ベトナム社会主義国・古都フエの観光開発に関するアクションプラン


小幡健一
/ 岡田朋子

 私たちは1月にJICA教師海外研修でベトナムを訪問しました。ベトナムは経済成長が著しく、都会は活気に満ち溢れていましたが、一方で貧富の差が激しくなっており、特に都市部と農村部の格差は広がるばかりです。そのような状況の中でベトナムには近年多くの観光客が訪れており、観光業は大きな産業となってきています。今回訪れた視察先の中にフエ市という観光で有名な街の観光専門学校で教鞭をとっている青年海外協力隊の小野寺さんの生徒さんから「旅行者としてフエに足りないものを教えて欲しい」との要望があり、研修に参加した教員の方からアンケートをとり、それに基づいてでた結果を踏まえ、観光の街として発展していくにはどのような改善が必要かを考え、何点か提案をした。また、観光の街ということでは函館市も国際観光都市宣言をしていることから函館市とフエ市の観光の問題点について比較をし,解決策を考えてみました。

課題1:ベトナムでは日本は中国・米国に次ぐ観光客数であるが、短期滞在型(24時間ステイ)が多く、長期滞在型観光地になるために何が足りないのか。


アンケートの内容:
@フエの印象を聞かせてください
Aフエの観光地でどこが一番印象の残りましたか
Bベトナム料理の中で何が一番お好きですか
Cベトナムを旅行中、何か困難に感じたことがあったら教えてください
Dベトナムでどんなお土産を買いましたか。あるいは買う予定ですか。


アンケート結果からの提言: 

(1)【王宮を含む名所・旧跡の復元】・・・フエ観光の目的は阮王朝遺跡の視察であるが、ベトナム戦争の傷跡をそのままに、完全に現存するものが少ない。特に王宮は1/3程度しか残っていない。遺跡の復元により観光場所の増加と阮朝の雰囲気を今以上に体感できるのではないかと思われる。

(2)【体験型観光の開発】・・・フエ短期滞在型観光客の目的地が、ベトナムリゾート開発の先駆けとなったダナンであることからも、観光客の多くが「見るだけの観光」ではなく、「体験型観光」を望んでいると思われる。ベトナム最後の王朝の都であるという特徴を活かし、「阮王朝体験」や「王朝料理体験」のパック観光の整備が考えられる

(3)【インフラの整備】・・・観光地には欠かせないインフラの整備がフエではまだ整っていない。観光客が自由に行動できる交通網の整備とベトナムの独自の文化であるシクロ等の交通手段健全化が必要。また、ホーチミン、ハノイでは英語、仏語、中国語、日本語の案内版が設置されているが、観光地として最小限の言語の案内版は必要と思われる。

(4)【特産物の開発】・・・旅行者が好むベトナム料理・お土産品は北部・南部の特産物に集中している。今回の参加教員の中では、フエ市の水上生活者の子どもたちが作成したビーズ製品が好評であったことからお土産を買うことによって何かに貢献することができるものが日本人の観光客にとっては喜ばれるのではないかと思われる。


課題2:ベトナムの観光開発と函館の観光開発の比較し、良い観光地として求められるものは何か。

ベトナムの観光の問題点
・観光地に日本語の案内やパンフレットが少ない

・交通手段がよくない
・道路を横断するときに危険を感じる
・衛生面
・時間にルーズなところ
・特産物の不足

函館の観光の問題点
・外国人向けお案内やパンフレットが少ない
・交通手段が便利ではない。
・リピーターが少ない
・文化として残っている町並みが少ない
・バリアフリーが少ない、あっても実用的じゃない
・民家が整備されていなく、暗い感じがする。
・公園が荒れはてている。
・建物の老朽化
・観光地に生活感がない

良い観光地として求められるもの
・伝統的なところも残しながら、観光客にも来やすいようなインフラの整備をする。
(日本は商業主義にはしりすぎ、ベトナムはインフラの整備が必要)
・観光地として様々な言語の案内やパンフレットは必需
・観光客にとって交通の便は大切な要素

最後に
 観光開発は、地域経済を活性化させ多くの恩恵を与えるでしょう。しかしながら、そのことにより真のフエの良さ、観光学校の生徒に代表されるフエを愛する人の心、そして悠久の時の流れを感じさせる雰囲気を失ってもらいたくないと切に願っています。



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