仕事、終わってないけど新潟市のシアターent.という2000年にできた小劇場に芝居を見に行く。
この公演を知った時からものすごく楽しみにしていたので、こればっかりは譲れないぜ!とばかりにウキウキ出かける。=自分の首を締める。
さて、「MAUVE〜煙草を吸うさかな〜」は、禁煙の話だった。禁煙をしなくてはいけなくなった女優と、派遣されてきた禁煙セラピストのやりとりという二人芝居。
シチュエーションが、明確なので面白うございます。
二人芝居という形式で、相手を変えよう、こちら側ににしようという駆け引きのシチュエーションを作るのって、結構むずかしいじゃないですか?演劇的に。
例えば、片思いの相手を振り向かせようという恋愛話で演劇的状況を作るとして・・・
=今さら、のベタベタなシチュエーションだし、二人きりの状態だけで、リアルなやりとりはむずかしげ。
その点、今回の「禁煙したいクライアントとセラピスト」というのは、実際に二人っきりでやったりするんだろうから、これはいいネタだなあと思った。
そして、「なんとか禁煙させよう」という明確な目的。こういうのが、芝居を面白くするシチュエーションなんだなあと思った。
で、私は禁煙歴2年6ヶ月のもとヘビースモーカーなので、とっても、身につまされるセリフが多くて、楽しめましたね。
とてもよくできた脚本と、練り上げられた芝居の舞台でした。
さらにさらに、この「mauve」はダブルキャストということで、女優=セラピストの男というリアルバージョンと、男女が入れ替わったシチュエーションのリバースバージョンのどっちも見た。
どっちも見て大正解。「演劇の楽しいところ=キャストが入れ替わったらどう変わるのか」が堪能できました。これは、企画力の勝利だよね。
残念なのは、リバース、リアルの順に見たこと。リバースはリアルの芝居のパロディみたいになっていたので、たぶん逆の方がより楽しめました。
土日は一日かけてみられるので、是非リアル=リバースの順にしてほしかった。
最後にそれぞれのバージョンのひとこと感想を。
リアル・・・シダジュンさんのまじめげなセラピストのぶっきらぼうな動きやセリフが楽しい。また、谷藤さんの正統派女優っぷりとのアンサンブルもよい。よくできたお芝居をさらりと演じていました。
一発屋のナカジマさんも日記かなにかで言っていたけど、確かに大人の色気がそこはかとなく感じられてよいです。
リバース・・・リアルあってこそのリバースとは思いますが、思いっきり胸を借りて、リバースの状況を楽しんで作った雰囲気がはっきりと現れていてよかったです。
山川さんは一発屋系の怪しい動きが大好きでたまにまねするくらいですが、今回はすごく緊張している感じが客席まで伝わってきて、一緒に緊張してしまった!
だけど、だんだんと緊張もほどけて、へろさんとのかけあいを楽しんで演じているな、と思った頃にはすっかりいつもの山川さんらしさがあってよかったなあ。ああ、かわいい。
へろさんはそんな山川さんをどっしり支えていて、これは、見ていて気持ちのいいよっかかり方だったと思うよ。
2つを比べてみると、また新たな楽しみ方ができてよかった。その中でも、女優(俳優)が劇中でセラピストに振る舞う「煙草の煙と同じ紫色のハーブティ」マロウを入れるのですが、入れ方の所作が全く違っていたこととかがおもしろかった。
あと、「mauve」のHPに「今回は差し入れをすべて舞台(女優の楽屋)に並べます」とあったので、ツレの桂ちゃんと面白がって「クエン酸」というジュースを買っていく。なんか、俳優さんとか飲みそうじゃん!?「ジュースで割ると飲みやすいです」っていうのがまたいい感じじゃん!
ということで、これをお読みの方で見に行かれる方は、探してみてねクエン酸。
こういう客としての楽しみをもらえたのも、この公演のよいところでした。あー楽しかった!