STRANGE, EXOTICA ROOTS


 ■ STRANGE, EXOTICA ROOTS

  2005年11月16日(水)



アズ・タイム・ゴーズ・バイ Muzak

MZCS-1076

『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』

ハーパース・ビザール
  ぼくにとっての宝物を紹介しよう。1976年発売されたリユニオン・アルバム。埋もれたグッド・タイム・ミュージックの「超名盤」だ。これが紙ジャケでCD化された。再結成の録音だったのが災いしたのか、発売当時のアナログ盤はファンのなかでも人気がなかった。どうやら熱心なファンは、オリジナル・メンバーの録音でなければ気が済まないらしい。テッド・テンプルマンを書いたオリジナル・メンバー4人の録音。これがもう素晴らしいカヴァーの連続で、心を癒してくれる。アルバム表題となった「As Time Goes By」は、言うまでもなくオールド・ジャズ・ソング。ハンフリー・ボガードが主演した映画『カサブランカ』挿入曲としても広く知られている。ドリーミーなコーラスは、まるでフォア・フレッシュメンを聴いているようだ。大好きなボサノバ風の「Speak Low」は、いまクラブ・シーンでモテモテだとか・・・。お洒落なアレンジが受けたのだろう。カリプソ・リズムの「Banana King Louie」だって負けていない。あの時代を先取りした優れたセンスに思わず脱帽だ!ジャズ・スタンダードの「My Melancholy baby」も頗る気持ちいいトラック。アルバム・ラストは、何とシンギング・カウボーイの大スター、ジーン・オートリーのヒット・カヴァー「Back In The Saddle Again」を洒脱なウェスタン・スウィング・サウンドで録音。



ソウル・タイム・イン・ハワイ ユニバーサル

UCCU-9023

『ソウル・タイム・イン・ハワイ』

オータ・サン&ヒズ・ウクレレ
  ウクレレは小学生の頃から弾いていた。でも腕前は上がっていない。ウクレレ・ジャズの名盤といえばヴァーヴ録音のライル・リッツの2枚が有名だが、米デッカに遺したオータさんの本作も傑作盤のひとつといえそうだ。小粋な「ハワイアン・スウィング」と呼んでもおかしくいないジャジーなウクレレ・ソロが、聴き手の耳を奪ってしまう。「ワン・ノート・サンバ」は、フラのリズムと融合したゆるいボサノバ、と畏友・山内雄喜さんがおっしゃっている。本盤の最高のトラックだろう。お洒落なウクレレ・ソロを弾きたい気分が燃え上がってくる。でもそれは無理なんだ。加山雄三のヒット・カヴァー「君といつまでも」も、オータさんの手に掛かると素晴らしいハワイアンに生まれ変ってしまう。これはオータ・マジックだ!加山さんも幸せだ。ハーバート・大田(オータさんの本名)のオリジナル「パイナップル・スペシャル」の軽快なウクレレ・ソロからは、ハワイの甘い甘い匂いが漂ってくる。「黒いオルフェ」のエキゾティックなウクレレ、シャンソン「ラメール」を素材とした「ビヨンド・ザ・シー」、ヴァイヴの名手、平岡精二の作品「ザ・ティアーズ」のカカヴァーなどと、このアルバムには駄作がない。本盤は、ハワイアン・ファンにとって永らく「幻の名盤」として語られてきた。世界初のCD化、それもアナログ盤体裁の紙ジャケットと泣かせてくれる。





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