意外に、なのか、
見たまま、なのか、
綾波家の4姉妹はそろって低血圧で、そろって朝に弱かったりする。

ゆえに、綾波家の朝はそれなりに騒々しい。




その姉妹に関する、登校風景



で、その朝。
ジリリリリリと鳴り続けている目覚しの音が聞こえてくる、真っ直ぐな廊下。
その廊下を挟んで並ぶ4つの部屋。
それぞれのドアに架けられた、それぞれの形プレートには、4姉妹によるレイ、ルイ、リナ、レナの手書き文字。
目覚しの音は、4つの全ての部屋で鳴っているようである。
それが3つになった瞬間。

「ああ、また寝坊だよー!!」

叫び声と同じぐらいの勢いで開くドアから、目覚しという、目覚しを全滅させたリナが飛び出してくきた。
さらに、寝癖だらけの頭を振りながら、他の3つの部屋から聞こえてくるベルの音を聞くリナ。

「・・やっぱり、お姉ちゃん達もまだ寝てるの!!」

もう一度叫び、ちょっと大きめのパジャマをはためかせて、姉達のドアをノックしながら廊下を走りまわる。

「レイ姉ちゃん、ルイ姉ちゃん。リナ。起きて、起きて、遅刻するよ!!」

必死の呼びかけにぬぼーと出てくる。蒼髪、紅目の少女2人に、ちび1人。
慌てるリナの前で、3人は互いに目をこすって、のんびりと小さなおはようの挨拶する。

「はいはい、急いでね」

こうして、
なかば呆れながら、
いまだ半開きの目をした姉×2と妹を引きずって、食卓に向かうのがリナの日課であった。





ドンドンドンドン。
廊下から食卓に、3女のものと思われる足音が流れ込む。
「あらあら、また寝坊のようですわ」
「ああ」
キッチンで洗い物をしているユイに、新聞を広げたまま答えるゲンドウ。
一応ことわっておくが、4姉妹の母と父である。
で、その娘達が洗面所に向かってゲンドウの前を通りぬける。
バタバタバタバタ。
わずかに新聞を下げ、最初に走りぬけるリナを確認する父、ゲンドウ。
「お父さん、おはよう」
「ああ、おはよう」
ペタペタペタペタ。
続いて、ぼーと歩いていくレイとルイ。
「・・・おはよう」
「ああ。おはよう」
やはり目で追う、父、ゲンドウ。
パタパタパタ。
最後に、小さな足音を立てるレナ。
「おはよう、お父さん、お母さん」
「ああ、おはよう」
テーブルの上からわずかに見える頭を、じーと見守る、おやぢ、ゲンドウ。
そして、4人が洗面台に向かうと、満足げに新聞に目を戻すのであった。




そのゲンドウの趣味により、
綾波家の洗面台は、多少広く作り直してある。
それは、鏡の前にならぶ4人の寝ぼすけの姿が可愛いからである。
・・・分からんでもない。

「ああー、寝癖が直んないよ」
「・・今日の歯磨き粉、不味い、何故?」
「・・それ、洗顔クリームだと思う」
「お姉ちゃん、レナのコップとって」

それぞれがそれぞれにくっ付き合って、ブラシだか、歯磨き粉だかをやりとりする4姉妹。
ちなみに、レナはちび専用踏み台の上で、さらに背伸びをしている。

「ああー、やっぱり髪の毛が直んないよう」

レイとルイがボーッとしながらも、
レナが手足をいっぱいに伸ばしながらも仕度を整えていくなか、リナが泣き声をあげる。
体質だろうか、確かにリナの髪は寝癖がつきやすい。
寝相のせいという説もあるが、逆にレイとルイの髪は努力しても、いつもの髪型以外にはならないのである。

「どうして、いつもこうなの?」

なかばやけになって、自分の髪を引っ張るリナ。
だが、横から姉達の手が伸び、それを辞めさせ。

「お姉ちゃん・・」
「・・・じっとしていて」

レイとルイの手によって、リナの髪に優しく当てられるブラシとドライヤー。
すると、先ほどまでどうにもならなかった跳ね返りが、少しづつ直っていく。

「ありがとう」

いろいろ困らせてくれるレイとルイだが、リナはこんな姉達が大好きである。






「いってきまーす」

野菜ジュースと小さなロールパンの食事を数分で終え、家を飛び出していくレイ、ルイ、リナ。

「いってらっしゃーい」

にこやかに、3人を見送るユイ。
同じく玄関に立つゲンドウに笑いかける。

「じゃあ、レナを幼稚園のバスまでお願いしますね」
「ああ、行ってくる」

朝からサングラスを装備するゲンドウの手には、
幼稚園の黄色い帽子と鞄を身につけたレナの手がしっかりと握られていた。






「早く、早く」

リナを先頭に、通学路を走るレイとルイ。
そして、

「遅刻しちゃうよ」

リナが後ろの姉達を振り向きながら、お約束の曲がり角に入ったとたん、
ドシン!!

「きゃあ!」
「わあ」

リナは、良く知ったクラスメートの2人組みにぶつかった。
それは、説明するまでもなく、

「痛てて、大丈夫だった碇君」
「うん、大丈夫だけど」
「大丈夫じゃないわよ、リナ、あんた何度同じことするのよ」
「えへへ、ごめん、アスカ」

であった。
素早く立ち上がり、ぱんぱんと制服を払うアスカにリナ。
そして、残るシンジに目をおろすと、
いつの間にかレイとルイがそれぞれに手を伸ばしているところであった。

「「つかまって、碇君」」
「あ、ありがとう」

そのまま、二人の少女に挟まれるシンジ。

「「行きましょう、遅刻するわ」」
「うん、わ、ちょっとまってよ、綾波、ルイ」

拉致されるように、凄い速度で引きずられていく。
みるみる小さくなる姉達の後ろ姿に、リナの一言。

「お姉ちゃん達、目が覚めたみたい」

で、アスカの一言。
実に不機嫌そうに、リナの耳元で、

「アンタ達、わざと寝坊してない?」
「・・・・・そうかも」



リクエストが多かった、4姉妹シリーズの2作目です。
1作目を知らない人は、こちらをどうぞ。
さらに、続編希望の方はメールなり伝言板でリクエストして下さい。
個人的には、学園物にして、マナやマユミ、カヲルを出してもいいかなと思っています。


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