STRANGE, EXOTICA ROOTS


 ■ STRANGE, EXOTICA ROOTS

  2007年3月7日(水)



Sweet End nalyD / (ヴィヴィド)

NACD-3236

スウィート・エンド

ファイヴ2
 数年前、ジャック・ジョンソンというアコースティック・ギター弾き語り歌手が、湘南のサーファー周辺で話題を呼んだ。やがて全国的な人気者となり、看板の「ユルイ音楽」が若者の間に浸透していった。こうした背景を受けて、ニューヨーク・イサカ出身のローカル・バンド、シム・レッドモンド・バンドのアルバムがブレイク、たびたびの来日公演でいつしか人気を不動のものとした。リーダーのシムと相方の女性ヴォーカリスト、ユニーのデュオは、心に染みるハーモニーを奏で、琴線に触れるファンも増大した。が、そのユニーが突然退団してしまうハプニングが生まれた。ファンは心配したがユニートは、新しいグループを仲の良い友人と結成、デビュー・アルバムを発表した。本盤が、いまニューヨークの新しいフォーキー・バンドと絶賛されているファイヴ2の記念すべきデビュー盤だ。女性3人からなるこのグループは、ドリーミーで清楚なハーモニー・コーラスが売り物といってよい。一般的にはフォーク&カントリー・ロックといってもいいだろう。ところがファイヴ2は、そのジャンルの一石を投げた観が強い。つまりこうしたジャンルの新しい方向性を示してくれた。ニューヨーク・フォークの匂いと、ナッシュヴィル&ニューオーリンズの香りと、ヨーロッパのエレガントなどをイメージさせる不思議グループ。オールド・タイミーなバンジョー音と、スティール・ギター、ブラスなどが同居したサウンドと、夢心地のハーモニーが至福をもたらしてくれる。



Uklele Ike エアー・メイル

AIRAC-1322

「アイム・ア・ベアー・イン・レディーズ・ボードウ」

ウクレレ・アイク
 戦前のジャズ・シーンが、最後のアメリカン・ルーツ・ミュージックの砦のような気がする。頭の固いジャズ専門家にも相手にされなかったストレンジなミュージシャンの録音が無数に存在する。ウクレレ・アイクもそのなかの一人。ディズニー映画の大ヒット「星に願いを」のコンポーザー、アニメ『ピノキオ』のコウロギ役の声でも広く知られている。本名は、クリフ・エドワーズ。ウクレレ片手の小粋なジャズ芸が味わえる本作は、1920年代から30年代の録音からセレクトした素晴らしいコンピレ盤だ。アルバム・ジャケットは、自らチープ・スーツ・セレネーダーズというバンドを率いて、戦前に栄えた小粋なストリング・バンドを再現した粋人、ロバート・クラムの書き下ろし。アメリカ漫画の伝統を生かした手法が素晴らしい。耳をそばだてるアコースティック・スウィングの傑作といえそうなトラックは、1924年録音の「Hard Hearted Hannah」。スキャットとウクレレ・ソロが飛び交う魅惑的なジャズだ。「Charley,My Boy!」もスキャット・ヴォーカル全開の録音。南部白人・黒人のコモンストック・ブルース「Stack O' Lee Part1」は、ホット・ジャズ・コンボとの共演。
ブルースをこんな楽しい曲にアレンジとは驚きだ。トランペットとウクレレ演奏が楽しくバトルする間奏もなかなか…。残念なことにアイク最大のヒット曲「Singin' In The Rain / 雨に歌えば」は、ここには収録さ れていない。





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