ありがとう
写真
「なんで、突然写真なのよ」
「いいからいいから、記念だと思って」
「なんの記念なんです」
「まあ、まあ、ほら、レイも並んで」
「はい」
「いくわよ」
カシャッ。
「へえ、これが碇君のお父さん、悪いけど、さえないね」
「ぼくも、そう思う」
「こっちがお母さんね、昔から綺麗だったんだ」
「へへ、そうかな」
「こっちの人は」
「お父さんとお母さんの大切な人だって、言ってた」
「ふーん」
「あ、そろそろ、出かける時間」
「本当だ」
だだだだっ、と出て行く子供たち。
幸せそうにそれを眺め、片づけを始める母親。
何気なく見つめる先には、
セピア色の写真。
ぎこちなく笑う少年を挟んで、
その少年を見つめる青い髪の少女と、
恥ずかしげにそっぽを向く赤い髪の少女。
少女だった母親は、少しだけ目を閉じてあの時のことを思い出す。
「ありがとう」
そんな言葉が自然にでた。