STRANGE, EXOTICA ROOTS


 ■ STRANGE, EXOTICA ROOTS

  2007年4月16日(月)



ブランド・ニュー・セイム・オールド・オブ・セッションズ nalyD / (ヴィヴィド)

NACD-3239

「ブランド・ニュー・セイム・オールド・オブ・セッションズ」

ジャスティン・トンプソン
 ここ数年、ジャズ三昧だ。ジャズ雑誌「スウィング・ジャーナル」世代であまり話題にならない新人にほれ込んでいる。早い話、ロック世代のジャズ・ミュージシャンの動きに興味がある。ナット・キング・コールの洒脱なヴォーカルを踏襲したジョン・ピザレリ・ジュニア(スタッシュで発表した『アイム・ヒップ』が最高!)がデビューしたころ、彼のアルバムを高く評価したのはロック系の感性豊かな音楽ファンだった。リアル・タイムでジャズ雑誌は、ピザレリ・ジュニアの素晴らしさに触れることがなかった。こうした危惧を感じさせるゴキゲンな新人がデビューした。カントリー・ミュージックでお馴染みのナッシュヴィルを拠点に活躍するジャズ・ヴォーカル/ギタリスト、ジャスティン・トンプソンだ。ロックな感性で独自のジャズ・ワールド=アコースティック・スウィングを展開する気鋭のミュージシャン。本盤は、彼の2枚目。デビュー盤と共に本邦デビューを果たした。「ギター・マガジン」2007年5月号をめくっていたら、何とトンプソンのインタビューが掲載されていた。それによると、少年期はエリック・クラプトンが大好きで、バークリー音楽院ではジャズを学び、卒業後ナッシュヴィルでスタジオ・ミュージシャンとして生活するようになったとか…。その地でブルーグラス・ギターに魅了されてしまったという。聴き所は、甘くて切ないヴォーカル&ギターが味わえるニルヴァーナのカヴァー「Smells Like Teen Sprit」は、鳥肌が立つアコースティック・スウィングの大傑作!



メロディーズ・ウィズ・メモリーズ ユニバーサル

UCCU-9010

「メロディーズ・ウィズ・メモリーズ」

ロイ・スメック&ヒズ・パラダイス・セレネーダーズ
 カントリー・ミュージックを象徴する楽器といえば、一般にバンジョーとかスティール・ギターが広く知られている。特にスティール・ギターは、カントリー・シーンだけでなく、古くからハワイアンでも使われ、わが国では人気の高い楽器だ。本作の主人公、ロイ・スメックは、1930年代後半から大活躍したミュージシャン。“弦の魔術師”と異名を取ることから分かるように、ウクレレ、ギター、バンジョー、スティール・ギターを弾くマルチ・プレイヤー。ヴォードビリアン系の芸人だけあって、観客を沸かせるトリック・プレイが看板。ここに収録された12曲は、いってみれば“スウィート・ハワイアン・ジャズ”だろう。究極の癒し系アコースティック・スウィングの名盤、としても語られているようだ。アルバム・ハイライトは、カントリーのスタンダード作品「Steel Guitar Rag」
まるで宇宙人がスティール・ギターを弾いているようで、妖しいサウンドがなんともいえない。トリッキー・プレイの連続で、モンド・アコースティック・スウィングの傑作といっても差し支えないだろう。ライ・クーダーの初期作品を彷彿させる「I"ll Be With You In Apple Blossom Time」では、緩(ゆる)い、緩いスライド・ギター芸が絶妙。アルバム全般は、ウクレレ、スティール・ギター、ハモンド・オルガンを駆使したオーヴァーダブ録音。きっと夢心地のスティール・ギターが、あなたの耳をそばだてるに違いない。





 
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