■ 「PLEASE COME TO BOSTON」

2002年の秋に訪れたボストンでのライブ体験記録です。
題してPLEASE COME TO BOSTON (原(邦)題は)ボストンへ行ってきた!


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 1



表題とはアンマッチではあるが初日の目的地はReno。
20日にボストンでライヴを見るには19日に入ってなければならないので、
「西で遊んでからナイトフライトで飛んで20日の午前中にボストンへ入るのも手だな」
とチェックしていたところ、Bonnie Raitt / Lyle Lovettのライヴが目に止まった。
そんなことから一路、Reno Hilton Amphitheatreを目指す。
Reno Hilton Amphitheatre
サンノゼへ着いたら何と乗換の便がキャンセル!アメリカン航空の地上職員に、
「オイラは夕刻までにRenoへ行きたいんだ」と言い張ったところ、
「ちょっと待ってて」と彼女は言いカウンターへと下がっていった。
こんな場合は他社便へ振り替えてくれることもあり期待していたところ、彼女が「私についてきて!」と言う。悪いことにセキュリティでチェックを受け、靴まで脱がされてしまったんだが、チェック後に彼女は私のデイバッグを掴むと走り出した。「大丈夫、間に合うわよ」
後をついていくと彼女はゲートの前で立ち止まった。「ほ〜ら、間に合ったでしょ」
なんて事はない、前の便に乗せられたんだ。席に着くなり飛行機は動きだし、LAへと飛び立っていった。
LAでの待ち時間が長くなったものの、予定通りにRenoへは4時過ぎに到着することができた。
ヒルトンのシャトルに乗りホテルへ。まだ開場まで時間があり、カジノで一勝負。
気持ちは旅費を全部浮かすつもりではあるのだが・・・。
ブラック・ジャックでスタート時の100ドルが15分程度で倍近くになったものの、時間はタップリとある。
そのうちにディーラーが替わり、とたんにツキに見放され、1時間半もの格闘の末、チップは底をついていた。
「今日はオイラの日ではないようで〜」
食事を取り、Will Call窓口でチケットを引き換え会場へと入る。
ブラックジャック


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 2


「ワ〜ォ、あなたどうやってこのチケット手に入れたの」
「チケットマスターだけど」
そう、案内係の女性が驚いたように、結構真ん中よりの一番前の席なのね。発売初日にピコピコしてたらラッキーなことにぶちあたりました。気分を良くしてビールをあおりながら開演を待つ。
定刻の7時半にEmmylou Harrisの"Together again"(ポスターにもこの文字があったな)にのってLyle Lovettのステージは始まった。まずバックが1曲Jazzyにきめてから御大登場。His Large Bandと言うだけに総勢で17ピースのビッグバンドである。
人事ながら、ギャラ払うの大変なんだろうなあ
皆がダークスーツにネクタイ姿(&ドレス)ととてもクールだ。
オイラはLyleの事をカントリー界のフランケンシュタインと思ってるんだが、Western Swingした"That’s right"や、ペダル・スティールの心地よい"If I had a boat"、ゴスペルタッチな"Church"などバラエティに富んだ曲調は聴衆を飽きさせない。もちろんオイラも気に入りました。
Lyle Lovett
アンコールではBonnieを呼んで”North Dakota”をデュエット、さらにもう1曲Bonnieのスライドをバリバリ弾かせて90分のショウは終了。
イイッスよLyle Lovett、ライヴ盤のLive In Texasを皆聴いてネ
Bonnie Raitt Bonnie Raittのステージは30分のブレイク後にスタート。新作からの"Valley of pain"や"Silver Lining"そして"Hear me lord"などをスライドギターを弾きながら歌う。
もう52才らしいが、変わらんねこの人も
中盤では定番である(たぶん歌い続けていくのだろう)John Prineの"Angel from montgomery"も
"Nick of time"ではエレピを弾きながらしっとりと歌う。
バックアップはLarge BandのSweet Pea Atkinson and Arnold McCullerだ。ラストでは"Something talk about you"で総立ちに。アンコールではLyleを呼び入れてDan Pennの"Do right woman do right man"
も〜こういうのやられると泣けちゃいますものぉオヤジ殺しである。
ほんでもってオーラスはBonnie復活後の代表曲、John Hiattの"Thing called love"をこれもLyleとのデュエットで。ぴったり90分。
さすがにCo-headlineとうたってるだけに公平だなと妙なところで感心してしまいました。
キック・オフに良いショウが見られて大満足。
荷物をベルデスクよりピックアップしシャトルにて空港へと戻る。0時27分のダラス行きには十分である。
だけど・・・、今度はディレイだ。
ダラスでボストン行きの便に乗り継げるんだろうか?
ジェットコースターのような1日はまだ終わらない。


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 3


結局ダラスへは30分遅れで到着した。
「残りは20数分か・・・」
ここはNo.7ゲート、ボストン行きはNo.38ゲートだ。小走りに歩き出すがなかなか見えてはこない。
時計を気にしつつやっとこ着いたのが10分前。安心感か、シートに身を沈めると闇の中へと落ちていった。
ボストンへは11時前に到着し、地下鉄にてダウンタウンのアクエリアム駅へ。
ワーフにて明日のWhale watchingの時間を尋ねる。
10時半か、ゆっくり寝られるけれどBoston Folk Festivalのオープニングにはちと間に合わんようで。
まあ明日起きたら考えるとしよう
近くのクインシー・マーケットにてボストン名物のクラムチャウダーでしばし休憩。
そしてフリーダムトレイルをさかのぼりながらボストンコモンまで。
おのぼりさんモードも旅の醍醐味、なんてね。
クインシー・マーケット
時間があるので再度地下鉄に乗りハーバードへ。ハーバードスクエア近辺を徘徊しレコハンの下見。
アメリカの学園都市には大体レコ屋があり、こちらもご多分に漏れずPlanet RecordやNewbury Comicsは値段品揃えともよかところで、翌日にわたりCD10数枚買ってしまいました。
Newbury Comicsの$3OFFのセールは嬉しかったね。てなことで、そこそこにして宿を目指すとしよう。
Cambridge Gateway Inn 地下鉄レッドラインの北の果てAlewifeが本日の住家である。
ダウンタウンには安宿がないので捜していたところCambridge Gateway Innにたどり着いた。
ホテル代の高いボストンで$79.99+TAXは魅力的である。
しかし駅にたどりついても近隣にそれらしいものは見つからない。
しょうがないなあと思いつつ電話をかけてみる。
「えー、予約してます木下ですがAlewife駅にいるんですが迎えに来てくれませんか?」
「すぐに行ってあげるからタクシースタンドのところでまっててね」
お〜、よかった
すぐにホテルのバンがやって来て、そう遠くは無いホテルまでオイラをつれて行ってくれました。
チェックインを済ませ、汗を流し休憩したあとで出動。Alewife駅までは歩いて8分くらいでした。
当たったね、ラッキー!
地下鉄に乗りSouth stationへ行き、そこからシャトルにて会場のFleet Boston Pavilionヘ。
海に横たわるオープン・エアの会場はとっても風が心地よい。
こりゃビールもはずんじゃうね
まだ日も高い6時にJamgrass Festivalは始まった。


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 4


Jorma Kaukonen しょっぱなはJorma Kaukonen
最新作の"Blue Country Heart"はカントリーブルースな感じで非常に気に入っており、その中の"Tom cat blues"で演奏は始まった。
ドブロの女性とマンドリンをバックにJormaは気持ちよさそうにギターをかなで歌う。
5曲40分余りと短いステージではあったがとても気持ちよかった。新譜で一番気に入っていた"What are they doing in heaven today ?"はやらなかったけれどネ。
さっき隣でビールを飲んでいたオッサンはHot TunaのTシャツを着て、
「俺、ヨーマ大好きなんだよね」と言っていたっけ。何か分かるね。
ブレイクとくればビール。
大分気持ちよくなったところで、次はJohn Cowan Band
彼のテナーボイスには魅せられる。途中、盟友のSam Bushも客演。
"Two quarts low"は素晴らしかった。
John Cowan Band
Sam Bush New Grass Revivalは力強く素敵だった、そんな事を思い出させるひととき。
彼ら二人ともドラムスを入れたバンドを組んでるところが不思議だね。
オイラはJohnの歌声と方向性にDirt BandのJeff Hannaの影を見ているような気もする。
Merle Travisの"Dark as a dungeon"にはグッときた。
40分じゃ全然物足りないよ。拍手してもし足りないくらいに心は高揚していた。
こりゃ飲まずにゃいられません
しかし、このあたりで前日の疲れと酔いからの眠気との格闘となる。
Peter Rowan Tony RiceをフューチャーしたPeter Rowanは何か品良く聴こえたね。
昔、日仏会館で聞いたようなヨーデルのような掛け声も出なかったし・・・。でも"Midnight moonlight"やオハコの"Panama red"はやっぱりイイやね。
Tony Rice
来日の噂もあるんでしたっけ?ここまで各40分の持ち時間で早2時間、もうビールも食傷気味で音を聞くだけにする。気がつけばまばらな客席もほどほどに埋まっていた。何かデッド・へッズっぽい人もけっこういるな。
Sam Bushは2月に聴いているので驚きは少ない。ただびっくりしたのはメンバー紹介の際にお土地柄かBostonの"More than feelin’"をやったんだけど、これがすごくスペイシーでカッコイイこと。
ちなみにSamはマンドリンでなくフィドルを弾いておりました。ここから演奏時間も1時間へ。
David Grisman お次はDavid Grisman
ドーグミュージックのライヴは初めてだったけどオイラの耳にはJazzに聴こえちゃいます。
何とも気持ちよくてついついうとうとと・・・、こりゃいけないな。
ここで正味4時間、既に11時を回っていた。
次のDark Star Orchestraを見ていたら地下鉄が無くなりそうなので、泣く泣くこれはスキップ。
これってJam Bandらしいんですが全然知りません、ゴメンなさい。
外へ出て空を見上げれば、まあるいお月様がオイラへ向かって微笑んでいた。
こりゃ明日もきっとイイ天気だね、気持ちE!


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 5


目覚めは悪くない、二日酔いも無く快適である。
シャワーを浴び、さっぱりしてから予定通りにWhale Watchingへ出かけるとしよう。
地下鉄に乗りパーク・ストリート駅まで行き、そこから徒歩にてワーフまで。
クジラ観光船のチケットを買う。昨日、観光局で見つけたクーポンを使って$2OFF
気持ち得した気分だネ
乗船まで少し時間があるのでクインシー・マーケットにてメキシカンで朝食を取るが、これが結構いけてました。
10時10分より乗船開始、30分には出航となる。
左にローガン空港、右に昨晩ライヴを見たFleet Boston Pavilionを眺めながら高速艇はワーフを離れ外洋へと出て行く。
思いのほか、スピードがあるのでビックリ。天気も良く快適だが、変に日焼けしそうなイヤな予感も。
1時間も走ればクジラの生息エリアらしくスピードが落ち、皆で左右を見回す。
クジラが発見されれば「何時の方向に・・・」といった放送があるので分かり易い。
これがけっこう見つかるもんですね
潮を吹いた姿や、小さいながらもジャンプをして尾ひれが見えたりすると感動モノである。やっぱ自然はウソつかないから素晴らしいね
つい場所を左右に移動して見がちだが、一つ所に留まっていた方がよかったような気も?何せクジラも動いているんだもの
Whale Watching
1時間ほどのクジラ観察を終え、ワーフに戻ったのは1時30分になろうとしていた。
それじゃマサチューセッツ大学へ行くとしましょうか。その前に、ドラッグストアで水とスナックでも買っていくとするかい。
え〜と、確か会場ではアルコールは飲んじゃいけなかったんだな
とは言いつつも、もうBoston Folk Festivalは始まっている時間であり、急いで地下鉄でJFK/U Mass駅へ。
会場までのシャトルはラッキーなことにすぐやって来た。
5分もたたずにバスは会場へと到着するのだが、近づくにつれ風に乗り心地よい音楽が聞こえてくる。
リストバンド(2日で$40)を着け、会場へ入る。
ラッキーなことにノンチェックである。メインのフィールド・ステージはすぐ目の前だ。

   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 6


2時を少し回ったところだが、ちょうどCJ Chenier & Red Hot Louisiana Bandのライヴが始まるところであった。
へ〜、しょっぱなは、フォークでなくザディコかい。New OrleansのJazz Fesを思い出しちゃうね。
でもアコーディオンやウォッシュ・ボードを駆使したザディコもHappyで大好き!別に知らない曲でもこれはOKね。
しかしシェニエという名は名門なのですよ、なにせClifton Chenierの息子なんですから。
まずは陣地を確保しないと。
こういったフェスでは陣地確保が大事であるから、あらかじめ日本からレジャーシートを持参してきた。
低いイスはOKで、持ち込んでる人も多いから、極力イスの後ろは避けないとね。
ステージやや右よりのところへシートを広げ、横になりリラックス。こうしてたらたらと聴くのがフェスらしいと思っております。適当に席を離れて屋台で何か買ったりしてね。
とりあえず今日はフィールド・ステージに最後までいることにしよう。
前の方で踊る人も多く、50分程ステージは続いた。
休憩に入り、CDの売っているテントへ。
知らなくても聴いて気に入ったものを買うのもフェスの醍醐味。
マイナーなミュージシャンは日本じゃ手に入れにくいものもあるし、ライヴ会場じゃなけりゃ手に入らないものも時にはあるしね。
おっ、ありました。Richard Thompson Bandの1999年11月のライヴだ。
1999年の9月に見てるから、あの時の感激を今一度です。
あの時は一行と同じホテルで朝出立の時にベースのDanny Thompsonと少し話をさせてもらった事を思い出す。
てな訳で$20で即ゲット、さて席に戻るとしようか。
フォーク・ミュージシャンは機材が少なく転換も早い。
10分の休憩で次はPatty Larkin
オムニバスのアルバムで1曲聴いたくらいしかなかったが、アコギをかき鳴らしながら力強く歌う。何とも雄雄しい姿だ。
しかしながら横になって青空を見上げながら聴いていたら、3曲程で眠ってしまっていた。
何てこっちゃ
Patty Larkin
遠くで音が聞こえるので我に帰る。
ステージにはGuy Clarkがいる。
やば!
隣の人に「何曲目?」と聞いたところ「始まったところよ」との答え。
ああ、よかった、セーフでした。Guyのステージは楽しみにしてましたんで。
てなことで1曲目は"Cold dog soup"渋いね。
ギターのVerlon Thompsonのサポートを受け、懐かしい"LA freeway"や"Texas cookin’"そして"Texas-1947"などをまじえて淡々と歌う。
Guy Clark 彼を見てるとテキサンていうのは皆無骨な人種なのではと思っちゃいます。
新譜は出たばかりだが未聴ですが聴かねばいけないな。
10曲位のステージはあっというまで終わっちゃった。
彼が聴ければ今日は満足です、私。


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 7


本日のメインは、Iris DeMent
1994年にウッドストックへ行ったときにリズムス・レコードの店主に勧められて買ったのが彼女の2nd"My Life"だったのを思い出す。
ソプラノのきれいな声で歌うがそのCDも売ってしまって今はない。
彼女はたった一人で現れ、ギターを弾き、時にピアノも弾きながら歌う。
なかなかいいとは思うが、長く聴いているとちょっと物足りなく感じる。
Iris Dement
一人でやっているから音に厚みがないんだな。サポートつければもっと良くなるのにもったいないね。
終盤にやった"Wasteland of the free"なんてホントによかったんだけど。
90分のステージを一人でやるならもっとバラエティに富んだ楽曲作りをしないと厳しいなんて思っちゃいました。バンドつけた姿で次は見てみたいものです。
こうして6時半には初日のステージは幕を閉じた。
その後、ハーバードへ行き本日のレコハンを済ませ、チャイニーズで遅い夕食を取る。
土曜の夜ということもあり、ハーバード・スクェアの近辺はバスカーなどでいつまでも賑やかである。
眠らない街を横目に帰途に着くべく地下鉄の階段を下っていった。


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 8


本日は日曜、てなことで全国的に安息日である。
昔ほどではないものの街のショップなども休みであったり、遅くにオープンし早々に店を閉める。
こんな日は少し遅めに起きようと思っていたものの、へんてこな夢に目が覚める。
まあいいか、明日帰るんだからから地下鉄の乗り換えと所要時間でも確認していこう。
Boston Folk Festivalも今日は11時からだしね。てなことで2度乗り換えてState駅まで。
約30分、楽勝1時間でローガン空港まで行けそうだ。
Borders bookstore,Boston 外へ出るとBorders Bookstoreがあった。
通常は、8時位から開いているが今日は日曜ということで10時から。
少し近くを散歩しつつオープンを待つ。
やっと時間になり中へ、CDも売ってるけど今日は本だ。けっこう海外に行って本を買うことはある。セール本の出物が無いかと見回すが、今日はいいのがないね。
さらっと見てから、あわててドラッグストアへ行き飲み物とおやつの買い込み。
さあ会場へ行こう。さて困った、今日はシャトルがなかなか来ないぞ。
20分位経ったろうか、やっと来たシャトルに乗り込み、会場に着いたら11時は回っていた。
アチャ〜、この段階で昨日の午後と同じくらいの入りである。あわてて場所の確保へと走る。
うー、今一グッドポジションが見つからない。とりあえずステージ左手の場所へシートを広げる。
本日のベースキャンプ決定である。でも、やはりイマイチな感じなんだなこれが。


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 PART 9


今日の一発目はfoxknox師からオススメいただいたMark Erelliと決めていたので、校舎の狭間のPlaza Stageへと移動しなければならない。荷物は置いて目的地へと急ぐ。
小さいステージには嬉しいことにイスが設置されていたが、残念ながら1曲目はすでにはじまっている。
「おっ、いいね。さすが神様のご推薦」
ということでこのニューイングランド出身のSSWはホント気に入りました。
トラッドの"The drinking gourd"やBill Morrisseyの"Summer night"、自作のフォーク・ロック"Compass & Companion"(CDではKelly Willisとのデュエット!)などなど素敵な歌を聴かせてくれました。
バックを勤めたJim Henryのドブロやマンドリン、ギタープレイもイイ味出してましたね。
終演後には思わずCDを2枚買っちゃいました。
Mark Erelli
フェスは知らないミュージシャンを好きにさせるよい機会であります。朝から満足度高し。
同じPlaza Stageで続けてUta Phillipsを見る。
この方、伝説のフォーク・シンガーであり、最近でもAni Difrancoなどともコラボレーションしているので、どんなものかと思ってましたが、残念ながらオイラの感性にはチョット辛かったネ。
しゃべくりの合間に歌を挟むようなやり方はnativeではない者の耳には厳しい。
周りの人が笑っていてもオイラには分からんことが多いもの。こういうのってトーキング・ブルースなんでしょうか?
Uta Phillips
歌は純粋のフォーク・ソングなだけにもっと歌を聴きたかったね。1時間、アンコールも入れて6曲しかやらなかったんだから。
ちょっとガッカリでした。
Barachois この辺でField Stageへと戻る。
ステージではケルティックなBarachoisの演奏が続いていたが、屋台を冷やかしながらカレーなどを食する。
会場は人で満ち溢れ、自分のベースキャンプを捜すのに手間取う位になっている。
ほどなくBill Stainesのステージが始まる。
この人も知らなかったが、あとでfoxknox師曰く「Bill Stainesも出たんだ」、ということで「恐るべし神様、師はなんでもお見通し」と思い知らされたしだいです、ハイ。
Bill Stains 彼は枯れた雰囲気と曲調からしていかにもフォーク・シンガー然としたSSWで、何ともなごみのひと時。こういった歌は決して嫌いじゃないので、スナックを食べながら横になってリラックスしておりました。Nanci Griffithは大好きなSSWとして彼の名を上げていたね。
今日も順調にプログラムは進む。
次は、ohanaさんからイイよと言われていたCheryl Wheeler
でっぷりした体躯は肝っ玉母さんてとこか。
Newport Folk FestivalやMountain Stageのライヴ盤でしか聴いたことなかったが、1曲目はそのMountain Stageでもやっていた"Driving home"
なかなか力強い、しかしMCでよくしゃべること。
アドリブでやっちゃうこともあるしステージなれしている感じ。
お客の転がし方が上手である。
Cheryl Wheeler
途中でStonesの"Ruby Tuesday"なんかもフォーク・アレンジで混ぜたりしてね。しっかりしたギターと慈愛に溢れた歌声はとてもよかったよ、ohanaさん


   ■ 「PLEASE COME TO BOSTON」 FINAL


黒のTシャッ、パンツ、ベレー帽のおなじみの姿でRichard Thompson登場。
オイラのイギリスで一番好きなギタリストだ。もちろん味のあるボーカルも最高さ。
バンドじゃないとエレキを弾かないのだけが残念だけどね。
でも、アコースティック・トンプソンも最高!
中盤で「ああ、出ちゃった」とばかりに"Wall of death"が演奏された。
Richard & Lindaの最高のFolk Rockだが、Nanci Griffithもカバーしていることから競演を密かに期待していたんだが夢に終わってしまった。
Richard Thompson
Richのステージでは、彼の演奏もいつもながら良かったんだが、何よりもうれしかったのがラストの3曲でDave Mattacksがゲストとして呼ばれてタイコを叩いたこと。
Fairportを脱退以来、あまり表舞台に出てこないので病気かと心配していたが杞憂でした。スネアとハイハットの簡素なセットでしたがブラシを使う曲もあり、味わい深い演奏だった。不思議なことに"Shoot out the light"なんかもバンドサウンドに聴こえるものね。今日一番のキテヨカッタと思う一瞬。
「Rich、今度はバンドで来日してね、ドラムスはもちろんDaveでネ」
本日、いいや今回の旅のラストを飾るのはNanci Griffith
「Hello ,Boston !」という彼女のケロヨン声(あくまでオイラのイメージね)でステージは始まった。
曲はJohn Prineの"Speed of the sound of loneliness"だ。
BonnieといいNanciといいJohnの歌は多くのミュージシャンからリスペクトされている。
いいんだよなこういった感じが
15ヶ月に渡るツアーの最終日ということで、新旧の曲をおしげもなく彼女はギターを弾きながら歌う。
Nanci Griffith バック・コーラスはいないもののドラムス、ベース、キーボードのThe Blue Moon Orchestraのしっかりした演奏が彼女をささえる。
キーボード、特にピアノはサウンドの要だ。大好きなKate Wolfの”Across the great divide”には美しすぎて泣きたくなる。
ブルーのサテンのチャイナ風ジャケットが目に眩しい。
でも気丈なテキサスの鉄火肌娘はそんなオイラの気持ちも知らずに、
「ラウンダーに戻ったのよ、24日にライヴ盤出るからね」
と嬉しそうに話す。
「おいおい、エレクトラの方がメジャーだろが」
と思わず突っ込みを入れたくなるが、彼女にとっては気持ちよく歌えるところが一番なんだろうな。
新作からの"Pearl’s eye view"は親友(というよりも姉貴分)のEmmylou Harrisなどと行なっているLandmine Free World(地雷撲滅運動)の活動から生まれただろうRockっぽい曲だ。好きだなこの曲
このあたりでアフガンの件についても少しコメント。何かJackson Browneみたいだね。
途中でのJulie Goldと彼女のお母さんの話もよかった。そんなことでもちろん"From a distance"もやりました。
最後はBill Staines、Cheryl Wheeler、Rachael Davisを呼び入れて"If I had a hammer"を。
「ピート・シーガーの曲だけどあたしが覚えたのはPPMだからそのバージョンでね」
とは最後まで素敵な姉ちゃんでした。アンコールでも
「タウンズ・ヴァン・ザンドの曲をやります」
と自分のルーツへのこだわりが感じられた。90分のステージはホント良かった。
周りはすっかり暗くなってしまったが、心は青空。何とも清々しい味わいが残っている。
ホント音楽って素敵だね。
また素敵な音を求めて戻ってくることでしょう、いつかまた近いうちにね。


おしまい




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