贈り物


パーティーの後、
余韻だけが残ったこの部屋で、、
テーブルに頭を乗せ眠っているシンジ。


私の手の中には、シンジがくれた小さな箱。
その箱に添えられたシンプルなカードには、やっぱりシンプルに『誕生日おめでとう、アスカ』の手書きの文字。


今日は私の誕生日。
シンジと出会ってから4回目になる私の誕生日で、
18歳になった。


「「「「「誕生日おめでとう、アスカ」」」」」


今年も開いてもらった誕生日パーティー。
会場は、相変わらずミサトのアパートで、
参加者は、いつものメンバーで、
パーティーでは、やっぱりシンジがずっと働いていた。


「アスカ」
「アスカちゃん」
「惣流」
みんなの笑顔。


あれから3年ちょっと、
それぞれにたくさんの事があったはずだけど、今はみんな、それぞれに笑顔。


その3年ちょっと、
私にもたくさんの事があって、たくさんの事が変わったけれど、
変わった分だけ、変わらない事もある。


「アスカ、ケーキ出すよ」
「わー、今年も碇君の手作りなんだ」


変わったこと?


ずっと、ずっと、前の、私がまだ14歳だったときのこと。
偶然見た、
シンジの机の上の小さなカレンダー、
12月4日のところに、
小さな印がつけてあって、
小さな文字で、
『アスカの誕生日』と書いてあったこと。


それは、
本当に小さな文字で、
まるで、ばれないように書いてあるようで、
何日か後に、
日本で初めての私のための誕生日パーティーで、
真っ赤に目を腫らしたシンジが、だまってプレゼントをくれて、
「シンジ君、ずっとプレゼントのこと、考えてたみたいよ」
パーティが終わるなり眠ってしまったシンジの横で、ミサトが教えてくれたこと。


変わったこと。


それからの私とシンジ関係は、
「なにしてんのよ、バカシンジ」
「なんだよ、もう、アスカは」
相変わらずで、
「まったく成長しないわね」
「アスカだって、・・・子供みたいじゃないか」
「なんですって」
「なんだよ」
本当に相変わらずで、
変わらないまま。


変わらないまま?


今年の誕生日も、あの子が一番最後までいて、
眠ってしまったシンジを優しい目で見届けて、
その優しい目のまま、
「碇君をお願い」
私に言う。
あの子とシンジに何があったのか、私はよく知らないけれど、
あの子の優しい目が、
今は、知らなくてもいいことなのだと私に教えてくれる。


ただ一つ、知っているのは、
寂しげな目をしたシンジが私にもらした一言だけ。
「綾波はね、・・・綾波だよね、やっぱり」


変わらないこと。


私にも、シンジにも、あの子にも、いろんなことがあって、
いろいろ変わったけれど、
私も、シンジも、あの子もここにいること。
みんなの中で、今もいること


「じゃあな」
「じゃあね」
みんなが帰って行き、

「行くわ」
あの子が笑いながら戻り、

「お休み」
ミサトが席を離れる。


私とシンジ。
2人になったパーティ会場。
「18、か」
シンジにもらった贈り物を手に、呟いてみる。

シンジは、眠ったまま。

その顔を見ていると、
「来年は19ね」
そんな当たり前のことを、そしてもう来年のことを考えてしまう。


この、
手の中のものと、
目の前のものと、
私を包んでくれるものとが、来年も同じくあるのかと。


今年も、私の前でシンジは眠っている。
この3年ちょっとの間、繰返す、変わらない眺め。
この3年ちょっとの間、渡し続けてくれる、私への贈り物。
それは、なにも変わらない私とシンジの関係。


「バカ、無理しちゃって」
私は、
ばれないように、
ばれないように、
その、静かな寝息をたてる唇の縁にキスをした。








ばれないように。
ばれないように。





ヨシモトさんのご厚意により、アンケートの景品小説を一般公開しました。
ヨシモトさんありがとう。
レイ編を書いたら、一番に送りますね。

さて、もうお分かりだと思いますが、
「贈り物」は先に公開しました「嬉しかったこと」の別バージョンです。
人様に差し上げるものだったので気を入れて書きましたが、やはりへぼいですね。
やはり私の場合、文章がながくなるほどだめだめな傾向があるようです。

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