パンドラ


このまま

「このまま……時が止まってしまえばいいのに……。」

まさかこんなセリフを自分が口にするとは思わなかった。
少女漫画や、トレンディドラマの主人公のためだけに
用意されたセリフだと思っていたに。

私はバスローブに身を包んだままで、
ワイングラスを傾ける。
ホント……ドラマみたい。
窓の外から見える道路には、
まだ多くの車が走っていた。
キラキラと輝くライトのおかげで
光の絨毯みたいに見える。
キレイだった。

「このまま……時が止まってしまえばいいのに……。」

もう一度同じセリフを口にしてみる。
だけど無情にも時間は過ぎて言って……。

ボーンボーンボーン。

時計が日付が変わったことを知らせる。

…………………………。

その瞬間。
私は三十歳になった。

……………………。

ファイトッ!まだまだこれからよっ(涙)。


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