劇団THE風FOU 「酔・待・草」(作:竹内銃一郎 演出:猪俣哲夫)

2004年1月16日(日) 14:00〜15:30
柏崎産業文化会館大ホール


死体が見つかった。

公園で見つかった。

死体を見つけた発見者がいる。 
死体となった女が死ぬ直前にその公園で話し込んでいるのを見たという男がいる。
死体となった女の姉と言う女が出てきて、「妹は死んでいない」という。

死体を殺した犯人を捜索する刑事がいる。

犯人を見つけるのが刑事に与えられた「役割」だ。
だけど、犯人が見つからないとき。
あるいは、やっぱりその死体が死体でないとき。

刑事はその女を殺してでも、「犯人」を作り上げる。

なんていうか、そんな話でした。

なんていうか、「熱海殺人事件」を思い出したりしていました。

なんていうか、「ターミナル」も思い出しました。

演劇も、映画も現実的な設定の映画であっても、どんなにドキュメンタリータッチであろうとも、フィクションであるものは「虚構の世界」。つまり、うそっぱちです。

うそっぱちだからこそ、なんでもありなんです。刑事が捜している犯人が本当はいるのかいないのかとか、そうした議論はどうでもいい。
そこに、「サスペンス」さえあれば。

改めて、演劇や映画、小説、漫画と言った世界がどれほど魅力的で楽しいものなのか、また、喜劇にしろ悲劇にしろ、客にその感情を効果的に見せるために必要となる要素こそ大切なのだとか、最実感した。好きな戯曲です。

刑事役の猪俣さん・「がる」こと津軽さんの二人のコンビのたたずまいはなかなか魅力的だ。いぶし銀と風来坊と言った風情。
ただ、この「虚構」の世界ではもっともっと「遊び心」を感じさせるような、そんな「ごっこ遊びの軽さ」がほしいと思った。この物語の主役である二人の刑事の「お遊戯の稽古」としての軽快さを、ここでは「お遊戯」ではなく、真剣な会話劇として解釈していた気がしたので。

そういった意味で、死体の女の姉役・「はるさん」こと池田晴美さんに圧倒された。
特に、ロミジュリの長ゼリフ(10分!?)をハイテンションで演じきったところ。
そうそう、私はこの戯曲はこのテンションだと思います。

全体を通してみると、舞台美術からキャストまで、とても綿密に、真摯に舞台づくりに取り組む姿勢を感じる「the 風 fou」。この舞台もご多分にもれず質の高い舞台であったと思います。次回はぜひ、テンション高めの戯曲のステージを見てみたい気がします。

以上、感想でした。

キャストの「がる」「はるさん」は、あたしにとって、長岡のワークショップ・野外劇仲間である。もうあれから6年たつんだな〜。しみじみです。
そんなこんなで、コンスタントに観劇させてもらっています。これからも細く長く続けていくのでしょう。そんな風に私も演劇にかかわれたらいいな〜。としみじみ思います。