セブンで温めてもらおうとしたら、
棚に陳列されたアヤシイ箱の前で、
イチャイチャイチャイチャしているバカップルを発見した。


「ちょっ、こんなトコでそんなの買おうとすんなよ!」
「なんで? 丁度切れてたし、どこで買っても中身変わんないと思うけど?」
「…って、そういうイミじゃなくてっ」
「あ…、コレ、可愛くない?」
「可愛くないっ。可愛くないし、いらねぇからっ!」
「けど、後で痛くなるのはお前だし…」
「うわぁぁ…っ、もう何も言うなっ、だーまーれぇぇっ!」
「だって、痛くない?」
「い、痛くないっ。昨日はちゃ、ちゃんとシしてたから痛くないに決まってんだろっ」
「してたから痛くないって、何で?」
「な、な、何で…って、そんなのコ、ココで言えるワケねぇだろ…」
「痛くないって、ドコが?」
「ど、ドコって、それは腹に決まって…」
「肩とか首筋じゃなくて?」


「・・・・・・・・・・は?」


「実は昨日、おいしそうだったから、ついつい噛んじゃってね。
軽くのつもりだったんだけど、今朝見ると思ったより…」
「…って、はぁぁぁぁっ!?」
「うーん、俺もまだまだ若いってコトかなぁ。まぁ、そういうワケだから、ゴメンね?
そこの箱の横にある消毒液と可愛い猫柄のバンドエイド買って、帰ったら手当てして…」
「・・・・・・・・・・・・」
「…って、どうかした? もしかして、痛くなってきたとか?」
「〜〜〜〜〜〜っ」
「おーい、ときとうクーン」
「・・・・・・・い」
「い?」
「痛いのは、てめぇの存在だ…っっ!!このエロオヤジっ!!!」
「あ…、ネコやめて、こっちのクマさんにしとく?」
「クマと一緒に森に帰りやがれぇぇっっ!!!!」

ばきぃぃぃぃ…っ!!!!!!


「・・・・・・・スイマセン、追加で湿布もクダサーイ」


チー……ン………。


すぐ近くのレジから、電子レンジの温め完了の音がした。
しかし、温められたのは、ただのお弁当…。
けれど、イチャイチャイチャイチャしていたバカップルを眺めている内に、
もう温めは必要ないかもしれない気がした。
ぶっちゃけ、久保時町とか迷子とか、もうどうでも良くなってきた。
だがしかしっ!何か物足りないので…、

『真昼の月に行く』        『バカップルを追う』