持続可能な十勝の「食」について

伊藤雅子

●房谷夫牧場 バイオガスプラントについて

1.バイオガスに取り組もうとされたきっかけは?

 大阪畜産大学在学中から、環境問題に対するフリースクールパーラー(放し飼い)に興味、関心があった。士幌に2年間実習後、本格的に酪農を始める。H11年に家畜排泄法が出来たことにより、環境に配慮した重点策として、H17年1月にバイオガスプラントを設置。2月より開始した。(現在牛230頭)

2.処理能力と実際に出されるエネルギー(電力)の量と使い道は?

 1日、約15トン。 熱、電気の発電に使う。ただし、個人宅は使えない。

3.バイオガスプラントをより良く稼動させていく上での課題は?

 冬は、発電したエネルギーは全て利用できる。しかし、夏は発電したエネルギーが余ってしまう(余剰エネルギー)その使い道をどうするかが課題。町内で回収、福祉の分野での検討をしている。

4.貴牧場でのこれからの取り組みと、バイオガスプラントの将来性について

 西ドイツからの6000千万円の建設コストは国から半分補助。使用料として、1年に40万円を支払っている。さらに規模を大きくすることで、よりバイオガスプラントを増やしていくことができると思う。
 
5. バイオガスプラントを含め「バイオマス・エネルギー」が化石燃料にとってかわるとすれば、どんな取り組みが必要だとお考えですか?             
 現在、北電には1キロワット8円で売電しているが、もう少し高く売電することで、化石燃料にとってかわれるようになると思う。生ごみなどの有機物の処理ができるが、回収はできない。将来は、もっと身近な地域に使っていけるようにより多くの利用ができるようにしたい。

6.バイオガスプラント以外で、環境問題に取り組んでいらっしゃることはありますか?

 消化液を使って、科学肥料を減らしていくこと。



●十勝野菜村 有機野菜栽培について

1.有機野菜栽培に取り組もうとされたきっかけは?

 「50年化学肥料を使うと、元に戻すのに倍の時間がかかる。」1冊の本をきっかけに、有機野菜を作ろうと決めた。今年で、23年目。農薬の恐ろしさは、子供の頃から身近な存在としてあった。

2.生産と販売方法は?

 面積30h。そのうち、にんじん7h、かぼちゃ9h、麦2h、じゃがいも2h、など牧草地である。主に、イオングループでの販売。今年からスーパー「いちまる」での販売も開始。

3.十勝野菜村での取り組みと将来の展開について

 堆肥を年間300トン。「なげるものは、宝物」麦がら、とうもろこし、大豆、ふすま、米ぬか、大豆かす、雑穀のかす、うにがら、魚の骨など6割、牛糞の4割で自然肥料を作っている。なお、雨・雪なども自然の窒素肥料、シアノバクテリアなども悪い物質を食べてくれる役割をしている。今後、有機野菜の加工(乾燥させ、保存をしやすくする)を展開する。また、恵まれた自然の広大な土地である十勝は、持続可能な有機農法、循環農法が発展していくべき。

4.消費者にどんなことを伝えたいですか?

 有機野菜と無農薬が一緒ではなくなっているということ。まぎらわしい減農薬などという表示の意味を知ってもらいたい。循環農法、有機農法をぜひ、体験してもらいたい。