眠れる森の王子様














 .........序章..........


 むかしむかし、とあるところのとある国に、一人の王子様がいました。
 王子様の国はとてもとても小さな国でしたが、心優しい王様の治める国は争いごとも少なく、穏やかで平和でした。
 けれど、そんな小さな国を狙う者がありました。
 それは、近くの大きな国の王様です。
 前の王様は王子様の小さな国と仲良くしていましたが、次の王様は自分の国にしてしまおうとしていました。でも、とてもとても小さな国を自分の国にしたとしても、大きな国にとっては小さなことです。
 そう、大きな国の王様が本当に欲しいのは小さな国ではなく、小さな国の王様の持っている宝物でした。しかも、その宝物は持ち主の願いを何でも叶えてくれるといわれている不思議な宝物です。
 でも、在り処を知っているのは、とてもとても小さな国の代々の王様だけでした。
 宝物の欲しい大きな国の王様は、どうやったら手に入れられるのものかと考えました。手っ取り早い方法は攻め込んで国民の命を盾に、王様に宝物の在り処を吐かせる方法です。
 でも、そんな折、とてもとても小さな国の王子様の誕生日を祝う宴に出席した大きな国の王様は隠されていた、ある事実を知ってしまいました。
 それは王様にとって都合の良い、面白い事実でした。

 そう、実はとてもとても小さな国の王子様は、お姫様だったのです。
 
 その事実を知った王様は、即座に王子様の恰好をしたお姫様に結婚を申し込みました。王様と王妃様の間には王子様の他に子はなく、もしも結婚すれば争わなくても宝物が手に入ります。
 とてもとても小さな国では、王になれるのは男だけでした。ですから、こんな事態を恐れて王女様は、王子様として育てられていたのです。
 とてもとても小さな国と宝物を守るために…。
 けれど、大きな国の王様に知られてしまっては、もうこれ以上、隠し通すことはできませんでした。
 
 姫と宝を差し出せば、無駄な血は流れずに済むが…、どうするかね?
 
 そう大きな国の王様に言われ、とてもとても小さな国の心優しい王様と王妃様はとてもとても悩みました。
 大きな国に攻め込まれれば、とてもとても小さな国はひとたまりもありません。小さな国が無くなってしまうだけではなく、たくさんの人々の血が流れてしまうに違いありませんでした。
 今の大きな国の王様の他の国への残虐非道な行いの噂は、小さな国にも届いています。けれど、宝物を渡してしまったら、きっと大変な事になってしまいます。そうなってしまったら、もう小さな国だけの問題ではなくなってしまうのです。
 そして…、そんな大きな国の王様の花嫁にされてしまう我が子のことを思うと、どうしてもどちらも選べませんでした。

 どうすれば良いのだ…、どうしたら良いのでしょう。

 小さな国の王様と王妃様が悩んでいると、そこへ一人の魔法使いが現れました。その魔法使いは、小さな国の山奥に住んでいる魔法使いです。
 魔法使いは悩む二人の前に進み出ると膝を付き、敬愛する我が王の窮地にお力になれればと急ぎ馳せ参じましたと深々とお辞儀をしました。
 そして、魔法使いの話を聞いた王様と王妃様は、お互いの顔を見合わせ…、それから少し悩みましたが…。結局、魔法使いの話にうなづいたのでした。

 あの極悪非道な王様が奪うというのなら、それよりも先に私が姫と宝を奪いましょう。そして、魔法の力で誰も手の届かない場所へ隠してしまいましょう。

 魔法使いは、小さな国の王妃様に糸車を渡しました。そして、王妃様はその糸車を部屋に置いてお姫様である王子様を呼び、優しく髪を撫でながら言いました。
 糸が足りなくなってしまったから、糸を紡ぐのを手伝ってくれないかしら?
 とてもとても小さな国の王妃様は、縫物や編み物をするのが大好きでした。ですから、王子様は何も疑うことなく、魔法使いの糸車を回してしまったのです。
 すると、王子様の指をチクリと針が刺しました。
 実は糸車の針には、魔法使いの毒が塗られていたのです。
 そして、その毒で王子様は深い深い眠りについてしまいました。

 眠れる王子様と宝物を守るために、私は茨の森を作りましょう。
 誰の手も届かないように、深い深い茨の森を…。

 魔法使いは自分の住む森を茨の森に変え、王子様は宝物と一緒に茨に守られながら…、今も眠り続けているのです。大きな国の王様は、王子様と宝物が悪い魔法使いに奪い去られたと聞き、たくさんの兵士を連れて茨の森に戦いを挑みましたが、そのまま帰っては来ませんでした。
 むかしむかし、それは今は伝説となってしまった、眠れる森の王子様の物語。
 そして、王子様の眠る茨の森は、とある国のとある学園の近くに今もあるといいます。けれど、それもまた伝説であり、真実は確かではありませんでしたが・・・・、
 その学園の生徒が一人、ふぁあぁ〜と眠そうにアクビをしながら、退屈な学園生活の暇つぶしに立ち入り禁止になっている森に足を踏み入れた瞬間…、止まってしまった糸車が回り出すように再び伝説が、物語が紡がれ始めます。
 それは眠れるお姫様ではなく、眠れる王子様の物語。
 何百年ぶりかに深い深い眠りから目を覚ました王子様は、糸車の毒のせいなのか、それとも魔法使いの魔法のせいなのか・・・、
 お姫様ではなく、正真正銘、身も心も王子様になっていたのでした。

 「うわ…っっ、なんっだコレっていうか、マジかよっ!!」
 「なんだって言われても、ソレはアレじゃない? ち・・・」
 「うぎゃあぁぁーっっ、言うなぁぁぁっていうか、見るなっ、ヘンタイっっ!!」
 
 これはたぶん、そんな物語。とある国の王子様と、とある学園に通う男子生徒との出会いから始まる、おとぎ話のような二人の物語なのです。

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 ※注意書き※

 このお話は時任が今は王子様ですが、元はお姫様だったために、物語中に女体化するシーンがあります。ですが、男として育てられているために、口調は俺様の時任のままです。
 なので、序章を読まれてダメだっっと思われた方は、読まれないことをお勧めしますっっ。うう、キリリクなのに本当に申し訳ありませんっっ(/_<。)
 けれど、どうしても頭の中が、こんなな感じで…(涙)
 リクしてくださった方には、もうすでにお詫びしてもしきれずっ、お詫びのしようも無い状況なのに、重ねて本当にごめんなさいですっっ(/□≦、)申し訳なさ無限大ですが、無限の感謝と久保時ラブを込めて、全力で最後まで頑張って書かせていただきたいです!
 こんなな私にリクして、後悔山盛りと思いますですが(涙)リクしてくださって本当にとてもとても感謝ですっ!ありがとうございますですっ!!!vv

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