遅刻
約束の時間、からほんの10分も過ぎると。
「遅い!!」
私と同じベンチに座る彼女は早くも怒りはじめる。
「なにやってんのよ、あのバカ」
肘にあてた指先を上下させ、イライラと時計をのぞく。
「・・・落ち着いたら」
私が言うと、
「・・・・・。」
彼女はむすっと黙り込み、
指先だけは、やはり上下に揺らして彼を待っている。
いつも不機嫌に、
いつも不安げに、
彼を待つ時の彼女は、いつも、こう。
なのに、
「おーい!、アスカー!、あやなみー!」
いざ彼が現れると、
「・・・ふん」
彼女はそっぽを向いて、それまでの自分を隠してしまう。
そして、
落ち着いていたはずの私は、
自分でも知らない間にベンチから離れ、彼を迎えている。
その私に、ベンチの上の彼女が言う。
「あんたこそ、落ち着いたら」
「ごめん、2人とも待ったよね?」
こう聞く彼に、
いつも私達は、同じ答えを用意している。
「「・・・ええ、とっても」」