■荷物ヲ奪還セヨ!

私たちが出発前に日本から送った荷物が何故かミラノ・リナーテ空港で足止めを食っていたため、取りに行くことになった。折角EMSで送ったのになぁ・・・。

このリナーテ空港は主な発着便がイタリア国内便と一部ヨーロッパ地域内便のみという、マルペンサに比べて小さな空港だ。それ故、日本人的にはややマイナーな空港ではあるが、ミラノ中央駅からはマルペンサよりもよほど近く、バスも頻繁に出ている。イタリア国内を飛行機で移動し、中央駅付近に宿を取る場合にはこちらのほうが便がいいかもしれない。

さて、リナーテ空港ではまずインフォメーションへ行って、話を聞いた。インフォメーションだけあって、すんなりと英語が通じる。「ここを出て1キロほどの場所にこの空港の郵便事務所があるからそこへ行け」と、言われた。1キロ・・・。まぁ仕方が無いので1キロほど空港裏手の道を歩く。通行人がほとんどいない。車ばかりが走っている危険な道を進む。不安になったころにいくつか建物が見えてきた。

建物の前で一服している親父に話し掛けると、郵便事務所らしき建物の入り口に案内してくれた。そこは事務所というより、まるきり倉庫であった。コンクリ剥き出しで天井の高い建物の中に無造作に積み上げられている荷物類。フォークリフトらしき乗り物も停まっている。おそらくこんな所に潜入した日本人は私らくらいであろう。中の親父に言われるまま階段で2階に上がると、1階よりは天井が低く若干事務所らしい作りになっており、そこに担当者の親父が居た。

イタリア語で何事かを一生懸命説明されるが、勿論さっぱり分からない。私たちが顔を見合わせていると、親父はやれやれと言った風なため息をつき、英語での説明が始まった。それにしてもあまり要領を得ない私たち。英語もイタリア語も分からないのに、何でイタリアに荷物なんか送るんだよ!と言いたげな親父。馬鹿でごめん。こいつらにこれ以上の説明は無理!と判断したのか、「とにかくこの書類を書け」という話になったので、言われるままに書類を書いた。親父の話によると、どうも内容物を書く欄に日本語での表記しか無かったのが悪かったらしい。

ちなみに私は日本の郵便局でこれを発送するときに窓口で、「日本語だけで大丈夫ですか?」って聞いたところ、しっかりはっきり「大丈夫です」って言われたんだけどね・・・。あのとき適当に英語で表記さえしていれば。こんな訳の分からない場所まで来なくて済んだのに。くそー、某地元郵便局局員め!交通費返せ〜!と、今更悪態をついても仕方ない。とにかくこの荷物には大事なホッカイロと食料が詰まっているのだ。ここで強制送還されるわけにはいかない。

ちなみに、内容物表記はイタリア語で「衣類」と書いただけで終わった・・・。他にも入ってると申告したのに・・・。中身の確認も無し。そんなんでいいなら、そもそもそっちで適当に書いて送ってくれればいいのに・・・と思ったり。サインまで終えたところでパスポートを見せろと言われる。・・・パスポート。海外で唯一無二の身分証明書パスポート。思い切り宿に置いてきたよパスポート。ハッキリ言ってこの場合は持ってない私らが非常識。そして不審者。オヤジ、頭を抱えて深くため息をつく。他に証明できるものなんて持ってない。でも今から宿までパスポートを取りに戻ったら、戻ってくる前にここは閉まってしまう。翌日からはフィレンツェ→ローマ→レッジョ行きだ。ここで手続きをしなければ、荷物が強制送還されてしまう。平身低頭、駄目元でキャッシュカードを提示する。するとオヤジ、「もうこんな面倒な奴等とは関わりたくない」と思ったのか、呆れて「本当は駄目なんだけどね・・・」と言いながらもOKしてくれた。ありがとうオヤジ。パスポート不所持の不審外国人ですんませんでした。

この日はこれで手続きを終えてモレちゃんちに帰宅。翌週、レッジョカラブリアから戻ると、部屋に荷物が届いていた。タッパーや計量カップ、そしてホッカイロなど、待望の品々の到着だった。

教訓:日本からイタリアに荷物をEMSで送る場合、内容物表記が日本語だけだと届きません。適当でいいからイタリア語で書くべし。

教訓2:海外でパスポートは所持しましょう。(当たり前。)


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