Not Friends

弟9話 黒き命の灯火


 NotFriendsメンバーがムーンにいるのは、モーリガンの修理が済むまでの間。一週間はかかるだろうが、それまでに決着をつけなければいけないミルカにとっては、今日が最初で最後のチャンス。
 使い慣れないSPのコクピットの感覚を掴むために、しきりに姿勢を変えていた。ミルカの重装型モーリガンはまだ修理中であるし、今回の作戦にはこの機体を使う必要があった。
(仕掛けは上々……)
 そして今回の作戦の切り札となるプログラムの最終チェックを行う。
(頼むわよ……)
 目標地点を見つめるミルカは、不安にかられそうになったが、振り払うように首を振る。ミルカの目標地点は、駐屯軍基地の中にあった。情報通りの敵の配置だったが、その数を一人で相手にすると思うと、さすがのミルカでも物怖じする。
(モリブチ、カグラ、そしてレンツ)
 三人の名を思いながら写真に目を通す。
 彼らが今回のミルカのターゲットだった。

   ***

「モリブチ首相。カグラ国防委員長。そしてレンツ准将」
 オザワから三人の写真を渡され、頭に叩き込むように言うミルカ。
「レンツ准将が反駐屯軍組織を抑え込むようにモリブチに圧力をかける。モリブチが自分の頭脳とも言えるカグラ国防委員長に相談。そしてカグラ国防委員長が、反駐屯組織の代表を殺害するよう提案。ってのが事件の真相だ」
 オザワがここまで断言するのは、政府関係者と強いパイプを持っているためだ。ミルカはこの情報は信用していいと判断している。
「その三人だが……。今日から四日後、駐屯軍基地でちょっとした会合をやるらしい。レンツ准将が招いたみたいだ。反駐屯軍の動きを抑え込んだ功績をねぎらおうってところだろうな。モリブチの頭脳とも言われるカグラも一緒。つまりターゲットが一カ所に集まる」
「でも場所が駐屯軍基地でしょう? 相当警備が厳しいんじゃないの?」
「ははは、そこは平和主義国のいいところよ」
 目標となる駐屯軍基地の地図を、部屋のスクリーンに映す。
「もちろんムーンの首脳と駐屯軍のトップがいるわけだから、そうとうなSPの数がいる。しかしだ」
 オザワはスクリーンを操作し、地図から配置されているSPの映像に切り替えた。
「これは……」
 マリト三型。前大戦で使われていたAI制御のSPの改良型。
「こいつがなんと八割を占めてるから驚きだろ?」
 AI制御のSPは、高性能なものならば有人SPよりも強力な戦力となりうる。しかし、あくまでAIはAI。有事のさいの対応が人間とは比べモノにならないほど劣る。戦場において、AI制御SPは、奇策を用いられるとあっと言う間に破壊されてしまう場合が多いのだ。
 AI制御SPは、戦時中のこの時代においては、最低でも四割程度に抑えておくのが常である。
「平和主義サマサマってワケね」
 ここは平和主義の島国。敵は海を渡ってくる以外は考えられない。
 もちろん、このAI制御SPでも、ほとんどの場合は充分に戦力になりうるのは確かだ。だから「ほとんど」以外のケースが起こる可能性が低いムーンにおいて、この戦力配備は妥当なのかもしれない。
「まったく平和主義万歳だよ」

   ***

 ミルカが搭乗しているのはマリト三型を今回のために改造したもの。コクピットを取り付け、通信機能を充実させてある。
 大きく息を吸い込み、備えつけられたコンピュータを操作する。すると基地に配備されていたマリト三型の一機が奇妙な動きを始めた。

 ドンドンドンッ!

 まるで狂ったようにところ構わずプラズマガンを撃ちまくる。
 数発のプラズマが味方機、施設に命中し爆発を起こした。しかしその異常は数秒も経たないうちに終わりを告げる。他のマリト三型が、異常な行動をとった同胞に集中砲火を浴びせて闇に葬ったのだ。
 これは異常行動を起こした味方機を排除するという、ごく普通の自己防衛機能が働いたためである。
 有人機であればそれで終わる。しかし、AI機はそれでは終わらないこともありうる。
「さぁ……派手に暴れなさい!」
 ミルカの言葉に呼応するかのように、同胞を葬り去ったマリト三型が異常な行動をし始める。
 AI機が何らかの原因で、誤作動を起こすことは、広いこの世界では珍しくない。そしてそこから大きな事故に繋がる可能性もそれほど低くない。
 今回の場合、その『何らかの原因』は人為的なものであるが。
 GNを経由してAIコントロール装置をハッキング。そこにクラッキングプログラムを送り込んだ。NotFriendsメンバーはカーコの事件でGNを制す力を手に入れている。AIの遠隔操作を行うコントロール装置も、GN経由で管理できるようになっていたため、AIのクラッキングなど朝飯前。
 ミルカの手に落ちたこの基地は、平和主義国の領土で唯一の戦場と化した。
 マリト三型による同士討ちが始まったのだ。


 爆発音と爆発による衝撃は、モリブチたちが会合を行っていた部屋にも届いた。
「何が起こっているっ!?」
 手にしていた杯を床に叩きつけ、側近に怒鳴りつけるレンツ准将。レンツは准将の器に相応しくない人間かもしれないが、戦場を経験している人間だ。この場が戦場に変わったことを肌で感じ取るぐらいはできる。
 対してモリブチとカグラは、何が起こっているのかわからないようにただただ呆然としていただけだった。危機を感じ取る感覚を麻痺させる空気が充満したこの国の人間は、この空気を感じ取ることができない。
「マリト三型が次々と同士討ちを始めた模様です!」
「なんだとっ!? なぜそんな事態になるっ!?」
「配備していたマリト三型の一機が誤動作を起こしたのが原因だと考えられます! それを排除した数機のマリト三型が同機を敵と認識、そのため……」
「なんたる失態だっ!」
 側近の言葉の途中で怒鳴りつけるレンツ。まるですべておまえの責任だと言っているかのような口調だ。
 側近はレンツのそうした言動には慣れていたつもりだったが、そんな何の躊躇いもない言葉には苛立ちを憶えずにはいられない。
「ただちにAI機を止めろ! 緊急停止信号をっ!」
「ダメです。コントロール装置はAIの暴走したさいの流れ弾で破壊されてしまっています」
 コントロール装置は、一機目の無作為に撃たれたと思われるプラズマガンで破壊されてしまっていた。もちろんこれはミルカの仕組んだことなのだが。
「では破壊しろっ! 不良品に用はないっ!!」
「……は、はい。了解しました!」

 コントロールが効かないと知るや否や、破壊指令を下すレンツの短絡的な命令に、落胆と戸惑いを憶えたが、軍は上の命令は絶対である。命令を受け止めた意志を表示し、敬礼をして走り去った。
「レ、レンツ准将……これは……」
 レンツと側近のやりとりを見終えた時点でようやく頭がまわりだしたモリブチは、顔面を蒼白に染めていた。
「事故のようです。何、心配いりませんよ」
 ムーンの首相たる男のそんな様に、レンツは軽い軽蔑の表情を浮かべながら部屋の外に待機している護衛に声をかけた。
「脱出路を使う。おまえら、死ぬ気で私たちを護衛しろよ」


 戦場と化したその場所では、小さな異変が起きていた。しかし、大きな異変に覆い隠され、それに気づく者はいない。だが、この小さな異変こそがこの事態の火種であり、操る存在だった。
 マリト三型が一機その数を増やした。その機体は無人機ではなく、人が乗っている。混乱に乗じ、ミルカがうまく入りこんだのだ。
(さすがに狙いづらい場所にいるわね)
 ミルカはモリブチたちがいるであろう部屋の位置を確認しながらも、忙しく仕事をこなしていた。
 まるで無作為に暴れまわるマリト三型。しかしそのすべてはミルカの送り込んだ複雑なAI制御プログラムを載せたミルカの従者である。
 かといってリアルタイムで命令をくだしているわけではない。停止命令を送られないためにコントロール装置は破壊してしまっている。新たな命令をするためには、搭載した強力な通信装置の有効範囲まで接近しなければならない。有効範囲は5メートルと狭い。これはいざというときのための機能。頻繁に5メートル以内までAI機に接近するのは、不自然で、不審に思われる。
 だからミルカは、あらかじめ送り込んだプログラムによりどのような動きをするか把握し、そして必要な動きをさせるためにどんな状況を作り上げる必要があるかを頭で計算し、先導しているのだ。
 AIプログラムを熟知し、SPの操縦能力が高くなければ実現できない戦法だった。
(あの時果たせなかった復讐……今回は必ず)
 あの時。そう、あの時果たせなかった復讐。あの時誓った気持ち。そのために生き続けることを選んだのだ。


 慰安所で初めて迎える夜。心と身体に絶望を刻み込まれた彼女は自ら命を絶とうとした。しかし繋ぎ止められた命。すべてを拒絶しようと、永遠の闇に消えようと決意した心に生きる意志を与えた言葉。
「このまま消えていいの? あなたが消えても私たちを傷つけた存在はそのままよ?」
 絶望の淵にいた彼女に差し込んだ光は、黒き炎の放つ光。
 絶対的な闇の中において、唯一命の炎を燃やし続けるための糧となりうる感情。
 このまま消えてなるものか。私を傷つけた存在をこの手で葬り去る。
 生きる希望と言うにはあまりにも黒い、負の感情。しかしその場所においては、この感情でしか生きる道を照らすことはできなかった。
 この施設を利用する男のすべてを闇に葬り去る。その想いを成就させることだけを胸に過ごした日々は、彼女の心を復讐の一色に染めあげた。
 やがて訪れるチャンス。ミルカの美貌を見初めた、権力を持った軍人からの、専属の慰安婦として引き抜きたいという申し出。
 このチャンスを逃すまいと、ミルカはすべてをかけた。生きる希望を与えてくれた慰安所の女達のため。そして自分の復讐を果たすため。
 プライド、身体。すべてを捧げて自分を引き抜いた軍人に取り入った。絶対の愛情と、絶対の信頼。身と心を削り切って手に入れた刃は、AIプログラムの知識と、SPの操縦技術。愛するあなたを守りたいと騙し、作り上げたAI制御の護衛部隊。
 正気を保っているのがやっとだった。憎い男に愛を捧げ、頭と身体に戦う技術を叩き込む。復讐のため。そして慰安所の女達を地獄から解放するために。それだけを胸に彼女は復讐の刃を作り上げた。
 そして想いが成就するはずだった夜。研ぎ澄まされた刃で、自分を引き抜いた軍人を葬りさり、自分が今ここに存在する理由を作った場所へと還る。
 この力ならば復讐を果たすことができる。確かに差し込んでいた光明。
 しかし、その光が照らしたのは、変わり果てた慰安所の姿だった。
 ……戦争は終わっていたのだ。戦時中だからこそ生まれる闇の中でこそ存在できたその場所は、終戦と言う光に薙がれ、姿を無くしていた。
 この手で闇に葬るはずだった男たち。そして、救い出し、これからを共に生きていくはずだった自分と同じ傷を持つ女たち。そのすべてがまるで存在していなかったかのように消し去られていた。
 あの時間はなんだったのだ。
 私はなんのためにここにいるのだ。
 自分の存在意義すべてを消し去られた。

 今こそ……。
 復讐の刃を憎き男の胸に!
 ターゲットへの道を塞ぐ有人機。型はすべてノウブル。サガ同盟の主力量産期だ。機数は5。対するはミルカのしもべと化しているAI機は19。加えてミルカの搭乗するSPが1機だ。
 数の面であれば圧倒的有利な状況であるが、この戦いはそれだけで勝敗は決さない。
 ミルカ側は暴走したSP部隊であるという大前提がある。
 ただ単にターゲットを仕留めるのが目的ではない。もしそれが目的であるならば、AI機すべてを自分の都合のいいように先導すればあっと言う間にかたをつけることができる。
 しかし、あくまで事故を装う必要がある。理由は色々あるが、ミルカが一番気にしているのは、今回の行動のせいで、ネイたちまで被害を被ってしまうこと。
 今回のターゲットはムーンの首脳に駐屯軍責任者というそうそうたる面々だ。暗殺されたとなればただ事ではない。実行犯はもとより、関係者すべてに罪が及ばないとも限らない。
 もちろん、ここまで偽造したとしても、事故と断定させることは難しいかもしれないが、要は実行犯が誰かわからないようにすればいいのだ。
 そうすればネイたちに被害が及ぶことはない。
 これは自分一人の問題だから。仲間たちに迷惑はかけられない。
 不規則で的外れなプラズマが飛び交う戦場は、予測がつかない。全神経を集中して全方向に注意を払う。一瞬の隙も許されない。要所要所に障害物があるこの施設内ではなおさらだ。
 その中で確実に、AIであると演じながらターゲットを狙うのは容易ではない。
 あまりいい動きをしてはいけない。無駄を作りつつ、しかし致命傷を受けないように。そして目標へと接近していく。
 こんなことは、ネイやブルーにもできないだろう。ミルカだからこそできる芸当だ。
 その混戦で、みるみる数が減っていくSP。残るは7機。ノウブルが2機。そしてマリト三型が5機。もちろんそのうち1機はミルカ機だ。
無造作に放たれるプラズマもその数が少なくなればなるほど敵を仕留めにくくなる。相手は正確に避け、正確に狙ってくるのだから。
 最低でも三倍以上の戦力がないと厳しいだろうこの戦い。予定ではマリト三型は8機ほど残る予定だった。
 ノウブルの性能が、予想よりも優れていたための誤差だった。ノウブルのデータは、ロディがNotFriendsに着艦したときのデータを使用したが、実戦データを活かしたグレードアップが成されていたのだろう。
 今の戦いを続けていたら勝つことができない。
 しかし。
 残ったマリト三型に接近し、指示を与えるミルカ。残る持ち駒は4機。
 2機のノウブルは先ほどから1機に的を絞り、集中砲火を浴びせることでその数を着実に減らす戦法をとっている。今のミルカがとることのできない、確実で有効な方法だ。おそらく次のターゲットは、今ノウブルに最も接近している機体だろう。ミルカはその機体を捨て駒と割り切った。
 ノウブルが予想通り捨て駒としたマリト三型に集中砲火を浴びせる。その間素早く動き、残りの駒に指示を与えるはじめるミルカ。
 爆発音。本気で破壊しにかかっている有人SPの集中砲火を浴びた捨て駒は、数秒もしないうちに撃破される。相手を倒すことのみ、もしくは破壊されないことのみプログラミングされていたら、きっともう少しねばることができていただろう。
 ノウブルは次のターゲットへ向けて銃口を向けた。すでに二機に指示を与えおえたミルカは次の行動を取り始めている。指示を与え損ねた残りの1機はもうすでに諦め、AIに委ねた。
「それじゃ、いい仕事してよね」
 プラズマを乱射しながら一直線に駆け出すミルカ機。
 その動きに反応し、次のターゲットをミルカ機に定めるノウブルたち。
 数本のプラズマが飛び交う。
「くっ!」
 そのうちの何発かがミルカ機に命中した。独特の衝撃で思わず声を上げる。
 そのプラズマはマリト三型から放たれたものだった。左肩に部分に二発の被弾。バリアを貫き、小さな爆発がミルカ機を吹っ飛ばした。
 その方向はターゲットのいる施設。
 ノウブルのパイロットたちにしてみれば、予想外の事故だった。無作為にプラズマを放たれ、それがたまたまミルカ機に命中しただけであり、それが守るべき施設に突っ込んでしまったというまったく予想外の出来事。
 もちろん、これはミルカのシナリオなのだが。
 さきの状況でノウブルの殲滅は難しかった。しかしミルカの目的は戦いに勝利することではない。
 ミルカ機はターゲットのいる施設に大穴を空けることに成功した。ターゲットを追い詰めたも同然だった。

 ミルカ機の巻き起こした大きな揺れは、モリブチたち全員に尻餅をつかせた。鍛え上げられているはずの護衛もバランスを崩してしまうほどの衝撃。壁と天井にはいくつかのひび割れが見える。
「なんだ? 何があった?」
 尻餅をついたままヒステリックな怒鳴り声をあげるレンツ。
「SPが一機こちらに突っ込んだようです」
 護衛は外にいるノウブルのパイロットと通信を行い、今の状況を報告した。
「なにぃっ!? 暴走したAI機を止めることもできんのかうちの部隊はっ!」
 立とうともせず喚き散らすレンツは子供のように見える。
 モリブチとカグラは相変わらず顔色が悪く、口数もほとんどなかった。現実で起きている有事に対応できない国の首脳たち。このまま死を迎えるのかと、そう言った事ばかりが頭をよぎっている。
「大変です。脱出口が瓦礫で塞がれていますっ!」
「なにぃ!?」
 先行していた護衛役が最悪の事態を報告すると、レンツは血管がちぎれるのではないかと思うほど真っ赤になった。
「外から救援を呼べッ!」
「すでに声をかけていますが……」
「遅いっ! 今の状況を伝えて、一刻も早く来るように言えっ!」
「りょ、りょうかい……」
 その穏やかでないやりとりを見たモリブチの不安はいよいよ最高潮に達する。
「レ、レンツ将軍! 平和主義であるこの国にこんな事故が起きたのはあなたたちの責任でしょう! 私たちにもしものことがあったらどうするつもりですかっ!?」
 権力を握っている人間は、他の人間に責任を押しつけることで心の平穏を得るものらしい。普段ならそんなことを口が裂けても言わないモリブチがこんなことを言ったのは、どうしようもない不安をぬぐいたいからだ。
 責任を持って命に替えてもあなたたちをお守りする。といった言葉を期待している。
「モ、モリブチ首相……」
 カグラはモリブチよりも幾分か正気を保っていたので、今の言葉がどんな事態を生むか想像することができる。戦時中において、軍事力の無いムーンは弱い立場で、守って貰わなければならない。今のような高圧的な態度をとれる立場ではない。
「モリブチ首相。安心してください。私たちにもしものことなどありませんよ。
 ……ですから、今後の我々の関係。無事に脱出したらゆっくりと話あいましょう」
 最初は静かに、しかしだんだんと怒気を孕んだ声色で言うレンツ。その言葉にモリブチも正気に戻り、自分が過ちを犯したことに気がついた。
「レ、レンツ准将。申し訳ない……慣れない状況に気がどうかしていたのでしょう。思ってもいないことを……」
 あとはひたすら謝罪の言葉をのべるのみだ。カグラはモリブチを弁護し続ける。
 そんな三人のやりとりは滑稽でしかない。今この状況がどんなものがわかっていない。確実に刺客が迫っているのだ。こんなことが何に繋がるのか。三人はそれにまったく気づかない。脱出を急ぐ足を早めるのも忘れ、無事に脱出したあとの話に熱を込めていた。


『使用予定の脱出路が断たれた。一刻も早い救援を求む!』
 必死に叫ぶレンツ准将の護衛。その声を傍受していたミルカは持っていたハンドガンのエネルギーパックを確認した。
 追い詰めたモリブチを始末するには二通りの方法がある。一つは自ら施設内に乗り込んで始末すること。もう一つは機体にセットされている自爆装置を作動させる。
 自爆装置は本来、ターゲットを始末したあとに証拠を隠滅するために用意されたものだ。
 確実なのは前者であろう。自爆装置は施設を吹き飛ばすほど威力のはずだが、運良く生き残ってしまう可能性はゼロではない。
 もちろん安全なのは後者だ。機体から離脱後、自爆させればそれで終わるのだから。自らの手で始末しに行く場合は、護衛とも戦闘しなければならないし、顔を見られた人間は確実に始末しなければ面が割れてしまう可能性もある。
 しかしミルカはほとんど時間をかけずに選択した。選んだのは前者である。
 ターゲットを始末したいというだけなら後者を選ぶだろう。しかし、今回は復讐を果たすための行動だ。この手で確実に始末する方が、復讐の念がより晴れる。
 エネルギーパックの残量は充分あった。
 ミルカの腕前ならば、護衛がついていたとしても問題なくターゲットを始末することができるだろう。もう作戦は成功したようなものだった。
(……あの時も、もう少し早く行動を起こせていたら……。こんな風に……)
 ハンドガンを握る手に力がこもる。
 終戦よりも早く行動を起こしていたら、きっと今のように復讐を果たすことができたのかもしれない。しかし、ミルカは可能な限りの短い期間で戦力を整えたはずだ。だからきっとそれは運命で。それでもミルカはもっとはやく行動を起こせていたらと何度思ったかわからない。
(過ぎてしまったことだ。……今は)
 今は今の復讐を果たすことだけを。ミルカはさらに強くハンドガンを握りしめ、コクピットカバーを開く操作をした。
「…………?」
 コクピットカバーの開閉は、SPの基本操作の一つである。ミルカが操作ミスをする可能性は皆無だ。だが、コクピットカバーは開かなかった。
 変わりにエラーメッセージがコンソールに返ってくる。
「なんでっ……」
 何度も同じ操作を繰り返すが、かすかに軋むような音がきこえるのみでコクピットカバーが開かれることはない。
「……まさか……故障?」
 プラズマを受けてしまったからか、それとも施設に突っ込んだ時の衝撃か。
「……閉じこめ……られた?」
 試しにコクピットカバーを叩いてみたが、何の反応も無い。
 先ほどのターゲットを始末する方法は、両方ともSPから降りることが前提だった。この状況では目的が果たせない。
「また……なの?」
 思い起こされる悲劇。
「……私は復讐を果たすことは出来ないの?」
 ターゲットは目の前なのに。
 婦女暴行事件を起こすような兵のいる部隊の責任者。それを黙認するムーンの首脳。
 それだけでも裁くに値するが、それだけではない。父親の面影をもった人間を殺し、自分と重なるところを持つ少女に、自分と同じ悲しみを植え付けた。
 罪深き男どもに制裁を。
 私はそのために生きている。
 あの時……、復讐を果たすことが出来なかったとき。生きる希望が再び失われた。このまま消えてしおうとも思った。
 だけど、死ぬこともできなくて。
『このまま消えていいの? あなたが消えても私たちを傷つけた存在はそのままよ?』
 自分を生かしてくれたあの人の言葉が聞こえたような気がして。
 自分が生きる目的を、それ以外に見つけられなくて。   
 だから。私の存在理由は。
「……まだ方法はある……」
 幽鬼が乗り移ったかの形相で、独りブツブツと呟くミルカ。
 ミルカの最大の目的はターゲットの始末。それを達成する方法は、確かに残っている。しかしそれにはあまりにも大きな代償が必要だった。
 それでもミルカはその方法を実行しようと大きく息を吸った。
「これ以外、方法はないわよね……」
 ゆっくりと自爆スイッチに手を進める。
 このまま機体を爆発させる。これがターゲットを始末するための残された方法であった。このまま爆発させればもちろん搭乗しているミルカも巻き込まれる。爆発の中心にいるのだから、絶命は免れないだろう。
(これを押したら私は死ぬ)
 本能が手を震えさせた。
(だけど後悔はないはず)
 もともとそのぐらいの覚悟で望んだはずだ。こういう用途も想定して自爆装置の威力を指定したのだ。想定の域の事態に過ぎない。
 そのはずなのに躊躇ってしまう身体。理屈ではない何かが強く引き止める。
(本望のはずだから)
 ミルカの存在理由は男に憎み、復讐をすること。それだけを生きる糧とし、今日この日まで生きてきた。だけど男がこの世からいなくなることなんて、自分が生きている間には有り得ない話で。だからずっと憎み続け、復讐し続けるしかない。
 それは唯一残った希望の光。その復讐の炎に身を焼かれて滅びるならば。それはきっと本望で。
(これ以外の道などありはしないから……。私は……そういう存在だから……)
 自爆スイッチのボタンが、ミルカの指によりゆっくりとへこんでいく。
 その一瞬に脳裏に映る人影は、残していく仲間達の姿だった。
(ごめんね……みんな。さよなら……ネイ) 


 あの日を境に、ムーンが変わった。
 それまでムーンを動かしていたとも言える、レンツ准将と、モリブチ首相の役目が他の人間に移ったからだろう。あの事件そのものが、ムーン国民の意識を変えたのも大きな原因の一つだ。
 平和主義と言う法に守られ、安全にSPを造り続けたその国民たちは、SPを商品としか見ていなかった。
 自分たちにも火の粉が降りかかる近い場所でSPによる大事故が起き、SPは兵器であるということ、そして今、世界は戦争が起こっていると言うことを思い知らされた。
 何もせずにいても、助からない。その意識が高まったのだ。
 もともとムーンは民主主義国家である。国民の多くがその気になれば国を変えることは可能なのだ。
 あの日から、駐屯を続ける条件として、要求事項をあげるための活動を始めた。ロッシャル軍による侵攻が始まった場合は、駐屯軍がムーンを守ること。そして、軍人の犯罪をムーンの法で裁くこと。
 その両方がそれほど時間がかからず承認された。有事の際に、ムーンの軍事物資使用の許可という条件付きであったが。
 この条約を結ぶのに大きく貢献した人物がいる。もし、彼がいなかった場合、こんなに早く体勢を固めることなどできなかっただろう。軍人による犯罪行為を厳しく罰し、真相を透明化して誠意を示した。
「政治的な才能があるとは思わなかったわ」
「オレはおおざっぱな指示をしただけだ。政治的な才能があるのは副隊長さ」
 その人物は、女の言葉にヘッと笑って答えた。
 サガ同盟強襲部隊「ケルベロス」隊長、ロディ・ラウズ少将。
 副隊長はカツアキ・アオヤマ。生まれはムーンであるが、両親の仕事の都合によりアリムに移り住んだ。16歳のときにはすでに両親は病死。金に困り、補助金がでるアリム軍に入隊。年齢は27と若いが、ロディに才能を認められ、若くしてケルベロスの副隊長に抜擢された。
「悪かったわね。無茶を言って」
 ロディに声をかけているのはネイ。二人は今、サガ同盟の本拠地であるアリムに向かう飛行シップの中にいた。
「まぁ結果的にこっちもプラスになったと思うぜ。ムーンの駐屯部隊があそこまで腐ってるなんて思いもよらなかったからな。それを許すムーンの首脳にも問題はあるが……。
 あのまんまだったらロッシャルの侵攻が始まった途端に国はパニック状態。連携のとれない国民はただの足かせにしかなりえない。そんな部隊とロッシャルの侵攻部隊。結果は火を見るよりも明らかだ」
 ロディはネイの呼びかけによりムーンに来た。本来、ロディの力を借りない意向だったネイたちであったが、ロディの力を借りなければならない状況になってしまうことを察知したネイが、早くに連絡をして呼び寄せたのだ。
「ホント。今回の行動はかなり無茶だったぜ。ここに来る理由を作るのも苦労したし。副隊長のアオヤマがムーンの人間じゃなかったら、とてもじゃないが無理だったな」
 なお、二人は飛行シップの一室にいるのだが、部屋にいるのは二人だけではなくシリアもいる。シリアは一言も喋らないが、ネイもロディもシリアのことをよく知る人物なので、そのことについて気にも止めていないが。
「……それよりも尻ぬぐいにはかなりの無理があったぜ。多少不自然なことは残っちまった」
「そこら辺は大丈夫よ。情報操作がお得意のヤツがいるから」
「……あの食えない男のことか?」
 ロディの言う食えない男とはオザワのことである。ロディの飛行シップではネイ達の地上シップを運ぶのは難しいため、オザワの大型飛行シップも同行している。
 ロディとオザワは出発前に少し話した程度だが、何か感じるものがあったらしい。
「……まぁね」
 そこで会話が途切れる。
 しばらく時間をおいて口を開いたのはロディだった。
「……とりあえず、敵じゃないみたいだが……まだ、サガ同盟に属するとは決めてないんだよな」
 独り言のように呟く。ここにいる二人に返答求めているのかどうか曖昧な口調だった。
 返答を期待しているのではなく、自分の気持ちを相手に伝えるためだけに口にした問いかけなのだろう。それに対して二人は何も答えない。
 ロディはしばらく様子を伺っていたが、やがて諦めしばらく口を閉じた。


 空気清浄機がうなり声を上げている。
 この大型シップの中で空気清浄機がこんなに慌ただしく動く部屋はここ以外にない。
「……アンタの思惑通りってわけ?」
 不機嫌そうな問いかけに、部屋の主であるオザワは煙草の煙を吐き出した。
「死にたかったわけじゃないだろ? いいじゃないか」
 そう言ってオザワが煙草を勧めた相手はミルカ。
「……よくない……」
 あの時、覚悟を決めて自爆スイッチを押した。命を捨ててでも復讐を果たしたいと本気で願っていた。
 なのに……装置は作動しなかった。
 コクピットカバーのように故障したわけではない。
 そう仕組まれていた。パイロットがいる状態では自爆装置は作動しないように。
 そのためターゲットを始末することはできなかった。今回の事件とロディの働きにより、三人とも職を追われる結果となったが。今も生き続けている。
「……安全面を考えればそういう機能があるのは当然だろう?」
「あんな急な改造だったのに、指示もなしにそんな機能までつけるとは思えない」
 もともとヤマヤ製品ではないマリト三型に、通信装置をつけ、自爆装置を取りつけるだけでも困難だったはずだ。
 それに今回のような、内容からして危険なことに使う機体に、そんな安全装置を取り付けるなど考えられない。
 つまり別の意図があったと考えるのが妥当だろう。
 それにより自分の命をひきかえにしても構わないぐらいの復讐が果たせなった。
「別部隊が監査に来たタイミングも絶妙すぎる」
「わーったよ。腹の探りあいはこのぐらいにしよう。美人に睨まれ続けるのは心苦しいぜ。
 ……まぁ、多分あんたの思ってるとおりだけどな」
 このままではミルカがいつまでも問い詰め続けるだろう。オザワは負けましたと言うようなジャスチャーをとった。
「あの装置を取り付けるよう指示したのは俺じゃない。その件で責められるのは真っ平ごめんだ」
「……ネイね」
 ネイ。
 今まで存在しなかったパーツが現れることにより、不可解な事柄がどんどんと補完され、真相が見えてくる。
「……ネイに話していたのね」
「ネイに話さないって約束はしてないだろ?」
 思い返せば、確かにそんな話はしていない。しかし、オザワに話を持ちかけた時点で、NotFriendsにも知られたくないことだということは、オザワならば簡単に察することができたはずだ。
 だからミルカはその話をしなかった。それをうまく利用されてしまったわけだ。
 さらにキッと睨みつけるミルカに、オザワは怖い怖いと身震いしてみせた。
「そう怒るなって。結果オーライだろう。ムーンは変わり、ターゲットの三人は生きているが社会的にはもう死んだようなもんだ。そして何よりあんたは生きている。
 ネイをアドバイザーとして協力を求めた俺は感謝されてもいいと思うんだけどな」
 オザワの言い分は正論かもしれない。しかし、今回のことはそんな理屈では片付けられない。
 男に復讐することは最大にして唯一のことだから。自分の生き方を否定されたようなものだから。
「……文句があるならネイに言えよ」
 オザワは自爆装置にあの機能をつけるように指示したのはネイだと言っている。
 ネイは自分が三人を暗殺しようとしていると知って何を思ったのか。そして、なぜ自爆装置に安全機能をつけたのか……。
 ミルカはネイの真意を知りたいとも知りたくないとも思う。
 そんな中、ピピッという小さな機械音が響く。
 オザワの情報端末にメッセージが届いたことを知らせる音だ。
「お、噂をすれば……だ。ロディ少将のところからこっちに戻ってきたぜ?」
 このままでは自分の気持ちはいつまでも中途半端。
 しかし胸をよぎる大きな期待と不安が、足かせとなって前に進むことができない。
 ミルカはオザワから煙草を一本奪い取り、ゆっくりと吸ってから部屋を出ると足早にネイの部屋へと向かう。
 複雑な感情をうねりをあげている。
 自分が今ここにいるのは、ネイの配慮のおかげだ。それはつまり、自分はネイに必要だと思われているということ。
 色々と考えを巡らせているうちにネイの部屋の前に着く。
 考えるのはあと。今はとにかくネイと話を。
「ネイ……話があるの」
「……どうぞ」
 普段なら部屋に入れてもらえないことが多かったが、ネイもミルカがどんな話があるか察しているのだろう。ネイの言葉のあとですぐにドアが開かれた。
 質素で必要最低限のものしか無い部屋。その雰囲気は膨らんでいた緊張感をさらに増幅させる。
 部屋にはネイ一人しかいない。部屋に二人きり。ミルカは、なかなか口を開くことができないでいた。
「……悪かったわね」
 二人の会話でネイの言葉から始まったことなど何度あっただろうか。それも内容は謝罪。
「……………………」
 その予想外のことに、ミルカはしばらく反応できなかった。
「……やめさせることもできたわよね?」
 たっぷりの沈黙のあと、ミルカがおずおずと口を開く。ネイはオザワに話を持ちかけた直後に話を聞いていた。それならば、その行動事態を止めることだって可能だったはずだ。その方が被害も、手間も少ない。
「やめろと言ったらやめた?」
 首を横に振るミルカ。
 間違い無く答えはNOだ。AI機を使った計画をやめさせられたとしても、別の手を使ってでも暗殺をしようとしたに違いない。
「……それなら、好きなだけやらせようってこと?」
「多分もっとも成功率が高い方法だったはずだからね」
 淡々と、理知的に答えるネイ。それはミルカの予想した範疇の内容だった。しかし、その次の単語は違う。
「いや……生存率が高い方法だったから……ね」
 予想ではなく……期待していた言葉。
「だから……自爆装置にあんな機能を?」
「自分の命と引き替えにしなければターゲットを始末できないとわかったら、あんただったら、そうする可能性もあると思ったから」
 胸がギュッとつかまれたような苦しさを憶える。
「……悪かったわね。そのせいでターゲットの始末に失敗して」
 紛れもなくこれは嬉しい言葉で。だけど。
「……私は……」
 今まで男への復讐心を燃やし続けることで生きてきた。
 ネイに必要にされていること。だから今こうして生きていること。
 今までとは違う。生きる希望。
 だけどそれは暖かくて。……暖かすぎて、優しすぎて。
 罪の意識と恐怖を感じる。
 これを生きる希望として、闇の中にある命に、炎を灯すことができるだろうか?
 あの時、慰安所の女達とともに誓った復讐を果たすことができなかった。だけど自分は生き延びている。
 すべての男への憎悪が、生き続けることへの免罪符。
 そう思った。
 他に生き続ける理由も見つけられなかった。
 免罪符を失った自分は罪の意識に耐えられるだろうか。
 そして復讐の黒き炎は、心と身体の傷の痛みをも燃やし続けてしまうほど、強く激しいものだった。
 子を授かることのない現実も、あの時受けた屈辱も、この炎ならば燃やし続けることができる。
 それなくして、痛み続ける傷の疼きに耐え続けることができるだろうか。
 どちらも無理だ。
 もうすでに流さないと決めた涙が溢れている。
 身を削って、心をすり減らしててでも黒き炎を燃やし続けなければ、闇の中にある自分は寒さで凍えて死んでしまう。
「私には死ぬ勇気がない」
 身体を小さく震わせていたミルカに、慰めでも励ましでもない言葉がかけられた。
「本能が鳴らす警鐘に怯えて死ぬことが出来ない。……それは自分の意志とは違う。何度も死にたいと思ったけど、生き延びるために必死になっている」
 なぜ、いまそんな話を。疑問がミルカの頭を麻痺させる。突然口にされたのは、ネイの心の中。今まで触れることの出来なかった領域。
「あの時……本当に自爆スイッチを押したあんたは……、死を選んでまで成し遂げたいという意志を生み出すものを抱えて生きている」
 真っ直ぐとこちらを見据えるその視線は、ミルカの心の中心を貫く。思考は止まり、身体は動かない。
「だから次はもう邪魔はしない。私は、自分の命を捨ててまで、あんたを生かそうと思うことなんてできないから」
 身が砕かれるような衝撃。
 その言葉は潔く、冷たく、しかし思慮深い。
 ミルカを深く理解した上での、自分の正直な言葉。そこには同情などは一切無く、曇り無いネイの気持ちがあるのみ。
 それはまるで清水のごとく心に染み渡る。心の傷が癒えることはないけれど。
「……その方がたすかるわ。私のためにネイが死ぬなんてことになったら、それこそ死ぬより辛いから」
 どうしようもなく傷つけられた心は、命を凍える闇へと誘う。そんな命の火を消さないためには、生き続けるためには、生きる糧となりうる強い炎が必要だ。
 闇の中にいるからこそ、強く燃やすことのできる、黒き炎で命の火を消さずにいられた。
 これからもこの傷は癒えることはなく、黒き炎は必要となるだろう。その炎は時に命を燃やし尽くすほどの熱さになる。
 だけど、もうその炎に身を焼かれても構わないとは思わない。
 この女のそばで生きたい思う。

 この命の灯火が消えるまで、この女の傍らで……。





第九話 黒き命の灯火 完



次回予告

 シリアよ。
 この世に神も仏もありはしない。この世の奇跡は偶然の産物。後付けのでたらめに過ぎない。だけど人はそれを信じようとする。
 神は絶対的なものだという。だけどそれは所詮妄想の産物。なのに、人は確かなものを求めて、神の偶像を崇めたりする。
 ……私は信じない、決して。

 次回、NotFriends 第十話「神の在処」。
 NotFriendsの意味?言葉通りの意味よ。



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