変形性股関節症とは


 「変形性股関節症」とは、股関節の軟骨が何らかの原因で磨り減っていき、股関節の骨が変形していく進行性の病気です。
その原因は、
   一次性:原因がはっきりしないもの
   二次性:股関節疾患を原因とするもの  です。
日本では、二次性の「変形性股関節症」が大多数で、主な股関節疾患は「先天性股関節脱臼」「臼蓋形成不全」などがあります。

 「先天性股関節脱臼」とは、生まれつき股関節のつくりが不十分で股関節が脱臼しているものです。日本人は先天性股関節脱臼が多い民族ですが、早期発見、早期治療、オムツのあてかたなどの育児指導により激減しています。
「臼蓋形成不全」とは、股関節の骨盤側の受け皿である寛骨臼が大腿骨の骨頭を充分に覆ってない状態を言います。
本来、股関節は、球状の大腿骨骨頭をお椀のように寛骨臼が覆っていて、その間に軟骨があります。
通常、骨頭と寛骨臼との摩擦はほとんどなく、軟骨が減っていくことはありません。が、寛骨臼が充分に覆ってなければ、又は、骨頭がきれいな球状をしてなければ、そこに摩擦が生じ、軟骨の一部分に過大な負荷がかかり、傷がつきすり減っていくのです。

 「変形性股関節症」は、レントゲン写真により、4期に分類されます。
   前股関節症:臼蓋形成不全がみられても、軟骨がすり減ってない状態。
   初期股関節症:軟骨がすり減りはじめて、骨の辺縁が白っぽく写ってきます。
   進行期股関節症:軟骨がさらにすり減り、骨に穴があいたり(骨嚢包)、
              関節の辺縁部ではとげのような骨棘が形成されます。
   末期股関節症:軟骨は完全になくなり、関節の破壊が進行します。

 治療方法は、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」とに分かれます。
「保存療法」とは、
   @体重のコントロール、日常生活の工夫、杖の使用、補高靴などの装具の使用。
   A筋力強化、ストレッチング。
   B疼痛や炎症を抑える薬の使用。
「手術療法」とは、保存療法が無効のものや進行する可能性のあるものに対して行なわれます。
   @骨盤骨切り術:寛骨臼回転骨切り術・キアリー骨切り術など
   A大腿骨骨切り術:内反骨切り術・外反骨切り術など
   B人工股関節置換術


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