工藤 道隆

あとがき

 本作品は、作中の登場人物と同じような状況にいる人々の気持ちを私なりに理解しようと努力して、その上で出したひとつの『考え方』によって、少しだけでも気持ちが楽になるきっかけを得てもらえれば……なんて烏滸がましいとを本気でやろうとしたものです。

 しかし、この作品を読んでくれた友人に、「本当にこういう状況にいる人が読んだら、キレイ事だと思うだろうな」という評価をもらったことがあります。

 その時はムキになって反論したものですが、現実はそうなのかもしれません。

 物語中のキャラクターは、それぞれが抱えるものに対して、自分なりの結論を出して昇華させていきますが、その結論は私が想像力を働かせて考え出したものであり、同じ状況にいる人に対してはキレイ事にしか感じられないかもしれません。

 しかし、たとえその考え方がキレイ事でしかなくても、私はこのキレイ事を書き続けたい。
 だって、やっぱりキレイな方がいいじゃないですか。みんながこのキレイ事が実現できるなら、世の中も悪くないかなって思えるじゃないですか。
 ……この考え方自体が甘いのかもしれませんが。


 本作の工藤少年は、様々な人との出会いにより、少しずつ自分を知り、出会った人々も、工藤道隆との出会いによって自分を知ります。そして、それによって視野が広がり、抱えきれなかったものを受け止めることができるようになっていきました。

 この関係が、本作品と読者様の間にも成立できたなら……。
 この作品との出会いが新たな自分を知るきっかけになれたなら……。
 そして、視野を広げるきっかけになれたなら……。

 作者としてこれ以上の幸福はありません。

2006年8月27日 美奈神 秀


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