国際ワークキャンプ


大沼マイルストーン22代表 池田誠

あまり聞きなれない言葉かもしれないが、国際ワークキャンプとは、世界の若者が23週間一緒に暮らし、住民達と、環境・文化保護、福祉、農村開発などに取り組む、国際ボランティアプロジェクトだ。参加するボランティアは、自国のワークキャンプセンターに登録料を支払い、自費で開催地までやってくる。

今年で3回目となる七飯町大沼での開催だが、9月はじめからドイツ、イタリア、ロシアなど8か国から16名の若者がやってきた。滞在中は森林間伐や、大沼湖の浄化作業、周辺のゴミ拾いなど環境保全活動を行ってきた。また、地元の祭りや行事にも参加して地域との交流を深めてきた。その間の生活は会館を借りて、寝袋で自炊生活。近くの農家や、パン屋さんなどからいただいた食材を中心に各国の料理が食卓にのぼる。作業着や移動の自転車も貸してもらい、毎日労働に汗を流す。参加者がボランティアなら、地元も様々な協力をして成り立っている活動だ。

なぜ、こんな遠い日本に来てボランティアをするのかと不思議に思う向きもあるかもしれないが、彼らの興味は時空を超えている。自国でやっている環境保全活動、大きく言えば地球全体を守る活動であり、どの地域でやっていても目的は一緒だ。別な場所で活動することにより、環境に対する新しい取り組みを知ることができたり、世界中の仲間と共通の思いを持つことができたりする。そして地元の人たちと行動し、交流することにより、七飯町大沼を中心に国際的なネットワークができてゆく。今まで3年間に参加した人数は約50人になり、それぞれの交友も深まり、今も大沼の環境にも関心を寄せている。

そういう流れを受け、国内では初めて熊本県菊池市で行なわれた3か月の中長期ワークキャンプが大沼で行なわれることになった。11月末まで、ドイツ、フランス、韓国そして日本の4名が、地元の人たちと共に環境保全活動を行いながら、地域との交流を深めていった。2週間では出来ないじっくりと腰を据えた環境保全活動。森林作業では雨の日もレインコートを着て80000個のどんぐりを拾い、森に種を植えた。葦を自分たちで切り出し大沼湖に浮かべることによる浄化作業。湖畔道路や大沼湖のゴミ拾いもよく行なった。そして、地元の人たちとのつながりで、薪割り、炭焼き、家作り、牛の搾乳など様々な作業をした。地域の神社祭りや収穫祭、湖畔14.4kmのマラソン大会にも参加した。異文化を伝えるために毎週行なったマルチカルチャー教室には延70名以上が参加し、言葉や食、文化などを通じて多くの交流がなされた。その他にも北海道キャラバンではワークキャンプの活動を伝え、国際交流のお祭りでは多くの団体とネットワークができた。

全国的にみると南の九州と北の北海道から国際ワークキャンプのうねりが起きているという構図だ。若者の生きる力が不足していると言われがちだが、どっこい逞しい若者力は生きている。そして彼らの活動をサポートしてゆくことで地域全体が活性かし、やがて地域パワーの結集が地球保全にもつながると確信する。これからいよいよ本格的に始まる大沼中長期ワークキャンプ、Think globallyact locally(地球規模で考え、地域で行動する)使い古された言葉ではあるが、地球の仲間と行なう地域の環境保全活動、必ずやこれからの時代に大きなメッセージを投げかけるだろう。今後も是非多くの人に参加して欲しいと切に願う。