新潟大学演劇研究部新勧公演「楽屋」(清水邦夫・作)

1999年4月20日(火)18:30〜19:30
新潟大学構内学生会館

 安田雅弘ワークショップで仲良くなった女の子、岡部さんが舞台を踏む、ということで見に行ってみました。
 ワークショップを終えてみて、一緒に活動してきた参加者たちを観客として外から見てみたい、という好奇心がむくむくと芽生えてきてます。一緒にやるのと、客観的に見るのとで、その人の個性がよりよく見えて来るんじゃないかな、と思って。

 場所は、新潟大学の構内。しかもこの公演、新入生歓迎公演で、新入生が多くやってくるようにと平日の公演だった上、基本的に対外的には宣伝していなかったため、岡部さん本人に直に連絡を取り、場所と時間を聞いて出かけたのであった。
 勤務を終えた17:30に出発して、新潟大学に着いたのは18:25!しかも土地勘もなく、とりあえず車を止めて学生に会場を尋ねたところ、なんと私が駐車したのと正反対のところだった!!!走って会場にたどり着いたのが40分、すでに開演していて、あせって会場に入る。

 ドアを開けると、そこは教室の半分を舞台、半分を客席、という作り。客席には20人ほどおり、すでに満員、という状態。空いているのは一番前の桟敷席、しかもど真ん中。
 舞台と桟敷の間は1メートルもなく、演技している女優さんの前をづかづかっと通らないと座れなかった。女優さんもやりづらいのか、座ったあとばっちり目があってしまった…。ごめーん!
 でもこれは、会場作りにも難があるのでは?確かに教室を劇場にする苦労はわかるけど、客を桟敷から入れていって、あとから来た客は後ろの方に入れるとか、方法はあると思うんだけど。

 物語(途中から見た限りでは)。劇場の楽屋に何十年も棲みついている女優の幽霊たち。昔を懐かしみながら、自分のお気に入りの劇の役になりきって遊んでる。これが、台本が古い時代のもので、時代劇だったり、チェーホフだったり。どっちも私にはあまりなじみのないもので、18.9の新入生に見せてわかるのか?さらに演じている女優さんも私より若いわけで、時代劇っぽい動き、セリフ、がんばってるけどどこか表面的に感じたのはその辺りか。戯曲をそのまま持ってきてるのにちょっと疑問。
 そこに、現在公演中の舞台の主演女優とその女優に役を奪われたと思い込んでいる女とのやりとりが始まって。主演女優役、大柄で、なかなか貫禄ある感じ。対する「役を返して」と迫る女、これが岡部さん。愛用の枕を抱えて登場、ちょっと心を病んでいるという設定らしい。ワークショップでは女子大生役とか、本人の生活に近い役どころばかりだったのでへええ〜、と感心。彼女の大きな目は力があって、こういういかれた役にはもってこいという感じ。ただ、心を病んでしまうくらい主演女優の役が欲しい、という切迫した感じが伝わってこない。「その役はもともと自分がやるはずだった」と主演女優を追いつめて行くんだけどどこかパワー不足。もう一押しがなくて、感情移入できず。

 大体、新潟大学の劇研ってすごいところで、新勧公演4連発と銘打って、1〜2日だけの公演の大放出。この「楽屋」も、平日の一日だけの2公演。そういう状況を鑑みると、練習不足やスタッフの慌ただしい状況なんかが予想できて、とても奥深いところまで演技を追求できなかったのかなとも思った。

 こうしたデメリットから、台本をこなし切れてないという印象。2人の女優霊役も含め、4人の役者それぞれがいい持ち味を出しているだけにもったいないと思うのだった。テーマ自体は女優という職業の因果応報、といったもので普遍的なので、現代風にアレンジしてみてもよかったかなあ。と思ったのでした。