振りかえってゴミ箱のある辺りを眺めては見たが、やはり時任らしき人物の姿はどこにも見えなかった。
「なに、どうかしたの?」
久保田が立ち止まってしまったことに気づいた桂木が、そう言いながら立ち止まると全員がそれに気づいて足を止める。
桂木は久保田の様子とその隣を見て、立ち止まった原因がわかったようだった。
全員がいると思っていたようだが、時任はたこ焼きのゴミを捨てに執行部の集団から一人で離れてしまっていたのである。
これが久保田や室田だったら心配はいらないかもしれないが、いなくなったのはよりにもよって一番トラブルを起こしそうな時任だった。
「…なんだか、嫌な予感がするわね」
「すぐに戻ってくるとは言ってたんだけどね」
そんな風に久保田は言っていたが、やはりすでに時任を探しに行く気でいた。
何事もなければそれでいいが、何かがあっては遅すぎるからである。
久保田が桂木に先に行くように言おうとすると、桂木は気合いを入れたようすで腰に両手を当てると全員に指示を出し始めた。
「相浦と松原はここから鳥居方面、藤原はあたしとここから神社の境内方面の探索いいわねっ」
「な、なんで僕が時任先輩を探さなきゃならないんですかぁっ。幼稚園児じゃないんですから、ほっといたらその内帰ってきますよっ」
「いやなら、ご町内の美化のためにゴミ拾いさせるわよっ」
「い、いやだなぁ、時任先輩が心配でゴミなんか拾ってられるワケないじゃないですかぁ〜」
「ったくっ、毎回調子が良すぎんのよ、あんたはっ!」
「うわっ、そんなにバシバシ叩かないでくださいよっ」
藤原はまだブツブツ言っていたようだが、桂木はそれには構わずに襟首を捕まえて引きずると探索に出かけようとする。
だが、実はまだ執行部員は一名だけ残っていたのだった。
「…俺はどこを探せばいいんだ?」
おそるおそる桂木にそう言ったのは、この人込みでも迷子になりそうもない室田である。
そんな室田を見た桂木は鳥居方面でも境内方面でもなく、自分の足元の地面を指差した。
「あんたはここで留守番よっ。ここに立ってれば、時任が戻ってきた時にわかるでしょ」
「さ、探さなくてもいいのか?」
「とにかく動かないでぼーっと突っ立っててくれればいいわよっ」
「ぼーっと…か?」
「探し終わったら、全員、ぼーっと突っ立ってる室田のところまで集合ねっ!」
「確かに目印には最適です」
「今まで気づかなかったけど便利だよなぁ、室田って」
「俺は便利グッズなのか…」
こうして桂木の指示で便利グッズ室田を目印に、執行部全員で時任を探すことになった。
一人で時任を探す気でいた久保田は口元にわずかに笑みを浮かべて、藤原をどつきながら歩き始めた桂木の横に並ぶ。
すると、桂木はやれやれというように久保田に向かって軽く肩をすくめて見せた。
「ったく、あのバカはどこに行ったんだかっ」
「さぁ、どこだろうねぇ」
「何事もなく、すぐに見つかるといいけど…」
「ねぇ…、桂木ちゃん」
「なに?」
「探してくれてありがとね」
「礼はいらないわよっ。いなくなったら、探すのが当たり前なんだからっ」
桂木がそう言うと久保田は桂木の肩をポンッと叩いて、ヒラヒラと軽く手を振ると別の方向へと歩き出す。どうやら桂木達とは別に、時任の行きそうな場所を当たった見るらしい。
そんな久保田を見た藤原は、逃げようとして桂木に襟首を捕まれながらわめいていた。
「わぁぁんっ、僕を置いて行かないでください〜〜!」
「あんたは私と一緒だって行ったでしょっ!」
「いやだぁぁっ!!」
「うっさいわねっ!」
怒鳴りながら藤原を引きずる桂木の周囲には、人が避けて通っているために妙な空間が出来てしまっている。この現象は、時任を探すには確かに最適かもしれなかった。
これなら探す前に、時任が騒ぎを聞きつけて来るかもしれないからである。
だが、今のところはそんな様子はまるでなかった。
一方、桂木達と別れた久保田は鳥居でも境内でもなく、時任が捨てにいったゴミ箱の付近まで歩いて戻っている。それは確かにこの人込みでは迷子になることもあるかもしれなかったが、どうも時任が境内を目指して歩いていないような気がしたからだった。
真っ直ぐ歩いていれば室田を見つけることも可能かもしれなかったが、ここまで戻る間に時任らしき人物の姿を見ていない。
絶対に見過ごしていない自信があるだけに、やはり少し嫌な予感がしていた。
久保田はゴミ箱の近くにあるたこ焼き屋の前に行くと、時任のことを見なかったかどうかを尋ねて見る。するとたこ焼き屋の中年の男は、やはり心当たりがあるようだった。
「その子かどうかはわからんが、なんか小さい女の子と一緒にいた子なら見たがなぁ?」
「羽織袴着た猫っぽいカンジの子なんだけど?」
「猫っぽいっていうか、カワイイっていうか…」
「どっちに行きました?」
「境内の方にだったが、ガキつれてるから人込み避けてたみたいだったな」
「どーも」
たこ焼き屋の男の証言からすると、時任らしき人物はなぜか小さい女の子と一緒に境内の方に向かって行ったらしい。女の子が一緒の理由はわからないが、何かトラブルに巻き込まれたことは間違いなさそうだった。
久保田は人込みを避けていたと言う証言に従って表の人込みの多い通りではなく、出店の裏の人の通らない場所を選んで歩き始める。
しかし、しばらく歩いてみても前方には時任の姿は見えて来なかった。
「ねぇ、あれ買ってっ」
「金は持ってねぇっつってるだろっ」
「なんで持ってないの?」
「うっせぇっ!」
女の子は歩きながらも、次から次に店にあるモノを欲しがって時任にねだっていた。
しかし、今日は久保田と一緒に出てきたため、時任は財布を持ってきていない。
持っていたとしてもしつこくねだり続ける女の子に買ってやる気にはならないが、持ってないのかと聞かれると少しムカッとする。
女の子は誰に似たのか、幼稚園児ながら相当な神経の持ち主だった。
自分で迷子だと言っていたが少しも寂しがるそぶりも見せないし、逆に楽しそうに時任の袖を引っ張って次から次に店を眺めている。
そんな女の子に付き合いながら時任は子供だからと我慢し続けていたが、引っ張りまわされ続けている内に段々と堪忍袋の緒が切れかかってきた。
「この…、いい加減に…」
時任は再びおもちゃを見てねだり始めた女の子に向かって、声を無理やり抑えながら言おうとする。だが、そうする前に聞き覚えのある声が前方からした。
「おいっ、なんでてめぇが俺の妹といやがんだっ!」
「はぁ? いもうとぉぉ?」
そう言ってあせった様子で時任に向かって言ったのは、荒磯高校で不良の代名詞になってしまっている大塚だった。
大塚は不良仲間である笹原と石橋も一緒に、参るのが目的なのかどうかはわからないが神社に来ているらしい。
それは別にどうでもいいことだったが、大塚の言った言葉がかなり不審だった。
時任はじーっと自分の袖を握っている女の子と、大塚を交互に見てみる。
すると、二人は似てるような似ていないような微妙な感じだった。
「こいつ、お前の妹なのか?」
「だからそう言ってんだろうがっ! さっさとこっちに渡せっ!」
「…ま、それなら別にいいけど、迷子になんねぇようにちゃんと面倒みててやれよなっ」
「俺のせいじゃねぇっ、こいつが勝手にいなくなったんだっ」
特に疑うべ点もないので、時任はぶつぶつ言ってる大塚に女の子を引き渡そうとする。
だが兄と名乗った大塚が現れても、女の子は時任の袖をぎゅっと握ったままで離れない。
そればかりか大塚から隠れるように、時任の後ろに隠れてしまっていた。
時任はその手を外させて大塚の方にやろうとしたが、女の子はそれを嫌がって暴れる。
自分の兄が迎えに来たのにおかしいと時任が思っていると、女の子は大塚達を指差しながら泣きそうな様子で叫んだ。
「このヒト…、お兄ちゃんなんかじゃないもんっ!!」
「おいっ、なに言ってんだっ!!」
「ぜんっぜん、知らないヒトっ!」
「てめぇっ、ぶん殴るぞっ!!」
女の子はまるで悪人を見るような目で大塚を見ながら、時任の後ろに完全に隠れてしまっている。すると、それを見た大塚が、むかついた様子で女の子を時任から引き剥がしにかかった。
時任に向かって大塚は女の子を妹だと言うし、女の子は大塚は知らない人だと言う。
どっちが本当なのか少し迷っていたが、痛がる女の子の腕を強引に引っ張っている大塚の手を時任はつかんだ。
「どっちがホントなのかはしんねぇけど、痛がってんだからやめろっ!」
「こいつは俺の妹なんだから、どうしようと俺の勝手だ。他人にとやかく言われる筋合いはねんだよっ」
「てめぇ…、妹だからって勝手ってことはねぇだろっ。そーいうのはムカツクんだよっ」
「やる気なら来いよ、時任。日ごろの感謝を込めて叩きのめしてやるっ」
「感謝するんのはこっちの方だろっ。いっつも簡単にやられてくれてサンキューな、大塚。おかげで公務が楽だぜ」
「この野郎っ!!!!」
大塚は捕まれていた時任の手を振り解くと、時任の向かって拳を繰り出す。
すると時任は、女の子を後ろにかばったままでその拳をひょいとかわした。
女の子をかばっているのはかなり不利だったが、これくらいで負けるような時任ではない。
だが、大塚だけではなく笹原や石橋が参戦しようとした瞬間、近くから野太い不吉な声かここにいる全員の耳に響いて来た。
「兄貴のスーツ汚しやがったガキは、そいつだぜっ!」
「ふんっ、てめぇらがそのガキの保護者か?」
「たこ焼きなんぞつけやがって、スーツ代出せやっ!」
「待てやっ、こらぁっ!」
大塚達はいかにもチンピラ風の男達が六人現れたのを見た瞬間に、すでにその場から逃げ出している。しかし何のことだかわからなかった時任は、あっという間に女の子を背後にかばったままで男達に囲まれてしまっていた。
そいつらの話している内容からすると、どうやら女の子はたこ焼きをこぼして、前を歩いていたチンピラ風の男達の仲間の背中にべったりとつけてしまったらしい。その事情を聞いた時任は慌てることなく、後ろを向くとしがみついている女の子に話しかけた。
「なぁ、あいつらの言ってることはホントなのか?」
「…う、うん」
「ちゃんとゴメンナサイしたのか?」
「…まだしてない」
「だったら、しなきゃダメだろっ」
時任はゴメンナサイしていないという女の子を自分の前に立たせると、脅しをかけてきているチンピラ達に向かって謝らせる。
女の子は怖がってはいたが、しっかりとした口調で自分のしたことをあやまった。
「たこ焼きこぼして、ごめんなさいっ」
しかしそれを聞いたチンピラ達は逆にむかついた様子で、ますます時任と女の子に向かって凄んでくる。けれど、時任はそれを相手にしないで再び女の子を背後にかばった。
「ちゃんとあやまったじゃねぇかっ! 言いがかりつけてんじゃねぇよっ!」
「何が言いがかりだっ! 兄貴のスーツを台無しにした借りがごめんなさいで済むかっ、ふざけたこと抜かしやがってっ!! このクソガキっ!」
「汚れたら洗濯すりゃいいだろっ」
「だったらクリーニング代、五万払えやっ」
「金なんか持ってねぇし、持ってても誰が払うかよっ」
「なにぃっ! 金を持ってねぇだとぉっ!!」
時任が金を持ってないと知ると、男達はどうするかという風に目配せをし合う。
その間に時任は周囲を見回していたが、時任の歩いていた場所はさっき見て回っていた店からも人通りからはずれてしまっている上に、大塚達と争った時にまた更に目立たない場所に入ってしまっていたため、人込みに紛れて逃げることはできそうにもない。
だがこの機会を逃したら逃げられなくなりそうだったので、時任が女の子を連れて走り出そうとすると、その前にチンピラ達よりも少し格上な感じの男が前に立ちふさがった。
「金がなけりゃ、身体で払わせろ。 上玉だから高値で売れるだろうぜ」
「ヘンな目で俺のこと見てんじゃねぇよっ、ヘンタイ野郎っ!!」
「ふんっ、俺なんかとは比べ物にならないくらいのヘンタイじじぃに売ってやるよ」
「誰がそんなヤツに売られるかっ!」
「とっととそのガキとコドモを連れてけっ」
男の言葉に従って、チンピラ達はじりじりと距離を詰めてきて時任と女の子を捕らえようとしていた。確かにたこ焼きをこぼしてスーツを汚したことは悪いかもしれないが、その代償として身体を売られる必要は当たり前だがない。
普段とは違っている動きにくそうな自分の格好を見てから、時任は小さく舌打ちした。
なんとか女の子だけでも逃がしたかったが、その隙を作るにしても派手に動き回るには袴が邪魔になる。
時任は目の前にいる男を睨みつけながら、するっと袴を縛っている紐を外した。
すると袴がゆっくりと時任の足から緩んではずれたが、上に着物を着ているので素足が空気にさらされることはない。
しかしそれを見ていたチンピラ達の間からは、嫌な感じの低い笑い声が聞こえていた。
「どうせだったら全部脱げよっ」
「中途半端は良くないぜっ、にーちゃんっ」
「それとも脱がして欲しいってのか? なら脱がしてやってもいいぜぇ」
そんな言葉にさらされながらも、時任はしきりに背後にいる女の子のことだけを気にしていた。袴を脱いで暴れて隙を作るのはいいが、女の子が早く走れそうも無いので時間稼ぎをたくさんしなくてはならない。
時任はチラリと女の子に視線を向けると、女の子の方も時任を見ていた。
「お兄ちゃん…」
「俺のことは心配いらねぇから、合図したら人のいるトコまでとにかく走れっ。そんで近くにいる人に助けてもらうんだぞ、いいなっ」
「でも、お兄ちゃんは?」
「俺様は強いからヘーキに決まってんのっ。なんてったって正義の味方だかんなっ」
「せいぎのみかた?」
「そ、天下無敵で宇宙一のアイドルなんだぜっ。だから振り返ったりすんなよっ」
「うんっ」
「せぇのっ…、今だっ、走れぇっ!!」
時任が前にいた男に蹴りを入れると同時に、振り返らずに女の子が走り出す。
だが相手の人数が多い上に、全員が一応まったくの素人という訳ではないのでケンカ慣れしていた。
袴を脱いで身軽になっていたが、やはりいつもよりは動きが鈍い。
時任に蹴りを入れた後にすぐにかかってきた二人に拳と蹴りを叩き込んで地面に沈めたが、次にかかってきた一人に足を引っかけられて転んだ。
だが、うまく受身を取ってすぐに立ち上がり、その一人にも見事な回し蹴りを入れる。
すると、その蹴りを受けた三人目が地面に倒れた。
「うごあぁぁっ!!」
「そう簡単にやられてたまるかよっ!!」
それから時任は、女の子を追いかけようとした一人に拳を叩き込んで行く手を阻んだが、その背後を狙っていた一人の蹴りが時任のわき腹に入る。
その蹴りを受けた時任は、わき腹を抑えて地面の上に転がった。
「手間かけさせやがってっ!」
「ぐうっ…」
「おとなしくしてりゃ痛いばかりじゃなくて済むってもんだぜっ、にーちゃん」
「クソッ、どきやがれっ!!」
時任は自分の上に馬乗りになってきたチンピラを、必死で払いのけようとしていたがさっきのダメージが響いていてうまくいかない。
チンピラは暴れる時任を見てニヤッと笑うと、時任の着物をしめている紐を解いた。
そして時任の着ている着物に手をかけると、それを脱がそうとする。
時任は手でそれを防ごうとしていたが、横からも手が伸びてきて足元から着物をめくりあげた。
「へぇ、男のクセにキレイな足してんなぁ」
「くうっ…、それ以上なんかしたらぶっ殺すっ!!」
「この状況でやれるもんならやって見ろよっ、にーちゃんっ」
時任は歯をくいしばって触ってくる手を避けようとしていたが、どうしても逃げることが出来ない。しかし、それでも時任は自分のことより、女の子が無事に逃げられたかどうかその方向を視線で追っていた。
姿が見えなくなった所を見ると、女の子はどうやら無事に逃げられたようである。
だが、そうしている間にも着ている着物はチンピラ達の手によって脱がされていっていた。
冷たい空気に肌をさらされながら、時任がくやしさのあまり思わずぎゅっと目を閉じる。
するとその瞬間、自分の上から悲鳴が聞こえた。
「ぎゃあぁぁっ!!!!」
「せっかくだから、焼きたてもらってきたんだよねぇ」
その声に時任が目を開けて見ると、時任の上に乗っていたチンピラの顔面にたこ焼きのパックが押し付けられていた。聞こえてきた言葉の通りにたこ焼きは焼きたてだったらしく、押し付けられたパックとチンピラの顔から湯気があがっている。
チンピラはうめき声をあげて、時任の上から地面へと転がった。
足元にいた方は素早すぎる攻撃に声をあげる暇もなかったらしく、すでに地面に倒れて気絶している。
時任は起き上がってチンピラ達を見てから、次に自分のそばに立つ男を見上げた。
するとその男は時任の解かれた紐を持って屈み込むと、乱暴な手で乱されてしまった着物を綺麗に整えてくれる。
時任が黙ってそれを見ていると、たこ焼きをチンピラの顔に押し付けて倒した男、久保田はきゅっと紐を結び終えてからゆっくりと背中に腕を回してきた。
「久保ちゃん…」
「言わなくても、ちゃんと全部知ってるから…」
「もしかして会った?」
「うん」
「良かった…、あいつ無事だったんだな…」
女の子が無事だと知った時任は、ほっとしながら久保田の腕に身体をあずける。
すると、久保田は髪に頬を寄せながら優しく時任の頭を撫でた。
「良くがんばったね、時任」
「やっぱ…、正義の味方は負けらんねぇし…」
「うん…」
「だからきっちりカタは付ける…」
「やっぱり、借りたモノは返さなきゃね?」
「当たり前だっつーのっ!」
時任は一度だけ久保田の首に腕を伸ばしてぎゅっと抱きつくと、パッとそれを離して立ち上がる。すると、さっき時任が倒したチンピラがヨロヨロしながらも復活していた。
他にもまだ二人残っていたが、その二人は久保田と時任以外の人物に睨まれて身動きが取れなくなっている。それは何か騒ぎが起こっていることを、噂で聞きつけてきた松原と桂木だった。見かけは二人とも弱そうに見えるが、気合いと気迫が只者ではない。
特に木刀を構えた松原には寸分の隙もなかった。
その二人には気合いで劣る相浦は、復活した男達に向かってそこらヘンに落ちていた気の棒を構えているし、役立たずの藤原は近くの気の影に隠れている。
ココにはすでに室田以外の執行部員がそろっていた。
「それじゃあ、正義の味方が全員そろった所でやるわよっ! みんなっ!!」
強気でやる気の桂木の声が響くと、全員がいっせいにチンピラ達を退治にかかる。
時任もさっきの分を倍返しすべく、力を込めて拳と蹴りを繰り出していた。
久保田の方は時任の代わりにたこ焼きを顔に浴びてうめいている一人と、復活した時任の足をさわっていたもう一人に執拗に蹴りを入れている。
だが少しすると、何かを思い出したかのように木陰に隠れている藤原を呼んだ。
「なんですかっ、久保せんぱーいっ」
「その手にもってるのって、たこ焼き?」
「そ、そうですけど?」
「それ、俺にくれない?」
「こんなものでよろしければ、いくらでもよろこんで差し上げますぅぅっ!!」
「あっそ」
久保田は藤原の手からたこ焼きを取ると、その箱を逃げようとしている少し格が上らしい男に向かって投げつける。
すると、その箱は見事に男の頭に命中した。
男は熱いたこ焼きが運悪く背中にはいって、その熱さに叫んでいる。
そんな男のそばにゆっくりと歩み寄ると、久保田は背中に一発蹴りを入れてから腹に重い拳を叩きこんだ。
「あ、ゴメンねぇ。またスーツ汚しちゃった?」
「う…、ぐぅっ…」
「スーツ代、ココに置いとくから取りたければ取りなよ」
「うぅっ…」
「ただし、地面を這いずってね」
そう言って久保田が上から地面に投げ落とした一万円は、実は久保田のものではなく大塚のものだった。
つまり女の子に出会ったのは偶然ではなく、挙動不審だった大塚達を捕まえて尋問して最初からココに向かっていたからなのである。自分の妹を見捨てた大塚だったが、さすがに良心が痛んだのかこの付近をうろついていたのだった。
時任一人ではさすがに相手の人数が多すぎたが、執行部がそろえば向かう所に敵は無い。
あっという間に全員が地面に沈み、最後の一人に時任の見事な蹴りが入った。
「これでラストーっ!!!」
「ぐがぁっ!!!」
正義の味方のチンピラ退治が終了すると、時任はニッと久保田に向かって笑いかける。
すると久保田もそれに答えるように、男の頭を踏みながら微笑み返した。
そんな二人を見ていた桂木は小さく息を吐くと、こちらに向かってやってくる室田と小さな女の子の方を見る。
その女の子はもちろん、今回の騒ぎの原因であるまのかという大塚の妹だった。
まのかは室田に手を引かれて歩いていたが、時任の姿が見えてくると手を離して走り出す。すると時任はまのかに向かって軽く手を振った。
「ちゃんと大丈夫だっだろっ」
「うんっ!」
時任がそう言って笑うと、まのかは勢い良く時任の足に抱きつく。
するとしがみつかれた時任は、笑顔のままでポンポンとまのかの頭を軽く撫でた。
最初は生意気なだけだったが、こうやって懐かれるのは悪い気がしない。
しかし懐いているのはいいのだが、まのかは大塚が迎えに来てもぎゅっと時任に抱きついたまま離れなかった。
「帰るぞっ、来いっ!」
「いやっ! 帰らないもんっ!」
「こいつっ!!」
「お兄ちゃんのバーカッ!」
「このクソガキ!」
「まのかは、ときとーの妹になるっ!」
「なら帰ってくるなよっ!」
「べぇーっだっ!」
そんな兄弟ゲンカが続いていたが、とうとう切れた大塚がまのかを置いて家に帰ろうとする。時任も帰るように言ったが、まのかは時任が気に入ったらしく言うことを聞かなかった。
なにを言っても、時任の妹になるの一点張りである。
困った時任が強引にまのかを引き剥がそうかどうしようかと悩んでいると、ぐいっと何者かの手に顔を上に向かされた。
「な、なにすんだよっ、くぼ…、んっ…」
時任は何か言おうとしたが、久保田の唇に強引に唇をふさがれていうことがでなかった。
いやがって少し抵抗したが、久保田はその手を押さえ込むと深く口付けてくる。
ハッとして時任が目を開けて下を見ると、まのかは放心した様子で二人のキスシーンを見ていた。
「バ…、バカッ、やめろって…っ!」
少しして久保田から開放された時任が、そんな風に言ったが顔が赤くなっているので説得力がない。じっと自分を見つめてくるまのかにさっきのキスをどう言おうかと時任が考えていると、ゆっくりと子供の視線に会せるように屈み込んだ。
「時任の妹にはなれないって、ホントはわかってるでしょ?」
「でも、まのかはときとーが好きだもんっ」
「俺も好きだけど?」
「まのかの方がもっと好きっ」
「俺ももっともっと好きだよ?」
まのかは久保田の言葉を聞くとさっきのキスを思い出したのか、くやしそうな顔で足にしがみついたままで時任の顔を見上げる。
そしてじっと赤い顔をしている時任を見つめながら、時任に質問をした。
「ときとーはどっちが好き?」
「えっ?」
「こっちのオジサンと、まのかとどっちが好き?」
「・・・・・・・っ」
まのかのオジサン発言に、時任は少し笑ってしまいそうになる。
だが、時任はなんとか笑わずにそれを押さえ込んだ。
しかし、相浦は笑いを治められなかったらしく、腹を抱えて地面に突っ伏している。
それを桂木がハリセンで叩こうとしていたが、その手も震えてしまっていた。
時任はチラツと久保田の方を見てからすぅっと少し息を吸い込むと、まのかの手を足からはずさせて同じように屈み込む。
そしてまのかと同じ位置に視線を合わせると、真剣な表情で答えを言った。
「久保ちゃんが…、こっちのオジサンが好きだから…」
「まのかよりも?」
「うん」
「ホントに?」
「ホントにずっと…、それだけは変わんないから…。だからゴメンな」
時任がそう告げると、まのかはくしゃっと泣きそうに顔を歪める。
その顔を見た時任は思わずまのかの頭を撫でてやろうとしたが、その手を久保田が止めた。
まのかは時任と久保田から離れて走り出すと、先に行った大塚の後を追いかけ始める。
だが、少し行くと振り返って時任に向かって手を振った。
「またねーっ!!!」
その声を聞いた時任は手を振り返しながら、思わず久保田と顔を見合わせる。
もしかしたら、まのかはまだあきらめていないのかもしれなかった。
そんなまのかを眺めていた桂木は肩をすくめると、本当に軽く乗せる程度に時任と久保田の頭をハリセンで叩く。
そうしてから、桂木は深々とため息を付いた。
「…ったく、有害すぎんのよ。あんた達は…」
「見逃してくれてアリガトね、桂木ちゃん」
「二度目はないわよ」
「ほーい」
久保田と桂木がそんな会話をしていたが、時任はまのかを手を振って送ってから、やっと自分が何をしたのかと自覚していた。実はまのかの目の前で久保田とキスして、好きだと告白しただけではなく…、執行部全員の目の前でそれをやってしまっていたのである。
いきなり恥ずかしさが込みあげてきた時任は、桂木のハリセンをばっと奪い取るとバシンッと音がするほど久保田の頭を叩いた。
「いたっ…」
「さっきのはナシっ! さっさと忘れろっ!! 今すぐ忘れやがれっ!!」
「…って言われてもねぇ?」
「忘れるまで叩きまくってやるっ!!」
「すでにインプットされちゃってるんですけど?」
「インプットなんかすんじゃねぇっ!!」
そんな風に時任は言っていたが、結局、追いかけ回されたのはしっかりキスシーンも告白も見ていた相浦と室田、そして松原の三人だった。ハリセンを持った時任に追いかけられている三人を眺めながら、残った二人は新たに買ってきたたこ焼きを食べている。
その目の前には執行部に倒されたチンピラ達が転がっていたが、走り回る四人に踏みつけにされてさらにダメージを食らっていた。
「あたし達…、いつ神社に参れるのかしら?」
「さぁ、いつだろうねぇ?」
たこ焼きを食べながら久保田と桂木はそう話していたが、しばらくして誰かが通報してやってきた警察のサイレンの音で終止符が打たれた。
サイレンの音を聞くと急いで全員が境内に向かって走り出したかに思えたが、実はそれは全員ではなかったのである。その理由は久保田と時任のラブシーンを見てショックのあまり、藤原が涙を流しながら木陰に倒れていたのからだった。
しかし、そんな藤原には桂木達も到着した警察も誰も気づかなかった。
うわわっ、執行部なのです〜〜(@_@;)
なぜか、本当に久しぶりのような気がしました(汗)
このお話はラブなくーさんに捧げさせていただきたいですvV(^0^)←迷惑なっ。
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