「シアターゴーイング'05」ゲスト公演。
女子の心をとらえて離さない衣装とスタイリッシュでかわいらしい美術、そして切ない物語。大々、大満足。ありがとうシアゴー実行委員会、先見の明ありすぎです。
物語。とある産院の母親学級。16〜40まで、NINPUさまざま人間模様。コギャルは飄々と母になり大人な母ドン引きだったり、だんなか浮気相手か誰のこどもかわからなかったり、不妊治療の結果授かったのは8つ子だったり。
そのなかで、特にスポット当たるのは花屋のアルバイト・ツキコ。彼女は代理母。しかも、依頼主は自分の愛人とその妻マナミ。その関係はいずれ明らかになって・・・。
まず、「危婦人」というネーミングから、私が想像していたイメージとはかけ離れていました。
結構エログロっぽいのを想像していたり。「指輪ホテル」みたいな・・・
実際は、公式サイトにある「フツーだけど、どこかおかしい女たち」というキャッチフレーズ、まさにそれ。かわいくてこぎれいな、「隣のお姉さん」的な女優陣。
そして、観劇したわる団員女子が総じて頬を上気させていた衣装、カラーリングがしっかりとなされ、かつ、役柄を反映したかわカッコイイ衣装たち!
なかなかスタイリッシュで、それだけでも楽しい。
一番気に入ったのはオープニング。妊婦たちの井戸端会議(ブラック風味)にアテレコで振り付けしたシンメトリックな動きに魅了され。
そうそう、こういうのって演劇だからできるんだよなぁ〜。と、再発見。こういう遊び心が好きです。
それから、舞台転換も、照明を落としたわずかな光の中での「魅せる転換」。これ、一発屋も上手なんだよね。うんうん。メモメモ。
そして、人間模様。それぞれがしっかりとキャラを確立しており、好印象。特に八つ子ママ&なぞの元ヤンキー母?の結成する漫才コンビ「臨月」ザンヨウコ&丹野晶子がキテマシタ。
「気志團」がまずズルイ、大爆笑。「オギャー」「ヒーヒーフー」というキャッチも最高です。
なんつうか、アタシのツボには大はまり。
ヤンママ+虐待お悩みママたちも、それぞれの悩みを切実に演じ、結構感情移入できたり。
産院医師や巨乳看護士などの脇役キャラもしっかり立ってて、面白い。
ツキコ&マナミの対決もけっこう見もの。冷たい火花がばちりと飛び、徐々に対立を深めながらラストシーンでは感情表現を盛り上げていた。本妻の子を代理出産する女、愛人に自分の卵子を託して産ませる女、どちらも狂おしいほど切ない。どちらにも感情移入して泣きました。
ただ、残念なのは、ラストはちょっと「きれいごと」「予定調和」みたいな感じで終わること。あきらめのいい愛人ツキコが、一度も抱けなかった娘にあてた手紙を読み、「幸せになって」とつづり終え、妊婦たちがそれぞれの子供の象徴?である風船を受け止めていく。
ビジュアル的には好きなのですが、なんとなく、ツキコの悲しさもマナミの悲しさも同じくらい重いものなのに、「舞台を終わらせるために、ツキコにあきらめさせた」みたいな印象・・・
うまくいえないなあ。「女の性」として、ツキコの悲しさは、手紙では消化しきれないのではないかと思えたのだ。もっとぶっちゃければ、もし同じようなシチュエーションが現実にあったら、もっとドロドロするんじゃないかな〜と。あきらめつくのかな?
ともあれ、笑えて、泣けて、考えさせられて。「女性による、女性のためのお芝居」は宝塚だけじゃないなあ!と思いました。ぜひ、サトちゃんあたりがどんな感想を持ったかも知りたいところです。
余談・・・終演後、ロビーに出てきたザンヨウコさんからステージで使用した風船などをいただきつつ、お話した。
そのなかで、八つ子に付ける名前についてのギャグシーンで、「1号、2号とかどうよ」と言っているシーンを、「1俵、2俵」でやろうと言うアイデアがあったけど結局やめたとの話が。
あーおしい!長岡人は「米百俵」とか「コシヒカリ」とか「笹団子」とか、そういうネタには無条件で大喜びすると思うのだけどなあ!残念!なんてことをお話してました。
以上!これで1,500円、すごい破格だわ。
演出の優しくて、かつ役者の持つ力量を最大限に引き出し活かそうとする徹底した作り方を感じたのですが、さて、ぜひ稽古場を拝見したいようです。