R.I.Tトライアル「マクベス」

2003年12月25日19:00〜21:00
新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ能楽堂

 2003年は、改めて思い返しても、私にとっては演劇的刺激の強い一年でした。やっと演れたし、演っている仲間とふれあえたし。とにかく楽しかったです。
そんななかで、暮れに見たR.I.Tトライアル「マクベス」。非常に衝撃を受けました。そして、改めて演劇の楽しさを堪能できるお芝居でした。

衝撃を受けたこと・・・新潟県、特に新潟市の演劇振興の活発さ、です。
R.I.Tトライアルは、りゅーとぴあができてから毎年コンスタントに行われていた「俳優養成ワークショップ」の発展形とのこと。私が就職で新潟市に戻ってきてから6年の間の、このワークショップの取り組みがよくわかりました。
確実に、実力のある俳優を育てているのではないかしら。そして、新潟独自のスタイルを確立しつつあるのでは?

今回のマクベスも舞台は能楽堂。和風のマクベスなのですが、これまでミュージカルという形式で新潟オリジナルの舞台を発信してきた成果を感じます。今回もピアノの曲に合わせて進む音楽劇の様相が強かったです。

そして、とてもよくできた音楽劇でした。というのは、バーナムの森の魔女6人の麗しさにつきます。

マクベスに予言を与え、惑わす魔女を、この舞台では6人のお稚児さんの姿をした少女たちが演じていました。

お稚児さんは、すべて同じ背格好で、それだけでめまいがしそうに魅惑的なのですが、さらに、彼女たちは鏡あわせになっていた。

左右対称、あるいは線対称の動きで能楽堂の舞台を踊り、歌い、しゃべる。もちろん、どんなときも、鏡あわせ。くらりとするような不可思議な空間でした。魔女に酔いました。

あれだけの動きを習得するのには、かなりの練習量が必要だったと思われます。そんあハードな練習をこなした彼女たち(全員がほとんど中学生)の努力と、このような機会を与えつづけている新潟市の芸術事業が、(経済的な成果はともかく)一定の成果を上げているのだなあという確信がもてる芝居でした。

なんだか、魔女たちのことで終わってしまいそうですが、マクベス役の河内大和さん(6月のリリックホールのWSでご一緒しました。夏の夜の夢から注目していたのでうれしかったなあ。)をはじめとした青壮年の俳優さんたちの実力もかなりのものです。

6〜7月ごろに、この「マクベス」をひっさげて東京公演をするようです。ご成功をお祈りします。